ようIf ~2年生編~   作:たいたく

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小説書くの難しすぎる……てかよう実がムズい(?)………。


胸の内

 テスト結果発表後のDクラス。

 そこはこれまで経験したことのない奇怪な状況を迎えていた。

 

「本当にどういう事なんだ」

 

 誰が言ったか。

 綾小路と堀北がクラスを去った後、クラス内では大きく議論が行われていた。

 内容はもちろん綾小路のテストの点数についてだ。

 特に注目が集まったのが綾小路グループ。

 普段から綾小路を中心に集まっているため、何か知っているのではないかと質問がぶつけられる。

 

「綾小路くんってどうやって満点取ったの?」

 

「ね!綾小路くんって頭もいいんだぁ~」

 

 松下、佐藤の質問は誰もが思ったことだろう。

 しかし、

 

「悪いが、俺たちは何も知らない」

 

 幸村輝彦ははっきりと分からないと言った。

 

「取れるはずの無い満点を清隆が取った。それも全教科だ……俺は夢を見てるみたいだ」

 

 幸村の顔に浮かんでいるものは困惑、疑問、動揺だ。

 好奇心を抑えられないのか、長谷部も質問側に回る。

 

「そんなに難しい問題だったって事?」

 

「あぁ、高校範囲を大きく逸脱している問題がいくつもあった」

 

 具体的な数は分からないにせよ、高校レベルではないと幸村は言う。

 

「そ、そんな問題で満点を取るなんて清隆くん凄いね!」

 

 この重苦しい空気を少しでも変えようと、佐倉が懸命に発言する。

 しかし、それは逆効果に働いてしまったようだ。

 

「だからこそおかしいんだ。一教科だけでも有り得ないのに、全ての教科で満点をとるなんて。裏道を見つけたと言われた方がまだ納得できる」

 

 幸村は努めて冷静に、現実的なラインまで持っていこうとする。

 そんな幸村の考えを突然否定したのは軽井沢。

 

「それは違うんじゃないの?」

 

「どう違うって言うんだ」

 

「だってだって、そんな裏道を見つけたのなら私たちに共有してくれないのは変じゃない?」

 

「じゃあ清隆の実力で解いたって言いたいのか?」

 

「そう言ってんじゃん」

 

「俺は今までこのクラスの学力と見つめ合って来たつもりだ。だからこそ、今回のテストの結果に誰よりも驚いているんだ」

 

 あくまで冷静に自分の考えを伝える幸村。

 流石に熱が引いたのか軽井沢もそれ以上は何も言わなかった。

 

「てかさ、軽井沢さんやけに突っかかったよね]

 

 佐藤が軽井沢にだけ聞こえる声で話す。

 

「いやだな、アレよ、アレ。もし本当に頑張って満点取ったなら報われないと可哀そうかなーーって」

 

「確かにそうだよね!綾小路くん頑張って満点取ったのにこんな言われ方無いよね!」

 

 客観的に見れば明らかに挙動不審な軽井沢だが、今のクラスの雰囲気のおかげか気づかれずに済んだ。

 そんな会話をしていると、堀北と綾小路が教室へと戻ってくる。

 

「悪い、啓誠。遅くなった」

 

「いや大丈夫だ。さっそくなんだが、今回のテストはどうやって満点を取ったんだ?それも全教科なんて」

 

「最初に言っておくが、一切不正はしていない」

 

 クラスが静まり返るのが分かる。皆動揺しているのだろう。

 今回のテストに始まり、オレは今後実力を出していく。

 目的を果たす時に今の立場のままだと動きずらい。

 

「それは……今までは手を抜いていたって事なのか?」

 

 こちらを探るような、それでいてどこかに怒気を孕ませた瞳で見てくる啓誠。

 

「そうだ。黙っていて悪かったな啓誠」

 

「正直、信じられないという思いの方が大きい。現実的に考えて、だ。清隆が手を抜いていたとしても、今回のテストで満点を取るのは理解できない」

 

「そこについては私から説明させてもらうわ。……まぁ説明と言っても信憑性の上げる程度だけれど」

 

 何か考えがあるのか、割って入って来る堀北。

 だが堀北が何を言おうがオレは望んだ結末になるよう会話を進める。

 

「今回のテスト、私は綾小路くんの実力を知るために全力で挑むようにお願いしたの。まず、それが本気を出してくれたきっかけ。まさか全教科満点を取ってくれるなんて思いもしなかったけれど、結果的には他クラスへの牽制にもなったわ」

 

「そうじゃない。俺が聞きたいのは満点を取ったカラクリだ」

 

 堀北の解答に対し、知りたい部分は違うと指摘する幸村。

 

「高難度の問題を解けたことについては本人の許可がいるの。複雑な家庭環境と言えばある程度想像できるでしょう?」

 

 適当に考えた言い訳にしては中々どうして、鋭い所をついてくる堀北。

 

「正直、思い出して気持ちのいいものじゃないんだ。オレの過去の話は勘弁してくれないか」

 

 何かを決意した様子の啓誠。

 

「……わかった。ただし―――」

「オレは綾小路グループを抜ける」

 

 幸村が言い終わる前にこちらから言葉を被せる。

 言葉を被せなければ取り返しのつかない所まで来ていただろう。

 もともと抜ける予定だったのだから、啓誠まで巻き込む必要はない。

 

「ちょっとそれ本気で言ってるのきよぽん」

 

 一早く食いついてきたのは波瑠加。

 

「ああ、本気だ。こうなることは覚悟していての行動だった」

 

「なによそれ……」

 

 波瑠加がこれ以上喋らないうちにこちらからアクションを起こす。

 

「皆、聞いてくれ」

 

 思ったよりあっさりと皆の視線が集まったことに驚きつつ、本題を切り出す。

 

「今まで手を抜いていて悪かった。だがオレはこれからは実力を出していくと誓う。他ならないオレの為に」

 

「……オレの為?」

 

 誰の言葉か聞き取れなかったが、関係ない。

 喋らずには居られなかったのか池寛治の声が上がる。

 

「どうして手を抜いていたんだよ。……てかお前、そんなキャラだっけ?」

 

「まぁまぁ、これから本気出してくれるってんなら別にいいいじゃん」

 

 すかさず軽井沢からフォローが入る。

 こんな場所で交際を打ち明けてないメリットが出てくるとはな。

 もし打ち明けていたらこうスムーズには行かなかっただろう。

 最終的にだが良い雰囲気のままクラスは解散する流れになった。

 

「てかさ、勝手に話終わっちゃってるけど私許してないからね。きよぽんがグループを抜けるなんて」

 

 Dクラスの皆が解散していく中、思い出したように波瑠加が詰め寄ってくる。

 距離を取る方法なぞいくらでもあるのだが、突き放したりするのは今じゃない。

 

「いいや、オレは抜ける。これは決定事項だ。他の誰が何と言おうと変わらない」

 

「どうして?居心地悪かったの?」

 

 本当に分らないといった風に波瑠加が訪ねてくる。

 

「そうじゃない。オレが抜けない場合啓誠が抜けるだろう。……違うか啓誠?」

 

「いや、綾小路の言う通りだ」

 

 呼び方も苗字に戻した事から、啓誠の本気度は伝わったのだろう。

 今度は啓誠に詰め寄る波瑠加。

 

「どうして!」

 

「単純な話になるが、俺が綾小路を信用出来ないからだ。自らの力を隠し、友達の目を欺き続けていたんだ」

 

「それは……」

 

「何か弁明の余地はあるか?綾小路」

 

「ないな」

 

「そんな!きよぽん!」

 

 これでいい。

 綾小路グループは事実上の解散となるだろうが、オレ以外の絆は残ったままだろう。

 ここで、今まで黙って聞いていた愛理がオレを見つめてきた。

 

「清隆くんは……これでいいの……?」

 

「ああ。それにいつかこの選択が良かったと思うことが来るかもしれない」

 

「来ないよ!そんな未来なんて!」

 

 必死に自分の思いを口にしたのだろう。

 いつも穏やかな愛理がこうも声を荒げている。

 

「もう決めたんだ。すまない、愛理」

 

 動き出した歯車は止まらない。

 

「どうして……」

 

「ただ……愛理たちとの過ごす日々は、本当にオレに取ってかけがえのない時間だった」

 

 思わず耳に入った啓誠や波瑠加、明人がこちらを見る。

 誰よりも近くで聞いた愛理が叫ぶ。

 

「だったら!」

 

 今すぐにでも啓誠に謝り、仲直りするだけで綾小路グループは再起するだろう。

 だがオレがその行動を起こすことは無い。

 

 オレのこの選択を理解できる奴はいないだろう。

 理解されようとも思っていないオレは間違いなく『不良品』なんだと、今改めて思った。




明人くんはどこにもいない……。

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