僕には二人の姉さんがいる。二人とも魅力的な人であることは変わりない。でも、一つだけ難点があるとすれば過保護すぎるところ。姉として弟のことを大切に想ってくれているのは分かっているつもりだし、本当に有難い。
だけど、あまり過保護すぎると行動が何もできなくなってしまう。
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そして僕が姉さんたちを過保護だと思う理由の一つに…外出する時は必ず付いて来るというものがある。もちろん、姉さんたちも忙しかったりりするから全てというわけではない。でもほとんどだ。
それは今日も同じ。
「…トワ姉さんですか…」
「なんでそんな嫌な顔するの?」
「それは姉さんたちがずっと僕に付いて来るからですよ。僕はもう高校生です。一人で買い物をしたり、学校に行ったりするぐらいはできます」
いつまで経っても何も出来ない子供ではない。もちろん姉さんたちが僕を想ってくれているのは痛い程分かっているつもりだ。
「だからそろそろ付いて来るのは止めてもらえませんか?」
「だめ」
「なんでですか?」
「弟くんが言っていることも分かるよ。でも、トワは弟くんがちゃんと送り届けないと心配なの。弟くんがもし、事故に会っちゃったりしたらトワは絶対に嫌だから」
「…そこまで僕のことを考えてくれるのは有難いですけど…」
「それにこれはトワのためでもある」
「トワ姉さんのため?」
「うん。だってしっかりと送り続けないと心配でお仕事に手が付かないし」
だけど、姉さんたちがこんな風になってしまったのにも理由はあるらしい。僕は幼すぎてあんまり良く覚えてないけど、事故にあったことがある。そしてその事故というのは歩行者である僕と自転車との衝突事故だったらしい。
そしてその事故の時に側に居たのが姉さんたちだった。父さんたちが言うにはあの事故以来、異常なまでに僕への執着が始まってしまぅた。たぶん、弟である自分が目の前で事故に巻き込まれたことが予想以上にトラウマとして残ってしまったんだと思う。
「はい、わかりました。でもそれなら隣を歩いているください」
「え、いいの?」
「いいです。このまま後ろを歩かれていると気になってしまうので、いっそのこと隣を歩いていくれた方が変に気にならなくていいので」
そしてトワ姉さんが隣を歩くようになってくれて少し落ち着いた。
「それにしてもトワ姉さんの人気ってすごいですよ」
「え、そう?」
「友達の中にも「トワ様~」って言って拝んでいるような人もいたし」
「なにそれ…おもろ」
「でも、それぐらいにトワ姉さんが有名になったってことじゃないですか」
うちの姉さんたちはどちらも配信業をしていて、驚く事にチャンネル登録は100万にを超えている。ちょっと驚き過ぎて、100万人というのはあんまり現実味がないというのが正直なところかな。
「トワたちが有名になって、弟くんに迷惑は掛かってない?」
「迷惑ですか?」
「そう。やっぱり姉が有名人だと色々と良くないのが寄ってきたりするっていうしさ」
「そこら辺は大丈夫だと思いますよ。まず姉さんたちのことを誰にも話していないですし」
もし、話してしまうと姉さんたちに迷惑が掛かってしまうかもしれないし。スバル姉さんとトワ姉さんとは同じ学校に通っているものの、姉弟の関係であることは隠している。
「そっか。それならいいけど、なにか面倒なことになったらすぐトワに言うんだよ」
「わかってます」
姉さんたちのことを話せば絶対に迷惑を掛けることになるから。
「あとさ…トワはキミのお姉ちゃんとしてしっかりやれてる?」
「き、きゅうにどうしたんですか!?」
「いやさ…やっぱり考えちゃうんだよ。トワってちゃんとお姉ちゃんとしてしっかりやれてんのかなぁって」
まさかトワ姉さんがそんなことを考えてているとは微塵も考えていなかった。
「やれてますよ。トワ姉さんは頼りになりますし」
「ほんと、トワがお姉ちゃんだからって遠慮してない?」
「遠慮していないですよ。トワ姉さんは姉としてしっかりとやれています」
「そ、そっか……弟くんにそう言ってもらえると安心するわ」
「はい、安心してください。僕はトワ姉さんのことをいつも頼りにしていますから」
「…ありがとう。トワのことを頼りにしてくれて」
こんな感じで外出する時は姉さんと一緒なのだ。
また別の日には…スバル姉さんと一緒。
「スバル姉さん、無理して来なくてもいいんですよ」
「だめだよ。しっかりと弟くんの側に居ないと」
「そんなことはないと思いますけど」
「スバルは弟くんが安全に帰って来てもらわないと…いやなの」
「僕も、もう高校生ですし」
「心配!」
「そうですか…」
スバル姉さんは本当に明るい人でその明るさはどんな人でも明るくさせるような力があるように感じる。
「スバルは弟くんのこと好き」
「それはありがとうございます」
「だから怪我とかもして欲しくないの」
「そんなに自分のことを想ってくれるのは嬉しいですけど、あんまりスバル姉さんには無理して欲しくないんです」
「無理してないよ。スバルは弟くんのためにしていることは疲れを感じないよ」
「そ、そんなことないですよ。どんなことでも行動すれば必ず疲れが生じるはずです」
「本当にないよ。だって弟くんのことを守るのはお姉ちゃんの役目だもん!」
スバル姉さんは胸を張りながら答えていた。
「無理してスバル姉さんの方が倒れないでくださいね」
これはトワ姉さんにも言えることだけど、僕が出歩く度に付いてきますし、自分たちのお仕事だって忙しいはず。そんな状態を続けているといつか二人が過労で倒れてしまうんじゃないかと本当に心配だ。
「倒れないよ、スバルは弟くんのことをずっと見ていなくちゃいけないからね」
「…そ、それならいいですけど…」
そこで話が終わったので、僕はちょっと前々から聞きたいがあったので質問を投げかけてみることにした。
「スバル姉さんって告白とかされたりするんじゃないですか?」
「まぁ…するかな」
「そういう時ってどうしているんですか?」
「ごめんなさいって言って断っちゃうかな」
「そうなんですね…」
「なんでそんなことを聞いたの?」
「いや、僕も告白をされまして、上手い断りからというのが分からなくて」
「え、告白されたの!?」
「そ、そんなに驚くことですか」
「驚くよ。弟くんが告白されたって聞いて驚かないわけないじゃん。トワに教えたら血眼になって詳細を聞いて来るよ」
「…そんなにですか」
「そんなにだよ。スバルたちは弟くんのことなら何でも知りたいけど、特に告白とかされたとか絶対に知りたい情報じゃん!」
スバル姉さんの熱意の強さに少し僕が引いてしまうほど。
「…いや、弟が告白されたとか聞いても仕方なくないですか」
「ううん!全然知りたい!!スバルに教えて!」
「あ、はい」
そして僕はスバル姉さんに告白されたことに関する詳細な情報を伝えた。なので、もちろんスバル姉さんと歩いている間はずっとその話、そして後日トワ姉さんからも追及を受けることになった。
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