ようIf ~2年生編~   作:たいたく

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皆さんどうやって沢山書けるんだ。文字数少なすぎる。


来訪者

 事実上の綾小路グループの解散後、オレはある場所に足を運ぶ。

 

『話がしたい。寮の裏で待ってる』

 

 こんなメールが届いたからだ。

 無視しても良かったが、差出人が分からない以上無闇に拒否をする必要はないと判断した。

 

 

 

「お前が差出人か?松下」

 

「うん。来てくれて有難う、綾小路くん」

 

 暗がりのベンチの上でオレを待っていたのは松下。

 接触があるのは予期していたが、まさかこんなに早く行動を起こしてくるとはな。

 間違いなくこちらの力量に動揺しているんだろう。

 それ程までに、あのテストでの一件が不可解だったのが伝わってくる。

 

「まずは、満点おめでとう……って言った方がいいのかな」

 

「ああ。有難う」

 

 明らかに松下はこちらの動きに対して困惑している。

 そうなるのも当然だ。

 なぜならオレはケヤキモールの時に7~8割の力はすでに出していると伝えていたのだから。

 

「正直、私は綾小路くんを測りかねてる。ううん、ひょっとしたら私程度じゃ測れないのかもしれない」

 

 あの時とは違い、心理戦を仕掛けてくることもなく胸の内をぶつけてくる松下。

 

「あそこまでのレベルだとは思っていなかったよ」

 

「色々な事情があったんだ。嘘をついて悪かったな」

 

「ううん、想定を超えるのは悪いことじゃないよ。……ただ、驚いてるだけ」

 

 自分に言い聞かせるように、ゆっくりと言葉を紡ぐ松下。

 

「全力を出したのって、綾小路くんはホントはリーダーを目指してるってことでいいの?」

 

 ケヤキモールの時に松下がオレをリーダーに推挙するという話が脳裏をよぎっているのだろう。

 だが、オレにそんな意思はない。

 

「いや、そういう訳じゃない」

 

「いやいや、無理があるでしょ。綾小路くんの実力は皆が知っちゃったわけだし」

 

 あくまでオレをリーダーにしたいようだな。

 

「悪いがリーダーの資質は持ち合わせていない」

 

「そうは思わないかな。綾小路くん、全然話せるし。今日だってクラスの皆に自分の意見を伝えてたでしょ?」

 

 ここで初めて松下はその気があることを伝えてくる。

 

「それとこれとは話が別だ。リーダーに相応しい人物は堀北だと思ってる」

 

「うーん。堀北さんも優秀だとは思うよ?だけどAクラスに上がれる確証はない」

 

「オレについて行けば上がれるとでも?」

 

「うん。間違いなく堀北さんよりは綾小路くんの方が安心できるかな」

 

 ここまで食い下がってくるとはどうしたものか。

 だが松下も薄々気づいているはずだ。

 オレがリーダーをする気が無いということに。

 

「すまないがオレは本当にリーダーをする気が無いんだ。ただ、クラスメイトとしてリーダーに助言はしよう」

 

 会話を終わらせるために、妥協ラインを提供する。

 

「……納得行かないけど、ひとまずは分かったよ。私だって人のこと言えないしね」

 

 やはり完全に諦めさせることは無理か。

 誰だって目の前に強力なカードがあれば飛びつかずにはいられない。

 

「じゃあまた明日学校でね。おやすみ、綾小路くん」

 

「おやすみ、松下」

 

 そう言うと松下は去っていった。

 オレをコントロールすることは松下には出来ない。

 彼女はオレを脅かす武器も、能力も、何一つとして持ち合わせていないのだから。

 

 

 

 

 

 ゴールデンウィークに入ったのも束の間、休日はすぐに過ぎ去り再びオレの学校生活が始まる。

 いつもと同じ時間、同じ道なのだが多くの視線を受ける。

 日常は少しずつ変わり始めているという事か。

 

「……よう、綾小路」

 

 連休明けの朝、下駄箱付近で声をかけてきたのは須藤だった。

 いつもと同じようでどこか違う。

 やはりオレに対して思うところがあるようだ。

 

「……勉強出来るの、隠してたんだな」

 

「ああ」

 

 考える間もなく答える。

 

「喧嘩が強ぇのも隠してたのか」

 

 須藤にしてみれば、勉強よりもそちらの方が気になるようだ。

 

「意味が分からないな」

 

 何が言いたいのか分からないフリをする。

 しかし、須藤はもはやそれで引いてくれるような人間ではない。

 

「とぼけんなよ、俺は宝泉と殴り合ったから分かんだよ。あいつの怪力は本物だった。動きの速度もだ。ハッキリ言ってバケモンだった」

 

 直接対峙したからこそ、肌でそれを感じたと須藤は言う。

 

「だが須藤にも勝ち目はあったんじゃないのか」

 

「お前がそう見えたならそうだったのかも知れねぇな」

 

 流すでもなく、須藤は本当にオレの言葉を真に受けたようだった。

 足並みを揃えて、教室へ向かう。

 

「つか、そうじゃなくてよ」

 

 ここで須藤は、オレの顔を見てきた。

 

「おまえは……あのバケモンだった宝泉の怪力を互角以上に止めて見せた。そうだろ」

 

 須藤は確信したように聞いてくる。

 もはや下手な言い逃れは出来ないだろう。

 テストで満点を取っても不思議じゃない、という結び付け方を自然としている。

 隠す必要もないか。

 それに成長した須藤がどう受け取るのか、それが気になった。

 

「まあな。宝泉程度なら負ける気がしない」

 

「……そう、か」

 

 驚いたように、しかし動揺が大きかったのかこれ以上言葉は紡がれなかった。

 須藤は確かに成長した。

 Dクラスでトップと言ってもいいほどに。

 人は自分が理解できないものが目の前に現れた時に取る行動は大きく変わらない。

 しかし須藤はどうだろうか。

 目に見えては変わっていないが、昔と違い思考するようになった。

 今の須藤であれば問題なく堀北の事を任せられるだろう。

 そんなことを考えていると、ようやく須藤が口を開ける。

 

「……今の俺が言えることなんて殆どないけどよ、クラス内投票でお前が選ばれなくて良かったってのはわかった。間違いなくお前はAクラスに上がるために必要な存在だ。」

 

 そう言って、須藤は少し足早に教室へ向かった。

 

「Aクラスに上がるために必要な存在……か」

 

 ただ、今のクラスに必要な人材はオレのような人間じゃない。

 須藤こそ、間違いなくクラスにとってなくてはならない重要な人間だろう。




無人島試験に入る前に、今の状況と周りからの綾小路への評価を知ってもらいたい。
どこまで改変するかはわかりませんが、大まかに原作通りには進めていきたいです。

文字数について。(今までは2000~3000)

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