〝アリウス〟潰すゾ!!!   作:あば茶

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ちょくちょく続けるって宣言したので有言実行しました、いつ逃げ出すか分かりません


チ ア 藤 ナ ギ サ

 

 

 

 

戦術対抗戦、それは互いのチームが事前に決められた地形、状況で敵の殲滅を目標に鎬を削る戦闘訓練

 

本日酒泉はその戦術対抗戦に参加する事になっている、それも相手はあの正義実現委員会だ

 

 

 

────トリニティ……か

 

 

 

少し前にトリニティ絡みで厄介な人間関係のゴタゴタに巻き込まれた酒泉にとって、この学園の名前を聞いただけで複雑な思いを抱いてしまうのは当然と言えるだろう

 

だが、そもそもの話それらの事件は全てこのクソボケが原作介入せず大人しく桐藤ナギサを見捨てていれば起こらなかった事件とも言える

 

そしてそれが出来ないからこそこの男がクソボケと呼ばれる由縁でもあり、また一人女性の脳を焼く切っ掛けになっちゃうんだなぁこれがぁ!厄介なクソボケだよ君は!!!

 

 

 

────桐藤さん、一体何の用だろうな……

 

 

 

そんな彼を呼び出したのはそのトリニティ絡みのいざこざの被害者である桐藤ナギサ本人だった

 

依存心を拗らせた結果であるとはいえ、それでも確かに勇気を持って告白してきた女性に再び呼び出されれば多少なりともドキリとするだろう

 

だがそこは流石の我らがクソボケ、彼はザ・ハンドで削られたとしか思えないちっぽけな脳ミソで〝戦術対抗戦前だし宣戦布告でもするつもりなのかな〟とか思っていた

 

しかし待ってほしい、一応だが酒泉自身もナギサにアタックをかけられていた時期はナギサに対して女性的魅力を感じていた訳だしもしかしたらワンチャンまた告白されるかもと期待しているのではないか?んなわけあるかクソボケだぞこいつ

 

 

 

────さて、待ち合わせ場所はここで合ってるよな?……なんか他の場所と比べてちょっと古いな

 

 

 

ナギサが指定したのは今はもうあまり使われなくなった旧体育倉庫、そこまで露骨ではないものの埃っぽさやボロさが他の倉庫より若干目立っている

 

 

 

────桐藤さーん、着きましたよー

 

『……どうぞ、お入りください』

 

 

倉庫内からここ最近だけで何度も耳にした美少女CVが聞こえてくると、酒泉は失礼しますと断りを入れてから倉庫の扉を開ける

 

しかしその中にナギサの姿はなかった……訳ではないが

 

 

 

────……あの、桐藤さん……ですよね?

 

「ええ、そうですが……それより酒泉さん、扉を閉めてもらえませんか?」

 

────あ、はい……

 

 

 

首を傾げながらナギサの指示に従う酒泉、その困惑も当然だろう

 

何故ならナギサは何故か倉庫内のカーテンを自身に巻き付けて身体を覆い隠しているのだから

 

 

「本日はお忙しい中お時間を割いていただきありがとうございます」

 

────気にしないでください……いや、そっちの格好は逆にめっちゃ気になりますけど

 

「……そうですか、やはり気になりますか」

 

 

格好も何も見えぬままカーテンの内でもぞもぞと動くナギサ、彼女はどんな表情をしているのかも分からぬまま語り始める

 

 

 

「本日は風紀委員会と正義実現委員会での戦術対抗戦当日です、私はトリニティの桐藤ナギサですので当然正義実現委員会を応援します……が、以前お世話になった酒泉さんを応援したい気持ちがあるのもまた事実です。しかしトリニティのトップであるティーパーティーの者が堂々と相手チームの応援をする訳にはいきません」

 

────まあ、そんなことしたら反感買いますもんね。組織の長としては当然の判断かと

 

「ええ、ですので……か、代わりに誰も見ていないこの場で声援を贈らせていただきますっ!!」

 

────そこまでしなくてもモモトークかなんかで送ってくれ……れ……ば…………?

 

 

ぱさりとカーテンを外すナギサ、その姿を見た酒泉は少しずつ言葉が途切れていく

 

理由はその格好、いつもの制服姿を想像していた酒泉に仕掛けられた奇襲攻撃

 

 

────き、桐藤さん……そ、それは……

 

「……っ」

 

 

 

ピンクと白の服は腕部分が半袖より更に短く、脇がもろに晒されている

 

更にその服は長さがナギサの身体の半分もなく、平然と臍が出されている

 

そして下には薄ピンク色のひらっひらしたスカート、こちらも布地の長さは太ももを少々覆い被せる程度しか存在せず、もしナギサが後ろを向いてそれなりに激しく動けばそれだけでおパンティがクソボケに見られてしまうだろう

 

極めつけには両手の黄色いポンポン、それが意味するのは────

 

 

 

(桐藤さんの……チアコス……!?)

 

 

 

唖然と佇む酒泉、しかしナギサは彼の脳が落ち着きを見せる前に追撃を仕掛ける

 

すぅーっと大きく一息を吸い、そして……顔を赤く染めながら叫んだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「S!Y!U!S!E!N!SYUSEN!!!」

 

 

────!?!!?

 

 

 

「レッツゴーSYUSEN!!ゴーゴーSYUSEN!!」

 

 

 

それは、淑女と呼ぶにはあまりにも大胆すぎた

 

(尻が)大きく、(尻が)ぶ厚く、(尻が)重く、(ここに至るまでの説明が)大雑把すぎた

 

 

 

「ゴー…………ふぁいっ!!!」

 

 

時間にして十秒程、にも関わらずナギサは息を切らしている

 

当然体力不足などではなく、それは羞恥やら何やら様々な感情が混ざった結果である

 

 

「ど、どうでした……?」

 

 

それでも好いている異性からの反応が気になるのか、ナギサは恥ずかしさを押し殺して感想を尋ねる

 

見る者によっては雌が雄を誘っているような光景に見えてしまうであろう彼女の姿を目の当たりにした酒泉の脳内は────

 

 

 

 

 

 

下川酒泉(スタンドアップ!ザ・ヴァンガード!!!)

 

 

ピュア川酒泉(何が〝ザ〟だカッコつけやがって!!!)

 

 

 

 

天使と悪魔……ではなくクソボケとクソボケが言い争っていた、コイツら対消滅しねーかな

 

 

 

下川(おいクソボケ!こんな誰もいない場所でチアコス晒すとかこれもう誘ってんだろ!抱け!今すぐ抱けええええええええ!!!)

 

ピュア川(んなわけあるかぁ!桐藤さんはなぁ!純粋に俺を応援してくれてんだよぉ!その邪な気持ちを今すぐ捨てろ!!!)

 

 

 

「あ、あの……酒泉さん……?何か言っていただけると……」

 

 

 

脳内で自分同士が醜く言い争うその姿だが、今のクソボケにはその仲裁をする思考もナギサに意識を向ける思考も存在していない

 

あの桐藤ナギサが俺の為にチアコスをしてまで応援してくれた、そんな現実をなんとか受け止めようとしているだけで精一杯だからだ

 

 

 

下川(うるせぇ!邪魔すんな!デュエルでブッ飛ばすぞ!!!)

 

ピュア川(上等!デュ↑エルだぁ!!!)

 

下川(俺のターン!オラァ!五枚伏せエンドォ!!!)

 

ピュア川(俺のターン!羽ライストリブートパイドラあざしたぁ!!!)

 

下川(ぐあああああああああっ!!?)

 

 

 

 

「あ、あの……もしかして引いてしまわれました……?」

 

 

 

 

あの桐藤ナギサの誘惑を耐えられる男子高校生など存在するのか。否、するはずがない

 

ならば自身が誘惑に負けるのも仕方ないのではないか、目の前の女性を力いっぱい抱き締めても許されるのではないか

 

そんな考えが何度も酒泉の中で渦巻いている(ここまで来て抱き締めるだけに留めようとするとか童貞かよコイツ)

 

 

 

 

下川(クソっ!なら次はこっちで勝負だ!)

 

ピュア川(上等!俺のターン!なんやかんやブロッカー並べてエンドォ!)

 

下川(俺のターン!なんやかんやでバーシカクメイジンマグナムラッキーナンバーおらぁ!!!)

 

ピュア川(ぐあああああああああっ!!?)

 

 

 

 

「……あ、あはは!そうですよね、急にこんなことされても困ります……よね……」

 

 

 

検討に検討を、葛藤に葛藤を重ね、ひたすら悩む

 

己の欲に負けて抱きしめるべきか、立場を優先して抑えるべきか、そもそもナギサがただ純粋に応援してくれただけなのだとしたら自分はただのセクハラ野郎に成り下がるのではないか

 

 

 

 

下川(ムスコ♂です、なんなりとお使いください!)

 

ピュア川(私利私欲の為に利用する愚かな生命体がぁ!!)

 

下川(おとなのおねえさんあーう(^p^))

 

ピュア川(我が涙で世界は浄化されるのだ……!)

 

 

 

 

目の前の不安そうなナギサの表情ですら酒泉の思考を正常に戻すには至らず、その混乱はやがて彼の脳を完全に停止させるまでに追い込みを────

 

 

 

 

 

 

ガタッ!!!ガラララン!!!

 

 

 

 

 

「うおぉっ!?」

 

「きゃあ!?」

 

 

 

折川酒泉が二度目の死を迎えようとしたその瞬間、何かが落ちるような大きな音や誰かの悲鳴が体育倉庫内に響き渡る

 

それによって酒泉の脳は通常の状態に戻り、漸く多少はまともに状況を見渡せるようになる、あとついでに脳内でバトルを繰り広げていたクソボケ達はまとめて消滅した

 

 

「いたたたっ……」

 

「ぐぅ……!」

 

「ミ、ミカさん!?それにセイアさんも!?どうしてここに!?」

 

「あっ……」

 

「いや、これは……」

 

 

ナギサの視線を酒泉も追うと、そこには寿司屋でガリばっか食ってそうなピンク髪の女と相変わらずCVが付かなそうな狐耳少女が倒れ込んでいた

 

 

「ちょっと!セイアちゃんが倒れちゃったせいでナギちゃんにバレちゃったじゃん!」

 

「君が体重を乗せて無理に覗き込もうとするからだろう?それより早く退いてくれないか、さっきからずっと重いんだ」

 

「はあ!?それじゃまるで私が太ってるみたいな言い方なんだけど!?」

 

「お二人とも喧嘩してないで事情を説明してください!こんな盗み見みたいな真似を……!」

 

「あ、えーっと……それは……」

 

 

一部始終を見られたナギサは今度は羞恥だけでなく怒りも交えて顔を赤くする

 

詰め寄られたミカとセイアは互いに〝お前がなんとかしろ〟と目で責任を押し付け合おうとする

 

 

「……そ、それよりナギちゃん!さっきのダンスはなんなの!?あれじゃダメダメだよ!」

 

「そ、そうだぞ!私達はもっと大胆にアピールするようにアドバイスしただろう!?」

 

「え!?」

 

 

二人が選んだのは勢いに任せて話を誤魔化す選択、汚いなトリニティきたない

 

ちなみに今更説明するがナギサが酒泉をチアコスで応援することになった経緯としては、ナギサの〝酒泉さんにお礼がしたい〟という相談に対してセイアが〝今度の戦術対抗戦の時にそれとなく気持ちを伝えればいいだろう〟と答え、ミカが便乗するかのように〝それだけじゃ物足りないだろうし際どい格好で迫ってあげれば?〟と冗談混じりのアドバイスをしたのが切っ掛けだったりする

 

 

「ナギちゃんのチャームポイントはお尻なんだからもっとお尻を見せつけるようにふりっふりに振って踊らないと!」

 

「そうだ!ついでにフェロモンやら匂いやら色々と撒き散らしてしまえ!どうせ彼は君の尻と匂いにメロメロなんだからトドメを刺してしまえ!」

 

「あ、貴女達!!酒泉さんの前でなんてことを……!!」

 

 

先程までの不安などすっかり消え去った様子で叫ぶと、ナギサは咄嗟に酒泉に向き直って弁明を始める

 

 

「あ、あの!違うんです!今のは別に酒泉さんに色仕掛けをしたとかそういうあれではなく、決して政治的な意味が込められているわけでもなくてですね!?」

 

「そもそもナギちゃんは色仕掛けするなら学園間のあれこれがないプライベートな時に仕掛けるもんねー」

 

「ナギサはこう見えて純愛派だからな」

 

「その通りです!色仕掛けするにしても政治的な理由があると誤解されないようにプライベートで────って何言わせるんですか!?」

 

「いぐあすっ!?」

 

「うああああっ!?何も無いところから突然出てきたロールケーキでミカが殴られ────らすてぃ!?」

 

「ふー……!ふー……!」

 

 

謎の悲鳴を上げながら倒れ伏せる二人を確認すると、ナギサは再び酒泉の誤解を解こうと早口で語り始める

 

ロールケーキを床に落とした際に金属音が聞こえたしなんならロールケーキの先っぽに赤い液体が付着しているような気もするが恐らく気のせいだろう

 

 

「その……お見苦しいところをお見せしてしまい大変申し訳ありませんでした、ですが先程の応援には特に深い理由などなく本当に純粋に酒泉さんを応援したくて────」

 

────分かってます

 

「……え?」

 

────ちゃんと伝わりましたから、桐藤さんの気持ちは

 

「そ、そうですか?……その、酒泉さんが望むのなら仕切り直してまた応援しても……」

 

────いえ、もう十分ですので……じゃあ、俺はそろそろ帰りますね、戦術対抗戦に向けて作戦会議をしないといけないので

 

「あ、はい……」

 

 

 

あれだけ脳内が混沌としていたにも関わらずあっさりと帰ろうとする酒泉、そんな彼の背中を見送るとナギサはがくりと項垂れながら力強く呟いた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「絶対ドン引きされましたよね……!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな事件が起きた数時間後、戦術対抗戦の会場内にて

 

剣先ツルギの前に一匹の獣が立ちはだかる

 

 

 

「……」

 

────……

 

 

 

トリニティ最強のツルギを相手にするのはゲヘナ最強の空崎ヒナ、会場内の誰もがそう思っていた

 

しかし予想とは裏腹にツルギの前に立ちはだかったのは折川酒泉、しかも────

 

 

 

(この男……かなり集中しているな)

 

 

 

一部のスポーツマンがゾーンに入ったような状態を彷彿とさせる酒泉の立ち姿は、たったそれだけでツルギの警戒心を最高まで高めさせるのに十分だった

 

ツルギが一歩近づくだけで酒泉の攻撃範囲に踏み込むことになる、それほどまでに酒泉の集中力は研ぎ澄まされていた

 

 

 

(────それがどうした)

 

 

 

だが、そんな事は剣先ツルギという最強には関係ない

 

サーチアンドデストロイ、戦い方を変える必要はない

 

 

 

「キヒャハハハア!!!」

 

 

 

勢いよく拳を振りかざすツルギ

 

これを避けられたらショットガンを一発、それも避けられたらもう一丁取り出して更にもう一発

 

その為に繰り出された小手調べの拳ですら酒泉にとっては致命傷になり得る

 

 

 

(魅せてみろ────折川酒泉)

 

 

 

そんな一撃を、集中力を極限まで高めた酒泉は────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────ぎっちょん!!?

 

「は?」

 

 

 

 

 

普通に正面から食らった

 

そのまま殴り飛ばされ、意識を失う酒泉

 

これには何かしら反撃はされるだろうと予想していたツルギでさえも困惑を隠せない

 

……折川酒泉の敗因、それは────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(桐藤さんのチアコス桐藤さんのチアコス桐藤さんのチアコス桐藤さんのチアコス桐藤さんのチアコス桐藤さんのチアコスめっちゃいいにおいした桐藤さんのチアコス桐藤さんのお尻桐藤さんのチアコス尻藤さんのチアコスめっちゃいいにおい藤さんの尻コス桐藤さんのチアコス桐藤さんのチアコス────)

 

 

 

 

極限まで研ぎ澄まされた集中力が全く別の方向に向けられていたことだった

 

ちなみに試合結果に関しては独り言のようにナギサの名前を呟く酒泉を間近で目撃したヒナの脳が破壊された為、結果的にヒナと戦うことすらなくそのままツルギが無双して正実が勝利したとか

 

後日風紀委員会の予算が減らされた、これに関しては特に嫌がらせとか関係なくマコトが呆れながら決めたのだとか、うーん残当

 

 

 

 




以下オマケェ!!!


─────────



ヒナ「イラつくわ……紅茶女に……憧れちゃったのよ……」




─────────



ロリ藤ナギサ「やーだー!酒泉とあそぶのー!探険ごっこするのー!」

酒泉「申谷カイの馬鹿はどこだぁ!?」



──────────



わーにん!わーにん!

挑戦者が現れました



サクラコ「その……わ、私とお友達になってください!!」

酒泉「あ、いいっすよ(快諾)」

ナギサ「!?」



──────────



ふっ切れたヒナ「貴女、まさかまだ酒泉を寝取られないと思っているの?」

ナギサ「……え?」

ふっ切れたヒナ「貴女に足りないのは危機感よ」
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