次、その次、そのまた次   作:画鶴

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今回のゴッホは男……ですけど。


#2キャンバス

 シンジと別れた後、2人となった探検隊は図書室へと乗り込んだ先で、驚愕の体験をするのであった。

 

「思ったより普通……だな!? ……ここ……」

 

 そう、明るかったのだ。

 室外は驚く程暗く、異質な空気を放っていたのに対し、中はまさに別空間、空調もガンガンに効いてればLEDの蛍光灯が鬱陶しいほど棚やそこら中を照らし尽くしている。

 

 

「お目当て掻っ攫ってパパっと退散しちまおうぜ、なんだかココ、ゾワゾワするんだわ」

 

 そんなに寒いか? そうでもないと思うが。

 

「お前は元から色々冷たいヤツなんだろ、淡白だしな」

 

 やかましい、チビ

 

「んだと! チビじゃねぇよこの!!」

 

 互いに軽口を吐き会いながら、棚から棚へと手を進めていくとふと手が止まる。

 

 自伝でも図鑑でもない、ただ茶色の表紙に白いテープ、その上から端正な字でつらつらと、文が書かれていた。

 

 

「月海原学園在籍生徒名簿」

 

 見つけた。

 

「お、見っけたのか、良いね、見ちまおうか」

 

 表紙の内へと指をかけ、1枚1枚とゆっくり時間をかけて流していく。

 

 刻を正しく刻む胸は強く脈打っていて、言い様の無い興奮に気が踊る。

 

無くしていたパズルの1ピースをやっと見つけたような達成感

 

知りたい。

 

1ページ、1ページずつ丁寧にめくるが、目当てのページは見つかるどころか、何も書いていない。

 

「は……はぁ? ……なんだよ……」

 白、白、白。

 

 どのページも、最初から最後まで、透き通るような無。

 

 ──。

 

知りたいことはひとつだったのに

 

あー、なんでだろ、でも、どうでもいいかな。

 

ぴし、空間に亀裂が入る。

 

「ちょいちょい! なんで今日はこんなに─」

 

 視界に映る全ては、崩れ、元々の役目を作り出す。

 

「おい!、おま─あぶねえぞ!、おい!聞いてんのか!」

 

 

 聞こえるし見えてる、うん、けどいいかな、なんかもう─

 

 瞬間、己の視界すら溶かして、歪で、けれどもどこか暖かかった私の学園生活は、幕を下ろした。

 

 

 久々に目を開ける、その行為に引き金はなく、意味もない。

 ただ直感、誰かに求められたような、似ているものを察知したというか、ただそんなもの。

 

この直感が正しいとして、

 

なんで私なんでしょう、どうして私なんでしょう、頭は良くない強くもない。分かりません。

 

私である意味はないはず。

 

分かりません…けど、私がこの想いに応えたのなら、

 

貴方を見つけ出したのならきっと貴方も、私を見つめて

いてくれますよね

 

 えヘ、えへへ。

 

 

 

 

 ──……

 望みのない頭が、平坦な意識を表へと釣り上げて行く。

 

 あー……寝ていたんだろうか

 

 宙ぶらりんな先程までの空気とは打って代わり、どこか懐かしく思える保健室の病床と思わしき場所でゆるりと伏していた。

 

 ……さっきのは夢なのか

 

 いや違う、否定を希望していても名簿の空白の手触りをまだ頭で覚えている。

 

 今まで起きてた事にもはや疑問は無い、どうにもできなかったのだから考えても意味が無い。

 

「えへ……」

 

 短い声と、温い指が頬を撫で押す。

 

むに、むに

 

 視線をずらすと深海の様な眼と日光を受けた麦の様な髪がちらちらと揺れている。

 

 暖かい、けど冷たい、そんな印象が目に映る

「えへっ……あ……柔らかい……!」

 

 顔を撫でる力はどんどんと増し、爪が頬を痛めていく。

 

 いたい。

 

 条件反射で停止を願い出た。

 

「あっ……起きた、ゴッホマッサージ、効果アリ……?」

 

 効果があるかないかで言えば、ないね。いたいし

 

「まぁまぁ、照れ隠しは充分ですよ……え? 本音? ごっほっほ……まぁ立ってください、えへ」

 

 こちらを覗き込んでいる顔は長く垂れた髪であまり良く見えたものではないが、肌は白く、身体も小さいと幼さを強く残している。

 

君 誰?

 

「……」

 

 言えない?

 

「言えないってわけでもないのですが…まぁ、キャスターとお呼びください」

 

 …キャスター、キャスター、うん、わかった。

 

「なら今1度問いから始めましょう、挨拶はその後に。」

 

「望みは、ございますか?」

 

あぁ、うん、ない。

 

「作用でございますか、では、私に求める事は?」

 

求める?私、君を呼んだ覚えなんか全く無いけど。

 

「あ、そうでした、私から来たんでした…ゴッホうっかり。」

 

 これから、どうすればいいの? 

 

「…どうなさりたいのですか」

 

わからない、知らないから答えれない、答えが無いんだ。

なんで私がここにいるのかも、知らない、どうなるかもわからない。

 

「それは…大変な、よし、お耳をお拝借します。」

 

ふぅーってしないならいいよ

 

「真面目な話ですから、ふざけないで」

 

あ、ハイ

 

それから彼は私にこの世界が現実の物では無いこと、

ここには願いを叶えることが出来るものがある事、

そして、戦わなければならないと言うことを教わった 。

 

正直なところ彼の話はあまり分からないけど、だいたいの空気は掴めた。

 

ここは月で、これからが戦争。

 

要するにバトロワだ、負ければ死ぬし、勝てば何かを得る。

全く興味は無い、けどただ死にたくは無い。

 

「もう一度聞きます、私は何をするべきなのですか?」

 

じゃあ、キャスター、君は何をしてもいい、何を望んでもいいからさ、私を助けてよ。

 

「ホゴッ!? 本当に?……」

 

だって君はその、英霊なんだろ?、君にだって望みはあるはずだ。そのついででいいよ

 

「…では、そのように。」

 

 そういえば、戦争、て言うくらいなんだ、誰かと争わないと行けないんじゃないのかな? 

 

「えぇ、戦わないといけません、大体7人くらい」

 

どう戦えば? 

 

「あー、それも知らないんですよね、真面目なのは疲れますね」

 

 そりゃ生き残りたいし。

 

「えと、私とて英霊としてムーンセルに刻まれている身、戦えるくらいには都合よく強化されていますので、戦闘は私が。」

 

 少年の迫力が変わり、周囲が蜃気楼のように歪み、禍々しく、美しく、絵画の様に色に潤っている。

 

 その絵画のような波からやがて触手が伸び、頬を撫でる。

 

 

 

「絵を描くことしか出来ないですが、居ないよりマシ、でしょう?」

 

「フィンセント・ファン・ゴッホ、オランダのしがない画家です……えへ」

 

「目を離すと、怖いですよ?」

 

 右手に、暖かく冷たい、熱が走った。

 

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 フィンセント・ファン・ゴッホ

 

 オランダのポスト印象派の画家

 性格は面倒で狡く、悪知恵が周り、芯が強くて卑屈。

 低い自己肯定感覚と自尊心を持つ。

 それは生前、何者にも評価されなかった者の末路であり、何者にもなれなかった自己嫌悪。周囲と己自身に焚べた怨炎は、未だ。

 

 本来は非常にプライドが高くナイフのような性格をしているが、精神病で酷く弱っている。

 

 class: Castor

 

 真名 フィンセント・ヴィレム・ファン・ゴッホ

 

 身長 140cm/体重 40kg

 出典 史実 地域 欧州

 属性 混沌 悪 性別 男性

 

 十九世紀ヨーロッパで活躍した画家、彼の絵は世界中に愛好家が居て、評価、愛されている。

 

 ……だけどそれは没後の話、生前のゴッホは誰にも評価されることなく、誰になることも構わずに死した。

 人々に、時代に弾かれた非運の人である

 

 筋力:E- 耐久:C

 俊敏:E- 魔力:B

 幸運E- 宝具:A++(EX)

 

 skill 1 美才開花 A++

 

 ゴッホの人智から逸脱した世界観とクラススキル「陣地作成」と「独自魔術」が重なり混ざり、キャンバスを乗り越え現実を侵食するオリジナルの魔術。固有結界の1つ。

 まとめると、ゴッホの美術的視座とクラススキルが合体してるだけ……です……ウヘヘ

 

 Skill 2 非安定精神 B+

 彼の脆く不安定な精神によって固有結界を開いた際に、敵対する者の不安感を増加させて行動を鈍らせ、味方へは加護を与えるスキル、自己嫌悪からか自分自身を強化することは出来ない。

 

 Skill 3「黄色い家」 ランクA++ 対人宝具

 ヘット・ヒェーレ・ハイス レンジ1〜5

 第2宝具 最大補足2〜6

 ゴッホの画才を開花させ、また彼の夢の破綻の舞台とも南仏アルルの居住を絵で再現する。

 敵に対してはミストラルの嵐を、味方には厚い加護を与える一方で、呪いも蔓延させてしまう。

 

 第一宝具

 星月夜

 ランクEX+++

 対人宝具

 レンジ : 0〜測定不能

 最大補足 ∞

 

 詳細不明




誰でも無いまっさらなあなたと、誰にもなれず染められた君の運命。
重なるなら、そこはきっと夜中の麦畑。2人だけの世界。
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