〝アリウス〟潰すゾ!!!   作:あば茶

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if世界~トリニティルート~その6

 

 

 

………つーわけでこれまで調べてきた情報や白洲さんからの情報、そして昔のトリニティの地形図から見るに、この辺が怪しいと思ってるんですけど………歌住さんはどう思います?

 

『……なるほど、確かにこの辺りならセイアさんや酒泉さんの言っていた〝例のカタコンベ〟も近そうですね……』

 

……それと、ほんの数件程度ですけど昔この辺りで〝マスクのような物をつけた少女達を見かけた〟という苦情が入っています

 

『苦情?』

 

はい、おそらく事前告知も無しにトリニティが突然この辺の土地で勝手に演習を始めたと勘違いした人がいたんでしょう

 

『そうですね………それにしてもマスクの少女達、ですか……』

 

アリウス生の特徴ですね

 

『……となれば、ミカさんが錠前サオリと接触した場所もこの辺りの可能性が高いですね』

 

シスターフッドはどんな感じですか?

 

『ミカさんに勘づかれない程度に動かしていますが、必要とあらば戦力の一部をそちらに移すことはできます』

 

成る程、順調って訳ですね

 

『それともう一つ、これはセイアさんからなのですが……』

 

……?

 

『〝一度コハルさんに会ってみないか〟とのことです』

 

あー………いや、遠慮しときます

 

調印式が近くなってきたことでアリウスの動きが大きくなってきたら、その分こちらが見つかる可能性も高くなるので……

 

まあ、その代わりこっちも情報を集めやすくなりますけどね

 

『そうですか……分かりました、そのように伝えておきます』

 

お願いします……はぁ……

 

『随分疲れてますね……お疲れ様です』

 

いえ、俺が自分で言い出したことなんで……

 

『あまり溜め込みすぎないでくださいね?』

 

そうですね……はあ、糖分ほしい……ミラクル5000食べたい……

 

『ミラクル5000?……ま、まさか、食べたことがあるのですか?』

 

まあ、一度だけ……めっちゃ旨かったです

 

『………』

 

……歌住さん?

 

『………』

 

………もしかして羨ましいとか思ってます?

 

『……っ!?い、いえ!別にそんなことは……!』

 

そういえば……俺が偽装死する前にチラシで見たんですけど、ミラクル5000の限定販売がまた始まるらしいですね

 

『え、ええ……調印式の日の少し前に販売するらしいですけど……』

 

人が集まるであろうタイミングを狙ったわけですね………歌住さんは当日買いに行くんですか?

 

『わ、私は……その……アリウス関連の対策をしないといけないので……』

 

なるほど……でしたらさっさとこの事件を解決した方が良さそうですね

 

『え?』

 

だって早く解決できればそれだけ時間に余裕ができるでしょ?それに何より……

 

『……何より?』

 

俺がもう一度食べたい……っ!

 

『……ふふっ、そういえば貴方は甘いものが大好きでしたね』

 

糖分は正義なんですよ……とりあえずさっさと解決してさっさと買いに行くとしますか!

 

『ええ、そうですね………ところで、その場合は待ち合わせなどはどうするのでしょうか?私も酒泉さんもなかなか都合が合わないと思うのですが……』

 

………?

 

『………?』

 

………あ、一緒に行くんですか?俺は〝それぞれで買いに行く〟って意味で言ったんですけど……

 

『……?…………!!?い、いえ!これはですね……その……ご、誤解です!』

 

あっ、でも二人で行った方が入手できる確率も上がりますね

 

『そ、そうです!それです!』

 

んじゃ、その為にも頑張らないといけませんね!

『は、はい!………ゴホン、それでは……そろそろこの辺で……』

 

そうですね、もう伝えたいことは全部伝えましたし………今日の連絡はここまでにしましょうか

 

『貴方に祝福があらんことを………では────』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『────わっぴ~!』

 

わぴわぴ☆またね~!

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

「……残念ながら彼は戻れないそうだよ」

 

「………そうですか」

 

 

トリニティのとある一室にて二人の少女が会話している

 

一人は百合園セイア、言わずと知れたティーパーティーの少女

 

もう一人は浦和ハナコ、かつて天才と呼ばれて〝いた〟少女だ

 

 

「もう……コハルちゃんのようないい子を置いていくなんて、これはもう軽いお仕置きじゃ済まないですね♡」

 

「……できれば手加減してあげてくれ」

 

「うふふ♡」

 

「……聞いてるのかい?」

 

 

怪しげな笑みを浮かべるハナコを見て、セイアはこの場にはいない酒泉のことを思い浮かべる

 

(戻ってきたら一波乱ありそうだぞ……酒泉)

 

酒泉から提案してきたとはいえ、そのまま酒泉を任務に送り出したセイアは少し申し訳ない気持ちになる

 

 

「……そういえば、酒泉君の任務の事を知っているのは極一部と言っていましたけど……先生はこの事は知っているのでしょうか?」

 

「……いや、酒泉からは彼にだけは絶対に伝えないようにと言われている」

 

「それはどうしてでしょうか?」

 

「〝どうせあの人の事だから生徒がそんなことしてるなんて知ったら絶対に止めに来る〟………らしいよ」

 

「あら?酒泉君は既に先生とお知り合いだったのですか?」

 

「いや、酒泉が一方的に知っているだけだ」

 

「それは……例の知識で?」

 

「ああ」

 

 

納得した様な表情で頷くハナコだが、その直後に少しだけ困った様に眉間を寄せる

 

 

「そうだとしても、もう少し周りを頼っても良いと思うのですが……」

 

「君も彼の性格は知っているだろう?自分以外の事の為なら周囲の手を借りるが、自分自身の事になると自分だけでどうにかしようとしてしまう」

 

「………そうですね」

 

「周りの者達同士の手を繋ぎ合わせておきながら自分はそれを一歩引いた場所から眺める、彼はそんな人間だ」

 

「その輪の中に彼がいないと意味が無いんですけどねぇ……」

 

「行きすぎた自己犠牲を注意できればいいのだが……彼の場合は自身の行動を自己犠牲だなどと微塵も思っていない」

 

「それどころか〝全部自分の為〟なんて言い出しますからね……」

 

「……いっそのこと首輪を付けてでも大人しくさせた方が良い気がしてきたよ」

 

「そんな……年下の男の子と一緒に首輪付き露出散歩なんて興奮しちゃうじゃないですか♡」

 

「そこまでは言っていない」

 

 

 

 

──────────

 

────────

 

──────

 

 

 

 

 

「………と、いうわけで酒泉君を呼ぶことはできませんでした……申し訳ありません」

 

「いえ!ハナコちゃんは十分にやってくれましたよ!」

 

「……ごめんなさい、元はと言えば私のせいなのに……」

 

 

ハナコからの報告を聞いたアズサは落ち込むが、ヒフミが咄嗟にフォローする

 

 

「アズサちゃんのせいでもありませんよ!アズサちゃんは偶然セイア様の話を聞いてしまっただけなんですから!」

 

「う、うん………ハナコ、いつまで隠せばいいんだ?」

 

「もう少しだけ我慢してくださいね?」

 

「それにしても、これで振り出しに戻ってしまいましたね……」

 

コハルを元気付ける為の計画が出だしから挫かれたせいで落ち込む一同

 

そんな中、教室の扉がガラッと開く

 

 

「おはよう────ってあれ?朝からやけに重い空気だね……?」

 

 

休日なのにも関わらず補習授業部の為に勉強を教えに来てくれた先生が教室に入ってくる

 

 

「あ、先生おはようございます……実は───んむ!?」

 

「実はヒフミちゃん、ペロロ様の限定グッズを買いに行ったんですけど目の前で完売してしまったらしいんですよ」

 

 

酒泉の事を隠そうとハナコがヒフミの口を塞ぐ

 

 

「そ、そうなの?それは残念だったね……?」

 

 

その様子に何かを察した先生だったが、よっぽど隠したい事なのかと思ったのか必要以上に深入りはしなかった

 

 

「………ところで、コハルは?」

 

「それが……まだ来てないんですよね……」

 

「も、もしかして……私、嫌われちゃいました……?」

 

 

何度もコハルに話しかけていたのを思い出したのか、顔を青くして震えるヒフミ

 

しかしそれを否定するかの様にツンとした声が皆の耳に届く

 

 

「そんな訳ないでしょ」

「コ、コハルちゃん!来てくれたんですね!」

 

 

教室に入ってくるコハルにヒフミがガバッと抱きつこうとするが、コハルはそれを屈んで回避する

 

扉におでこをぶつけたヒフミは「あう……」っと軽く呻くが、コハルはそれを無視して席に座る

 

 

「で、でも良かったです!コハルちゃんに嫌われてなくて!」

 

「当然でしょ」

 

「ですよね!だって私達────」

 

「そもそも嫌うほど関わってないでしょ、私達」

 

「────うぅ……」

 

 

そのままカバンから教科書とノートを取り出したコハルは無言で勉強を始めた

 

 

「……ヒフミ、おでこ大丈夫?」

 

「だ、大丈夫です………」

 

「どちらかと言うと心のダメージの方が大きそうだね……」

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

………て感じで、そろそろ動くと思うんでその時はよろしくお願いします、蒼森さん

 

『ええ、お任せください。貴方が怪我してもすぐに救護………いえ、そもそも怪我しないようにお守りしましょう』

 

いや、自分の身は自分で護るんで大丈夫ですよ

 

蒼森さんが負けるとは思いませんけど、敵も結構強いんで……俺のことは気にせずにそっちに集中してもらえるとありがたいです

 

『……本当に大丈夫ですか?』

 

……俺ってそんなに信用ありません?

 

『貴方は昔から怪我ばかりしてますからね………救護騎士団の一室がほぼ貴方専用の部屋になるぐらいには』

 

う゛っ……いや、本当にお世話になってます……

 

『中学生の頃は身体に合わない無茶な訓練で怪我をして、更に怪我したまま訓練して怪我を悪化させて……』

 

い、いやぁ……

 

『高校に上がって多少は落ち着いたかと思えば……今度は戦闘中に正実の子を庇って怪我をして、やっぱりまた訓練で怪我をして……』

 

ゆ、ゆるして……

 

『そういえば最近は救護騎士団に来ませんね?怪我をしないことは良いこと────』

 

あ、実は訓練終わりに俺の手当てしてくれる人がいるんですよ

 

下江コハルさんっていって、めっちゃ優しくて強い人なんですけど……

 

『……………………………………そうですか』

 

あー……何か悪いことしたなー

 

また一緒に勉強するって約束だったのに、破っちまって……

 

でもまあ……大正義補習授業部がいるし、先生も来てくれたし、大丈夫か!

 

『……………』

 

……あっ、すいません蒼森さん、俺一人だけ喋っちゃって

 

『……………今後救護が必要な場合は私の所に来てください、適切な処置をしますので』

 

えっ?

 

『以上です』

 

ちょっ……もしもし?もしもーし?

 

 

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