もし、〇〇〇が姉だったら   作:主義

54 / 65
もし、すいそらが姉だったら

僕には二人の姉さんがいる。どちらも学校では憧れの的で多くの生徒から慕われている。本当にすごい人たちで弟でありながら尊敬しているぐらいだ。

 

 

カリスマ性に溢れている人たちっていうのはこういう人たちのことを言うんだと思う。どちらも何でもこなすような人たちで万能な人。

 

 

 

―――――――――

 

 

 

「そら姉さんとすいせい姉さんにちょっと勉強を教えて欲しいんですけど、時間って空いてますか?」

 

世間の姉を持つ弟たちは姉に対してタメ口などで話したりするものらしいんですけど、うちに関してはそんなことない。どうやっても敬語みたいな感じになってしまうのは尊敬しているが故だ。

 

 

「私は全然大丈夫だよ」

 

 

「すいちゃんもだいじょうぶ~」

 

 

「そ、それは良かったです」

 

僕は問題集を取り出して、姉さんたちに説明する。

 

 

「ではこの問題集のこの問題を教えて欲しいんですけど」

 

 

「どれどれ~」

 

 

「すいちゃんにもみせて~」

 

そら姉さんもすいせい姉さんも頭は良い方。学年のTOP10に入るような人たち。前に姉さんたちに対して「なんでそんなに勉強できるんですか?」と聞いた時に返ってきた答えは「なんだろう。復習をするとかかな」と「授業中に覚えちゃえば何もいらないんじゃない」と言われた。

 

 

この人たちは本当に天才なんだと改めて思った。

 

 

 

 

 

 

それからそら姉さんは分かりやすく解説してくれて、本当に教え方が上手いと感じた。これだったら家庭教師とかでアルバイトをしても全然お金が取れる。それにそら姉さんの性格からしても優しく教えてくれるだろうし。

 

「すいちゃんから弟くんに聞きたいことがあるんだけど、いいかな?」

 

 

「いいですよ」

 

 

「弟くんってさ、モテるじゃん」

 

 

「全然モテてないですよ」

 

 

「そんな嘘付かなくてもいいって。姉のすいちゃんから見てもキミがモテるのは普通のことだと思うし」

 

 

「別に嘘を言っているつもりはないんですけど…」

 

すいせい姉さんから見ると僕がモテてるように見えるのか。僕としてはバレンタインデーのチョコとかの数だって5つぐらいだ。それも全てが友チョコだと思うし、告白されたことだって数えられる程度しかない。これのどこがモテてると感じるのか。

 

 

「それで彼女とかいるの?」

 

 

「いないですよ」

 

 

「本当に?」

 

 

「本当です。こんなことで嘘なんてつきませんよ」

 

 

「そっか…。じゃあ、弟くんの心を射止めるような人はまだ出てきてないんだね」

 

 

「僕のっていうか、僕がまだ心を射止められてないっていう方が正しいと思いますけど」

 

 

「え、じゃあ、好きな人とかいるの?」

 

 

「いますけど…」

 

僕の答えに二人の姉さんは驚愕の表情を浮かべていた。

 

 

「まじ?」

 

 

「え…それは私も初耳!」

 

 

さっきまで黙っていた、そら姉さんが急に僕との距離を縮めてきて問いかけてきた。

 

 

「それってどんな子!?」

 

 

「え…普通の子ですよ」

 

 

「同じクラス?」

 

 

「同じクラスで風紀委員に所属していますよ」

 

 

「どういうところが好きなの?」

 

 

「ど、どういうところって急に言われても…」

 

 

「え~だってあるでしょ。相手を好きになった理由は」

 

 

「それはありますけど………」

 

それを姉さんたちに伝えるのはちょっと恥ずかしい。もちろん赤の他人にこんなことを言う時も恥ずかしいだろうが、身内というのもかなり恥ずかしい。

 

 

でも、そら姉さんもすいせい姉さんも気になって今か今かとワクワクしている。

 

 

「…一目惚れです。初めて会った時にあの子の笑顔を見てから、目であの子を追うようになってました」

 

 

「なにそれ青春だね…」

 

 

「すいちゃんたちにもっと詳しく教えてよ!!」

 

 

「も、もっと詳しくと言われましてもこれ以上は無理ですよ。僕がずっと好きなだけで行動とかをあんまり起こせていないんですから」

 

なにかエピソードがあればもっと話してもいいですけど、本当に何もない。

 

 

 

「そっかぁ。でも、ちょっと寂しいね」

 

 

「そうだね。すいちゃんたちの知らないところで恋とか知っちゃってるしさ」

 

 

「弟くんも大人へと階段を少しずつのぼっているってことかな」

 

 

「じゃあ、弟くんがすいちゃんたちのものなのも、あと少しかもしれないってことだよね」

 

すると急にそら姉さんとすいせい姉さんは僕の方に視線を移してきた。

 

 

「ど、どうしたんですか、姉さんたち?」

 

 

「今からちょっとだけじっとしていてね」

 

 

「うん、すいちゃんたちが『良いよ』っていうまで動いちゃダメだからね」

 

 

「そ、それってどうい……」

 

言葉を言いかけているところでそら姉さんとすいせい姉さんにサンドイッチされる形抱きしめられる。

 

 

「…ほ、ほんとにどういうことですか?」

 

 

「いや、弟くんもいつかは誰かとお付き合いとかするでしょ。その前に私やすいちゃんはしっかりと弟くんとの生活を満喫しておかないといけないから」

 

 

「そうだよ。すいちゃんは弟くんを他の誰かに渡すのなんて嫌だけど、弟くんが幸せになるんであれば仕方ないしさ」

 

 

「…ま、まだ先のお話ですよ。さっきも言いましたけど、僕と好きな方とはまだ全然話したりとかもあんまり出来ていないですから」

 

 

「分からないよ。明日急に関係が発展するかもしれないよ」

 

 

「そう、いつどうなるか分からないから今のうちからしっかりと弟くん成分を吸収しておかないと…」

 

 

「弟くん成分?」

 

 

「それはちょっと分からないけど、私たちは弟君の事が好きだからさ。弟くんに恋人が出来ちゃう前にこういうことをしておこうと思って」

 

「別に恋人になったからと言って何かが変わることはないと思いますよ」

 

 

「弟くんは分かってないんよ。すいちゃんたちの弟じゃなくて、その女の恋人になっちゃう。だから今だけなの」

 

 

すいせい姉さんが言っていることは別に分からないけど、姉さんたちがこれを止めてくれる感じは全くしない。その予感は的中して1時間以上もこの状態が続いたのだった。

 

 




感想があれば
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。