〝アリウス〟潰すゾ!!!   作:あば茶

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ナギちゃんと男子高校生

 

 

 

 

「や……ヤバい!委員長大変だぁ!」

 

「……イオリ、ドアを開ける時は静かに。もし目の前に人がいたらぶつかって────」

 

「酒泉がティーパーティーに連れてかれたぁ!」

 

「は???」

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

「はい、あーん」

 

────めっちゃいいにおいする(あーん)

 

「どうですか?私の手作りロールケーキの味は……」

 

────めっちゃいいにおいする(美味しいです)

 

「そうですか!貴方の好みに合ってよかったです……♡」

 

「それで会話が成立するのはおかしくないか?」

 

「ナギちゃんが壊れちゃった……」

 

 

 

テーブルの上に無数のスイーツが並べられ、それをナギサの手によって口に運ばれる酒泉

 

ミカとセイアから向けられるドン引きするような視線もお構い無しにフォークを動かし続ける

 

……ちなみにだがこの間も酒泉は隣の席に座っているナギサに抱きつかれている

 

 

 

「次は此方のロールケーキをどうぞ♪はい、あーん」

 

────めっちゃいいにおいする(なるほど、こっちはちょっとバニラエッセンスを控えめにしていますね?砂糖の比率もそれに伴って控えめにしていると……)

 

「まあ!そんなところまで分かるなんて流石ですね!キヴォトス仮面様……いえ、酒泉様は!」

 

────めっちゃいいにおいする(あの……せめて酒泉様はやめて酒泉さんにしてくれません?)

 

「ですが……いえ、貴方がそう仰るのでしたら……酒泉さん」

 

 

うふふ、と一人だけ嬉しそうに笑うナギサ

 

急展開に取り残されたセイアは困惑するばかりで、ミカに関しては面白くなさそうに酒泉を品定めの目で見ている

 

 

 

「……で?その〝ゲヘナの〟生徒がキヴォトス仮面なの?」

 

────い、いや……俺はキヴォトス仮面じゃなくて……

 

「ええ、そうです。それが何か?問題でも?」

 

「ナギサ、問題大有りだぞ。彼が本当にキヴォトス仮面だというのなら、彼は私達の……トリニティの情報をどうやってあそこまで詳しく調べたのか知る必要がある」

 

「だね、もしかしたら不正な方法を使ってトリニティの重要機密を探ろうとしてたのかもしれないし?」

 

 

 

確かに二人の言い分も尤も、もし折川酒泉にトリニティの情報が筒抜けだというのならこのまま簡単に帰すわけにはいかない

 

情報の出所によってはゲヘナにトリニティの全てを監視されているという可能性もあるのだから

 

 

 

「だからナギサ、彼の正体が判明するまであまり親身になりすぎない方がいい。これは君の為を思って……」

 

「私に何も言わず一人だけ姿を眩ましたのに?」

 

「すまない」

 

「で、でもナギちゃん!セイアちゃんの言うことは正しいよ!その子明らかに怪しいし……」

 

「私を騙そうとした貴女から見ても?」

 

「ごめんなさい」

 

────ティーパーティー弱ぁ……

 

 

 

ティーパーティーと元ティーパーティー、一瞬で撃沈

 

テーブルの上で項垂れる二人を置いてナギサは酒泉に向き直る

 

 

 

「さあ、お食事の続きをしましょう……?キヴォトス仮面様……♡」

 

────あの、だから……俺はキヴォトス仮面じゃなくて……

 

「いいえ、貴方は間違いなくキヴォトス仮面様です。例え見た目が違ったとしても……貴方の体温を感じたこの肌が、貴方の匂いを感じたこの鼻が、そして何より貴方の優しさを直接受けたこの心が、貴方をキヴォトス仮面様だとハッキリ伝えているのですから……」

 

────めっちゃいいにおいする(めっちゃいいにおいする)

 

 

 

ナギサの頬が赤くなると同時に抱き締める力が強まり、酒泉のちっぽけな抵抗心を砕こうとする

 

折川酒泉は転生者、しかし男子高校生

 

折川酒泉は原作知識持ち、されど男子高校生

 

折川酒泉は強者、でも所詮は男子高校生

 

彼が桐藤ナギサという美少女の身体を簡単に突き放せるはずもなく、大人しくされるがまま────にはされない

 

 

 

────……やっぱ駄目ですよ、こういうのは

 

「きゃっ……」

 

 

 

多少強めにナギサの腕を振りほどく酒泉

 

折川酒泉は男子高校生、だが男子高校生特有の欲望を抑えられるほどのクソボケである

 

例え女の子の方から抱くことを求めてきても、相手が自分に抱いている感情などお構い無しに〝そういうのは好きな人にお願いするべきですよ〟と発言してしまう真のクソボケである

 

 

 

「しゅ、酒泉さん?もしかして私、何か気に障ってしまうような事を……?」

 

────いえ、それはありませんでした(むしろご馳走様でした)けど……やっぱ互いの事を何も知らないのにこういう事をするのはよくないですよ

 

「……そう、ですよね。こんな急に馴れ馴れしくされては尻の軽い女性だと思われても仕方ないですよね」

 

「ナギちゃんのお尻はむしろ重───ぶべえ!?」

 

「ロールケーキから金属バットのような音がしたぞ……!?ナギサ!いくら本当の事を言われたからってそこまでする必要はぐえぇ!?」

 

────あの、俺は別に桐藤さんの事を嫌ってる訳じゃなくて……(桐藤さん、お尻重いんだ……)

 

「ですが酒泉さん、私の想いは全て本気なんです。私の頭の中はあの日からずっと無償の善意で私を助けてくれた貴方の事ばかりを考えています」

 

 

 

その目は酒泉の目を真っ直ぐ射抜き、一切逸らす事なく向かい合い続ける

 

これから誓いを立てるように手を握り、全てを捧げるように身体を酒泉に預ける

 

 

 

「聞こえますか?私の心臓の音が……今もどくどくと高鳴っているでしょう?」

 

────桐藤さん……(確かにちょっとお尻重いかも……マジだったんだ)

 

「こうして貴方と話してる間もずっと我慢していたのですよ?すぐにでも爆ぜてしまいそうなこの胸の痛みを……」

 

────本気……なん、ですね……(お尻……)

 

「ええ……ですが、私は別に今すぐ答えを求めている訳ではありません」

 

 

ナギサの言葉が意外だったのか酒泉は目を見開く

 

シチュエーション的にすぐにイエスかノーを求められると思っていた為に肩透かしを食らった気分だった

 

……が、それが間違いだったとすぐに重い知らされる事となる

 

 

 

「どれだけ時間をかけても、どれだけ迷っても、どれだけ他の女性に靡いても、最後にこの私の隣に立っていればそれでいいですから」

 

────……うぇ?(桐藤さんの重いお尻……)

 

「つまり……こういう事です」

 

 

 

ナギサが何の脈略もなくロールケーキにフォークを差して酒泉の口元に近づける

 

酒泉は困惑しながらもそれを素直に受け入れて口に運ぶ

 

美味しい、さっきと同じでプロが作ったような……いや、それ以上の味だ

 

感想は変わらない、時間が経っても美味しいままだ

 

唯一変わった事と言えばそこに加わった甘味料

 

 

 

 

────っっっっ!!?!?

 

「んっ…………ふふっ」

 

 

 

 

キスという、男子高校生には甘ったるすぎる最強の甘味料

 

 

 

 

「他の方が酒泉さんの周りに居ようと、酒泉さんの身と心が私の存在だけで埋め尽くされていれば…………最後には必ず私を選んでくれますから」

 

 

 

お嬢様らしい気品溢れる雰囲気から一転、バリバリの獣のような眼差しへ

 

後に酒泉は思った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(尻も愛も重い女性に好かれてしまった、あとめっちゃいいにおいした)

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