〝アリウス〟潰すゾ!!!   作:あば茶

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男子高校生とナギちゃん

 

 

 

さっさとバスに乗ってゲヘナに帰ろう、そんな俺の考えとは裏腹に俺の足はちんたらちんたら進んでいた

 

あの後呆けっぱなしだった俺に対して桐藤さんは〝モモトークを交換しましょう〟〝次はいつお会いできます?〟〝今度御自宅にお伺いしても?〟〝式は何時頃挙げましょうか〟〝子供は何人欲しいですか?〟等、荒波の様な勢いで攻めてきた

 

その時の俺は直前に起こった出来事のせいで未だに頭の整理ができておらず、ぼんやりと〝うん〟〝そうだね〟〝僕もそう思います〟〝めっちゃいいにおいする〟などチグハグな返答を繰り返していた……気がする

 

正直、そこらの流れどころか解散に至るまでの経緯すら何一つ覚えていない……しゃーないやん、あんな事が起きた後なんだからさ

 

帰路の途中で立ち止まってそっと自分の唇に触れてみる

 

 

 

────……夢……じゃ、ないん……だよな

 

 

 

幸いにも周囲には人影すらなかった為、誰も俺の独り言を聞くことはなかった

 

唇に触れると、あの瞬間の感触を思い出す

 

俺は……確かに……あの時……桐藤さんと……

 

一人悩んでいるとあのシーン以外にも次々と思い浮かんでくる

 

桐藤さんに抱きつかれたシーンやあーんされたシーン、他にも身体を預けられたり心音を聞かされたりあとお尻が意外と重かったり

 

 

 

 

────まさか一日でこんな体験をするなんてなぁ……いきなり抱きつかれた時は何事かと思ったけど……ん?何の光?

 

 

 

顔が熱くなるのを感じながらバス停を目指して歩いていると、道路を走っている複数台の車が俺にライトをぶつけてきた

 

 

 

────おいおい、歩行者に対して煽り運転か?ちょっと過激すぎじゃ……あん?あれって……

 

 

 

最初は暴走族でも走ってきたのかと思ったが、よく見ればその車が風紀委員会で所有しているものだという事に気付く

 

何故風紀委員の車がトリニティに、もしや事件でも起きたのか

 

そんな嫌な予感がどうか外れていますようにと願いながら片手を上げて車を止め……ようとしたがそれより先に向こうから止まってくれた

 

 

「酒泉っ!」

 

 

すると車の中から突如小さな人影が飛び出てくる

 

あの背、あの顔、あの銃、あのヘイロー、あれは間違いなく空崎さんだ…………空崎さん、なのだが……

 

 

「よかった……無事だったのね……!」

 

 

その表情はエデン条約で俺が怪我した時みたいな悲痛そうな顔になっていた

 

なんだ?今回は本当に心配されるような事なんて……まさか!?俺が居ない間に何か事件が……!?

 

 

「私っ……酒泉がティーパーティーに拐われたって聞いて居ても立ってもいられなくなって……!」

 

 

 

うんおもいっきり事件発生してたわ、なんなら俺が被害者だったわ

 

冷静に考えたらゲヘナの風紀委員がトリニティのお偉いさんに無理矢理連れていかれるとか何事だよって感じだよね

 

 

 

「大丈夫だった!?どこも怪我してない!?何もされてない!?」

 

 

 

……何もされてないか、かぁ

 

めっちゃいいにおい藤ナギ尻さんにはむしろロールケーキ食べさせてもらったり色々と良い思いをするような事ばかりされてた気がする

 

だから正直に伝えよう

 

 

 

────めっちゃいいにおいでした(大丈夫です!何もされてません!)

 

「は?」

 

────あっ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「ナギちゃんさぁ……あの子と付き合うってそれ本気なの?」

 

「ええ、本気ですが何か?」

 

 

酒泉が去った後、力業で黙らされたミカとセイアが目を覚ました

 

テーブルの上のスイーツはすっかり無くなっており、二人が眠らされた後も少しの間だけ酒泉がこの場に居た事が窺える

 

「その、さぁ……別にナギちゃんの恋愛にケチつける気はないよ?でもトリニティのトップがゲヘナの一般生徒にお熱なんて知られたら……」

 

「かなり荒れるだろうな、これがせめてそれなりの役職の人間が相手だったなら政治的な意味合いも多少は持たせられただろうが……」

 

 

ハッキリとは言わないものの、暗にやめておけと伝える二人

 

しかしナギサはそんな意見に耳を貸すつもりがないのか、スマホのモモトーク画面に映された〝折川酒泉〟の四文字をニマニマと見つめている

 

 

「ふふっ……まさか今日だけでモモトークまで交換できるなんて……ずっと探し続けてきた甲斐がありました」

 

「おーい?ナギちゃん聞いてるー?」

 

「ええ、聞いてますよ。安心してください、式にはお二人ともご招待しますから」

 

「君は予言者にでもなったつもりかい?」

 

「やっぱりやめた方が良いよナギちゃん!これ以上あのゲヘナ生に関わってるともっと残念な事になっちゃうよ!」

 

「君の場合は間違いなく個人的な感情だろう……だが、今回ばかりは私もミカの意見に同意する」

 

 

 

元の性格からは考えられないほどデレデレになっているナギサ

 

暴走状態の彼女をこのまま放置するのは流石に不味いと思ったのか、ミカとセイアは必死に考え直すように伝える

 

だが、二人の言葉に耳を貸していなかったナギサも何度も言われ続けると流石に思うところがあったのか、ピクリと眉をひそめて席から立ち上がった

 

 

「そうですか、つまりお二人は恋愛の自由を私から奪うと……」

 

「ナ、ナギちゃん?」

 

「ミカさんは好き勝手に行動してトリニティを混乱させたのに」

 

「そ、それは…………」

 

「セイアさんも事情があったとはいえ、その間のトリニティの管理を私一人に押し付けたのに」

 

「うっ……す、すまない……」

 

「お二人は自分のやりたいようにやっていたのに、私には我慢しろと?……良いでしょう、もしお二人がそう仰られるのでしたら私にも考えがあります」

 

「ちょっ……ナギちゃん!?どこ行くの!?」

 

二人に背を向けて何処かへ向かおうとするナギサ、しかし彼女は〝用は済んだ〟とばかりに振り向くことなく歩き続ける

 

それを止めようとミカがナギサに駆け寄ろうとした直前、ナギサの〝来ないでください〟という言葉と共に足がピタリと止まる

 

 

「私はお二人に止められても今更自分の考えを曲げるつもりはありません」

 

「……待て……ナギサ、君は一体何をするつもりなんだ……!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ティーパーティーの中で私だけ我慢を強いられるのは少々不平等だと思いませんか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「────という訳で両校の親睦を更に深める為に暫くの間ゲヘナの風紀委員として体験入学させていただきたいのですが……」

 

「勿論歓迎するわ、ゲヘナの墓標に貴女の名前を刻んであげる」

 

────うん、空崎さんちょっと落ち着こっか

 

「どいて酒泉!!!そいつ殺せない!!!」

 

────殺意の波動に目覚めてやがる……!?

 

「あ、それと私の席は酒泉さんの隣で構いませんよ」

 

「────■×!?ぁ▲J@●■□殺#△▼ッッッッッ!!!?!!?」

 

 

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