〝アリウス〟潰すゾ!!!   作:あば茶

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おはなししましょう・過去

 

 

 

 

「……これは?」

 

────ハンドクリームですよ、依頼を受けてくれたお礼です

 

 

酒泉から手渡された、ご丁寧にリボンでラッピングされたピンク色の包み紙

 

それを一ミリでも破かないようにウタハが慎重に解くと中にはハート型のケースが入っていた

 

 

────技術職にとって〝手は命より重い〟って聞いたことあるんで評判の良いやつ買ってきました

 

「……依頼料は事前に頂いているが?まあ、あれも君がどうしても受け取ってほしいって言うから仕方なく受け取っただけだが」

 

────いやいや、小型のバリア装置を作ってもらうってのに数千円渡しただけではい終わりって訳にはいかないっすよ

 

 

調印式で使用する予定の小型バリア、巡航ミサイルの直撃はどうしようもないがその余波から人間一人を生かす程度の強度があれば十分戦えると酒泉は踏んでいる

 

 

「そうか、なら君の言葉に甘えて素直に受け取っておくよ……早速使ってみてもいいかい?さっき丁度作業を終えたばかりなんだ」

 

────いいですよ

 

 

ウタハが銀色のケースの蓋をぱかっと開けると、薄ピンクのクリームが姿を表すと共にフローラルな香りが飛び込んできた

 

蓋の裏には恐らくブランド名であろう文字が刻まれているがウタハはそれに触れず早速クリームを指で掬い上げ、自分の両手に満遍なく広げた

 

 

────使い心地はどうですか?……って、そんなすぐ効果が出るわけありませんね

 

「ああ、でも香りは私好みだよ。それにしても……こうして自分の手をじっくり見つめる度に思うが他の同年代の子と比べると細かい傷が多いな、折角素敵なプレゼントを貰ったというのにこれじゃあ絵面が台無しだな」

 

────え?何が?白石さんの手ってめっちゃ綺麗じゃないですか、努力の跡も感じられますし俺は好きですよ

 

「あんなオイル臭い手が好きだなんて君は変わってるね」

 

────いや、オイルの匂いも好きですけどそれ以上に白石さんの手が好きってだけですよ

 

「……なら、そんな君の大好きな手からお裾分けだ、両手を出してくれ」

 

───……?はい、どうぞ

 

 

首を傾げながらもウタハに言われるがまま無警戒に両手を差し出す酒泉、何をくれるのだろうとちょっとした期待に胸を膨らませていると突如酒泉の両手をウタハが触り始めた

 

 

「少々ハンドクリームを塗りすぎてしまってね、折角だし君も使ってみるといい」

 

────いや、俺は別に……

 

「まあまあ、そう言わず」

 

 

酒泉の言葉を無視して互いの両手を合わせると、ウタハは手の甲、手のひら、指、指と指の間と塗り残しがないように両手両指を絡み合わせた

 

ここまで直に触れ合うと男女問わず恥ずかしさを感じてしまうもので、酒泉もその例に漏れず気まずそうに視線を逸らしている

 

そんな酒泉を見てウタハはピタリと手を止め、今度はぎゅうっと酒泉の片手を自身の両手で包み込んだ

 

「酒泉、君の手はとても素敵だね」

 

────……な、なんすか急に?

 

「男の子らしくごわごわしていて、どこか安心感を覚えさせるような……そんなカッコイイ手をしている」

 

────やめてくださいよ……からかってんすか?

 

「───とまあ、これが突然口説かれた側の気持ちさ。中々に歯痒いだろう?これに懲りたらああいう台詞を簡単に吐かない事だ。それとこれは個人的なアドバイスだけど……〝その気〟も無いのにこんなハート型のケースは選ばない方がいい、面倒な誤解を生んでしまうからね」

 

────その気?……えっと、よく分かんないんすけど気に入りませんでした?

 

「いや、気に入ったよ。このケースが出てきた瞬間思わず〝チャンスか〟と期待してしまった程度には気に入りすぎたよ」

 

 

言葉の意味を上手く理解できないまま〝そうですか〟と頷く酒泉、案の定伝わらなかったなと呆れながらもウタハは両手を離して酒泉の手を解放した

 

 

「手を開いてごらん?」

 

────ん?……あ、なんか丸っこいもん入ってる

 

「それは超小型のバリア発生装置だ、周囲の熱源や強力な振動に反応して自動的に展開されるようになっている。敵に悟られないように可能な限り本体のサイズを小さくさせたが……その代わり一度起動したら完全に壊れて二度と使えなくなってしまう」

 

 

恐らくウタハに手を包まれた際に握らされたであろう発生装置、見た目は銀色の鉄球で大きさはペットボトルの蓋と同じかそれより一回り小さい程度だった

 

 

「ハンドクリームを塗ろうとした時〝丁度作業を終えたばかり〟と言ったろう?実はさっきまでそれを作っていたんだ。当然、それ一個だけでなく依頼された分作ってあるよ」

 

────おお!これが俺の依頼した……ありがとうございます!これがあればどんな状況でも戦えます!

「……で、だ。ずっと聞くべきか迷っていたがこの際ハッキリ聞かせてもらおうかな。酒泉、君はどんな状況を想定して私にそれを作らせたんだい?私としては友人である君にそんな物が必要になるような危険事には首を突っ込んでほしくないわけだが」

 

────あー……ほら、今度エデン条約締結の為の調印式がトリニティで行われるでしょ?その為の警護っていうか……まあ、念の為ですかね?必ず使うとは限りませんよ

 

「……なるほど?つまり君が掲載している〝敵〟とはあくまで仮想の相手だと」

 

────そゆ事っすね

 

 

言葉を選びながら話を誤魔化そうとしている酒泉、しかし彼の言う事も強ち間違いではなかった

 

原作を知っている酒泉にとって巡航ミサイルによる調印式襲撃のイベントが発生する事は大前提、その襲撃からヒナや先生を守る為に自分が前線に出て囮になるのも大前提

 

だからこそ少しでも自分への被害を軽減する為に、一秒でも長く戦う為にバリア装置の作成をウタハに依頼した

 

そんな彼の前に現れたのはエデン条約編のストーリーを終えた後の世界からやってきた〝未来の百合園セイア〟だった

 

彼女はトリニティやゲヘナだけでなくアリウススクワッドを巻き込んでのハッピーエンドを目指していた、もしその計画が上手くいけばエデン条約編前にベアトリーチェを倒す事ができるかもしれない

 

そうなれば結果的にバリア装置を使う必要も無くなる、それだけの単純な話だ

 

 

────保険みたいなもんですからそこまで重く考えないでくださいよ、つーかゲヘナとトリニティの二大勢力に喧嘩ふっ掛けてくる馬鹿なんて存在する筈ないんですから……ほら、こんな話は止めにしてもっと面白い話しませんか?今日は白石さんが好きそうなロマンたっぷりな話持ってきたんですよ

 

「ほう……例えば?」

 

────ナノテクを駆使して戦う鉄のヒーローの話とか

 

「なにそれkwsk」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おかえり、思っていたより早く帰ってきたな」

 

────……ここに来る道中、誰にもバレてませんよね?

 

「勿論、このスーパーエージェントセイアを舐めないでいただきたいね」

 

 

帰宅してリビングに向かうと百合園さんが我が物顔でソファに顔を埋めていた、しかも何故か俺の制服を勝手に着た状態で

 

寝そべりながら〝セクシー女スパイですまない〟とかほざいているその姿からは微塵もセクシーさが感じられない、カブトムシの交尾の方がまだ興奮できる

 

 

「私が会いにきた理由は至って単純だ、一仕事終える前に君の顔を直接見ておきたくてね」

 

────まさかたったそれだけの理由で〝鍵を開けておいてくれ〟ってモモトーク送ってきたわけじゃないでしょうね

 

「勿論理由は他にもあるぞ、隠れ家のベッドより君の家のソファーの方が寝心地が良いとかな」

 

────さてはアンタ自分が入院中だって設定忘れてるな?

 

「そう怒るな、ちょっとした冗談さ……これから一仕事取り掛かろうとしているのは本当だが────ん?」

 

 

先程も言ってた〝一仕事〟の内容が気になって話を聞こうとしたが、百合園さんは何故か急に訝しげな表情をして言葉を止めてしまった

 

相変わらず掴めない人だと思いながら待っていると、百合園さんは急に俺の手首を掴んで自らの顔に近づき、すんすんと匂いを嗅いできた

 

 

「…………」

 

────……あの、何か?

 

「……密会は楽しめたかい?」

 

────は?

 

「一途で健気な病弱少女を自宅に放置して自分は他の女性と楽しくランデヴーとは良い御身分じゃないか」

 

 

ツーンと不機嫌そうにそっぽを向き、あからさまに〝拗ねてます〟とアピールしてくる百合園さん

 

勿論俺はランデヴーなんかしちゃいない、密会のつもりだってない、白石さんと普通に会話して普通に帰って来ただけだ

 

 

「酒泉、私は悲しいよ。泣きじゃくる君をあんなに優しく抱擁してあげたというのに……君は私の事など忘れてもう他の女の匂いを纏わせてくるんだな」

 

────は?泣きじゃくる?それもしかして未来の話っすか?…………嘘だぁ……なんで俺が百合園さんに泣きつく必要があるんだよ、こんなちっさい人相手にそんな子供みたいな真似するかぁ?

 

「ふん……いいさ別に、疑いたければ疑えばいい。どうせ私はちんちくりんなお子ちゃま体型だよ、君はこんなガキンチョなんか構わず好きなだけ〝ないすばでぇ〟な女性に甘えてきたまえ」

 

 

なんだこいつぅ~!?

 

急に不機嫌になったかと思えば勝手にいじけるし、嘘か本当かも分からない未来の話を持ち出してきたかと思えばまたいじけるし

 

本当に〝誰だこいつ〟って感じだ、百合園セイアとはこんな感情豊かなキャラクターだったのか

 

 

────……あの

 

「なんだ?今更慰めるつもりか?だが残念だったな、もう遅いぞ。今後私がないすばでぇに進化しても君の事は二度と抱き締めてやらな────」

 

────いや、さっさと〝一仕事〟の内容教えてくれないかなーって

 

「……」

 

 

無理矢理話を曲げられた百合園さんがジトっとした目で睨んできたが、このまま続けていては大幅に話が脱線してしまいそうなので許してほしい

 

そんな俺の意図を察してかは知らないが百合園さんも漸く話を本筋に戻すつもりになってくれたらしく、こほんと咳払いを一つしてから視線を合わせて口を開いた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「明日、ミカに会いに行く事にした」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

突然の一言についさっきまでのふざけた空気が一瞬で凍りつく

 

いや、その可能性自体は考慮していた。聖園さんを通してアリウスと接触する為に先ずは聖園さんの説得を成功させなければいけないだろうと

 

確かに互いにそれを一つの案として認めてはいた、けど……

 

────……そりゃまた急っすね、護衛は誰を?やっぱり救護騎士団ですか?

 

「いや、誰も連れていかない、私一人だ」

 

────……は?

 

 

……連れていかない?誰も?この人は何を言っているんだ、相手は聖園ミカだぞ

 

殺す意図は無かったとはいえ、それでも百合園さんに害を加えようとした事実は変わらないだろうに

 

 

────……危険すぎます、最低でも一人は連れていくべきです

 

「何も危険なんか無いさ、ただ話し合うだけなんだから」

 

────向こうがその気とは限りません

 

「その時は私のパンチを食らわして返り討ちにしてやるさ」

 

────……出来もしない事言わないでくださいよ

 

「追い詰められた狐はジャッカルより凶暴なんだぞ、知らなかったのか?」

 

 

真剣な表情で無茶な事は辞めろと伝えるが、百合園さんはふざけた態度でのらりくらりと避けてくる

 

そんなに怯えるくらいなら大人しく隠居し続けていればいいものを、より良き未来の為にと自分の身体を張ってまで聖園ミカと対話しようとしている

 

その怯えを悟られた事に気づいたのか、百合園さんは恥ずかしそうに苦笑しながら頬をかいた

 

 

「おや、もしかして気づいてしまったかい?困ったな、やはり君に隠し事はできないか」

 

────……聖園ミカに怯えてるってわけじゃなさそうですけど

 

「そうだ、私が恐れているのはミカに対してではない、この先に待ち受けている未来に対してだ」

 

 

大胆不敵な態度で俺をからかっていた百合園さんの姿はすっかり鳴りを潜め、ただでさえ小柄な身体が更に小さく見えてしまうほど弱気になっているように見えた

 

 

「もっと早く互いの本音をぶつけ合っていれば、もっと多く言葉を交わしていれば、ティーパーティーは……私達三人は今まで通りの日常を送れていたかもしれない。私とミカが下らない事で喧嘩して、ナギサが呆れながらそれを収めて、時々暴走するナギサを私とミカで止めて、そんな騒々しい日々を続けられていたかもしれない」

 

「でも、対話した上で何も変わらなかったら?ミカの意志が変わらず、ナギサだけが傷付く結果に終わり、何も変えられなかったとしたら?」

 

「私が何をしたところで未来が変わらないのだとしたら、私の行動が無意味なのだとしたら、私はまた……また、戦火に包まれるトリニティを見つめなければならない」

 

「……それどころか、私の余計な行動のせいでより最悪な未来に辿り着いてしまうかもしれないな」

 

 

多くの血が流れ、多くの憎悪がぶつかり合ったエデン条約編。俺の知る限りその結末は希望に満ち溢れているものだったはず

 

最終的に誰も犠牲にならず笑って終えられるのなら此方からアクションを起こさなくても問題無いのだろうが……より良き未来を目指している百合園さんからしたら納得いかないんだろうな

 

きっとハッピーエンドまでの道中で流れる涙も見過ごせないのだろう

 

……俺だって同じだ、最終的に空崎さんが報われるって分かっていたとしても巡航ミサイルの件は見過ごせない

 

 

「だが、それが何も行動を起こさない理由にはならない。諦観して〝一回目〟と同じ未来を受け入れるのだとしたら私は何の為に過去に戻されたというのか」

 

────……なんだ、勝手にべらべら語り出した時は背中でも押してほしいのかと思ったんですけど……全然大丈夫そうですね

 

「当然だ、こんな所で立ち止まっていては君と共に泳げないからな」

 

────……はい?泳ぐ?

 

 

途中まで普通に感心していたが〝君と泳ぐ〟という謎の目的を語られて一気に頭が?で埋め尽くされた

 

別に断る理由もないし適当にプールか海にでも誘ってくれたら一緒に泳いであげるのに……何を言ってるんだか

 

 

「……とはいえだ、やはり不安なものは不安なので今日は一日中君に勇気付けてもらうとしよう」

 

────折角カッコよかったのに台無しっすよ……てか勇気付けるってのはどうやって?

 

「そうだな……とりあえず私の頭を撫でながら思い付く限りの褒め言葉を囁いてくれないか?」

 

────……はい

 

「なんて、冗談────は?」

 

 

言われた通り頭に手を乗せてなでなですると百合園さんはシマエナガくんが豆鉄砲を食らったような顔で固まった

 

なんでさ、アンタが自分から撫でろって言ってきたのに

 

 

「……その、これも冗談のつもりだったのだが」

 

 

頑張ってる百合園さんの為に俺も可能な限り頼みを聞こうとしたのだが、百合園さん的に全然そのつもりは無かったらしい

 

いつもの冗談を見抜けず本気にしてしまった気恥ずかしさから〝そうですか〟とだけ答えて頭から手を退かそうとする……が、その手は百合園さんの右手に押さえられ、結果的に頭の上に乗っかったままになった

 

今日はよく手を触られるなぁ……

 

 

────あれ?冗談だったのでは?

 

「口から出た言葉が真実とは限らないぞ」

 

────すみません、俺馬鹿なんでよく分かんないっす

 

「……ここまで言われても察せないのかい?」

 

────……これから聖園ミカと対話しようって人間がそんなこと言っちゃっていいんですか?

 

 

察するとか察しないとか、そんなもんは和解の為の対話には不要だ。互いの本心を包み隠さず、遠回しな表現で取り繕う事もせず、ただ堂々とぶつけ合えばいい

 

覚妖怪じゃあるまいし人間は相手の心を読むことが出来ない、ただぶつけられた言葉を自分への評価として受け止める

 

好きと言われれば好かれていると、嫌いと言われれば嫌われていると、真偽を確かめる方法なんて無いのだから相手の言葉を信じるしかない

 

 

「……すまない、照れ臭さが勝って余計な意地を張ってしまった。君さえ良ければ私の頭を撫でてほしい」

 

────……よく出来ました

 

 

だから、聖園ミカにもこうして馬鹿正直に伝えればいい

 

あんな感情拗らせやすい女は中途半端な説得じゃ靡かないだろう、だったらもう下手に説得材料を考えず〝仲直りしたい〟と素直に伝えるしかない

 

……正直、俺は和解なんて目指すよりさっさと牢にぶち込んだ方が安全だと思ってるけどな

 

でもまあ、百合園さんが和解を望んでいるのなら俺は素直にそれを応援しよう

 

俺と聖園ミカは知り合いでもなんでもない赤の他人だし今後個人的に関わる事も一生無いだろう、だから彼女の結末には大して興味が無い

 

だとしても、だ────聖園ミカが幸せにならないと百合園さんも幸せになれないというのなら俺は二人の和解を祈るだけだ

 

……もし、もし対話の果てに真の意味で二人が通じ合えたのならその時は……

 

 

(俺も、アリウスを信じてみるのも悪くないかもな)

 

 

……接触まで漕ぎ着けられたら、だけど

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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気に入らなかった、人を小馬鹿にしたような喋り方が

 

気に入らなかった、澄ましたようなその表情が

 

でも、嫌いだった訳じゃない。それらの感情はあくまでじゃれあいの範疇で収まる程度だし、たったそれだけの理由でアリウスにあの子を襲わせたわけじゃない

 

ただ、私の目的の邪魔になりそうだったから全部終わるまで大人しくしててもらおうとしただけ

 

本当にそれ以上するつもりはなかったし、それ以上の事をアリウスにお願いした訳でもない────でも、あいつらはセイアちゃんを殺そうとした

 

あいつらのせいでセイアちゃんが寝たきりになった、あいつらのせいでセイアちゃんが死にかけた

 

あいつらのせいだ、アリウスのせいだ、全部アリウスが悪いんだ

 

……素直にそう思えたらどれ程良かった事か

 

分かってる、本当は全部私が悪いんだって

 

そもそも私がアリウスと手を組まなければ……馬鹿な事を考えなければセイアちゃんは傷付かなかったのに

 

……最悪な想像が、あの日からずっと脳裏にこびりついて剥がれない

 

血溜まりの真ん中に倒れ伏すあの子が、砕けたヘイローで怨嗟の声をぶつけてくるあの子の姿が

 

今更すぎる後悔がずっと私にあの子の幻影を見せてくる、責任から逃げるなと、罪を償えと

 

今もこうして寝室の扉を開けると────居た、私の脆い心が生み出した百合園セイアというそんざ「人を幻扱いするんじゃない」…………?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「幻影が喋った!?」

 

「危ないクスリでもキメているのか?」

 

 

 

 

 

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