大いなる緑(GREAT GREEN)   作:矢寿紀張

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はじめまして、矢寿紀張と申します。
約45年前に書いたものですが、このような場があることを知り、再投稿いたします。
時代設定は、古いままですので今とは用語等の差異がありますが、あえて推敲はしませんでした。ご了承願います。

2026年2月追記
続編刊行のため、誤字修正、語句の見直し改訂を行いました。


旅の始まり(改訂版)

1982年の春、ミユキは大学も無事卒業が決まり、ある大手商社に就職も決まったため高校時代からの友人三人で、最後の学生生活をエンジョイするためにヨーロッパへ行くことにした。

 ところが、ミユキは出発前に急用ができたために、二人とは一日遅れて南回りのローマ便に乗ったのだった。この事が、後のミユキの人生を大きく変えることになるとは、ミユキはもちろんのこと、二人の友人たちもまったく思わなかったであろう。

 飛行はすごく快適だった。西に向かうため、いつもより長く太陽は顔を出していた。ミユキは窓の外を眺めているうちに、いつしかうとうと眠り始めていた。

 ガクンという大きな衝撃でミユキは目を覚ました。窓の外も見るとさっきまでの晴天はなく、濃い霧が立ち込めて真っ白になっていた。しばらくの間大小の揺れが続いた後、左後方の乗客から大声が上がった。まわりの人につられて腰を浮かし、窓の外を覗いた時息を呑んだ。エンジンが黒煙とともに炎を吹いていた。間髪を入れずにブザーがけたたましく鳴り響き、室内灯が消えた。スチュワーデスが何か悲鳴のように叫びまわっているのを聞いているうちに、頭がフッと、まるでエレベーターが落ちたような気がして意識が遠くなった。

 

 それからどれくらいの時がたったのか、もちろんミユキにはわからなかった。ミユキは少し体に寒さを感じて眼を開けた。

 最初に目には行ったのは、ベージュ色のテントの天井だった。周りを見渡すと、ミユキはベージュとブルーの布でできたテントの中に寝ていた。周りは、何の音も無く静まり返っていた。なぜここにいるのかわからなかった。ただ、あの悪夢のような出来事が本当に夢の中のことであったかのように思われた。

 耳を澄ますと外の方でパチパチと焚火の様な音がかすかに聞こえてきた。半身を出していた寝袋から出てミユキは始めて気が付いた。記憶の中の自分と着ている服が違っていることを。

 テントから出るとそこは石ころばかりがゴロゴロした岩場で、30メートル程向うに5,6メートルの高さの岩壁があり、その先は澄んだ青空しか見えなかった。ミユキが今出てきたテントの隣には、もう一つ同じ形のテントが並んでいた。この光景を見てもミユキにはまだ何が起こったのかわからなかった。「いったいここは何処なの?」

「何が起こったの?」

「みんなはどうしたの?何処へ行ったの?」

ミユキはそうつぶやいたが、誰も答えてくれる者はいなかった。

その時、急に後ろから声がした。

「やあ、気が付いたかい?」

 




声の主は誰か?
次章で明らかになります。
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