〝アリウス〟潰すゾ!!!   作:あば茶

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今回は完全にオリジナル要素しかないので読まなくても何も問題ありません


番外編~後輩ちゃん降臨~(ifルート・オリジナル要素強め注意)
今は泣き貴方を想う


 

 

 

「みぃちゃーん、聞いたよー?」

 

「……何が?あとその〝みぃちゃん〟って呼ぶのやめて」

 

「いいじゃん!美咲みさきちゃんでみぃちゃんなんだから!」

 

 

新野美咲あらたのみさき、それが私の名前……なんだけど隣の席の子───葉桜は何度も何度もあだ名で呼んでくる

 

……いや、そもそも私はこれがあだ名なんて認めてないけど

 

 

「あっ!それよりもみぃちゃんってばまた断ったでしょ!」

 

「……だから何が?」

 

「告白だよ!こーくーはーくー!しかも五回目の!」

 

「……ああ、それ」

 

 

今回で何度目だったか思い出せない、だというのに隣のこの子は何故か私が告白された回数を覚えている

 

そんな事を覚えてる暇があるならこの前点数が悪くて嘆いていた数学の勉強でもした方が良いと思う、私達はまだ一年生だけど苦手は早い内に克服しておいた方が後々楽ができるし

 

 

「なんで断っちゃったの?あの先輩、すっごく有名な人だよ?」

 

「知ってる、スポーツができて成績も良くて性格も優しくて女心を完璧に理解できる超人みたいなモテモテの先輩……でしょ?」

 

 

思い出すのは金髪爽やかフェイスで告白してきた先輩、私の目から見てもかなりスタイルが良くてカッコいい先輩の顔

 

優良物件なんてレベルを越えている超高級マンション並みの物件だ

 

 

「そこまで分かってるのに断っちゃったの!?勿体無くない!?」

 

「……私、女心を完璧に理解してくれるような攻略難度の低い男の人に興味ないから」

 

「ええ……なにそれ……フェチってやつ?」

 

 

葉桜は私の求める男の条件に首を傾げながら困惑している

 

別にそれは何も可笑しな話ではない、ただ私は完璧な男性より頭に大きな欠点を抱えているクソボケな男性の方が好きだったというだけなのだから

 

つまりは個人の趣味の話でしかない

 

 

「……あっ!分かった!みぃちゃん、さては好きな人いるでしょ!」

 

「……さあ」

 

 

適当に視線を逸らしながら答える

 

彼女の推理は間違いではない、ただ少し訂正するならば好きな人が〝いた〟だ

 

過去形といっても別にその人が好きではなくなった訳じゃない、むしろ未だにずるずると引きずってしまっている

 

 

「……馬鹿」

 

 

ギャーギャーと騒ぎながら纏わりついてくる葉桜を適当にあしらいながら誰にも聞こえないくらいの小声で今は亡きあの人をボソッと罵る

 

あの人が褒めてくれたこのショートの黒髪も未だに続けてて、あの人が通っているこの学校の受験を自分の進学先を変えてまで受けたというのに、肝心なあの人はそんな事など知るかと言わんばかりに一向に姿を見せようとはしない

 

……まあ、それは当然なんだけど

 

「……おろ?」

 

「何?急に止まって……雨?」

 

 

ポツリ、ポツリ

 

曇り空から数滴の雨粒が窓に付着したかと思えばザーザーと一気に降り始める

 

予報ではこんなに降ってくるなんて言ってなかったはず……まあ、一応折り畳み傘持ってきてるけど

 

 

「……はぁ」

 

「どしたの?もしかして雨の日は体調悪くなる系?」

 

「……まあ、そんなとこ」

 

 

雨は嫌いだ、だってあの人が死んだ日も雨だったから……雨なんて滅べばいいのに

 

あとついでに緊急車両以外で信号無視する運転手も全員消え去ればいいのに

 

 

「……チッ」

 

「あ、あの成績優秀で文武両道な優等生みぃちゃんが舌打ちを……いけません!お母さんはそんな子に育てた覚えはありませんよ!」

 

 

ちょっと舌打ちしただけで驚かないでほし……ああ、でもあの人以外に舌打ちした事なんてないし驚かれても仕方ないか

 

あの人と一緒に居るだけで思春期みたいに素直になれなくなってしまう自分が嫌いだ、そんな私の相手を嫌な顔一つせずしてくれたあの人の事はもっと嫌いだ大好きだ

 

こんなに苦しい思いをさせるだけなら私の前に現れないでほしかった

 

こんな────こんな感情を与えておきながら勝手に私の前からいなくなるなら、最初から関わらないでほしかった

 

 

 

「……本当、最悪」

 

「……大丈夫?気分悪いなら保健室に行く?」

 

「ありがと……でも大丈夫だから、ただ嫌な事を思い出しちゃっただけ」

 

 

そんなに私の顔色は悪かったのだろうか、それとも何となく雰囲気でそう思ったのか、心配してくれた葉桜の提案を断ってノートを開く

 

現実から逃げるように自主的に勉強を始める、雨が降る度に何度こんな事を繰り返してきたか

 

もし今の私を先輩が見たら昔みたいに〝肩の力抜けよ〟と遊びに誘ってくれるだろうか……あの時の私はどうして素直に頷かなかったのだろう

 

馬鹿だ、先輩は確かにクソボケ馬鹿だけど最後まで素直になれなかった昔の私も大馬鹿だ

 

 

(……今日、先輩の家に線香でもあげに行こっかな)

 

 

今の私にできるのはあの人の遺影に対して想いを独白する事だけ、あまりにも手遅れすぎる

 

先輩のお父さんとお母さんに聞かれても独白を続ける、そんな今の私の勇気が昔の私にもあればよかったのに

 

 

「……はぁ」

 

「おおう、クソデカ溜め息……そんなに雨嫌いなの?まあ、好きな人の方が珍しいけどさ」

 

「うん、本当に……だいっっっっっっきらい」

 

「めっちゃ憎しみ込めるじゃん」

 

 

何度でも言おう、雨なんて大嫌いだ

 

地域によっては恵みの雨と化す場所もあるけど、私にとっては何一つ好きになれる要素がない

 

私がどれだけあの雨の日を思い出そうと、私がどれほど理不尽な世界を恨もうと

 

この雨は────私の悲しみを洗い流して綺麗にはしてくれない

 

 




どっかの道具ちゃんと美咲ちゃんは何も関係ありません
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