〝アリウス〟潰すゾ!!!   作:あば茶

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劇場版ブルーアーカイブ~さよならのミッション~

 

 

 

 

キヴォトスに生まれ落ちた一人の少年

 

赤く染まった空から青を取り戻し、裏返った暁を下し、偽りの神を落とした、そんな英雄の名は───

 

 

 

ミカ「折川酒泉?……誰?」

 

サオリ「……貴様なぞ知らん」

 

リオ「……誰だか知らないけれど、私を理解しているかの様な口振りはやめてくれないかしら」

 

シロコテラー「ん、新聞なら間に合ってる、さっさと帰って」

 

マルクト「……該当無し、我の記憶にこの人物の情報は存在しません」

 

ヒナ「折川酒泉?……私の知る限り、そんな人物は風紀委員会どころかゲヘナ学園に所属すらしていない筈だけど」

 

 

 

 

酒泉「…………嘘だろ?」

 

 

 

 

突如居場所を失った少年は、唯一頼れそうな者の場所へ

 

しかし、そこでは────

 

 

酒泉「なっ……せ、先生!?先生!しっかりしてください!」

 

酒泉「よかった……気絶してるだけだ……でもなんで───そうだ!アロナさんは!?アロナさんに事情を聞けばきっと……!」

 

酒泉「っ、シッテムの箱の電源が切られている……?馬鹿な、先生がこんな不用心な真似をする筈が……でも、シッテムの箱を起動できる人なんて先生か、もしくは俺の様な〝ブルアカ〟のプレイヤーだった人物くらいしか────」

 

ユウカ「───せん、せい?」

 

酒泉「っ、早瀬さん!丁度良かった!先生が、先生が倒れて───」

 

ユウカ「何よ、これ……貴方の仕業なの!?」

 

酒泉「えっ!?い、いや……違っ……!」

 

 

有らぬ容疑を掛けられた酒泉、何が起きているのか分からぬまま取り調べを受けることに

 

 

酒泉「ですからっ!その日は風紀委員の皆と働いてたって言ってるでしょう!?ちゃんとアリバイあるんですから信じてくださいよ!」

 

カンナ「その風紀委員の皆とやらが〝折川酒泉なんて人物は知らない〟と口を揃えて答えているんだ、いい加減罪を認めたらどうだ」

 

酒泉「そんなっ……」

 

 

味方も、居場所も、積み重ねてきた信頼も

 

全てを失った少年は、何が敵なのかすら分からず獄の中で失意の底に沈んでいた

 

 

 

(皿に乗せられた大量のミミズ)

 

 

酒泉「……」

 

囚人A「おいおい、どうした新人ちゃんよぉ」

 

囚人B「こっちは新入りの為に頑張って御馳走用意してやったんだぜぇ?」

 

囚人C「まさか食えないなんて言わねえよなぁ!?」

 

 

 

 

──────────

 

 

 

 

ミスズ「あ、あの……こ、ここでの生活は慣れましたか……?」

 

酒泉「はい、そこそこ」

 

囚人A(ボコボコ)「おいてめえらぁ!!!酒泉様は甘いもんが好物らしい!!!」

 

囚人B(ボコボコ)「デザートの杏仁豆腐を酒泉様に献上しろぉ!!!」

 

囚人C(前が見えねェ)「」ピクピク

 

ミスズ「あ、あの……彼女達はどうしてあんな大怪我を……?」

 

酒泉「なんか転んだらしいっすよ」

 

 

 

全てを失っても、それでも持ち前の〝強さ〟で襲い来る不幸に耐え抜く酒泉

 

そんな彼に、一人の来客が────

 

 

 

看守「さっさと歩け!面会時間は限られているんだぞ!」

 

酒泉「はっ……今の俺に会いたがる野郎なんざ、どうせマスコミか恨みを持つ奴のどっちかだろ」

 

 

扉の先には────

 

 

ノア「……折川酒泉君」

 

酒泉「……ほらな、どうせ先生の件で俺に恨み言を吐きに───」

 

ノア「風紀委員会に入部後、一年生とは思えない驚異の早さで功績を残していく」

 

酒泉「………………え?」

 

ノア「調印式では先生の命を救い、アリウス自治区では重要人物の保護に成功し、ミレニアムでは大規模なシステムトラブルを未然に防ぐ」

 

酒泉「なん……で……」

 

ノア「その他にもアトラ・ハシースや鋼鉄大陸では人類を救う為の戦いで多大な貢献をし、以後は空崎ヒナに並ぶゲヘナの〝最強〟として名を───」

 

酒泉「っ……ぅ……ぐ、ぅ……ひっぐ……」ポロポロ

 

ノア「……ふふっ……酒泉君」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ノア「私の記憶力、舐めないでくださいね?」

 

酒泉「うあああああああああ───!」

 

 

 

 

 

意外なコンビ、誕生────

 

 

 

ノア『酒泉君が皆に忘れ去られてしまったこのタイミングで、敵はまるで酒泉君が次に誰を頼りに行くのか分かっているかの様に先生を襲った……間違いありません、この二つの事件の黒幕は同一人物です』

 

 

 

酒泉「……」

 

看守「運動の時間だ、さっさと起きろ」

 

 

 

ノア『後は時間が経つに連れて勝手に酒泉君の罪である事が確定されていくので、黒幕としては自分から動く理由は全くないでしょう』

 

 

 

酒泉「……」

 

看守「おい、聞いてるのか?早くしろ」

 

 

 

ノア『でも……そんな酒泉君が突然牢の中から消えたとしたら?』

 

酒泉『黒幕も嫌でも俺の動向を追わざるを得ない……』

 

ノア『となれば尻尾を出してくる可能性も多少はある筈です』

 

酒泉『……つまり』

 

ノア『はい───』

 

 

 

酒泉「……」

 

看守「っ、おい!いい加減に───ひでぶっ!?」

 

 

 

ノア『脱獄しちゃいましょう♪』

 

酒泉「……なんかあったらインタビューで〝あんな事する様な子には見えなかった〟くらいは言ってくださいよ!生塩さん!」

 

 

 

覚悟を決め、ノアの力を借りて脱獄する酒泉!

 

 

 

 

《───緊急速報です!シャーレ襲撃の容疑で拘束されていた折川酒泉容疑者がつい先程脱獄したとの情報が────》

 

 

そんな二人に差し向けられる実力派の追っ手達!

 

敵は全学園!?

 

 

 

 

プラナ《……妙です、彼は何故反撃してこないのでしょうか》

 

シロコテラー「……どういうつもり?」

 

酒泉「……アンタらとは戦いたくない」

 

マルクト(……なんでしょう、この胸が締め付けられる様な感覚は)

 

 

 

シロコ「ホシノ先輩……どうしてあいつを助けたの、あいつは先生の敵なのに」

 

ホシノ「……大切な人を失った目をしてたから、かな」

 

 

 

サオリ「何の真似だミサキ!何故奴を追うのを阻む!?」

 

ミサキ「さあね、ただ……リーダー達の指示に従うよりあの男の〝追わないでくれ〟って声の方が何故かハッキリ耳に届いてさ」

 

サオリ「……何?」

 

ミサキ「可笑しな話だよね、あの男とは初対面の筈なのにリーダーや先生よりも……アイツの指示に従いたくなるなんてさ」

 

アツコ「ミサキ……今のミサキは誰の猟犬なの?」

 

ミサキ「……道具の方がしっくりくるかな」

 

ヒヨリ「ど、道具!?ま、まさかミサキちゃん……ついに自己肯定感が私レベルにまで落ちてしまったのでは……!?」

 

ミサキ「……まあ、ヒヨリは真っ先に潰すとして姫とリーダーも通すつもりはないから」

 

ヒヨリ「うわああああん!?」

 

 

 

ミカ「貴女、彼の仲間なの?それならさっさと居場所を吐いてほしいな☆じゃないと……折るよ?」

 

ワカモ「残念ながら私も彼の居場所までは知りません……彼の正体も、何なら過去も」

 

ミカ「……はあ?それじゃあ何も知らない奴の味方してるっていうの?」

 

ワカモ「ええ……ですがそれでいいのです、何故なら───何故なら私の本能が彼を!!あの殿方を!!〝貴方様〟と認めているのですからっ!」

 

ミカ「……」

 

ワカモ「面識がなくとも!記憶がなくとも!〝貴方様〟は間違いなく〝貴方様〟です!ふふっ!うふふふふふふっ!!」

 

ミカ「……なんなの、こいつ」

 

「ああっ♡貴方様貴方様貴方様ぁ♡♡♡」

 

 

 

酒泉「っ、足が……!」

 

リオ「ケイ、でかしたわ。このまま機動力を奪い続け、確実に捕獲しましょう」

 

トキ「もはや逃げ道はありません、大人しく投降してください」

 

ケイ(そうです、あの男は先生の命を狙った敵なんです。だからこれは報いです、全部彼の自業自得なんです!なのに───)

 

酒泉「……まだだ、まだ……あの場所に行けば……!」

 

ネル(……こいつの戦い方、まるでアタシらを傷付けんのを避けてるみてえだ。その証拠にさっきから銃を持つ手元や追いかけようとする足元ばかり狙ってきやがる。しかもこの期に及んで反撃するどころか逃げようと……どうする?一旦リオの野郎を説得してアイツから話を───)

 

ケイ「……ゃ……です……」

 

リオ「……?ケイ、どうしたの───」

 

ケイ「嫌……です……!」

 

ネル「お前……」

 

アリス「ケ、ケイ?どうして泣いているんですか?」

 

ケイ「敵、なのに……悪い人、なのに……!き、傷付ける度に……むねが……むね、がぁ……きゅっと、して……!」

 

 

 

 

 

 

ユウカ「ノア……どうして!?どうして折川酒泉の味方をするの!?あの男は先生を傷付けたのよ!?」

 

ノア「ユウカちゃんこそ本気でそう思っているのですか?あの〝折川酒泉〟が先生を傷付けたと」

 

ユウカ「っ、だから!私は彼の事なんか何も知らないわよ!」

 

ノア「いいえ!ユウカちゃんだって確かに魂に刻み込まれている筈です!あの日の記憶が!」

 

ユウカ「あの日?何の話を……」

 

ノア「酒泉君が攻めか先生が攻めかで激しく口論した!!!あの日のぶつかり合いを!!!」

 

ユウカ「本当に何の話!?」

 

 

 

紡がれる絆、砕ける絆

 

心身共に傷付き、それでも進み続けた

 

そして決戦前夜───

 

 

 

酒泉「ありがとうございます、生塩さん……生塩さんが居なかったら俺、ここまで来れませんでした」

 

ノア「気にしないでください、私自身の為でもありますので……何もかもが記憶から懸け離れた世界で生き続けるのは苦しいので」

 

酒泉「……それでも、ありがとうございました」

 

ノア「……ねえ酒泉君、私達結構良いコンビだったと思いませんか?」

 

酒泉「そうですね!意外と話も合いましたし」

 

ノア「……もし」

 

酒泉「?」

 

ノア「もし、私達がもっと早く出会っていれば……今よりもっと密接な関係になっていたかもしれませんね」

 

酒泉「それって……友達とか?」

 

ノア「ふふっ♪それも面白そうですが───っ!?」

 

酒泉「っ!?敵襲!?このタイミングでって事はつまり……」

 

ノア「……いよいよ決戦、ですね」

 

 

 

明かされる正体

 

全てを乗り越えた先で、待ち構えていた者とは───

 

 

 

先生「悪いけど君に構っている暇はないんだ、沢山眠っていた分たっぷり働かないと……じゃないとあの子が───」

 

黒服「貴方は気になりませんか?このキヴォトスが折川酒泉が存在しない世界へと〝変化〟しようとしているのか、それとも───折川酒泉が存在しない世界へと〝戻ろうと〟しているのか」

 

先生「なっ……」

 

黒服「……先生、貴方は自浄作用という言葉を御存知ですか?」

 

先生「……教員なんだから知ってるに決まってるでしょ」

 

黒服「それなら話は早い……今回の件、こうは考えられませんか?本来ならキヴォトスには存在しない筈の異物が好き勝手に未来を変えてきた結果、キヴォトス自身が本来の歴史に戻るべくその〝異物〟を排除しにきたと」

 

先生「……酒泉はキヴォトスの生徒だよ」

 

黒服「クックック……何にせよ、彼の手助けをするつもりであれば先生も覚悟しておいた方がいいですよ。もし私の仮説が正しければ、彼の敵は全学園どころか───」

 

 

 

 

 

 

────敵は、キヴォトスそのもの

 

 

 

 

 

酒泉「……こいつは驚いたな、まさか黒幕の正体が生き別れの兄弟だったなんてよ」

 

酒泉?「ははっ、こんな状況でも冗談が言えるなんて流石はキヴォトスの英雄だね……英雄なんて、本来なら存在しなかった筈なのに」

 

酒泉「……その姿は?」

 

酒泉?「ああ、この姿の事は気にしないでよ。僕はキヴォトスの意思そのもの、故に決まった姿が無くてね……だからこうして一番印象に残った人の姿をコピーさせてもらったんだ」

 

酒泉「印象に残った……か、一応聞くがそれはどういう意味でだ?」

 

酒泉?「勿論───嫌悪を感じる存在としてだよ」

 

酒泉「こりゃ随分と嫌われたもんだな、特にキヴォトスに向かって立ちションしたりポイ捨てしたりした覚えはないんだがな……」

 

酒泉?「あはは、それならまだマシだったよ。でも、君はもっと重い罪を……歴史改変という大罪を犯した」

 

酒泉「……」

 

酒泉?「プレナパテスは〝卒業式〟なんか行わず、生徒の旅立つ姿を見送るべきではなかった。デカグラマトンの使者は鋼鉄大陸で救われず、あの子達はあそこで海に飲まれて死ぬべきだった。そして君は───そもそもこの世界に生まれるべきではなかった」

 

酒泉「……それが正しい歴史だから、か?」

 

酒泉?「その通りだ、創造主様には敬意を持つべきだよ……という訳で!君はこのまま何もせずここで突っ立っててね!このまま本来の歴史に戻ればシロコ達が卒業式を行って悔いなく先生を見送れたってストーリーも、マルクト達が姉妹仲睦まじく過ごしてるってストーリーも、みーんな無かったことになるんだから!」

 

酒泉「……はは、はははっ」

 

酒泉?「……何が可笑しいの?」

 

酒泉「完璧なストーリー作り上げてくれてる一流シナリオライター様には悪いけどよぉ……俺が生まれ落ちた時点でこの世界は〝二次創作〟なんだわ」

 

酒泉「つまりよぉ……この世界をどう変えようがっ!!オリ主様の自由だよなぁ!?」

 

酒泉?「……愚かだねぇ」

 

酒泉「三流オリ主は三流らしく!三流のハッピーエンドしか書けねえんだよぉ!!!」

 

 

 

支配者を!色彩を!神を打ち倒した男!

 

最後の相手は〝世界〟!!!

 

 

 

酒泉?「ははっ!はははははっ!やってしまったねぇ!?僕を倒せば〝本来の歴史〟が崩壊し、それを元に生み出された〝二次創作〟は生まれなかった事になる!」

 

酒泉「……」

 

酒泉?「ざまあみろ!歴史を変えようとするからそうなるんだ!誰彼構わず助ける事が正しい事だと信じ込んで!その行動の末に誰も彼も失う事になるんだ!」

 

酒泉「……だったら、俺も消えればいい」

 

酒泉?「はははは!あはははは…………は?」

 

酒泉「俺もお前と一緒に消えれば原作と二次創作という二つの概念が同時に消える事になる……つまり、この世界はどちらにも属さない〝新たな世界〟になる」

 

酒泉?「なっ……お前!正気か!?」

 

酒泉「正気だよ……頭の中に出会ってきた皆の顔が浮かんじまうくらいにはな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヒナ「はっ……はっ……」

 

ヒナ「お願い……間に合って!」

 

ヒナ「やっと……やっと思い出せたの!忘れちゃいけない貴方の事を!誰よりも大切で!誰よりも大好きだった貴方の事を!」

 

ヒナ「私はまだ伝えていない!抱えてる気持ちの半分も!まだ貴方にぶつけていない!」

 

ヒナ「……っ、居た!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「────しゅせ」

 

「さよなら、空崎さん」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

劇場版ブルーアーカイブ~さよならのミッション~

 

 

 

 

 

 

 

 

先生「今日の青空は一段と綺麗だね」

 

ユウカ「そうですね、珍しく仕事も少な目ですし……後はミレニアムの方で何事も起きていなければいいんですが」

 

先生「はは……」

 

ノア(……)

 

ユウカ「……ノア?どうしたの?ボーッとしちゃって」

 

ノア(さて、私達を見守ってくれているこの青い空を守ったのは一体誰なのでしょうか)

 

ノア「───ねえ、酒泉君」

 

先生「酒泉?」

 

ユウカ「誰よそれ?」

 

ノア「さあ?誰の事でしょう?」

 

ユウカ「ええ……ノアが言ったんでしょう……?」

 

ノア「ふふっ♪それより先生、この後三人で御食事する予定ですが……折角なのでトリニティのケーキバイキングに行ってみませんか?」

 

先生「お、お昼にケーキバイキング!?それは流石に私の胃が……」

 

ユウカ「ノ、ノア?急にどうしたのよ?貴女、そんな大食いキャラだった……?」

 

ノア「いえ……ただ、今は───」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「無性に甘い物が食べたい気分でして」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

7月25日公開!

 

そして同時上映!イブキと酒泉の夏休み!

 

 







折川酒泉はキヴォトスに紛れ込んだ異物説

vs

折川酒泉はキヴォトスがバッドエンドルートに対抗する為に生み出したカウンターウエポン説
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