僕には三人の姉さんがいる。それぞれ個性の塊のような人たちでとてもゲームが上手い。
これから僕はその姉さんたちに姫プをしてもらいながらFPSをする。姫プでFPSってあんまりするもんじゃない気もするんですけど。
「ほ、ほんとにやるんですか?」
「うん!もちろん!すいちゃんが付いているから安心して」
「だいじょうぶ…あてぃしがまもるから」
「いや、トワが守る!」
姉さんたちはとても頼もしいけど…さすがに心配だ。僕はあんまりこういうゲームをしないし。
「トワたちStartendを信じて。お姉ちゃんたちが絶対にキミを守るから」
「う、うん」
トワ姉さんはこんなことを言ってくれているのは嬉しい。だけど、このゲームは姫プをするのには向いていないんじゃないかと思うのは僕だけかな。
ゲームを始めると…まず…一つ目の問題が起こった。
「あ、あの…動けないんですけど…」
「すいちゃんたちから絶対に離れないで」
「は、はい!」
僕の周りを姉さんたちが囲んでいて、押し競饅頭のちょうど真ん中に入っている人の気分。四方八方から圧力を受けて押しつぶされている。
そして攻撃されないことを確認してからやっと押し競饅頭が終わりを告げて、自由に動けるようになった。
「まずは…弟くんに行きたいところに行こう」
「え、僕のですか!?」
「うん。今回は弟くんに楽しんで貰うのが第一目標だからね。勝ちとかじゃなくてね」
え、急に振られてもどうすればいいのか、本当に分からない。姉さんたちは本当に何も言ってくれなくて…あたふたしている間に敵に見つかってしまって攻撃を受けてしまった。
「あいつ、やるよ」
「わ、わかった」
「やるか」
するとさっきまでの穏やかな雰囲気じゃなくて…怒気が少し含まれている声に変わった。
そしてあっという間に…キルをして帰ってきた。
「ごめんね、弟くん。ちょっと邪魔が入っちゃって」
「も、もう…だいじょうぶだから」
「しっかりとヤッたからさ」
改めてこの姉さんたちは怖いと感じてしまった。そして特にすいせい姉さんは…笑顔でヤッていた気がする。
でも、さすがにこのままだとまた狙われることになるのは目に見えている。まずは移動しないと。
「じゃあ…ちょっとこっちに…」
移動を開始しようとしたのと同時にまた攻撃を受けた。
「い、いってくる」
「いってらっしゃい」
トワ姉さんがそう言って、あくあ姉さんを送り出す。僕としてはこういう時って皆で戦いに行くもんじゃないのって思ったけど、すいせい姉さんが「大丈夫だから行こう」って言われて仕方なく足を進めた。
そして落ち着けるようなところに付いたので一旦休んでいる。まあとは言ってもいつ攻撃されてもおかしくないんですけどね。
「ほ、ほんとうに置いてきちゃってよかったんですか?」
「あくたんなら大丈夫」
「あくたんは狂犬だから」
「狂犬ですか?」
「まあ、キミは心配しなくて大丈夫だよ。絶対にキミのことはトワたちが守るからさ」
なんか姉さんたちに守られてばっかりで…これが本当の『姫プ』と言われるようなものなんだろう。生まれて初めて姫プというものをされた気がする。
元々、姉さんたちは僕にかなり遠慮をしているのは分かっていた。なにかゲームとかスポーツとかで競っても絶対に自分たちは勝たない。上手く、僕のことを勝たせてくれる。それでもって本当に悔しがるような素振りを見せたりして…なるべく僕に悟られないようにしていた。
本当に姉さんたちは優しい。
そんなことを考えていると…あくあ姉さんが合流した。
「た、ただいまぁ~」
「あくあ姉さん、大丈夫ですか!?」
「うん、だいじょうぶだよ。始末したよ」
「さすが、あくたん!!」
「この狂犬を野放しにしておくのはやっぱり危険かも」
それにしてもやっぱりうちの姉さんたちは強い。
そしてそれからして僕は一人で隠れている。姉さんたちは「始末しに行ってくるね」と笑顔で言っていた。僕は「な、なるべく動かないで」と言われているので大人しくじっと待っている。
だけど、さすがにそう上手くは行かなくて…僕は撃たれた。
「ごめん、やられちゃいました」
「おい、誰が弟くんをやったの?そいつのこと潰すからさ」
「…さ、さがしだす…」
「片っ端からヤレばいいんじゃない。それに弟くんに良いところを見せるチャンスだしさ」
「確かに…トワの言う通り!」
「じ、じゃあ…やろうか」
「久しぶりに…Startendの実力って奴を見せてあげよう」
本当に圧倒的だった。他を寄せ付けないほどの強さは…見ていて驚きしかなかった。姉さんたちがFPSが得意だったりするのは知っていたんだけど、まさかこんなに上手いなって。その中でもあくあ姉さんの強さはすごい。トワ姉さんが『狂犬』と言っていた意味が分かった気がする。
でも、ゲームをやっている時の姉さんたちはとても楽しそうだった。
「やっぱり本気でゲームに夢中になっている、姉さんたちの顔が好きですよ」
僕とやっている時は力にセーブをかけていて、本気じゃない。僕は姉さんたちが本当の意味で楽しんでいる時の顔が好きなので。
「…え…い、いま…」
「…す、すき…って…」
「…お、おとうとくん…が…」
その瞬間…三人の手が止まってしまって見事に三人ともやられた。
「やられちゃいましたね」
「そ、そんなことより…さっき、好きって言った!?」
「す、すきなの…?」
「すいちゃんたちのこと…すきって」
急に迫って来る、姉さんたちに驚いて後ずさってしまう。
「い、いや、ゲームに夢中になっている、姉さんたちの顔が好きって言ったんですけど」
「それって…好きってことだよね!?」
「ち、ちがいますよ。ゲームに集中している時のですからね」
もう姉さんたちは…僕の話なんて聞いていなくて自分たちの世界に入ってしまっている。この状態になったら何を言ったとしても決して響かない。
それからも姉さんたちに姫プをしてもらいながら何度もやった。