〝アリウス〟潰すゾ!!!   作:あば茶

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本編とは無関係です


ifアビドス
if世界~アビドスルート~その1


 

 

「た……助けてくれ!私達はただ金で雇われただけなんだ!」

 

 

目の前で無様に命乞いをする女にショットガンを突きつける

 

命まで取るつもりはない、でも……

 

 

「痛い目には遭ってもらう」

 

 

銃口を相手の顔にピタリと近づけ、引き金を────

 

 

「はいストップ!やりすぎよホシノちゃん」

 

 

────引く前に銃を取り上げられる

 

 

「この人達も反省しているみたいだし、そこまでやる必要は無いわ」

 

「甘いですよ────ユメ先輩、こいつらはまた同じ事をやります」

 

「そんな事は無いわ、ねえ?」

 

「あ……ああ!もう二度とアンタ等には手を出さねえ!」

 

「ほら!」

 

「……後で襲われても知りませんよ」

 

 

能天気な先輩の言葉に呆れながら背中を向ける

 

 

「あっ!待ってよー!ホシノちゃん!」

 

 

後ろからユメ先輩が走り寄って来るのがわかる

 

「っ、馬鹿が!隙だらけだ!」

 

………そして敵が銃を向けてくるのも

 

正直、あの程度の攻撃を食らったところでダメージなんて殆ど感じない

 

さっさと倒そうと後ろを振り向こうとし────

 

 

 

 

 

遅れてすみませんキイイイイイイック!!!

 

 

 

 

 

────敵が後ろから勢いよく蹴られた

 

 

 

「がっ!?」

 

突然の背後からの攻撃に対応できず、そのままガンッ!と地面に顔を打ち付ける敵

 

蹴りを放った人物はそのままキレイに着地する

 

 

 

 

────終わりましたよ、ユメ先輩!

 

 

 

そして目の前の〝男〟は何処か能天気そうな笑顔で言い放つ

 

「わっ!もう解決して来たんだ!」

 

「…………」

 

 

折川酒泉、このキヴォトスにおける現状唯一の人間型の男子生徒

 

ヘイローを持たぬ弱い存在

 

 

「それにしてもごめんね………私達の学校の問題に酒泉君を巻き込んじゃって……」

 

いやいや気にしないでください、ユメ先輩への恩返しみたいなもんですから!

 

「もう!嬉しい事言ってくれちゃってー!」

 

ちょっ!?色々当たっちゃいけない物が……ギャアアーー!!?

 

 

 

 

そう、目の前の男はアビドス高校の生徒ではない

 

………それどころかまだ高校生ですらない

 

「……ユメ先輩、さっさと帰りますよ」

 

「ええっ!?もうちょっと酒泉君とお話を……そうだ!酒泉君も一緒に………」

 

「いいから行きますよ…………それと、折川酒泉」

 

………なんすか?

 

「………お前の力は必要ないから、余計な事しないで」

 

別にユメ先輩への恩返しとして俺が勝手にやってるだけなんで、アンタにそれを止める権利がありますか?

 

「…………信用出来ないってだけで十分理由になる」

 

「ほ、ホシノちゃん!そこまで言わなくても……」

 

 

 

彼を睨み付け、そのまま去っていく

 

色んな人物を頼っては騙され、信じられる大人を見つけたと思えばまた騙される

 

最早何も信じられない………正体の掴めないキヴォトス唯一の男子生徒が相手なら尚更だ

 

 

「ユメ先輩………私は絶対にアイツを信用しませんから」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな事があった次の日の朝、何故か先輩と折川酒泉が教室で話していた

 

 

 

「それでね、ここら辺が一年生の教室!もし酒泉君がアビドスに来るならこの教室を使うことになるわね!」

 

うおおお……本当に人がいない……

 

「そうなのよね………」

 

………でもユメ先輩

 

「?」

 

これからこの教室が人で溢れていく事になるんですよ、俺達の力で!

 

「おおっ……!」

 

目指せアビドス高校復活ー!

 

「おおー!」

 

普通の高校に戻すぞー!

 

「おおー!」

 

「………何やってるんですか先輩」

 

 

 

下らない絵空事を浮かべる先輩に声を掛ける

 

私の不機嫌そうな表情を無視して挨拶してくる

 

「あっ、ホシノちゃんおはよう!酒泉君がアビドスに入学する前に学校の案内してたんだ」

 

「………どうせ来ませんよ、こんな学校」

 

はあ?俺は絶対アビドスに入学しますよ

 

「口だけなら何とでも言える」

 

 

 

後ろから異義を唱えてくる彼を無視してユメ先輩の腕を掴む

 

 

「……それよりも今日は金銭対策の緊急会議するんでしょ、早く行きますよ」

 

「勿論忘れてないわよー、あ!折角だから酒泉君も一緒に参加しましょうよ!」

 

「はぁ!?」

 

「ほら、アビドスに入ったら結局参加する事になるんだから今のうちに、ね?」

 

確かにそうっすね………

 

「私は認めませんよ!?こんな怪しい奴!」

 

決めるのはアンタじゃないですぅ~!ユメ先輩ですぅ~!

 

「このっ……!」

 

何おう……!

 

「あーもー二人とも落ち着いて!仲良く仲良く♪」

 

結局この日の会議はずっと雰囲気が悪いままだった

 

 

 

 

 

 

 

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「ユメ先輩、何であんな得体の知れない奴に声を掛けたんですか?」

 

 

折川酒泉が帰り、私とユメ先輩も帰宅の準備をしてる途中でユメ先輩に問いかける

 

 

「何で、かぁ………」

 

顎に手を当てて分かりやすく悩むユメ先輩、この人のお人好しは今に始まった事ではないがそれでもあの男を助けた事だけは理解出来ない

 

キヴォトス唯一の男子生徒、そんな怪しい人物を今の弱りきったアビドスに入れるなど正気じゃない

 

〝大人〟との交渉に利用するとかならまだ理解できる

 

でもこの人は100%の善意で声を掛けたであろう

 

 

「………寂しそうだったから、かな?」

 

「………はあ?」

 

 

純粋すぎる答えに思わず顔をしかめる

 

 

「何ていうか、居場所が無さそうだったからっていうか………何か思い悩んでたからっていうか………」

 

「……何ですかそれ」

 

「酒泉君に出会ったのは公園のベンチでなんだけど……その……凄く暗そうな顔してて」

 

「それだけで声を掛けたんですか?」

 

「勿論それだけじゃないよ?その……俯きながら凄く小さい声で『俺がこの世界に生まれた意味はなんだ』とか『俺の存在理由は?』とか呟いてたから……少しでも安心出来る場所を作ってあげたくて……」

 

「…………」

 

「酒泉君は何かを抱えてるんだと思うの、勿論ホシノちゃんの言ってる事も分からなくはないけど………でも、それでも二人には仲良くしてほしいな」

 

「………私には関係ありませんから」

 

 

背後から感じるユメ先輩の視線を無視して歩みを速める

 

その後、別れる瞬間まで会話は無く、何処か気まずい思いを抱えながら家に着いた

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

「酒泉君大丈夫!?」

 

いててて………いや、痛くないっす!

 

「もう……無理しないでね?」

 

 

ユメ先輩に手当てされている彼を愕然と眺める

 

彼の右腕は血に染まり、左脚には何かが刺さった跡がある

 

彼がこうなった原因は─────私だ

 

 

 

 

今日の昼、私達はアビドス高校から少し離れた場所にユメ先輩と生徒募集のチラシを配りに行った

 

………まあ、私は「そんな事しても無駄です」って伝えたけど

 

案の定殆どの通行人が受け取らず、仮に受け取ってもらえたとしても雑にポケットに突っ込まれていた

 

ユメ先輩はそんな光景を見ても諦めずに笑顔で配り続けていた

 

周りのどうでもよさそうな視線を受けても、何度も何度も必死に頼み込むその姿に腹が立って────

 

 

 

 

 

 

私はユメ先輩を置いて帰った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………早く出てくれば?」

 

 

直接帰路には着かず、暗い路地裏に移動して周りに聞こえる様に言い放つ

 

すると物陰から何人もの不良らしき生徒達が現れる

 

その中の一人に折川酒泉が蹴り飛ばした奴の姿があった、おそらく復讐に来たのだろう

 

 

「チッ……気づいていたのか」

 

「まあいい……この人数なら流石のアンタでも勝てねえだろ」

 

「囲んじまえばこっちのもんだ!」

 

この程度の数で倒せると思われているとは……舐められたものだ

 

そう思いながらショットガンを構えようとして────

 

 

 

 

「ああ、そういえば一つ教えてやるよ。あのユメって女も今頃アタシ等の仲間に囲まれてるだろうよ」

 

 

 

 

────敵の言葉に手が止まる

 

 

「今頃いつもの帰り道の途中で気絶してんじゃねえか?」

 

「まあ、あんな人がいない土地なんて何が起ころうと誰も気にしないだろうけどな!」

 

「……ッ!!お前らぁ……!!!」

 

 

歯をギリッと鳴らし、奴らを睨み付ける

 

 

こんな雑魚に敗けるはずがない、しかしユメ先輩を放っておく訳には行かない

 

目の前の害獣どもを始末しようと敵に突っ込んだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ユメ先輩ッ!何処ですか、ユメ先輩ッ!」

 

敵を全て倒し終えた私はユメ先輩がいつも通る帰路に着き、大声で叫びながら必死に走る

 

「お願いしますッ!聞こえていたら返事をしてくださいッ!」

 

進めば進む程、銃声が近くなる

 

(私のせいだ……私が置いていったせいで……ッ!)

 

後悔しながらもひたすら進み続ける

 

 

パアンッ!!!

 

 

「ッ!近い………!」

 

 

一発の銃声が聞こえると同時に距離がすぐ近くである事を確認する

 

先程の音を頼りに走り出すと

 

 

「うっ………!」

 

「ユメ先輩ッ!」

 

 

傷を負いながらも銃で抵抗するユメ先輩がいた

 

 

「ッ!」

 

 

咄嗟に駆け寄ろうと脚に力を入れた瞬間、

 

 

「これでも食らえ!」

 

「おねんねしなぁ!」

 

 

グレネードが三つユメ先輩に投げ込まれる、ユメ先輩を押し飛ばそうとするが……

 

 

「小鳥遊ホシノ!?何故ここに!」

 

「向こうの仲間がやられたか!」

 

 

他の敵達が進路を塞いでくる

 

 

「ユメ先輩ッ!避けてッ!」

 

 

間に合わないと判断し大声で注意を促すが、その時には遅く

 

 

「ユメ先輩ッ!」

 

「しまった……!」

 

 

 

 

 

グレネードが爆発する直前──────

 

 

 

 

 

 

 

 

させるかぁッ!!!

 

 

 

 

 

 

──────突然折川酒泉が飛び出し、ユメ先輩を抱えて飛び退く

 

 

完全にグレネードから距離を取ることが出来ず、爆発に追い付かれる

 

しかし折川酒泉が爆発に巻き込まれる瞬間、ユメ先輩を爆発と反対の方へ押し出す

 

そのまま爆発に巻き込まれた折川酒泉は勢いよく地面に叩きつけられながら転がっていき………

 

 

 

「……ッ!酒泉君!」

 

 

彼は右腕から血を流し、脚にはガラス片や歪に壊れた小さい鉄の棒などが刺さっていた

 

ユメ先輩は彼に近づき、抱きかかえる

 

 

「チッ、ハズレか!…………ぐっ!?」

 

「がはっ!?」

 

 

敵の声に我に帰った私はショットガンで残りの敵を撃ち、そのままグレネードを投げた奴らにも接近する

 

 

「な、はや───」

 

 

悲鳴を上げる暇も与えずに全員を気絶させ、敵がいない事を確認してからユメ先輩に近づく

 

 

「酒泉君、しっかりして!酒泉君!」

 

………………

 

「酒泉君!」

 

……………い………っ……づぅ

 

「良かった……!今すぐ病院に連れていくからね……!」

 

「…………ユメ先輩、この辺りに病院はありません。学校に戻って手当てをした方がいいと思います」

 

「ホシノちゃん………うん、そうだね。待っててね酒泉君、すぐに連れて行くからね!」

 

 

そう言うとユメ先輩は折川酒泉を背負い、走り出す

 

その光景を私はただ眺める事しか出来なくて────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………あれ?どうしたんですか、小鳥遊さん

 

「いや~、酒泉がここにいると思って何となくね~」

 

特に用はないんですね

 

「………駄目……かな」

 

いえ、別に構いませんよ

 

俺だけの教室って訳じゃないですし

 

「………ありがと」

 

…………

 

「……………」

 

………あ!そういえば今度〝ユメ先輩〟が遊びに来るみたいですよ!

 

「………ユメ先輩が」

 

ええ、皆で会うのは久しぶりですし楽しみですよね~

 

「う、うん……」

 

奥空さんと黒見さんは会うの初めてですけど、ユメ先輩の事ですしきっと直ぐに仲良くなれますよね

 

「そうだね……」

 

……小鳥遊さん?なんかありました?

 

「うぇ?」

 

いや、さっきから元気無さそうなんで………

 

「うへ~……仕事疲れかな~、おじさんもそろそろ老いが来ちゃったかな~?」

 

いやそんな年齢変わらないでしょ俺等………

 

「……ねえ」

 

なんすか?

 

「ユメ先輩が来てくれて嬉しい?」

 

そりゃ、めっちゃ嬉しいっすよ!久しぶりに会えるんですもん!

 

アビドスの借金はまだまだありますけど、昔ユメ先輩や小鳥遊さんがカイザーローンに乗り込んで色々証拠を押さえる事が出来たお陰で膨大な利子も何とか解決出来ましたし

 

ユメ先輩と約束した〝アビドス高校の復活〟も少しずつ現実味を帯びてきましたし!

 

仕事が忙しい中、そんなアビドスに遊びに来てくれるなんてめちゃくちゃ嬉しいですよ!

 

「………そんなに嬉しいんだ」

 

小鳥遊さんは?

 

「……うへ、私も嬉しいよ」

 

ですよね!

 

「…………」

 

……っと、もうこんな時間か……

 

「……何かあるの?」

 

砂狼さんとロードバイクで競争して負けた方が柴関ラーメン奢る約束してるんですよ

 

「……そうなんだ」

 

小鳥遊さんも来ます?

 

「うへ~、おじさんにラーメンは重いかな~」

 

だから殆ど年齢変わらないでしょ……まあいいや、それじゃまた!

 

「………うん」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………私もユメ先輩と同じくらい髪伸ばしてるんだけどなぁ」

 

 

 

 

 

 

 

 

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