〝アリウス〟潰すゾ!!!   作:あば茶

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アイドル女先生と巻き込まれ酒泉君

 

 

ライトがカラフルに光り、四人の少女達を照らす

 

……いや、一人は少女というよりは年齢的に女性と呼ぶべきか

 

 

 

「ミネ団長ってあんな笑顔も作れたんだ……」

 

「マリーちゃんかわいい~!」

 

「ひっ……サクラコ様の今の不敵な笑み……やはり何かを企んで……」

 

「先生~!こっちにピースして~!」

 

 

 

今日はトリニティの学園祭当日、先生達が踊るこのステージではアイドル達の姿を拝もうと他校の生徒も含めて大勢の生徒達が集まっていた……そう、〝先生達〟である

 

当初は伊落さんと歌住さん、そして蒼森さんの三人で踊る予定だったらしい

 

では何故そこに先生が混ざる事になったのか……本人曰く

 

 

先生『皆!ライブ頑張ってね!私も手伝える事があれば何でもするから!』

 

生徒達『ん?今なんでもするって言いましたよね?じゃあ一緒に踊ってくれますよね?』

 

先生『????????????』

 

 

……との事

 

そして自分から何でもすると言ってしまった手前断れないのか、青に近い色の髪を揺らしながらピンクのフリフリスカートで踊る先生

 

浴びせられる視線には純粋な好奇心や見惚れてるような色っぽい目……そして一部野獣のような眼光が混ざっているように感じる

 

そりゃあ、先生LOVE勢にとっちゃ自分の下味をつけ終えた鴨が高級な葱を背負って尻をフリフリしてる状態なんだろうが……こういう場でくらい邪な感情は抑えて素直に応援してやれよ

 

なんて同情を込めながらダンスを眺めていると、先生が踊っている一瞬の合間に手を小さくヒラヒラと振ってからウインクした

 

偶然目が合ったが……多分客全員に向けての手振りだろう。最初は控え室で恥ずかしがっていたのだが、ここまで来ればファンサできるぐらいには余裕を取り戻したか

 

 

「ん、今のは私に向けて手を振ってた」

 

「うへ~……寝言は寝てからいいなよ~、あれはおじさんに向けてだよ~」

 

「RABBIT4、今のシーンの録画はしっかり収められましたか?」

 

 

 

……俺は何も聞いてない、うん

 

 

 

「先生……こんな大勢にあんな衣装を見せびらかすなんて……〝誰かに襲われちゃうよ〟って忠告したのに……!」

 

「……これはお仕置きが必要っすね」

 

……多分これは幻覚だ、それか偶然知り合いに似てる奴等が周りに集まってるだけだ

 

 

 

「……軽々しく周りの子を挑発しちゃって……ほんと、反吐が出る」

 

「うーん……ゴールドカードでライブ会場ごと買い占めた方が良かったかもしれませんねぇ……」

 

「クックックッ……これはこれは、中々面白いものが撮れましたねぇ……」

 

 

 

そうだ、俺には何も関係────ちょっと待て今とんでもない奴居なかった?

 

なんて気が逸れてる間にいつの間にか曲が終わっており、それと同時に大歓声と拍手が会場全体に響き渡った

 

いやー何事もなくてよかったよかった、歌ってる最中にノイズが暴れ出して誰かが絶唱する羽目にならなくて本当によかったよ、うん

 

……まあ、この後先生にはもっと厳しい試練が待ち受けているんだけどな。その名も……第n回!野獣と化した生徒達から逃げ切れるか選手権~!どんどんぱふぱふわーわー!

 

……俺知~らねっと、流石にこの人数から庇い切るのはキツすぎるしここはスルー安定だろ

 

だから先生、これ以上事態をややこしくしないためにも此方に向かって投げキッスをしないでください、つーか最初は恥ずかしがってた癖になんで今はノリノリなんですか

 

それと俺に殺気をぶつけている皆様、あの投げキッスは偶々俺の立っている方向に投げただけだと思うのでどうかその銃を降ろしてください

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「見捨てた……酒泉が私を見捨てた……」

 

 

 

控え室前の廊下で立っていると控え室の中から衣装をもみくちゃにされた先生が姿を現し、そのまま恨めしそうに俺を睨んできた

 

知らん、そんな事は俺の管轄外だ

 

 

「今までずっと私のことを助けてくれた酒泉が……私を裏切った……」

 

────いや流石にあの人数の生徒からは庇い切れませんって……つーか俺が女子更衣室に入る訳にはいかないでしょう?

 

「うぅ……そうだけどぉ……」

 

 

 

ライブを終えた後、先生は他の三人と共に着替えの為に女子更衣室に向かった……のだが、案の定そんな先生を近くでお目にかかろうと多くの生徒達が押し寄せた

 

いや、俺だって本当は先生を助けてあげたかったよ?でもその為だけに女子更衣室に乗り込むのは流石に勇気がいるだろ?……まあ、ガチの悲鳴が聞こえてきたらいつでも扉を蹴破って助けにいったけどさ

 

 

 

────……てか、先生よくあの生徒達から逃げ切れましたね

 

「なんか生徒同士で牽制しあってたからその隙に……」

 

────おおう……何やってんだアイツら……

 

 

 

果たしてそれでいいのかLOVE勢達よ、貴方達が無理に押し掛けたせいで先生は俺の元に来てますよっと

 

 

────あ、そういや先生着替えはどうしたんですか?未だにアイドル衣装のままですけど……

 

「あー……その……女子更衣室にあるけど……着替える前に抜け出してきちゃったから……」

 

────控え室にはないんですか?

 

「こっちは荷物置きみたいなもんだったから……」

 

────今から取りに戻るのは……

 

「……酒泉が一緒に女子更衣室に来てくれるなら?」

 

 

 

じゃあ無理だ、俺捕まりたくねーもん

 

 

「なんか……その……皆今まで以上に目がギラギラしててちょっと怖いんだよね……」

 

────むしろまだ〝ちょっと怖い〟程度なんですか……そうっすねぇ、女子更衣室の手前までだったら別に良いですよ

 

「ほ、本当!?それでいい!それでいいからお願い!」

 

 

手を握られ、全力で上下に振られる

 

どうやら生徒の事がいっぱいちゅき♡な先生でも何度も襲われかけてると流石に危機感を覚えるらしい

 

 

「あ……で、でも!どうしても酒泉が女子更衣室に近づきたくないっていうなら……その……今日一日は酒泉の家に泊まるとかでもいいけど……ほら!あそこなら着替えも幾つか置いてあるし!」

 

 

前言撤回、幾ら生徒とはいえ男の家に一人で泊まろうとするとか危機感無さすぎだろ……まあ、今更すぎる心配だしなんだかんだで泊めてる俺も俺だけど

 

どうせ他の生徒にも同じムーブしてるんだろうな……だから誤解されるんだぞクソボケ……あ、ちなみに着替えというのは先生が俺の家で酒を飲もうとする際に必ずと言っていいほどの確率で持ってくる服の事である

 

あん?理由?そんなのこの人が酔っ払って寝落ちするからに決まってんじゃん、そんな事を繰り返してる内に少しずつ溜まっちまったんだよ

 

何が〝どうせまた寝落ちするだろうから着替え持ってきたよ!〟だよチクショウ……

 

出来ればさっさと回収してほしいのだが、それを言う度に〝今度こそ持って帰るから!今度こそ持って帰るから!〟と何度も先送りにされてしまっている

 

その癖、クリーニング代だけはしっかり置いて帰るのだからよく分からん

 

 

「な……なんなら酒泉の目の前で特別に踊ってあげてもいいけど……?」

 

 

そんな俺の気も知らないで先生はピンクのスカートの裾をぎゅっと握りしめて上目遣いで提案してくる

 

さて、どうしたものか。正直泊める事に関してはさっきも言った通り今更だし問題無い……が、一緒に帰るとなると先生LOVE勢の方々に〝ちょっとお命頂きます〟される可能性が────「酒泉の前で……踊る……?」────おっとぉ?

 

 

 

ふと振り返ってみるとそこには狼が、猫が、兎が、ホルスがエトセトラエトセトラ

 

なんと!多くの生徒達がいつの間にか廊下で立っていたではありませんか!先生が居なくなってる事に気がついて追っかけてきたのかな?

 

 

「あ……皆……」

 

「先生、なんで彼の前だけで踊ろうとしてるの?」

 

 

 

小鳥遊ホシノが周囲の疑問を代弁するかのように前に出る

 

お、落ち着け……落ち着け……小鳥遊さんの質問からして幸いにも聞かれたのはその部分だけっぽい「それにどうして彼の家に先生の着替えが置いてあるのかな?」ああもう駄目だこりゃははは

 

さては結構前から会話を聞かれてたな?

 

「ねえ、答えてよ……先生」

 

「そ、それは……ねえ?」

 

────俺に振らんといてください

 

 

 

二色の眼が先生の顔を射抜く、その後ろで獣達の眼のハイライトが消える

 

うーん見事なヤンデレアイズ!怖いからこっち見んのやめてくんね?

 

……さて、どうする?先生が〝私が酒泉に頼んで泊めてもらってるから〟と正直に答えた場合、このヤンデレガール達は〝なんで私を頼ってくれないの?〟とジメる可能性がある、当然会話を聞かれてるから嘘は通じない

 

最悪の場合、今まで以上に強引な手を使ってくる奴が現れる可能性も……さて、それらを阻止する方法はなんでしょーか

 

 

 

 

────悪い、実は俺が先生に〝泊まっていかないか〟って誘ったんだ

 

「「「「「「「……は?」」」」」」」

 

「ひゃい!?」

 

 

 

 

 

答えは簡単、先生に対する愛情を上回る程の殺意を俺に向けさせればいいだけだ

 

さーて!こっからどう誤魔化そっかなー!

 

 

 




感想欄にあった女先生アイドル概念を見て〝それだ!〟と思いました、まる
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