〝アリウス〟潰すゾ!!!   作:あば茶

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〝存在しない貴方へ〟の続きです


存在していた貴方へ

 

 

だーかーらー!本当に俺は何も知らないんだって!

 

風呂で身体洗ってたら突然外に放り出されたんだよ!

 

「そんな訳ないだろ!どうせ嘘を吐くならもう少しマシな嘘を吐いたらどうだ!」

 

「この露出狂め!」

 

「大人しく投降しろ!」

 

くそっ……!なんで俺がこんな目に……!明日は先生達と色彩対策会議をしないといけないってのに……!

 

「何をブツブツと────待て、色彩だと?」

 

「……先輩、あの人は何を言っているのでしょうか」

 

「さあ………どうせ出鱈目だろ」

 

「そもそも色彩なんてとっくに撃退されているしな……」

 

だから出鱈目なんかじゃ────え?色彩?

 

……待てよ、なんでアンタらが色彩の事を知ってるんだ?情報統制はどうなっている?

 

いや、それよりも……色彩を撃退したってどういうことだ?

 

「あんな大規模な事件すら覚えていないのか………やはり外から来た人間か?」

 

「どういうことも何も、言葉通りの意味だが………」

 

「色彩の襲来を予測していたゲヘナ学園の風紀委員長・空崎ヒナさんとシャーレの先生………この二人の活躍で色彩を撃退したんですよね!」

 

「勿論その二人だけではない、あの時は全ての生徒が必死に戦っていたさ」

 

「はい!その通りです!」

 

……あの……サンクトゥムタワーが複数出現したりしましたか?

 

「なんだ、知っているじゃないか」

 

先生達は〝船〟に乗りました?

 

「ああ……それがどうかしたのか?」

 

……別世界?未来世界?どっちだ?

 

…………………あの、ちょっと聞きたいことがあるんですけど

 

「なんだ?しょっぴく前に話ぐらいは聞いてやる」

 

………折川酒泉って男、知ってます?ゲヘナ学園で唯一の男子生徒なんで、調べればすぐに出てくると思うんですけど………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………?誰だ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

「………あれ?貴女は……」

 

「……聖園ミカ?」

 

 

エデン条約を結んでから度々トリニティを(仕事をしない万魔殿の代わりに)訪れるようになったヒナ

 

そんな彼女にピンク髪の少女が声をかける

 

 

「やっほー☆またお使い?ヒナちゃん」

 

「え?う、うん……」

 

 

ヒナは困惑した

 

目の前の少女はゲヘナ嫌いの筈だ、それなのに何故笑顔で自分に語りかけているのか

 

……それも一度ではない、出会う度に向こうから声をかけてくる

 

勿論、ヒナ的には問題無いのだが………

 

 

「貴女も大変だねー……ゲヘナには真面目に仕事をする人がいないのかな?」

 

「一番上の人達以外は働いてくれてるよ」

 

「それ、一番駄目なパターンじゃない?」

 

 

気の毒そうな視線を向けられ、若干のむず痒さを感じたヒナはそれを誤魔化すかのように話を変える

 

 

「……ねえ……貴女は大丈夫なの?」

 

「え?何が?」

 

「……貴女はゲヘナが嫌いなんでしょ?」

 

 

この際だし聞いてみようと、下手すれば一気に気まずくなりそうな質問をする

 

ミカは一瞬目を丸くした後、頬をかきながらどこか気恥ずかしげに視線をキョロキョロと動かす

 

 

 

「あー……いや、うん……それは今でもそうなんだけどさ……私もちょっとは考えを改めたっていうか……」

 

「………?」

 

「ほら……バシリカでの戦いの時、ヒナちゃんは私のことを助けに戻ってくれたでしょ?だから、その……」

 

 

歯切れの悪いミカはヒナに見つめられ続けると、まるでヤケクソだとでも言わんばかりに大声で叫ぶ

 

 

「もうっ!だーかーらー!命の恩人に対して理由も無く恨みをぶつけられるほど私は恥知らずじゃないってこと!」

 

「何で貴女が怒ってるの……」

 

「うるさい!とにかくありがとう!」

 

「怒りながらお礼を言われても………」

 

 

一通り感情を吐き出したのか、ミカは暫くしてからスッと元の表情に戻った

 

 

「……でさ、話は変わるんだけど………その、何かしてほしい事とかない?」

 

「いきなりだね………何でそんな事を聞くの?」

 

「流石に借りは返したいっていうか………」

 

 

サオリと同じ事を言う目の前の少女を意外そうに見つめるヒナ

 

そこで、彼女は一つの疑問を口にした

 

 

「もしかして………今まで私に話しかけてきてたのって、この話をする為に?」

 

「……悪い?なかなか言い出せなかったんだし仕方ないじゃん」

 

 

ムッとしながら視線を逸らすミカ

 

直接顔を見合わせるのが恥ずかしくなってきたのか、ミカはそのまま話し続ける

 

 

「……で?なんかないの?やってほしいこと」

 

「突然そんなことを言われても……仕事なら風紀委員の皆で出来るし……」

 

「それなら欲しい物とかでも良いけど?………まあ、今の私だと買えるものは限られてるけど」

 

「それも特には………」

 

「……じゃあ、何か好きな物とかは?趣味に関係する物とかでも……」

 

「………無い………」

 

「………す、好きな食べ物は?」

 

「………」

 

「………着たいお洋服!」

 

「………」

 

「………えぇ………嘘でしょ」

黙り込んでしまったヒナに対して困ったように考え込むミカ

 

ヒナは〝未来〟に備えてずっと己を高め続けてきた………故に、年頃の少女らしい趣味を持っていなかった

 

勿論、アリスに誘われればゲームだってするし、ホシノに誘われれば一緒に食事しに行くことだってある

 

仕事も風紀委員の仲間達と共にこなしている為、プライベートの時間だって確保しようと思えば確保できる

 

だが、それでもヒナは自分から何かを楽しもうとは思えなかった

 

………全ては〝彼〟が居ない虚しさからか

 

 

 

「………よしっ!決めた!」

 

「………?」

 

 

ミカは何かを思い付いたかのように手を叩くと、ヒナの両肩をガシッと掴む

 

 

「まずは普通の女の子らしい遊びを教えるね!借りを返すのはそれから!」

 

「……また突拍子の無いことを」

 

「とりあえず自分の好きな物すら分からないと借りを返すどころじゃないでしょ?だから私が楽しいことをいっぱい教えてあげるね☆」

「……今日?今日は忙しいんだけど……」

 

「うーん………じゃあ、明後日とかどう?」

 

「明後日……確か予定は─────え?」

 

 

 

直後、ヒナの携帯が鳴る

 

突然の事で多少驚くものの、

 

会話の途中でミカに目配せしてから通話ボタンをタップし、そのまま電話先の人物に話しかける

 

 

 

「……もしもし?どうしたの?アリス─────」

 

『アリスと一緒に冒険に出掛けましょう!!!』

 

「─────っっっ!………ごめん、どういうこと?」

 

 

 

耳元でキーン!と鳴り響き、思わず携帯を遠ざけてしまう

 

 

 

『今度、ゲヘナ自治区辺りの大型ショッピングモールでセールをやると聞きました!アリスはヒナと一緒にそこを探索しに行きたいです!』

 

「……私と?どうして?」

 

『ヒナと一緒がいいからです!』

 

「…………」

 

 

あまりにも堂々とした言い方にたじろいでしまうが、すぐに気を取り直して予定を確認する

 

 

「……えっと……それで?そのセールは何日に行われるの?」

 

『明後日です!』

 

 

ヒナは困惑した、何故こんな都合の良い(もしくは悪い)タイミングで話が来るのか

 

此方の通話が終わるまで適当に背伸びしている目の前のミカに視線を向けると、彼女はキョトンとした顔で見つめてくるではないか

 

どちらか断るしかないのか────そう考えたところで一通のメッセージがモモトークに届く

 

 

《やっほー、おじさんだよー…………いきなりだけどさ、明後日暇?》

 

ヒナは頭を押さえた、これは神のイタズラか?

 

目の前の少女には明後日誘われ、電話越しの少女にも明後日誘われ、モモトークでも明後日誘われ………

 

自分のようなつまらない女を誘ってくれるのは凄く……凄く嬉しいのだが、出来れば日はバラけてほしかった

 

 

 

「……ヒナちゃん?どうしたの?」

 

『あれ?ヒナから返事が聞こえません……?』

 

《いや、予定があるんなら別に無理しなくてもいいんだよ?ただなんとなく聞いただけだからさ………》

 

 

 

 

 

 

「………ねえ、私から提案があるんだけど─────」

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

「わぁ……!とっても広いです!」

 

 

二日後、ショッピングモールの広間で辺りを見渡しながらはしゃいでるアリス

 

………誰か一人のみを優先することを心苦しく感じたヒナ、そんな彼女が提案したのは全員で遊びに行くことだった

 

 

 

「………で?ずっとヒナちゃんにくっつきっぱなしの貴女は……誰かな?」

 

「はい!アリスはアリスといいます!ヒナにくっついてるのはアリスにとってヒナは大切な人だからです!」

 

「ふーん?それは奇遇だねぇ……実はおじさんもヒナちゃんととっても仲良しなんだよねぇ……」

 

 

何かを言いたげなホシノに対し満面の笑みで答えるアリス

 

ミカはそんな二人を見て呆れたようにしている

 

 

「ヒナちゃんさぁ………自分で堕とした子達の管理ぐらいしっかりしたら?」

 

「堕とす……?何を……?」

 

「無自覚なの?あの子達も浮かばれないね………」

 

 

何かをボソッと呟くミカにキョトンとした顔を浮かべるヒナ

 

 

「そうやって火種ばかり撒いていると、いつか悪い子に襲われちゃうよ?」

 

「自分で言うのもなんだけど、結構強い方だから大丈夫よ」

 

「………そういう意味じゃないんだけどなぁ」

 

「……安心しろ、仮にヒナを襲う輩が現れたとしても私が護ろう」

 

 

そう言ってサオリが背後から話しかける

 

…………分厚い帽子に黒いマスク、そしてサングラスをつけた状態で

 

 

「……なんか……不審者みたいだね」

 

「実際にお尋ね者だからな………いや、それよりもこれはどういう事だ」

 

「んー?何が?」

 

「空崎ヒナの護衛が必要だと話を聞いて来てみれば………ただの買い物じゃないか」

 

 

サオリはギロッとサングラス越しにミカを睨むが、当の本人はニヤニヤと笑ったまま口を開く

 

 

「ほら、サオリだって偶には息抜きが必要でしょ?だからこうして誘ってあげたんだよ」

 

「だからって逃亡中のテロリストを誘う奴がいるか!」

 

「まあまあ、そんな騒いでると周りの人達にバレちゃうよ?」

 

 

サオリは全く反省する気配のないミカに文句を言うが、〝覚えていろ〟とだけ残すと今度は申し訳なさそうな表情でヒナに視線を向ける

 

 

「ヒナ……その、すまない……」

 

「……?どうして私に謝るの?」

 

「………私なんかと一緒では気が悪いだろう」

 

「別にそんなことはないけど……」

 

 

ヒナ自身は別に何も気にしていないのだが、当のサオリ本人は顔に影がかかったままだ

 

ヒナ的にはむしろ無理矢理連れてこられたサオリの方が心配なのだが………今、それを言ってしまったら余計に問題が拗れるような気がして黙っておくことにした

 

 

「……確か、貴女は私に〝借りは必ず返す〟って言ってたよね」

 

「あ、ああ………」

 

「それなら今日、ここで返して………荷物を持つのを手伝ってくれるだけでいいから」

 

「……良いのか?」

 

 

どうせ直接〝気にするな〟と言っても効果が無いと判断したヒナは暗に伝える

 

サオリは帽子を深く被ると一言〝ありがとう〟と礼を言う

 

 

「それにしても……この店に来るとあの事件を思い出すなぁ……」

 

 

ホシノはチラッと警備用ロボットに視線を向けると、何かを懐かしむかのように一人で頷く

 

 

「あの事件?何のことですか?」

 

「ああ……ロボットが暴走した時の話?」

 

「ロボットの暴走?何それ?」

 

「実はこのショッピングモール、前に一度大量の警備ロボットが暴走したことがあるんだよねぇ~………で、その時偶然居合わせたおじさんとヒナちゃんが一緒に戦ってその事件を解決したんだよ~」

 

「そんな事があったのか……この店のセキュリティは大丈夫なのか?」

 

「まあ、大丈夫じゃない?あんな事が起きた後だし、流石に店側も対策してるでしょー」

 

「アリス知ってます!これ、フラグです!」

 

「あはは………アリスちゃーん、フラグっていうのは現実には存在しな─────」

 

 

次の瞬間、多くの客の悲鳴と共に警鐘が鳴り響く

 

ジリリリン!という音と同時に現れたのは大量の暴走ロボット

 

どこか既視感のある光景にホシノとヒナが唖然とする

 

 

 

「………フラグって存在しないんじゃなかったっけ?」

 

「………そのはずだったんだけどなぁ……」

 

「イベント発生です!アイテム大量ドロップのチャンスです!」

 

「アイテム?一体何の────ああ……あれね……」

 

ミカの視線の先には試着室から持ち出されたであろう服入れようのカゴを持って暴れているロボットの姿が

 

男性用、女性用問わずに片っ端から集めている

 

 

「……何故服を?」

 

「うーん………よく見たら普通の買い物カゴも持ってるし、お客さんサポート用の運搬システムが暴走したとか?」

 

「……まさか、また巻き込まれるなんて」

 

「どうする?帰っちゃう?」

 

「アリス!勇者として困っている人は見捨てられません!」

 

「……そうだね、それじゃあ……助けに行こっか」

 

「まあ、ヒナちゃんならそう言うよねー………じゃあ私も行こっかな?久しぶりに暴れたいしね☆」

 

「なら私も力を貸そう」

 

「あれ?大丈夫なの?」

 

「正体がバレない程度に援護するさ」

 

「……じゃあ……片付いたらまたこの場所で」

 

「「「「了解!」」」」

 

 

各々が銃を構え、特に被害の大きい場所に向かって駆け出す

 

銃声が広がる中、ヒナは〝色彩が去った後もキヴォトスは物騒だな〟なんて思いながら引き金を引いていった

 

 

 

 

 

 

 

──────────

 

────────

 

──────

 

 

 

 

 

 

 

一般客が走って避難している中、ヒナはただ一人避難口とは逆方向に向かう

 

道中で何体も何体も暴走ロボットを倒し、その内他の個体より一際大きい一体を倒し終えると溜め息を吐いて項垂れる

 

 

「これで終わり?………はぁ、ただの買い物のつもりだったのに」

 

 

ゲヘナとは関係の無い所ですら事件に巻き込まれる、そんな現実に思わず愚痴を吐いてしまう

 

皆と合流しようと面倒そうに来た道を引き返すヒナ、火花を散らしながらショートしているロボットを見下ろしながら歩いていると、通路の奥から何者かの叫び声が聞こえてくる

 

 

「────っ!取り逃がし!?マズイ……!」

 

 

暴走したロボットが市民を襲っていると判断したヒナは、即座に駆け出して声の方向に向かった

 

狭い通路を抜け、広間に出たヒナは足音のする方へ視線を向ける─────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

─────パンツ返せやガラクタがああああああああああっ!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

─────そこには、大声を出しながら暴走する一台の機械を追う少年がいた

 

上半身は裸で下半身は試着室のカーテンらしき物を巻いており、怒りの形相で走っている

 

そして暴走ロボットは服やズボン、そしてパンツ等が入ったカゴを持っていた

 

「ぁ………ぇ……?」

 

 

ヒナは少年の顔を見て小さく声を漏らした

 

だって、あれは、本当に

 

纏まらない思考の中で、ただ一つハッキリしている事がある

 

 

「……しゅせ……ん……?」

 

 

それは、あの少年が自身がずっと待ち望んでいた存在であるということ

 

夢で何度も何度も見てきた、己の半身と言っても過言ではない………そんな存在が目の前にいる

 

 

 

 

 

─────オラッ!俺が所確幸から借りた服を返せっ!

 

 

 

 

 

暴走ロボットに飛び掛かり、衣類の入ったカゴを奪い返す少年

 

あの声、あの顔、あの姿、どれも全部知っている

 

風紀委員じゃなくてもずっと一緒に戦ってくれた

 

ゲヘナの生徒じゃなくてもずっと私を支えてくれた

 

私の隣に居なくても─────ずっと私の隣に居てくれた

 

口元を震わせ、瞳からは長年溜め込んできた物が少しずつ零れ出してきた

 

そしてヒナは─────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「酒泉っ!!!」

 

ふぅ……また変態扱いされるところだっ─────いやああああ!!?誰かに抱きつかれてるうううううう!!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

─────武器も取り返した衣類も何もかも投げ出し、目の前の少年に勢いよく抱きついた

 

 

 

「本物……本物の酒泉だ……!」

 

だ、誰です────え?空崎さん?なんでこんな所に………いや、そもそもどうして俺の名前を……?

 

………もしかして、別世界とか未来の世界とか全部俺の勘違いだった?

 

「やっと会えた……!私、この日の為にずっと頑張ってたんだよ……?」

 

えっと……よく分からないですけど、とりあえず一旦離れません?腰に巻いてるカーテンが……その……

 

「エデン条約だって結んだし、ベアトリーチェだって倒した!それに………色彩だって撃退したんだよ?」

 

ちょっ……マジで離れ────ぎゃあああああああ!!?カーテンがああああああ!!?

 

離れて!!!マジで離れてください!!!

 

「嫌……!絶対に離さない……!」

 

 

 

 

腰に巻いていたカーテンがパサリと落ち、必死の形相で暴れる少年

 

ヒナはそんな彼を逃がすまいと、より力強く抱きしめる

 

そんな状態で暴れていたせいか、少年とヒナの足が絡まって転倒しかけてしまう

 

その直前にヒナが自身をクッションにするかのように体勢を変え、二人でそのまま倒れ込む

 

 

 

 

 

────っ……だ、大丈夫ですか!?空崎さん!

 

「…………」

 

 

 

 

両腕で少年を抱きしめたまま無言で見つめるヒナ

 

この文面だけ見ればただ男女が抱き合っているだけだが………問題は少年が〝全裸〟だという事だ

 

〝裸の男が幼い少女に覆い被さっている〟という犯罪一直線な光景になっていることを自覚した少年はすぐに退こうとする

 

だが、ヒナはより強く両腕に力を込めて少年をガッシリと捕まえる

 

 

 

 

 

─────空崎さん!?何やってるんですか!?

 

「本当に酒泉だ……!この体温、この匂い、全部夢で感じたのと同じ……!」

 

この状況分かってます!?今すぐ離してくれません!?

 

「やだ……やっと会えたんだもん……ぜったいにはなさないから……!」

 

えっ!?〝やっと〟ってどういう事!?空崎さんが俺のことを知っているんなら、ここはいつも通りの世界なんじゃ………待て、貴女は本当に俺の知っている空崎さんか──────

 

 

 

 

 

 

 

 

涙を流しながら必死にしがみつくヒナを振り払えずにいると、そんなヒナの姿に違和感を感じた少年が何かを問おうとする

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「貴様……ヒナに何をしている?」

 

「向こうでお話しよっか?大丈夫!すぐに終わるからさ☆」

 

「アリス、ヒナを泣かせる者は許しません!」

 

「おじさんにも詳しく事情を聞かせてほしいな~?」

 

 

 

 

 

その直後、四つの鋭い殺気が少年の背中を襲う

 

サオリが、ミカが、アリスが、ホシノが、全員が少年の後頭部に銃口を突きつけている

 

この日、この瞬間にこの少年────折川酒泉は〝変態〟のレッテルを張られた

 

 

 

 

 

 

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