〝アリウス〟潰すゾ!!!   作:あば茶

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全員ifの記憶持ち&二週目(結局酒泉君除く)

 

 

 

 

「……ここからなら誰にもバレずに帰れる」

 

────ど、どうも……

 

「……」

 

「……」

 

 

シロコテラーに案内されるがままに謎空間を通ってみればあらびっくり、そこはなんと俺の行き付けのスーパーの裏側でした

 

若干ビクつきながら礼を言うと、シロコテラーとプラナはどこか悲しそうに俯いてしまった

 

 

「……そんな他人行儀にしなくてもいいのに」

 

「……同意、私達は酒泉さんとの良好な関係を望んでいます」

 

 

んなこと言われても俺としてはずっと〝知らん…何それ…怖…〟みたいな状態なので普通に困る

 

初対面である筈の聖園ミカには何故か執着されてたし、シロコテラーやプラナも妙に優しくしてくれるし……ていうか前者も後者も俺の事を何故か知ってる風だったしでとにかく困惑しかない

 

危機から救ってくれたのには感謝してるけど、冷静に考えたらそれすらも理由分からないし……

 

 

「まあまあ……私達の事はこれから知ってもらえばいいよ、時間を掛ければ仲良くなれるはずだからね」

 

 

未だに整理のつかない頭を何とか落ち着かせようとしていると先生(女性の姿)が二人の後ろからひょっこりと姿を現した、結局性別どっちなんです?

 

 

「はい、これ私とシロコとプラナの電話番号ね……あ、当たり前だけど私達がこっちの世界に来てる時しか繋がらないから」

 

────え?いや……

 

「私の世界の方の仕事とかもあるから頻繁に来れるって訳じゃないけど、タイミングさえあればいつでも力になるからね」

 

特に謎なのがこの人、プレナパテスだ

 

一体どうしてこの人は俺と会話してる時にこんな嬉しそうな顔をするのだろうか、出会ったばかりの赤の他人との会話なんてそんな楽しいのか?

 

会ったばかりの俺にここまで親身になろうとしてるのも俺に合わせて性別コロコロ変えたりするのも色々謎すぎる

 

 

「それじゃ、私達はこれで」

 

────あ、はい……その、助けてくれてありがとうございました

 

「気にしないで、酒泉の役に……こほん、生徒の役に立てるのならそれが本望だから」

 

「……また迎えに来る」

 

 

謎の空間の奥に身を引っ込めるプレナパテスとシロコテラー、謎だらけの存在ではあるものの一応助けてもらったのは事実なので最後まで見送ろうとその場に留まる事にした

 

……のだが、プラナだけは一向に動こうとはしなかった

 

 

「……プラナ?どうしたの?」

 

「……私は先生やシロコさんと違ってこの空間内でしか実態を維持できません、こうして酒泉さんと直接触れ合える機会も限られています」

 

────はぁ……そっすね……?

 

「ですから……その……ぅ……」

 

 

目をパッチリ閉じたまま無言で近寄ってくるプラナ、表情を顔文字で例えるなら><みたいな感じになっていた、かわいい!(伝説の野菜人並感)

 

しかしプラナが何を訴えようとしているのか分からなかったので此方も無言のまま佇んでいると、プラナの背後で先生が何かを思いついた様に手を叩いた

 

 

「そっか……酒泉、ちょっとお願いしたい事があるんだけどいいかな?」

 

────うぇ!?お、俺にできる事なら構いませんけど……

 

「ありがとう、それじゃあ……プラナの頭を撫でてあげてくれないかな?」

 

────……え?俺が?

 

 

 

撫でる?プラナの頭を?……俺が?

 

そんな事をしたところで何の意味があるのか分からない……が、プラナも特に先生の言葉を訂正しようとはしていないところを見るに先生の予想は正しかったのだろう

 

しかしそうなると今度はどうしてプラナが俺に撫でられる事を望んでいるのかという疑問が生まれる、しかし俺の少なめの脳ミソでよく考えたところで何も答えが出てこないので酒泉は考えるのをやめた

 

 

────えっと……こう、ですか……?

 

「っ……」

 

 

先生に言われるがままプラナの頭に手を置くとプラナはびくりと反応したが、目を瞑ったまま特に嫌がる様子も見せなかったのでそのまま恐る恐る手を動かして撫でた

 

何度か撫でていくうちに緊張した様に縮こまっていたプラナも少しずつ自然体になっていき、やがて頬を緩めて笑みを浮かべ始めた

 

それはスマホの外からは一度も見た事がないほど穏やかで幸せそうな笑みだった

 

 

「えへへ……」

 

────えっと……じゃあ……そろそろいいですかね……?

 

「あっ……」

 

 

俺なんかに撫でられただけでどうしてそんな嬉しそうに笑えるのか、その理由は知らないが一通り撫で終えたしもういいだろうとプラナの頭から手を退かす

 

するとプラナは物足りなそうに遠ざかる俺の手を見つめていた

 

 

 

────んじゃ、今度こそさようならって事で…………っ?

 

「……ん」

 

 

 

引き戻す手を逆に引き寄せてくる力の正体、それはシロコテラーの手だった

 

何か気に触る事でもしてしまったかと咄嗟に謝罪の言葉を考えたが、その直後にシロコテラーは俺の手をぽすんと自分の頭に乗せてきた

 

 

 

「ん」

 

────……ん?

 

「……ん!」

 

 

何かをねだるように目で訴えてくるシロコテラー、これはもしや……そういう事なのだろうか

 

後ろで立っているプレナパテスにちらっと目配せしてみると、プレナパテスは頼み込むように両手を合わせてきた

 

 

「……ん」

 

 

プラナの時みたいに右手で頭を撫でてみれば、シロコテラーは心地好さそうに目を閉じた

 

プラナもシロコテラーもこんなにも赤の他人の俺に気を許すなんて……もしかしたら俺の手には謎のフェロモンが宿っているのかもしれない、ナデポ的な

 

そんなふざけた事を考えていると今度は左側からちょいちょいと服を引っ張られ、視線を降ろしてみるとそこではまたプラナが俺に寄って見上げていた

 

 

「酒泉さん、その……」

 

 

ちらちらと物欲しそうに俺の左手を見てくるのでこれまたもしやと思って左手をプラナの頭に乗せて撫で始めると、プラナは先程と同じ様に幸せそうに笑った

 

 

「ふふっ……」

 

「んっ……」

 

 

やっぱナデポ宿ってるでしょ……いや、撫でる前から妙に好感度高かったしナデポだけじゃなくてニコポも宿ってるかもしれない

 

いや待て、それだとそもそも微笑みかける前から好感度が高かった事が謎になってしまう

 

 

「そんな難しい顔してどうしたの?悩み事でもあるのかな?」

 

 

そんな事を考えていると俺の頭に何かを乗せられる感覚を覚え、それと同時に背後から声が聞こえてきた

 

後ろを振り向いてみればいつの間にか先生が俺の背後に回っており、先生は左手で俺を抱き締めて右手で俺の頭を撫で始めた

 

 

「困った事があれば遠慮せず言っていいんだよ?私達は酒泉の味方だからね」

 

 

現在進行形で困ってます、前世ではモテたいモテたい言ってたけどいざ正体不明の好意を直接ぶつけられると普通に脳が混乱する

 

何だこの状況、プラナとシロコテラーを撫でている俺が先生に撫でられている?まるで意味が分からんぞ!

 

ていうか先生に密着されてるせいで背中に柔らかい感触ががががががが……待て落ち着け、先生は男だ、そう思えばこの気持ちも抑えられ……え?でも先生は〝酒泉の望む方〟って言ってたよな?じゃあ女性として意識してしまっているこの状況だと女性という事になるのでは?そもそも元の性別って結局どっちなの?

 

理解不能!理解不能!理解不能!理解不能!

 

 

 

 

────……に

 

「に?」

 

────逃ーげるんだよォ!!!

 

 

 

 

なんか脳がショートしそうになったので咄嗟に三人の包囲網を振り払って全力ダッシュでその場を抜け出す

 

後ろから〝またねー〟と声が聞こえてきたのでちゃんと手は振っておいた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────どうしよう、買い物してねぇ

 

 

 

そうして逃げ出した後で気づいた、店長に頼まれてた洗剤と石鹸を買っていない事を

 

ティーパーティーのヤベー奴のせいで買い物する機会を奪われ、そのままシロコテラーに助けられる形でアトラ・ハシースに連れ込まれたんだった

 

……そういやさっき転送された場所って行き付けのスーパーの裏だったじゃん、そこで買えばよかったな

 

 

 

────しゃーない、今日はコンビニで買うか

 

 

 

ちょっと高いけど今更戻るのも面倒だし、これ以上店長を待たせるのも悪いしな

 

トリニティの激安商品を買えなかったのは残念だけど、今から戻ってまた聖園ミカに遭遇するのも怖いし……暫くトリニティには寄らんようにしよう、うん

 

 

 

────……そういや、俺を追ってた人の中にシスフとか正実の生徒も混じってたよな

 

 

 

もしかしたら聖園ミカやプレナパテス達みたいに向こうも一方的に俺を知ってたり?……だとしても何で追い回してくるんだって話になるけど

 

余所者を追い出そうとしたとか?……いやー流石のトリニティでもそこまで陰湿じゃないだろー

 

そもそも向こうが俺を一方的に知ってる理由はなんだ?原作での先生みたいに特に目立った活躍した訳でもないのに……ネームド学園に通ってる訳でもないしな

 

 

 

────うーん……謎が深まるばかりだ

 

 

 

なるべく早く帰りたいとプレナパテス達に頼まず、もう少し話を聞いてから外に出してもらうべきだったか

 

そうすればあの人達が俺を知っていた理由を教えてもらえるかもしれな……ん?

 

 

 

────……そういや、あの人アロナの事を〝プラナ〟って呼んでたな

 

 

 

その呼び方は此方の世界のアロナが名付けた名だったはず、なのにどうして最初からプラナ呼びされているのだろうか

 

それに向こうの世界だとシロコテラー以外のアビドスの生徒も生き残ってるみたいだし、原作と全く違う展開を歩んでいるのもまた謎を呼んでいる

 

 

────……ん?向こうの世界……あっ!?そういう事か!

 

 

 

漸く謎が解けたぞ!プレナパテス達が俺の事を知っていた理由!それは……プレナパテスの世界にも俺が存在したんだ!

 

多分向こうの俺が妙な好感度の稼ぎ方をしていて、それでシロコテラーやプラナにも懐かれていたんだろう、名探偵酒泉ですまな……んん?でもそれっておかしくないか?

 

プレナパテスは俺と会った時に〝この姿に見覚えはないか〟って聞いてきただろ?つまり少なくとも過去に一回はプレナパテスと俺が遭遇していると向こうは仮定している訳で、やっぱりこの世界の俺自身と知り合いという事に……いや、もしかしたら〝こっちの世界の私とは既に知り合ってるのか〟って確認してきただけかもしれないし……駄目だ、混乱してきた

 

俺馬鹿だからわかんねえけどよぉ……馬鹿だからわかんねえわ

 

 

 

────糖分……糖分が欲しい……!

 

 

 

慣れない考え事をしたせいで頭が痛くなってくる、やっぱこういう時は甘いもんに限る

 

やはりスイーツ……スイーツは全てを解決する……!

 

 

 

────コンビニでアイスでも買うか……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──────────

 

────────

 

──────

 

 

 

 

 

 

 

────やっぱチョコミントしか勝たん

 

 

 

 

これを歯磨き粉呼ばわりする奴は舌がイカれてるんじゃないだろうか、どう考えても歯磨き粉にはならんだろ

 

甘さと爽快さを兼ね備えた最強のアイスだというのにどうしてこれを嫌う者が存在するのか……いや、多分ミントってところが受け入れられないんだろうな

 

ミント嫌いの皆様には是非とも一口でいいから食べてみてほしい。そうすれば気付くだろう、思っていたよりミント味はしないという事に

 

 

────あーうま……

 

 

スマホを弄りながら陽の光を浴びてコンビニのベンチでアイスを堪能する、学生オブ学生みたいな人生送ってんな俺

 

一度死んだ身でありながら二度目の人生を送らせてもらえるなんて俺は間違いなく幸せ者だろう

 

たとえ孤児院の大人に捨てられようと店長のような優しい大人に拾ってもらえ、その上キヴォトスで争いとは無縁の生活を送れているのだから

 

……そういや今まで考えた事なかったけど俺みたいに記憶を持ったまま二回目の人生歩んでる人っているのかな?……まあ、いるわけないか

 

 

 

────記憶を持ったままってだけでも奇跡なのにな……ん?

 

 

 

適当にネットの記事をスライドしていると〝ミレニアムサイエンススクール〟の一文が目に入る

 

特に関わりのある学園って訳ではないが、多くのネームドが所属する学園という事もあってつい気になってしまった

 

 

 

────なになに?……ミレニアムEXPOの開催日変更?

 

 

 

ミレニアムEXPO、技術の展示会……だったか?そんな話をチラッと耳にした事がある

 

急に開催日を変更するなんて一般生徒からクレームが入るかもしれないのに何を考えているんだか

 

 

 

────ん?……んん!?

 

 

 

技術者の皆さんには同情するぜ、なんて思いながら記事の写真を見ているとその中で幾つか気になる展示予定品を発見した

 

それは巨大ロボット(アバンギャルド君と違ってちゃんとカッコいいやつ)だったり特撮の変身ベルトみたいなのだったりと、とにかく俺好みの展示品ばかりが表示されていた

 

前言撤回、さっさと始まらねーかなミレニアムEXPO

 

こんなんもう俺の為に開催された展示会でしょ……おん?

 

 

 

────なんだ?今度はトリニティの記事か?

 

 

 

最新記事の欄に〝トリニティ〟という文字と〝スイーツ〟という文字が書いてあったのでそこの記事もついでに覗いてみる

 

すると、そこに表示されたのは〝トリニティ、スイーツ祭り開催!〟という記事だった

 

 

 

────おお!?これまた俺好みなニュースが……!

 

 

 

どうやらスイーツ祭りではトリニティ中の有名スイーツ店が集まってくるらしく、その中にはなんとミラクル5000も混じっているのだとか

 

いいな……展示会も気になるけどこっちも気になるな……ん?なんだ?

 

 

 

────今度はゲヘナの最新記事か?

 

 

 

またまた記事が更新されていたので今度はそちらを開いてみる

 

さーて、この流れでいくとゲヘナも何かしらの行事を開催してそうだけど…………?

 

え?何これ?俺の見間違いか?……は?え?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────……はあ!?風紀委員会と万魔殿がアイドルデビュー!?ライブ開催決定!?

 

 

 

つまり……あの空崎ヒナのアイドル姿が見れる……ってコト!?

 

 

 

 

 

 

 

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「アビドスの生徒募集の記事、全然アクセスされてない……これじゃ酒泉君に見てもらえないよぉ……」

 

「当然ですよ、こんな規模の小さい学園の記事なんて目に留まるはずないじゃないですか」

 

「ひぃん……どうすればいいのぉ……」

 

「決まってるでしょう?……他の学園に出向いたところを押さえればいいんですよ」

 

「か、考え方が物騒すぎるよホシノちゃん!?」

 

「じゃあどうするんですか?他に方法でも?」

 

「え、えーっと……そうだ!酒泉君がアビドスの良さを理解してくれるまでずっと一緒にアビドスで暮らし続けるっていうのはどう!?」

 

「……無自覚でそんな発想が出てくる先輩の方が物騒だと思いますよ」

 

「そんな!?」

 

 

 

 

 

 

 

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「やはり仕掛けてきたか……ゲヘナ学園」

 

「どうするサッちゃん?私達もアイドルデビューしちゃう?」

 

「で、ですが私達には衣装も何もありませんし……」

 

「そこはトリニティの力を借りればいいよ、酒泉を連れて帰る為って言えば多分協力してくれるだろうし」

 

「私は反対」

 

「どうして?」

 

「……アイドルが着るような服なんて絶対着ないから」

 

「そう?でもミサキがふりふりの服を着て踊れば酒泉も喜んでくれると思うよ?」

 

「……別に酒泉の感想なんてどうでもいいんだけど」

 

「で、ではこの案は無かった事に……」

 

「は?着ないとは言ってないでしょ」

 

「あ、はい……」

 

(アイドル衣装か……私が着たところで酒泉を喜ばせられるかどうか……)

 

 

 

 




以下オマケ


「ナギちゃん?どうして私に内緒で正実に出動許可を出したのかなぁ?」

「特に深い理由はありませんよ、私はただ〝以前〟彼にお世話になった事があるのでその礼をと思っただけです」

「おや?君が世話になったのは〝キヴォトス仮面様〟だろう?」

「……」

「……」

「……」
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