ようIf ~2年生編~   作:たいたく

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生徒会へ(2)

 放課後になると、オレたちは共に生徒会室を目指した。

 

「失礼します」

 

 生徒会室に足を踏み入れると、生徒会長の席に座っているのは南雲だ。

 しかし、その近くには副会長であり協力者である桐山の姿もあった。

 

「俺に話があるんだって?」

 

「はい。お時間を頂きありがとうございます」

 

 挨拶もそこそこに、本題を切り出す堀北。

 

「貴重なお時間かと思いますので単刀直入に。私は生徒会入りを希望します」

 

「ほう?」

 

 南雲は何故かおもむろに視線をこちらへやった後、堀北へと向き直る。

 そして少し考え込んだ後、口を開いた。

 

「いいだろう。ようこそ生徒会へ」

 

 あまりにもあっさりとした南雲の答えは、とてもどうでも良さそうなものだった。

 まるで別の強い目的があるように。

 

「理由などは、話さなくても良いのでしょうか?」

 

「ああ。お前は堀北先輩の妹だからな。仮にも問題を起こしたりはしないだろ?ただ鈴音、お前が生徒会長を目指すのなら話は別だ。」

 

「と、言いますと?」

 

「既にお前と同じ学年の帆波は、1年間生徒会役員として努力している。生徒会長の座に就くには周回遅れだってことは理解しているのか?」

 

「挽回できない距離だとは考えていません」

 

 ここまで沈黙を貫いていた桐山が発言する。

 

「あまり似ていないように見えても、やはり堀北先輩の妹だな」

 

「話はそれで終わりか鈴音?なら次は俺の番だな。――綾小路」

 

 すると突然、オレに視線を向けた南雲。

 どうやらこちらが本題らしい。

 生徒会室に足を踏み入れてから、直接顔を向けられないにしても明らかにオレを意識していることは分かっていた。

 それでもこんなに堂々と言ってくるとはな。

 

「なんでしょうか」

 

「もう隠すつもりはないんだろ?」

 

 南雲は確信しているよう言う。

 

「そうですね。次の試験も手を抜くつもりはありませんよ」

 

「そうか……。なら綾小路、俺と勝負をしないか?」

 

 ここで南雲から突然の提案を受ける。

 今までのオレなら考えるまでもなく断っていただろう。

 だが今のオレは違う。

 

「いいですよ。勝負の内容によりますが、個人で決着をつけれるものであれば大丈夫です」

 

「安心しろ。今内容を教えることはできないが、次の特別試験で可能なはずだ」

 

 トントン拍子に話が進んでいく。

 少し視線を横に向けると、桐山が何か考え事をしているのがわかった。

 

「分かりました。では勝負の内容は、その試験が説明されてから決めるという事でよろしいですか?」

 

「それで構わない。だが……そうだな、勝者には報酬があって然るべきだろう?」

 

「そうですね」

 

 今のオレの立場であれば、報酬が発生する時点でメリットしかない。

 無理を承知で吹っ掛けてみるか。

 

「ではお互いに退学をかける、というのはどうでしょう?」

 

 オレの提案が予想外だったのか、桐山がこちらを凝視していた。

 だが南雲はこの提案についての回答は持ち合わせているようだ。

 

「俺とお前じゃ立場が違うだろう?それじゃアンフェアだぜ、綾小路」

 

「それでしたら他に何かお望みの物でも?」

 

「いや、変えるのはお前の方だな。プライベートポイントで手を打て」

 

「いくら頂けるんでしょうか?」

 

 考えることもなく、南雲は続けた。

 

「そっちは退学まで出すんだ。2000万プライベートポイントでどうだ?」

 

 理想の展開だ。

 だがあまりに理想通り過ぎる。

 それ程までに南雲はこの勝負に並々ならぬ思いがあるようだ。

 

「待ってください、南雲生徒会長」

 

 だがそこに待ったをかけたのは、先ほどまで黙って話を聞いていた堀北。

 

「どうしたんだ鈴音?やっぱり大切な仲間の退学は許容出来ないか?」

 

「ええ、出来ませんね。それにそのポイント。1年生の間で行われていた理不尽極まりない試験には、やはり生徒会が絡んでいたんですね」

 

 2000万プライベートポイント。

 あまりにタイムリー過ぎるその話題は、どうやら堀北の疑惑を確信にしてしまったらしい。

 

「なんのことか分からないな」

 

 あくまでシラを切る南雲。

 

「知らないとは言わせません。ここの綾小路くんを退学にさせた生徒に2000万プライベートポイントが支払われるという試験についてです」

 

「だからなんのことか分からないな」

 

 これ以上は無駄だと悟ったのか、追及したい気持ちを抑えた堀北。

 

「分かりました。ですが、今後その証拠が見つかった場合は覚悟して下さい」

 

「おお、怖いな。だがひとまず分かったと言っておこう」

 

 しかし堀北が割って入って来たのはそれだけではない。

 次の標的はこちらのようだ。

 

「綾小路くん。さっきの話だけれど、私はこの勝負を認めることは出来ないわ」

 

「理由を聞こうか」

 

「理由?そんなことも分からないの?退学をかけた勝負なんて許せるはずないでしょう?あなたが勝手に負けるのは自由だわ。だけどそのせいでクラスポイントが減ることは許せないの」

 

 至極全うな意見を述べる堀北。

 だがオレにとっては関係ない。

 

「別にお前にオレを強制出来る権利もなければ、お前の許可も必要ない」

 

「あなたね……」

 

 怒りを通り越して呆れた声を出す堀北。

 だがこの勝負を逃す選択肢は存在しない。

 次の特別試験での報酬にもよるが……。

 この場での不利を悟ったのか、堀北が提案する。

 

「南雲生徒会長。せめてこの場で綾小路くんとの勝負を即決しないことだけは約束して頂けませんか?彼と話す時間が欲しいんです」

 

「別に俺も鬼じゃない。可愛い後輩にそこまで頼まれれば仕方ないな」

 

「ありがとうございます」

 

「ま、そういう事だ。綾小路、お前は帰っていいぜ。鈴音は残れ。これから生徒会のメンバーを紹介するからな」

 

 そう言いながら、南雲は軽くてを振りオレを見送った。

 南雲との勝負は一旦保留となったので、オレはこの場を去ることにした。

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