〝アリウス〟潰すゾ!!!   作:あば茶

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if世界~トリニティルート~その10

 

 

 

グレゴリオが指揮棒の先端を光らせ、それを振ると衝撃波が発生する

 

全員が吹き飛ばされるものの、やはり未完成だからなのか大して威力はなかった

 

……が、厄介なのはその後だった

 

酒泉達が吹き飛ばされた先に劣化聖歌隊達がアサルトライフルの銃口を向けて放ってくる

 

各々がそれを回避し、グレゴリオ本体に反撃しようとするが────

 

 

 

 

「私の存在を忘れるとは……不愉快ですね」

 

 

 

────巨大な怪物へと姿を変えたマダムが赤いエネルギー波を放ち、それを妨害してくる

 

……正直、かなり面倒だ

 

「酒泉さん!あの指揮棒を振っている怪物の情報は何か持っていますか!?」

 

アイツはグレゴリオです!時間が経てばそのうちとんでもない威力の広範囲攻撃をしてくる……はずなんですけど、見た感じ未完成っぽいんで何してくるか分かりません!

 

「……あまり時間を掛けない方が良さそうですね」

 

 

敵の攻撃を盾で防ぐ蒼森さん、その後ろに俺も隠れながら敵の情報を伝える

 

実際に戦ってみた感じ弱体化しているのは間違いないのだが、それ故にどんな行動を取ってくるのか分からない

 

それでも今のところ安全に戦えているのは蒼森さんや歌住さん達シスターフッドが一緒に戦ってくれてるのと、アリウススクワッドの身体の状態が原作ほど傷付いていないからだろう

 

……ただ、蒼森さんに伝えた通り、もしゲーム本編通りグレゴリオが時間経過による即死攻撃を行ってくるんだとしたら……あまり悠長な事は言ってられない

 

「ミサキッ!敵を一掃しろ!」

 

「……了解」

 

 

戒野さんの放ったミサイルが敵に降り注ぎ、一発一発の爆発が聖歌隊を消滅させていく

 

 

「ヒヨリ!今だ!」

 

「は……はい!」

 

 

槌永さんの周りの敵を錠前さんが蹴散らし、がら空きになった射線上に槌永さんのそこらのスナイパーライフルとは一線を画す愛銃による狙撃が撃ち出される

 

……が、それすらマダムに撃ち落とされる

 

やっぱりあのオバサンも何だかんだで強いな………いや、そりゃそうか

 

そもそも今の状況なんてゲームで例えるならストーリーボスとレイドボスを同時に相手しているようなもんだ、そう簡単に勝てる方が………いや、相手がマダムだけなら先生が俺達の指揮すればあっさり勝てそうだな………

 

しかしそれでは意味が無い、この問題はあくまでもトリニティ内で終わらせなければならないのだ

 

他者他校を巻き込まずトリニティだけの問題として解決する為にも、ここで負ける訳にはいかない

 

 

 

………錠前さん、ヘイローを破壊する爆弾を使うぞ。ヘイロー無しの相手でも普通の爆弾として使うぐらいなら効果あるだろ

 

「……どちらに使うつもりだ」

 

グレゴリオ、あいつは野放しにしたくない

 

「なら私が爆弾を持っていこう………ミサキ、ヒヨリ、行くぞ」

 

 

そう言うと錠前さんが新たに召還された聖歌隊に突っ込んでいく

 

「そう簡単に─────っ?」

 

 

マダムが錠前さんに手を向けてエネルギー弾を出そうとすると、突如態勢を崩して狙いが外れる

 

 

「足元を狙ってください!彼女のバランスを崩すのです!」

 

「仕えるべき主を間違えた聖女共ですか……愚かな真似を!」

 

 

歌住さんの指揮の下、シスターフッドがマダムの足元を攻撃してバランスを崩させる

 

 

「これ撃ったらもう弾切れだから……ねっ!」

 

「こ、これで終わってくださいいいい!」

 

 

グレゴリオの背後で銃を構えていた聖歌隊に再びミサイルが降り注ぎ、敵を一掃する

 

グレゴリオはその攻撃の犯人である戒野さんに指揮棒を向けるが、今度は槌永さんがグレゴリオの手を狙撃することで注意を逸らす

 

錠前さんはそのまま周りの聖歌隊を倒して再び走り出す……が、今度は聖歌隊がグレゴリオを護る様に出現する

 

 

「……っ!またか……!」

 

錠前さん!そのまま進め!邪魔な奴だけ撃ち抜く!

 

「……頼む!」

 

 

錠前さんに銃口を向ける聖歌隊をスナイパーライフルで撃ち抜き、それ以外の奴等はアサルトライフルで弾丸を当ててこちらに意識を向けさせる……と思ったけど何体か消滅してるな、耐久も下がってるのか

 

 

「小賢しい真似を……!」

 

 

聖歌隊が役に立たないと判断したマダムが頭部から赤黒いエネルギーの球体を錠前さんに向かって放つ

 

 

「救……護っ!」

 

 

それを敵を飛び越えて錠前さんの前に着地した蒼森さんが盾で受け止める

 

暫くぶつかり合った後、エネルギーの球体が弾けると同時に爆発を起こした

 

マジかよ……完全に防ぎ切った……

 

 

「ようやく近づいたぞ……グレゴリオ!」

 

 

指揮棒に力を溜める暇が無かったのか、グレゴリオは不思議な力も聖歌隊の召還も関係なく、ただ物理的に指揮棒を錠前さんに対して叩きつける

 

しかし錠前さんはその攻撃を前に飛び込んで回避し、態勢を立て直してすぐにグレゴリオの懐に爆弾を投げ込んだ

 

 

「……終わりだ!」

 

 

爆発の余波を食らわないように下がりながらスイッチを押すと一瞬だけ爆弾が光った後、グレゴリオを中心に爆発音と衝撃が辺りに広がった

 

 

「………っ、足りなかったか……」

 

 

グレゴリオは気絶したかの様に顔を俯かせていたが、暫くしてゆっくりと顔を上げる

 

 

「……なら直接撃ち殺すまで!」

 

 

未だに動けずにいるグレゴリオに対し、アサルトライフルを構える錠前さん

 

 

……確かに爆弾だけじゃ倒せなかったけど、あれだけダメージを与えれば─────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いえ、時間切れですよ」

 

 

 

 

 

 

 

─────直後、グレゴリオが突然指揮棒を振って周囲に光を飛ばしてきた

 

 

 

 

 

 

 

 

──────────

 

────────

 

──────

 

 

 

 

 

 

頭から血が流れ、身体からは悲鳴が上がる

 

朦朧とする意識が少しずつ回復していき、周りの状況を少しだけ見渡せる程度の余裕が出来る

 

辺り一帯は吹き飛び、壁も天井も全て存在しない空間へと変わり果てていた

 

……駄目だ、まだボーっとする。俺の〝眼〟でグレゴリオが光を出すのを視認した瞬間、咄嗟に近くにいた聖歌隊を盾にしたが……弱体化してたせいで大して役に立たなかった

 

それでも死ななかっただけマシだろうが……

 

 

 

次に目に映ったのは倒れている仲間達

 

 

歌住さんは脚から大量の血を流し、他のシスターフッドの人達は全員意識を失っている

 

戒野さんは瓦礫に潰されていて、皆より遠くにいたおかげで比較的軽症で済んでいた槌永さんが戒野さんの上から瓦礫を退かしている

 

蒼森さんはその盾で咄嗟に身を護ったのか一番怪我が少なく、盾は半壊しているもののまだ戦闘態勢を取っている

 

……そして一番重傷なのが誰よりもグレゴリオの近くにいた錠前さんだ

 

持ち前の頑丈さのお陰で辛うじて意識は残っているものの、両手両足がボロボロなせいでピクリとも動かない

 

 

「貴女達の実力はバシリカに辿り着くまでの間にちゃんと確認させていただきました」

 

 

奥からグレゴリオの攻撃で自身もダメージを食らったであろうマダムが近づいてくる

 

……こいつ、自分も被害を受けること覚悟であの作戦に出たのか

 

「私一人でも負ける事は無かったでしょうが、念には念を入れて正解でしたね………まあ、彼女が無事なのは想定外でしたが」

 

そう言って蒼森さんの方を軽く睨み付ける

 

………グレゴリオが錠前さんに対して直接指揮棒を振ったのは力のチャージができなかったからじゃない、単純にもっとチャージしたかったからなのか

 

 

「……さて、そろそろ幕引きにしましょうか。サオリさえ手に入れる事ができれば貴女達に用は………いえ、貴女達の身柄と引き換えに、トリニティで匿っているアツコを差し出させるという手もありますね」

 

 

瓦礫の山を払い除けて、中からグレゴリオが出てくる

 

奴が指揮棒をくるっと振ると、俺達を囲む様に聖歌隊が円になって出現する

 

更に遠くからも大勢の人が走り寄ってくる音が聞こえてくる

 

 

「どうやら残ったアリウスの生徒達も到着したようですね、もはや貴方達に希望は残されて────」

 

 

そこまで言いかけて、マダムが言葉を止める

 

 

「────この音は一体……空から?」

 

 

そうしてマダムが空を見上げる

 

 

 

 

 

 

 

 

次の瞬間、榴弾砲が円を描く様に聖歌隊を吹き飛ばしていく

 

 

 

 

「………は?」

 

 

突然の事態にマダムは愕然とするが、すぐに近づいてくる足音に意識を向ける

 

「まさか……!」

 

 

遠目でも分かる……あれは正義実現委員会の、救護騎士団の、シスターフッドの、そして……ティーパーティーの────

 

 

 

「やっほー☆随分とボロボロになってるね?」

 

……遅いっす

 

「女の子はお出掛け前にお化粧とか色々とやることがあるからね」

 

ああもう……何でも良いんで早く───「酒泉っ!」

 

 

〝あのオバサンを倒してくれ〟そう言おうとした瞬間、遠くから聞き慣れた声が近づいてきた

 

 

「大丈夫!?……じゃないわよね、待ってて……今、仮拠点まで連れていくから!」

 

……すまん下江さん、また迷惑掛けて……

 

「ううん……良いの、こうして生きて私の隣に居てくれれば、それでいいの……」

 

 

 

 

「感動の再会、ですか……つまらない三文芝居ですね、貴女達もまとめて────」

 

 

 

 

 

 

「ぶっ壊れろおぉぉぉぉぉ!」

 

 

 

 

マダムの言葉を遮りながら剣先さんが飛び出す

 

二丁のショットガンをマダムの身体に向けると、そのままひたすらに乱射し続ける

 

マダムは剣先さんを薙ぎ払おうと腕を上に上げる……が、その腕が何者かに撃たれる

 

 

「ぐっ……一体誰が……!」

 

 

剣先さんの攻撃を手でガードしながら忌々しげに弾丸の飛んできた方を見ると、そこには白洲さんが立っていた

 

 

「白洲アズサァァ!誰のお陰で今日まで生きてこれたのか分かっているのですか!?」

 

「ああ、分かっている!サオリ達とトリニティの皆のお陰だ!」

 

 

その言葉を聞いた瞬間、マダムが白洲さんに殺気を飛ばす

 

 

「もういい……グレゴリオ!全員消し飛ばしなさい!儀式の生け贄ならトリニティを滅ぼした後で秤アツコを回収すればいい!」

 

 

その命令通りにグレゴリオが指揮棒を上げ───そして身体が崩れ始めた

 

 

「なっ!?」

 

「あはは☆どうやらその子も限界みたいだね!まあ、仮拠点でナギちゃんが砲撃の指示を出してくれる以上、生き残ってたとしても意味ないと思うけどね?」

 

 

仲間を失ったマダムを取り囲む生徒達、さっきの俺達と立場が逆転している

 

 

 

 

 

「………ハスミ、終わったか」

 

『ええ、此方は片付け終わりました……私達もすぐに合流しますので』

 

「コハル、酒泉を連れていけ。マシロとイチカはコハルと合流して護衛しろ」

 

「わ、分かりました!」

 

『医療班にも連絡しておきます!』

 

『酒泉……帰ったら皆でお説教っすよ?』

 

 

 

 

 

「ナギちゃん、準備は良い?」

 

『はい、次弾の装填は完了しています。要請があれば何時でもいけますよ』

 

『……ところでナギサ、その椅子は必要なのかい?』

 

『……あ、あの!スズミさん!私も行ってきても……』

 

『駄目ですよ、レイサさん……私達はあくまで護衛なんですから』

 

 

 

 

 

「ミ、ミサキちゃん!意識が戻ったんですね!良かったです!」

 

「頭に……響くから……静かにして……」

 

「ご、ごめんなさい!」

 

「……ァ……ズサ……私……は…」

 

「何も言わないで、サオリ……トリニティでアツコが待ってるから、皆で帰ろう」

 

 

 

『…………あの、ハナコさん。なぜ貴女がシスターフッドの服を持ってるんですか?』

 

『あら?ウイさんも着てみますか?スースーしてとっても気持ちいいですよ♡』

 

『え、遠慮しておきます……!』

 

『そうですか……彼好みの服装だと思ったのですが……』

 

『……うぇ?』

 

 

 

 

 

 

 

 

「だ……大丈夫ですか、ミネ団長!」

 

「私達も援護します!」

 

「よく来てくれましたね、セリナ、ハナエ………ですが貴女達の役割は怪我人を救護することです、ここは私に任せてください」

 

「で、でも……」

 

「先に戦っていた者達の中で、一番軽症なのが私ですから」

 

「……分かりました、気をつけてくださいね!」

 

「け、怪我人の方々の手当てが終わったらすぐに向かいますから!」

 

 

 

 

 

「だ、大丈夫ですか!?」

 

「サクラコ様!この怪我は……!」

 

「ありがとうございます……マリー、ヒナタ、ですが心配無用です。前線には立てませんが……シスターフッドの指揮を取る事ぐらいなら可能です」

 

「でも……」

 

「……お願いします、彼の為にもここで負けたくないのです」

 

「ふえ!?……や、やっぱりサクラコ様の想い人って……」

 

「……あっ!?い、いえ!違います!〝せっかく頼ってくれたのに、ここで倒れてしまうのは申し訳ない〟という意味です!」

 

「まだ何も言ってませんけど……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「馬鹿な……あり得ない!なぜこんなにも早くアリウス自治区へ続く道を……!」

 

「うーん……カタコンベまではウイちゃんの情報と私の記憶、そこから先はアツコの情報のおかげかな?」

 

「こんな……こんなはずでは……!」

 

「貴女が何を思ってようが私には関係ないんだけどさー………これだけは言わせてもらうね?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私の大切な人に何してるの?」

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

「愚かな……未完成の作品を更に改悪してしまえば、こうもなるだろう」

 

「彼女は秤アツコと錠前サオリの身柄を確保された時点でアリウスを捨てて逃げればよかったのだ」

 

「……しかし、彼女の目的とプライドがそれを許さなかった……許せなかったのだ」

 

「〝自身を崇高な存在へと高める〟などという目的に固執しなければ………いや、彼女個人の野望を否定してしまうのは少し違うな」

 

「それにしても……まさか先生が介入する前に事件が解決されるとは……」

 

「大人の力を借りた訳ではない、奇跡の様なものに頼った訳でもない……生徒同士の繋がりによって生み出された結末……〝偶然の産物〟などではない〝掴み取った必然〟」

 

「多くの血と涙と悲しみを流しながらも描き出されたこの景色………これもまた芸術、か……」

 

「ふむ……偶には超常的な存在が関わらない作品を創ってみるのも悪くないな……安物の道具で、ありきたりな色で、適当な場所で」

 

「……………」

 

「………折川酒泉、か」

 

 

 

 




次回で多分ifトリニティは終わりです、でもifアビドスみたいにそのうち〝その後〟とか言って後日談書くと思います
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