僕には四人の姉さんがいる。とても魅力的で多くの人から人気のある人たち。それは僕の周りでも姉さんたちのことを好きな人は多い。それだけでも姉さんたちの人気の高さを知ることは出来る。
さすがに自分の姉だと誰かに話す気はない。話してしまったら姉さんたちに迷惑を掛けてしまうことにもなると思いますし。
でも、僕は姉さんたちと生活していて一つだけ困ったことがある。これはずっと当たり前の環境で育ってきたからこそ、今まで疑問に思ったけど最近友達にそのことを話したら「さすがにそれはやばくて」と言われてしまったので初めてこれが普通のことではないことを知った。
それは『一緒に風呂に入る』ということ。いや、これだとちょっと語弊があるかもしれない。正確に言うならば…『姉さんたちがお風呂に乱入してくる』って言い方の方が正しいかな。
それもちょっとおかしな話なんですけど…。
そして今の僕の状態はリビングでソファーに座って寛いでいると、ころね姉さんが後ろから首に手を回している状態。
「なんか香水の匂いがするよ?」
「友達の匂いがうつったんじゃないですか」
「ほんとに~」
「本当ですよ。それに僕に彼女が出来てもいいじゃないですか」
「だめ!彼女とか作っちゃったらこおねたちに構ってくれなくなっちゃうじゃん!」
「構ってもらっている自覚はあったんですね。まぁ、どっちにしても大丈夫です。もし、彼女ができても姉さんたちのことは構うので」
そうでないと何をされるか分かったものでもないですし。
「う~ん。でも、やっぱりこおねたち以外の女に鼻の下を伸ばしている弟くんはみたくない」
「そう言われても…」
すると急にこおね姉さんは僕に頬をこすりつけて来る。
「ころね姉さん、ちょぅと聞いても良いですか?」
「なんだでな?」
「僕ところね姉さんの距離ってなんでこんなに近いんですか?」
「そんなのこおねと弟くんが姉弟だからに決まってる」
「そうですか…」
そうこういう環境で僕は育ってきた。
姉と弟の距離感というのはこういうもので今みたいに肌が触れ合うのは当たり前のことだと…。
「こおね姉さんってお風呂に突入してくるのはなんでなんですか?」
「そんなの弟くんと裸の付き合い?」
「そんなのしなくていいですよ。僕と姉さんたちはずっと顔を突き合わせているんですし。それにそういうのはまだ仲良くない人たちが仲を深めるためにやることだと思いますし」
「いいじゃん。弟くんの裸を見るもおもしろいし」
「おもしろいって…」
そんな話をしていると二階から下りてきた、マリン姉さんが話しに入って来た。
「あれ、ころねに弟くんじゃん、どうしたん?」
「ころね姉さんとちょっとお話を」
「どんな話よ、マリンにも聞かせてよ」
「なんで姉さんたちはお風呂に乱入してくるのかという話です」
「そんなの弟くんの裸が見たい以外に何かあるの?」
「え……」
さすがにド直球過ぎて思考が追い付かない。急に実の姉から裸を見たかったから入ったなんて言われて…思考がフリーズしない人なんていないと思う。
「い、いや……」
「マリンは弟くんの裸が見たくて入ってるよ。だって弟くんの裸っていいじゃん!」
マリン姉さんの言っていることが一ミリも理解できない。この人は何を言っているのだろうか。
「い、いや、僕の裸を見ても何の得になりませんよ」
「マリンにとっては得なの!!それに裸の弟くんを抱きしめると肌と肌が直接触れ合って興奮するんだよね」
「…次からは絶対に締め出します」
「し、しめだないでよ!」
「締め出しますよ。マリン姉さんがそんなことを考えていたなんて初めて知りましたよ」
「で、でも…弟くんだってマリンの裸を見て興奮したんじゃない~」
「全然興奮しませんよ」
「な、なんで?」
「だって姉さんたちの裸なんてどれだけ見ていると思っているんですか。お風呂に入る度に突入してきて、どんな対抗手段を使っても絶対に突破してくるし、もう嫌というほど見ているので興奮なんてするわけないじゃないですか」
それに実の姉に対して興奮している方がまずいでしょう。
「ま、まりんのはだかにかちはないの?」
「別に価値がないとは言ってないですよ。ただ僕は興味がないというだけで」
「そ、それはマリンにとってもう価値がないと同じなの!」
「…そういうわけではないと思いますけど」
僕とマリン姉さんが話している間、ころね姉さんはずっと黙っていたけどここで沈黙を破ってきた。
「ころね姉さんもマリン姉さんと同じ感じですか?」
「ころねはマリンみたいじゃないよ。それにあそこまで行っちゃうともう戻って来れないから」
「よかったです。さすがに姉さんたちが皆マリン姉さんみたいだったらもうさすがにやっていけそうになかったので」
「こおねは弟くんのことが大好きだけど、マリリンみたいに肌で触れ合うとか考えたことなかったよ」
「それはそうです。肌で触れ合うみたいなことを言い出した時はどうしようかなと思いました」
そして今度はマリン姉さんがまた大きな声で叫び始めた。
「まりんのむねは弟くんに揉んでもらうためにあるんだもん!」
「そんなことありませんよ」
その日はその言い合いがずっと言い続いたのだった。
後日。今日はこおね姉さんとマリン姉さんがお仕事で出かけていることもあって、家には僕とこより姉さんとクロヱ姉さんがいる。そして僕を含めて三人がリビングでそれぞれ過ごしているところ。
今でも姉さんたちがお風呂に突入してくるのは続いている。
「こより姉さんってなんでお風呂に入って来るんですか?」
「え、どうしたの?」
「単純な疑問です。弟のお風呂に突入してくる理由ってなんなんだろうって」
「そんなの弟くんの成長を見るためだよ」
「成長?」
「うん!だって裸だったら体のどこが成長したとか一目で分かるじゃん」
「こより姉さんは僕の成長を目で見るために入ってきているんですか?」
「もちろん。それに弟くんの裸を見ていると興奮するんだよね~」
あ、マリン姉さんタイプだ。
「たまに興奮し過ぎてあのまま襲っちゃおうかなぁとか考えちゃうもん」
「襲わないでくださいよ。実の弟を」
「え~弟くんが悪いんだよ」
「なんでですか?」
「だって襲いたい気持ちになっちゃうのは弟くんの裸を見ちゃうからなんだし」
「それならお風呂に突入してくるのをやめればいいじゃないですか」
「むり!こよは弟くんの裸を見ていないと生きれない体になっちゃったんだ」
「そんな体になりませんって」
こより姉さんはマリン姉さんと同じ系の人だったってことがこれで判明した。これからは少し気を付けて接しておかないとまずいと覚えておこう。
そして最後にクロヱ姉さんに聞いてみることにした。
「クロヱ姉さんはなんでお風呂に突入してくるんですか?」
「え、そんなの決まってるじゃん。弟くんの裸を見たいから」
これは全員が共通して言うこと。
「なんで裸を見たいんですか?」
「なんでって言われてもなぁ……強いて言うんだったら、弟くんの体がタイプだからかな」
「…タイプ?」
「なんか弟くんの裸ってすごくいいんだよね。ちょっと筋肉が付いているけど、付き過ぎている感じじゃなくてさ。まさに理想の体なんよ!」
「そ、そうですかね」
僕にはクロヱ姉さんの言っていることは理解できない。
それにもしかしたら、マリン姉さんよりもヤバい系の人かも。
「それに弟くんのことも大好きだし、体もタイプだから襲っちゃうかも」
「こより姉さんにも言いましたけど、襲わないでください」
「そんな体していて無理だよ。もう沙花叉は今でも我慢しているぐらいなんだもん。弟くんが近くにいるだけで襲いたい衝動に駆られるから必死にそれを抑えているけど…」
「く、くろえ姉さんってやばいですね」
マリン姉さんよりもヤバい。うちの姉さんたちってほとんどヤバい人たちの集まりだ。
「ヤバくないよ!!ぜんぶ、ぜんぶ、弟くんが沙花叉の魅了してくるのが悪いんだもん!」
「いや、魅了なんてしてませんって」
「弟くんは生きているだけでフェロモンみたいなやつが出てるの。だから自然と襲っちゃうかもしれないの」
そんなことを言われても自分的にはそんなものを出しているつもりもないし。
「だから…沙花叉は近いうちに弟くんのことを襲うからね」
「クロたんだけずるい。こよも弟くんのことをおそうよ!」
なんか分からないけど、襲う宣言というものをされている。
そしてその日から僕は少しお金が掛かるけど、近くの銭湯でお風呂に入ることにした。
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