〝アリウス〟潰すゾ!!!   作:あば茶

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番外編~ピアノ川君~
酒泉「は?俺がピアノを?」マコト「ああ」


 

 

 

 

 

────無茶振りすんな殺すぞ(えっと……すいません、話の内容がよく分からないんですが)

 

「キキキッ!随分な口の利き方じゃないか、折川酒泉」

 

────笑い方うるせえんだよ死ね(あっ……失礼しました)

 

「貴様……わざとやってるな?」

 

 

しまった……つい本音と建前が逆になってしまった……

 

ここ最近、また風紀委員にちょっかい掛けてくる機会が増えてきたせいで………脅しの効果も薄くなってきたか?まあ、もし羽沼さんが俺との約束を破ったらその時はそれなりに本気で潰しにいくとしよう

 

 

「まあいい……私は寛大だからな、多少の無礼は許してやろう」

 

────お前にしては珍しく器が大きいじゃん(ありがとうございます!)

 

「……ふっー……よし、いちいちキレていても話が進まないからな……もう一度だけ説明するぞ」

 

────早くしろよゴミ(すいません、お願いします)

 

「…………」

 

 

あれ?羽沼さんが黙り込んでしまった……お腹でも痛いのかな?

 

 

「……バレンタインが近づく度に我々万魔殿がキヴォトスの有力者達を集めてパーティーを開いているのはお前も知っているな?」

 

────まあ……はい

 

「お前にはそのオープニングのピアノを担当してもらおうじゃないか!」

 

────だからその無茶振りを止めろっつってんだろ日本語通じねえのかよカス(ええっ!?俺がやるんですかぁ!?)

 

「貴様図太すぎないか?」

 

 

また怒ってる……こんなアホでもストレスが溜まるくらいには仕事してるんだなぁ……

 

 

「……最初は貴様らの委員長……空崎ヒナに依頼しようとしたのだがな、どうやらここ最近は治安維持の仕事で忙しいらしく……断られてしまってな……」

 

────お前らが働かないからだろニート共(忙しくない時期の方が珍しいですけどね……)

 

「………そ、それでこの私が仕方無く空崎ヒナに気を遣ってやった訳だ」

 

────普段からそうしてろよタヌキ(そうだったんですね……ありがとうございます!)

 

「………だ、だが、代役も用意しないのはどうかと思ってだな………そこで!ヒナの部下であるお前に責任を取ってもらう事にした訳だ!」

 

────へぇー、小物のお前らしい発想だな(成る程……そういう理由でしたか……)

 

「ぐっ……ぐおおおぉっ……!我慢だ……我慢……!これ以上無駄話をして話を逸らさせる訳にはいかん……!」

 

 

何勝手に一人で盛り上がってんだコイツ

 

 

「とにかく!貴様にはこの話を受けてもらうぞ!まさか自らの上司の穴埋めを断るつもりはないよなぁ!?」

 

────え?断りますけど?

 

「えっ」

 

 

別に空崎さんに非がある訳じゃないし、俺が受ける理由もない

 

ピアノなり何なり好きに弾いてくださいって感じだ

 

 

「……そうかそうか、つまり貴様は〝空崎さんが断った分の仕事の穴埋めを万魔殿に頼まれたけど何もせず帰ってきました〟と風紀委員会に報告するつもりだな?」

 

────死ね(死ね)

 

「言っておくが貴様が断ったとしても、その時はまた空崎ヒナに声を掛けに行くだけだぞ?」

 

────俺がこの場でアンタの口を潰すのとどっちが早いか競争してみます?

 

「ま……ままま待て!話は最後まで聞けぇ!」

 

 

話……?空崎さんの休日を邪魔するだけの話をどうして俺が最後まで聞かにゃならんのだ?

 

 

「半分だ!もしこの話を引き受けてくれたら1ヶ月間は風紀委員会の仕事を半分手伝ってやろう!」

 

────今でも(脅して)手伝ってもらってるけど……それはつまり、今まで以上に力を貸してくれるってことか?

 

「ああ、その通り────」

 

────2ヶ月6割

 

「────……は?」

 

────2ヶ月間、6割の仕事を手伝うってんなら受けてやるよ

 

「ぐっ……い、良いだろう!その条件、飲み込もう!」

 

────じゃあパーティーが終わったら暫くの間便利屋と美食研と温泉開発部の相手よろしくお願いしますねー

 

「えっ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「────という風に私は見事、折川酒泉の籠絡に成功したという訳だっ!」

 

「おおー!マコト先輩すごーい!」

 

「……籠絡?」

 

 

ドヤッ!と胸を張るマコトに大して呆れながら首を傾げるイロハ

 

 

「……でも、そうまでして彼にピアノを弾かせる理由って何なんですか?まさか本当にただの穴埋めで?」

 

「キキキッ……戦車長、お前は何も分かってないな……」

 

「うっざ」(はあ……そうですか……)

 

「良いか?重要なのは〝折川酒泉が羽沼マコトに従った〟という事実をゲヘナ中に知らしめる事だ!」

 

「それがどうか……ああ、もしかして万魔殿と風紀委員会の上下関係をハッキリさせるみたいな話ですか?そして折川酒泉と関わりのある他校の権力者達にも〝この男はあくまでゲヘナの人間だ、用があるなら万魔殿を通せ〟と釘を刺しておく……と?」

 

「……そ、そうだ!その通りだ!」

 

(あっ、これ風紀委員会に対する嫌がらせ以外大して考えてませんでしたね)

 

 

 

相変わらずポンコツな自らの上司を冷めた目で見つめるイロハ

 

しかし、彼女は直後に一つの疑問を口にする

 

 

「……ていうか、彼ってピアノ弾けるんですか?これで失敗してパーティーが台無しになったら万魔殿の評判も一緒に地に落ちると思うんですけど」

 

「……………」

 

「……えっ?嘘ですよね?流石にその辺の事はちゃんと考えてますよね?」

 

「……と、当然だろ」

 

「私の目を見てハッキリと答えてくれません?」

 

 

白目を向きながらダラダラと冷や汗を流すマコト

 

 

「……どうするんですか、今からでも取り消してきたらどうです?」

 

「え~!?ピアノやめちゃうの~!?」

 

「大丈夫ですよイブキ、ピアノ自体は別の人に頼めば良いだけですから」

 

「そっかー……また酒泉のピアノ聞きたかったのになー……」

 

「残念ですがそれは別の機会に─────ん?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「イブキ……〝また〟とは?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

「放課後の旧校舎からピアノの音が……?」

 

「はい、最初は私もただの噂話か怪談のような何かだと思っていたのですが……」

 

 

何かの書類に判子を押そうとしたヒナの手が止まる

 

どうやらアコの言い方に引っ掛かったのか、目配せして話を続けるように伝える

 

 

「……ここ最近、報告が増えてきているんですよ。一番遅い時には夜の9時に音が鳴るのだとか……」

 

「……別に旧校舎のピアノを使うこと自体は問題無いけど……でも、変な噂が広まるのは困るね」

 

「一応、そのピアノの音を聞いた一般生徒が様子を見に行ったりしているそうですが………辿り着く頃には蛻の殻らしいですよ」

 

「人の気配を感じ取るのに長けているのか、それとも監視カメラでも仕掛けているのか……」

 

 

ただでさえ面倒事ばかり起こるゲヘナ

 

少しでも事件の種を潰しておこうと頭を悩ませる中、執務室のドアがカチャッと開かれる

 

 

 

────ん……ふぁ……おはようございまーす

 

「おはようござっ────酒泉、何ですかその緩み切っただらしない顔は……委員長の前ですよ!今すぐ直しなさい!」

 

────あっ……すいません、空崎さん

 

 

 

欠伸をしながら部屋に入ってきたのは風紀委員の少年、折川酒泉

 

酒泉はアコに注意されると即座に自身の両頬を叩いて気合いを入れ直す

 

 

 

「……随分疲れてそうだけど……大丈夫?」

 

────……え?……いや、ちょっと徹夜でゲームしてまして……最近ハマってるソシャゲがあるんですよ

 

「……体調管理を怠ったら駄目よ」

 

「……貴方、そんな下らない理由で委員長に心配をお掛けしたんですか?」

 

────……ご、ごめんなさい……以後気をつけます……

 

「全く……」

 

 

アコの鋭い目付きを恐れて視線を逸らし、素直に頭を下げる酒泉

 

このままでは説教が長引きそうだと即座に話題を切り替える

 

 

 

────そ……それより!お二人は何を話してたんですか?なんか悩んでそうでしたけど……

 

「……話を逸らそうという魂胆が丸見えですよ」

 

────うっ……

 

「……はぁ……別に大した話ではありませんよ、放課後の旧校舎で何者かがピアノを弾いているという話をしてただけです」

 

 

 

己の失態を誤魔化そうという考えを一瞬で見抜かれ、狼狽える酒泉

 

このまま怒り続けても時間の無駄だと判断したのか、アコは溜め息を吐いてから話を切り出す

 

 

 

────旧校舎……ですか

 

「ただピアノの練習をしているだけなら別に良いのだけど……これが夜遅くまでずっと続くとなると色々と問題が出てきちゃうから……」

 

────あー……夜中にピアノの音とか普通にビビりますもんね

 

「夕方とかなら時間帯的にも違和感は無いんだけど………誰も居なくなった真夜中の教室でそういう事を続けられて変な噂が広まると面倒な事になりそうだし、早めに犯人を見つけておこうと思って」

 

────時々現れますもんね……〝そういう〟噂話が好きすぎて度の過ぎた検証をしたり勝手に他校に入ったりする奴、それで動画サイトに投稿して炎上するまでがワンセットと

 

「なんの話をしてるんですか……」

 

「……とにかく、近い内に旧校舎の見回りを行うから」

 

────……あー……その見回り、俺一人に任せてくれません?

 

「……酒泉に?」

 

 

 

一瞬間を置いてから提案する酒泉

 

彼はその理由を尋ねられる前に話を続ける

 

 

 

 

────ほら、今って風紀委員会にパーティーの準備を手伝うように命令が来てるでしょ?……あのタヌキから

 

「うん……飾り付けやテーブル等の配置、当日の警備の準備とか色々あるね」

 

「この程度の雑用、自分達だけで済ませてほしいのですけどね……」

 

────それに、確か空崎さんも天雨さんも多忙すぎてまだドレスの用意もできてませんよね?

 

「ええ、まあ……」

 

────つー訳で旧校舎の件は俺に任せてくれません?俺はある程度個人的な準備は終わらせてるんで

 

「……ねえ、酒泉」

 

 

 

いつものように〝手が空いているから〟と仕事を肩代わりしようとする酒泉

 

そんな彼にヒナが一つ尋ねる

 

 

「準備は終わってるって言ったけど……もうスーツとかも用意してあるの?」

 

────スーツ……あー、スーツですか……まだですけど、当日俺だけジャージとかじゃ駄目ですかね……?

 

「駄目に決まっているでしょう、ヒナ委員長に恥をかかせるつもりですか?」

 

「……そんなに着たくないの?」

 

────いや、なんつーか……俺ってそういう真面目系?っていうか……ガチガチの服が壊滅的に似合わないんですよ……

 

────どこまで行っても〝服に着られてる〟って感じになっちゃって……

 

「そこまで酷いんですか?………それはそれで気になりますね」

 

「……酒泉のスーツ……」

 

 

 

ボソリと一言呟くと、ヒナは酒泉に指差して命令を出した

 

 

 

「酒泉、まずは自分に合うスーツを用意しなさい。それまで旧校舎の件は後回しよ」

 

────……本当に着ないと駄目ですか?俺も警備担当の人達みたいに制服とかじゃ駄目ですか?

「駄目よ」

 

────……分かりました、それじゃ適当に合いそうなの用意してくるんで旧校舎の件は俺が担当しますね

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────……………少しだけ減らすか、時間

 

 

 

 

 

 

 

 






時系列は気にしないでください、もう少しだけ続きます
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