僕には二人の姉さんがいる。姉さんとは思えないほどに子供っぽいところもありますが、たまに見せる姉らしい一面を見ると「あ、姉さんたちってちゃんとお姉ちゃん」だったんだと改めて気付かされる。
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今日は姉さんたちと一緒に家電量販店へと向かっていった。なぜかと言えばそれは姉さんたちがパソコンを新調するらしく、それに無理矢理連れて来られた。
正直、パソコンを買うぐらいであれば姉さんたちだけでも全然問題ないと思うけど、それを許してくれるような姉さんたちではなかった。だって僕が「面倒なので行きません」と伝えたら、シオン姉さんが「シオンが泣いてもいいの?」と聞いてきたりする人たちだ。クロヱ姉さんも「弟くんの部屋でずっと地団駄を踏み続けるよ」と言うんだ。
この人たちが自分よりの年上だとは思えない。
「姉さんたちの方がパソコンに関しては詳しいじゃないですか」
姉さんたちは二人共、配信業をしているので僕よりも圧倒的に詳しい。機材などにおいても僕なんかと比べられないほどの知識を持っているのが言うまでもない。
「まぁ…シオンたちの方がパソコンには詳しいかもね」
「だったら僕が来る意味ってなくないですか」
「あるよ!沙花叉たちの癒しとして!」
「…癒し?」
「シオンたちは弟くんが側に居てくれると落ち着けるの」
「意味があまり良く分かりませんが、僕は姉さんたちの勝手な気分の所為で連れて来られたってことですか?」
「そうだね」
この姉さんたちの気まぐれにも困ったものだと思ったが、それを口に出すと「弟くんは沙花叉のことが嫌いなんだ」とか「シオンは弟くんのことを愛しているのに、弟くんはシオンのことを愛してくれないんだ」と言い始めるのがもう手に取るように分かる。
「姉さんたちはなんでそんなに僕のことを…気に入ってくれているんですか?」
すると二人の足が急に止まった。
「なんで…そんなの決まっているじゃん。弟くんだから」
「僕だから?」
「弟だからって言うのもあるけど。もし、シオンと弟くんが姉弟っていう関係じゃなかったとしてもシオンは弟くんのことを大好きになっていたと思うよ」
「それこそなんで?」
「なんか言葉にして説明するのはとっても難しいけど、弟くんと一緒にいると楽しんだよね。嫌いな勉強も弟くんと一緒にやれると楽しの。やっぱり何をするかじゃなくて誰とするかが重要なんだって気付いたよ」
「そうなんですね…」
「沙花叉だって弟くんに構ってもらえなくちゃ死んじゃうもん。弟くんはとっても優しくて、いつも沙花叉のことを甘やかしてくれる。ずっと沙花叉の近くに居てもらわなくちゃ困る!」
クロヱ姉さんに関しては自分も甘やかしてくれる人が側に居てくれないと困るってだけでは。
「そして僕は連れて来られたってことですか?」
「うん!!シオンと沙花叉のために」
その後も適当に話していると目的の家電量販店に着いた。
「それでシオン姉さんはどういう系のパソコンとかあるんですか?」
「決まってるよ。ある程度は調べてきたから」
「そうなんですね」
だったらシオン姉さんの方はそんなに時間が掛からない。あとはクロヱ姉さんの方。
「クロヱ姉さんはどうですか?」
「全然決まってない」
「え、少しぐらいも調べてなかったんですか?」
「調べてないよ。別にどうにかなるでしょ」
この感じだとクロヱ姉さんに関しては時間が掛かるかも。運よく、早く決まってくれることを願うとしよう。
そしてその後、案の定シオン姉さんはすぐに決まったけど、クロヱ姉さんは全然決まらないということになった。
「クロヱ姉さんは後で一人で来るというのはどうですか?」
「な、なぁんでぇ~~」
「だってクロヱ姉さんが全然決まらないですし」
「そうだよね、シオンも沙花叉が一人でくればいいとおもう~」
「…二人して沙花叉のことをいじめてたのしいの!?」
「いや、いじめているつもりはないんですけど」
「いじめてるもん!沙花叉のことを追い詰めて……くるし……」
あ、だめだ。これ以上、クロヱ姉さんのことを追い詰めちゃうと泣く。そしてこん家電量販店で泣かれたら他の方の迷惑にもなってしまうし。
「分かりました。クロヱ姉さんが決まるまで待っていますよ」
「ほ、ほんと、勝手にほったらかしにして帰ったりしない?」
「しませんよ。さすがにクロヱ姉さんにそんなことをしたら、泣き喚きますから」
僕よりも年上の人の行動しては少し疑問は残るけど、クロヱ姉さんなりの感情表現なんだと思うけど。
「泣かないもん!沙花叉は泣かないし!」
「はいはい、分かりましたから。早く選んできてください」
そうは言ったものの、パソコンを買うとなるとそれなりに出費が生じる。焦られせて後で後悔されるのが一番嫌だし、ここはある程度の時間を費やしても待つことが大事だ。
僕が待つのは全然大丈夫ですけど、問題になるのはシオン姉さんだ。あんまり待たされるとシオン姉さんの機嫌があからさまに悪くなってしまうんですよね。その前にシオン姉さんの機嫌を取っておこう。
「シオン姉さん」
「なに?」
「帰りに食べたいものとかありますか?」
「お寿司!」
「分かりました。帰りにお寿司を食べて帰りましょうか」
「うん!」
こんな風に機嫌を取っておけば少しはシオン姉さんの機嫌が悪くなるのを遅めることはできるだろうし。
その後は悩んでいるクロヱ姉さんのところまで足を運ぶことにした。クロヱ姉さんが真剣な顔でパソコンを選んでいるので、話し掛けない方がいいと思って、僕もパソコンを見て回ることにした。
さすが、家電量販店にはたくさんのパソコンが飾られている。
「自分がパソコン買うとしたら…どういうのがいいのかな」
僕はまだパソコンを持ってない。来年にでも買おうと考えているところで、そろそろパソコンの種類に関して決めてもいいような時期。
でも、僕はデスクトップパソコンよりもノートパソコンの方がいい。持ち歩けるという利点。
「うわぁ…高いけど、ノートパソコンってこれぐらいするんだよね」
そんな独り言を喋っていると急に耳元でクロヱ姉さんの声が聞こえてきた。
「弟くんってこういうパソコンが好きなの?」
「え…き、きゅうに話し掛けてこないでくださいよ…」
「やだよ。弟くんの驚いている顔を見るのが好きだもん」
「その悪趣味は今にでも止めてください」
「やめないけど、弟くんはこういうパソコンが欲しいの?」
「そうですね。いずれはこういうノートパソコンを買いたいと思ってますね」
僕がそう言うとクロヱ姉さんは一瞬悩み素振りを見せた後に驚きのことを言って来た。
「買ってあげようか?」
「え…い、いいですよ。さすがに」
「別に沙花叉はいいよ。弟くんもそろそろパソコンとかを持つような年齢でしょ。もっと早くても良かった気がするけど、弟くんが欲しそうな感じを出してこなかったから買わなかっただけだし」
「でも、さすがに値札を見てくださいよ。こんな金額を姉さんにお願いするのは悪いので、今はお金を溜めているところなんです」
「いやいや、弟くんはそんなことお金使わなくていいの。それぐらいお姉ちゃんが買ってあげるんだからさ」
「…高いですよ」
「それぐらいお姉ちゃんに甘えなさいって。弟くんの欲しいものはちゃんとお姉ちゃんとして買ってあげたいしさ」
「……で、でも…」
「いいんだって!弟くんのバイト代はもっと違うものに使えばいいの。友達とどこか行くとか、そんな風なのに使うだけで」
「…クロヱ姉さん、自分のパソコンも買うんですよね?」
「もちろん!」
「さすがに二つのパソコンは値段的に……」
「も~いいの!!これね、沙花叉が買うから!」
そしてそのまま勢いに任せてクロヱ姉さんは自分のパソコンと僕が見ていたパソコンを買ってくれた。
「あとで…お金は…」
「だからいいの!こういう時ぐらいお姉ちゃんに『姉』らしいところを見させてよ。それにどうしても弟くんがお礼とかをしたいんだったら、どこかでご飯とか奢ってくれたらいいよ」
「分かりました。クロヱ姉さん、ありがとう!」
「…ま、まぁ……お姉ちゃんとして当然だし……///」
そしてその後、三人でお寿司を食べて帰ったのだった。
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