僕には二人の姉さんがいる。普段あんまり話すことをしないので姉さんたちのことについてはあんまり知らないけど、一つ言えるのは姉さんたちはとっても美人さん。
僕の友達が家に来た時に姉さんたちのことを偶然見たらしいけどその時の友達が「お前の姉ちゃんってすっごく可愛くね!!」と鼻息を荒くして話してきたほど。正直、生まれてからずっと姉さんたちと一緒に過ごしてきたので…美人だとは思っていたものの、その程度だった。
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今日は祝日ということもあって目覚ましでなく、眠気がなくなるまで寝た。そして身支度を整えてから一階のリビングに降りるとそこにはこより姉さんといろは姉さんの二人がいた。
「あれ…こより姉さんもいろは姉さんもまだいるんですか?」
「まだってなに~?」
「いや、今日ってお仕事があるみたいなことを昨日言っていた気がするんですが」
「あ、それなら夕方ごろからでござるよ」
「そうなんですね」
僕は水を飲むためにキッチンの冷蔵庫からペットボトルを取り出し、コップに注いでいる最中に耳をつんざくような声が聞こえてきた。
「ま、また…ですか…」
僕はつんざく声を出した張本人のこより姉さんのところにまでいき、半分意識がない姉さんを確認する。そしてすぐに床を見渡すとそこには『G』がいた。
「やっぱりね」
こより姉さんが悲鳴を上げる時は大概、虫が出た時と決まっている。そして部屋の片隅に視線を移すとそこには剣を構えたまんまで辺りをきょろきょろしている、いろは姉さんの姿がある。
「いろは姉さん、まずは剣を下ろしてください」
「だ、だめでござる!!弟くんも風真の後ろに来るでござるよ!!!」
「いや、行きませんって。そんなことしちゃったら誰かこの『G』の退治をするんですか…」
「た、たいじなんでできないござる」
「大丈夫です。姉さんたちには何も期待していないので」
僕は普通に殺虫スプレーで退治をした。
本当に何も特別なことはしていないが、いろは姉さんは拍手喝采だった。まあ、ほとんど意識がないような、こより姉さんと剣を構えていた、いろは姉さんは行動からも分かるけど、虫が大の苦手なのだ。逆に僕は虫とかは別に不得意ではなく、普通に触れてしまうような人間。
そしてこより姉さんは虫に出会うとつんざくような悲鳴を上げるので今回もそうで叫びが聞こえた時点で分かってしまう。
「本当に弟くんはすごいでござるな~」
「すごくはないですよ。ゴキブリの退治ぐらいで」
「いや、風真から見れば凄すぎるでござるよ。風真やこよちゃんはそういうこと絶対に出来ないでござるし」
前に僕が外出中に虫を見つけてしまったことがあったらしく、その時のこより姉さんといろは姉さんは二階の一部屋に籠っていた。僕が帰ってくるまでそのまんまだった。
その時にも退治した後で「普通に殺虫スプレーを掛けるだけですから」と言ったが、どちらも返答は「むり(でござる)」だった。この感じだと僕が長期的に家を離れた時が少し怖くはある。
「僕がいない時のためにも姉さんたちで退治が出来るようにしませんか?」
「無理でござる!」
その後に今にも死にそうな声が聞こえてきた。
「む、むりぃ…」
どうやら、こより姉さんは意識が戻ったらしい。
「大丈夫ですか?」
「だ、だいじょうぶ…」
こより姉さんは体を起こしながらそう呟いた。
「じゃあ、僕がいない時はどうするんですか?」
「待ってるよ」
「待ってるござるよ」
「待っていたら二日とか経つかもしれないですよ」
「だめ、こよりといろはちゃんのために早く帰って来て!」
「そうでござる!風真たちのために早く帰って来て!」
「…いや、無理な場合もありますよ。毎回早く帰って来れるわけではないですし」
僕はまだ高校生なのでほとんど家に帰って来るけど、修学旅行とか林間学校とかの時は『帰って来て欲しい』と言われても帰ってこれない時だってある。
「こよりは弟くんのことが大好きだよ!」
「急にどうしたんですか?」
「風真も弟くんのことは大好き!」
「だから急にどうしたんですか?」
「どうもしてないでござるよ」
いや、どうにかしていますよ。
「お姉ちゃんたちは弟くんのことが大好きだから家から出さなくていい?」
「なんでそんな話になるのか分からないですし…。虫の退治をやらせるためにそこまでやらせますか」
姉さんたちの虫嫌いに関しては知っていたけど、まさかここまでとは思っていなかった。
「やってもらうでござる!それに風真とこよちゃんが弟くんのことを好きなのは虫とか関係ないし」
「いや、どっちにしてもおかしいですよ」
「おかしくないもん!こよたちは弟くんが外に出られると困るの!」
「…ね、ねえさんたちってちょっとおかしいですよ」
その後もこより姉さんといろは姉さんは怖いぐらいに「出ないで欲しい!」と訴えかけて来る。
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