〝アリウス〟潰すゾ!!!   作:あば茶

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俺と美咲とアイツ

 

 

 

「……取り乱してしまってごめんなさい、もう大丈夫よ」

 

「あ、はい……」

 

 

ボサボサだった髪を整え、身の回りを整理整頓した調月さんが頭を下げる

 

あまりにも堂々としすぎているその立ち姿は先程までの醜態っぷりを一切感じさせなかった

 

 

「さて、早速だけど……美咲さん、本日から貴女を元の世界に送り返す為の実験を開始するわ。酒泉からも聞いているだろうけどこの実験は何時完了するかも分からない、だから……長期戦になる事も覚悟しておいて」

 

「……はい、大丈夫です」

 

 

向こうでの一年は此方の世界での十六年、時の流れが違うとはいえ美咲の世界でも美咲が居なくなってから一週間以上は確実に経過しているだろう

 

美咲のご両親も真咲の奴も心を痛めてるだろうしさっさと送り返してやりたいが……

 

 

「時刻は今夜の八時、実験場所は貴女が転移した際に眠っていた場所……つまりトリニティね、人払いは先生に頼んで既に済ませているわ」

 

「ありがとうございます……あの、一つよろしいですか?」

 

「何かしら?」

 

「もし今日中に帰る方法が見つかったとしたら……すぐに帰らないといけないんですか?」

 

「そうね、何かしらの理由があって貴女の元居た世界が転移不可能な状態になっているとかならともかく……特に理由が無いのならなるべく早めに帰ってほしいわね、勿論数日程度の滞在なら歓迎するけど」

 

 

少々言い方がキツく聞こえるかもしれないがこれは別に調月さんが美咲を嫌っているからとかではなく、単純に〝別次元の存在がキヴォトスに滞在し続けると何が起こるか分からないから〟という理由だろう

 

色彩の前例を考えるともしかしたらまた変な存在が呼び寄せられるかもしれないし、あらゆる可能性を警戒しておくに越した事はない

 

……というのは建前で、本当は調月さんの意見に賛同してそのまま美咲だけ元の世界に返したかったり?俺は絶対に向こうには戻らんぞ、キヴォトスで幸せになるって決めたんだから

 

 

「……良かったです、それならお世話になった方々への挨拶回りくらいならできそうですね」

 

「……だな」

 

 

美咲から向けられる視線を受け流しながら頷く、誰の挨拶回りかは敢えて聞くまい

 

……一番理想的なのは俺も美咲も互いに納得した上で別れる事だけど、この調子だと中々思い通りには進まなそうだな

 

 

「特異現象捜査部やヴェリタスも既に現場に向かっているわ、後は私達だけよ」

 

「あれ?エンジニア部は?」

 

「彼女達もトキが運転するトラックに乗ってまもなく出発する頃よ、今回の実験で使用する機材が多いから運搬係が必要なのよ」

 

なるほど……そういえばさっき思いっきり爆発事故起こしてたけどあの中に必要機材が混じってたとかないよな?大丈夫だよな?

 

……ていうか飛鳥馬さんトラックも運転出来たのか、あの態度のせいで忘れがちだけど一応優秀なメイドではあるんだったな

 

 

「んじゃ、俺達ももう行きます?」

 

「いえ、その前に一つだけやっておく事があるわ」

 

「やっておく事?なんです?俺に手伝える事なら喜んで手を貸しますけど」

 

「美咲さん、今から案内する部屋で衣類を全て脱いでもらってもいいかしら」

 

「────先輩、本当の本当に最低です」

 

「えっ」

 

 

美咲が数秒だけ驚いた表情を見せるが、その表情はすぐに俺に対する軽蔑で染まった

 

違うんよ、これに関してはただの親切心で申し出ただけなんよ、やっておく事ってのが服を脱がす事とは思ってなかったんよ

 

 

「今からCTルームで貴女の身体データを取らせてもらうわ、それ以外にも心音、体温、鼓動のリズム、その他諸々の細かいデータまでキッチリとね……心配しないで、ミレニアムの技術力ならすぐに終わる検査だから」

 

「それは構いませんが……そんなデータを何に使うんですか?」

 

「実験中の貴女の身体状態と見比べるだけよ。今回私達が挑む実験は別次元に関するまだ片足しか踏み込めていない未開の領域、もしかしたら実験中に発生した未知の現象が貴女の身体に悪影響を……なんて可能性も考えられるわ」

 

 

なるほど!今のは安全面を考慮しての発言だったんだな!つまりそれを手伝おうとした俺は悪くないな!

 

だから美咲さん、いてつくはどうを全身から吹き出さないでください。俺は貴女の身体には微塵も興味なんて持っていませんからどうか誤解を解いてください────ひぃん!?

 

 

「……先輩?今何か余計な事でも考えました?」

 

「き、気のせいだと思われます……マム……!」

 

「マム……?」

 

「そ、それよりも調月さん!そのCT検査を終わらせて早く実験場に行きましょうよ!俺待ち切れねえっすよ!」

 

「え、ええ……そうね……それじゃあ美咲さん、ついてきてくれるかしら」

 

 

何故か強まる寒気から逃げ出すべく調月さんに検査をするように急かし、廊下を歩いて何処かの部屋に向かう二人の背中を見送る

 

この部屋には俺だけがポツンと残ってしまったが、検査にはそんなに時間は掛からないみたいなので少し待ってればすぐに戻ってくるだろう

 

 

「……いや、本当にエリドゥとは程遠いな」

 

特にやる事もなく暇だったのでなんとなく教室内を見渡してみる

 

使われなくなった普通の教室から机や椅子を全部取っ払い、そこに調月さんの仕事道具を置いただけの仮拠点、ミレニアムの元トップの活動拠点と考えると些か地味すぎる気もする

 

……まあ、横領額が横領額だけにあまり贅沢言えない立場なんだろうな。そもそも調月さん自身が選んだ場所でもあるし

 

 

「……みーんな何かしらの立場追われてんなぁ」

 

 

調月さんは原作と違って姿を消さずミレニアムに奉仕活動してるし、アリウススクワッドはトリニティの監視付きで生活してるし、これは原作通りだけど聖園さんも今はまともな権限持たされてないし

 

組織のトップとかそれに準ずる俺の周りの人達、全員降格処分みたいなの食らってんな!ははは……

 

 

「は、はは………………俺って別に疫病神とかじゃないよな?」

 

 

あまりよろしくない共通点を見つけてしまい、若干自分の人間関係に寒気を覚える

 

俺と知り合った人間はその立場を追われたり自ら辞任する……みたいな呪いなんてないよな?そのせいで空崎さんが風紀委員長を辞めるみたいな自体にはならないよな?

 

不知火さんも(俺がチクったせいだけど)原作より早く連邦生徒会に目を付けられて一部権限を凍結されてるし、その後に起きる厄介事への事前対策も込めてFOX小隊も無理矢理解放させたし

 

シロコさんも原作と違って俺の家で自由とは言い切れない生活してるし、プラナも俺の我儘で直してもらったボロボロの方のシッテムで過ごしてるし……

 

 

「……俺isゴッド?」

 

 

※ただし疫病と付く方の……これマジ?

 

どうしよう、そのうち〝折川酒泉被害者の会〟とか作られて今度は俺がキヴォトスそのものから追われたりしないよな?

 

自分の行動がただの余計なお世話と化してたりしたら本当に申し訳ない、陸八魔アルが全ての責任を負って皆様を幸せにします

 

 

「……まあ、考えすぎだろ」

 

 

俺だってそこまで深刻に考えている訳じゃない、原作通りの方が幸せだった人達には申し訳ないなー程度の軽い罪悪感だ

 

余計な介入をして歴史を狂わせた元凶が俺だったとしてもそれで〝俺さえ居なければ〟なんて落ち込む程の豆腐メンタルはとっくに卒業してるし、そもそも今更キヴォトスを出ようなんて気にはならんよ

 

 

「……つーわけで悪いな、美咲」

 

 

可愛い後輩の頼みは聞いてやりたいところだが、俺は〝今世〟を捨てるつもりはない

 

キヴォトス中の人間から消える事を望まれるレベルで嫌われたりとか、自分の存在そのものがキヴォトスを滅ぼすとか、そんな有り得ないレベルの事でも起こらん限り俺は絶対前世の世界には帰らない

 

 

「……こんな事考えてたらフラグとか立ちそうだな、やっぱ今の無しで」

 

 

あ、でもそういう話は抜きでキヴォトスを出て旅行してみたいって思った事は何回かあったな

 

前世で言う海外旅行的な?久しぶりに銃が必要無い生活を味わってみたいっていう願望はちょっとあったりする、何泊何日とかで

 

 

「…………まあ、風紀委員が長期休暇を貰えるわけがないか」

 

 

学生の内から遊べるだけ遊んでおけ、その言葉が通用するのは前世まででした

 

見ろよ空崎さんの無残な姿をよぉ!休日が割られてんだよ不良共のせいでよぉ!……いや本当に俺はいいんでせめて空崎さんにだけでも長期休暇を与えてやってください神様

 

 

「……もし旅行に行けるんなら風紀委員全員で行きたいなー」

 

 

風紀委員だって休んでいいじゃない、人間だもの───おりを

 

あと仕事を増やす問題児は全員バチボコにぶん殴っていいじゃない、悪い奴だもの───おりを

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「……どこにいるの、お姉ちゃん」

 

美咲が姿を消して八日が経過、真咲は姉の部屋のベッドに横たわりながら恨み言の様に呟く

 

少し前まで引きこもり状態だった彼女も実の姉が行方不明となれば流石に居ても立ってもいられないらしく、自分の部屋を出て姉の部屋で手掛かりを漁れる程度の行動力は取り戻したらしい

 

 

「……なんで、また急に居なくなっちゃうの?」

 

 

〝また〟という言葉が嘗て自分が想いを寄せていた────否、亡き今も想いを寄せている少年に対する言葉である事は明白だった

 

そんな少年と同じ様に真咲の前から姿を消してしまった美咲、だが今回の場合はまだ希望がある

 

何故なら確実に死亡した酒泉と違って美咲の死は確認されていないのだから

 

勿論真咲も最悪の可能性を考えた事がある、姉が酒泉の後を追って〝旅立ってしまった〟という可能性を、だが────

 

 

(大丈夫……そういうニュースは流れてきてない、だからきっと……まだ……まだ生きて……!)

 

 

あの日から良いニュースは一つも流れてこない、しかし悪いニュースも同じく一切流れてきていない

 

最悪の報せが来ない事こそが真咲や両親にとっての唯一の吉報だった

 

 

「……会いたいよ、お姉ちゃん」

 

 

ベッドに置かれている美咲のスマホの電源を押し、ホーム画面を開く真咲

 

物理的な手掛かりを何一つ残さず姿を消してしまった姉、もうデータ上にしか手掛かりは無いのかもしれない、そう考えた真咲はトークアプリに登録されている人物全員に通話を掛けていた

 

だが、残念な事に直近に通話していた者達からは手掛かりになりそうな情報を得られず、トークルームにもそれらしき文は一つも書かれていなかった

 

スマホに変化は一つもない、唯一変化があるとすれば────最近追加したであろう〝ブルーアーカイブ〟というアプリのみ

 

 

「……こういうゲームって多分フレンド機能とかあるよね、もしかしたらメール機能みたいなのもあるかもしれないし」

 

 

以前開いた時はずっと画面が暗転していたが、今度こそはと再びアプリアイコンをタップする真咲

 

アプリが起動し、画面には再び暗闇が映し出される────が、何かがおかしい

 

 

「…………?」

 

 

以前映し出された画面は何一つ他の色が存在しない完全なる〝黒〟だった

 

しかし今回の暗闇は完全な〝黒〟ではなく、目を凝らせば辛うじて周囲を見渡せる程度の……言うなら〝暗い〟という状態の暗闇だった

 

 

「ここは────」

 

 

どこだろう

 

その言葉を発しようとした瞬間、美咲のスマホからサッカーボール程のサイズの黒い渦が浮かび上がる

 

 

「────は?」

 

 

真咲は突然の怪奇現象に困惑し、スマホをベッドに落としてしまう

 

それと同時に浮かび上がっていた謎の黒い渦は少しずつ小さくなっていき、最後には何も残さず完全にその場から姿を消していた

 

 

「え?いや、今の……え?なに?」

 

 

ばくばくと高鳴る心臓を何とか落ち着かせようとするも、真咲の頭は既に混乱の二文字に支配されていた

 

非現実的な出来事を前にして〝幻覚でも見ていたのか〟と自身の精神状態まで疑いだした真咲は再び真実を確かめる為に恐る恐るベッドに落ちたスマホを拾い上げる

 

すると先程と全く同じ黒い渦が再び真咲の前に浮かび上がるが、真咲は同じ手は食らわんとばかりに今度はスマホを落とさないようにしっかりと握っていた

 

 

「な、なにこれ……プロジェクターとか映し出すアプリ?最近のゲームって凄いなー……あっ!?それかあれでしょ!?結構前に流行った3Dの携帯ゲーム機!」

 

 

なんだそれかと安堵の息を吐きながら黒い渦に触れようと手を近付ける、すると────

 

 

「……嘘」

 

 

通り抜ける事なく、真咲の手が黒い渦に侵入していく

 

これがただ投影されてるだけの映像ならば手を伸ばしたところで手に重なるだけのはず、そうならないと言う事はつまりは

 

 

「……これ、本物?」

 

姉がインストールしたゲームを起動しただけなのに何故か発生してしまった怪奇現象、それを前に美咲はある一つの可能性を脳裏に過らせる

 

 

「……今の空間、どっかに繋がってそうだったよね」

 

 

変な事故を起こさない為に黒い渦からそっと手を引っ込めると、真咲は黒い渦からスマホの画面に視線をスライドさせる

 

神隠しの様に姿を消した姉、最近インストールされたであろうスマホアプリ、何処かに繋がっているかもしれない黒い渦、もしかすると

 

今度はもっと注視してみよう、姉に辿り着く為の手掛かりを見つけられるかもしれない

 

そんな思いでスマホを見つめ────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「美咲さん、貴女が通ってきた道というのはここで合っているかしら?」

 

「はい、この細道を抜けると私が目を覚ました時に居た工場跡地に着きます」

 

 

美咲が調月さんに脱がされた(誇張抜き)あの後、俺達は美咲がこの世界に出現した時の座標……つまりトリニティに来ていた

 

細道に入る前までは車で移動してきた、俺じゃ大して実験の役には立てそうになかったのでせめて運転だけでもと代わりに調月が用意した車を運転させてもらった

 

ちなみに助手席には調月さんが座った、車に関する知識を持ってる方が助手席に座るのは妥当と言えるだろう……前世じゃ高一の美咲は普通自動車を運転できないからな

 

こっちの世界じゃ戦車ですら学生の手で運転できるんだぜ!へへっ!

 

 

「……」

 

「どうした?寒いのか?」

 

「はい、少しだけ」

 

「じゃあ俺の上着使うか?」

 

「……良いんですか?」

 

「おう、俺は大して寒くないし」

 

「……では、お借りします」

 

「……美咲さん、上着が欲しいのなら私のを貸してあげるわ。貴女も女性物の方が良いでしょう?」

 

「いえ、これがい……これでいいです」

 

「……そう」

 

 

美咲が若干寒そうに身体を震わせていたので自分が着ていた上着を肩に掛ける

 

時刻はそろそろ夜の七時半、夜風が身体を冷やしてくる頃合いであり、俺にとっちゃ丁度良い涼しさを感じさせてくれる頃合いでもある

 

 

「どうだ?まだ冷えるか?」

 

「……いえ、先輩のお陰で暖まりました」

 

「そうか、それは良かっ───」

 

「だから……もう二度と寒い思いをさせないでくださいね?」

 

「……善処する」

 

「……何の話をしているのかしら」

 

 

〝ちょっとした雑談です〟と強引に話を切り上げると美咲は歩く速度を上げ、此方の顔を窺う事なく俺の横を追い抜いてしまった

 

……寒いのが苦手な同居人は美咲以外にも居るんだ、悪いけどあの人を置いてはいけない

 

 

「……着きました、ここです」

 

「KEEP OUT……の前に誰か立ってますね」

 

「部外者が入らないように見張りを立てておいたようね」

 

 

無言の時間もそう長くはなく、細道を抜けるとKEEPOUTと書かれたバリケードテープが工場らしき場所の入り口に貼られていた

 

更にその場所には何者かが立っており、部外者の侵入を避ける為に設置されたであろう〝工事中〟の看板に退屈そうに身体を凭れかかせていた

 

 

「こんばんは……あの、貴女が今回の実験に協力してくれる────」

 

 

先頭を歩いていた美咲が見張りの人に声を掛けようとしたが、その途中で何故か言葉を止めてしまう

 

そして完全に身体まで固まってしまった美咲は、唯一動く目を見張りの胸元に向ける……まあ、さっきから正体不明扱いしてるけど俺の眼ならハッキリと見張りの人の姿も見えてるんだけどな

 

 

「あ、来た……貴女が新野美咲さん?……で、いいんだよね?」

 

「……」

 

「あれ?違った?」

 

「あ……い、いえ……そうです、私が新野美咲です……」

 

「なんだその変なおじさんみたいな挨拶は」

 

 

美少女おじさん枠は既に存在するって言ってんだろ!美少女おじさんってなんだよTS転生か?(困惑)

 

なんとなーく美咲が困惑している理由を察しながらも、俺達が到着するまで入口で見張っててくれたその人に礼を言う為にこちらから頭を下げて感謝を口にする

 

 

「こんな寒い中立哨してくれてありがとうござっ……いえ、貴女にとっちゃこれで丁度良い感じなんですかね────和泉元さん」

 

「うーん、もっと涼しくなってもいいかなーって感じかな……」

 

 

そこに立っていたのは暑がりを越えた暑がり、和泉元エイミ

 

美咲が硬直した理由は間違いなく彼女の格好を目撃したからだろう……その気持ち、理解するぞ

 

今では慣れたけど俺も少し前までは胸元どころか全身を見ることすらできなかった、眼が良すぎるというのも困り物だと改めて自覚できた

 

ちなみに〝改めて〟と言ったのは俺が風紀委員会に入りたての時期に天雨さんの姿をまともに見れなかったという経験があったからだ、今じゃただの動く横乳として普通に目視できる

 

 

「エイミ、ヴェリタスは既に工場内に────」

 

「ヴェリタスどころか私も先生もエンジニア部も皆待機中ですよ」

 

 

調月さんの言葉の上にわざとらしく別の女性の言葉が被せられる

 

少々ネチッこさを感じさせる様な声色で登場したのはミレニアムが誇る超……長いからいいや、明星さんだった

 

 

「随分と待たせてくれましたねぇ?まさか貴女の運転技術がここまで下手だったとは思いませんでしたよ」

 

「集合時間には十分間に合ってる筈よ、それとここまで運転してくれたのは私じゃなくて……」

 

「あ、俺です」

 

「流石は酒泉です、ちゃんと集合時間を守れて偉いですね」

 

「明星さん、最近手のひらドリルに改造したりしました?」

 

 

運転手が俺だったと知った途端にさっきの発言を撤回する勢いで褒めてくる明星さん、どうやら調月さんが相手ならとりあえず理由関係なく煽るつもりだったらしい

 

……ここまで来たら一周回って調月さんのこと大好きなのでは?ヒマリオキテる?それともリオヒマ?

 

 

「まったく!私とは正反対な下水道の臭いがしてきたから迎えにきてみればいきなりこんな仕打ちを受けるだなんて……!」

 

「部長から勝手に仕掛けてたけどねー」

 

「……ヒマリ、これ……」

 

「……ブレスケア?リオ、これを何故私に?」

 

「口臭対策は必要よ……尤も、下水道レベルの悪臭を打ち消せる程の効果はないでしょうけど」

 

「病弱美少女パンチ!!!」

 

「……?申し訳ないけどじゃれ合いたいのなら別の日にしてくれないかしら、これ以上時間を無駄にするつもりはないわ」

 

 

天然カウンターを食らった明星さんが座ったまま拳を放つが、その拳はぽよんと音を立てるだけで終わってしまった。何故か胸部を攻撃してたけどそこに個人的な恨みは多分きっとメイビー存在しないだろう

 

しかもその行為をじゃれ合いと見なされてしまった明星さんは、まるで子供に言い聞かせるかの様に調月さんに窘められてしまった

残念ながら明星さんの攻撃は調月さんとの器のデカさやあれのデカさの違いを思い知らされる結果に終わってしまったようだ……無念

 

 

「くっ……胸も態度も相変わらず無駄にデカいですね……!」

 

「あの、明星さん……互いに色々と積もる話はあるでしょうけど、とりあえず今は実験を……」

「おっと、これは失礼しました。私としたことが……では気を取り直して、お待ちしておりましたよ美咲さん」

 

「はい……ところで、貴女は……」

 

「私はただのしがない超天才清楚系病弱美少女ハッカーの明星ヒマリです、以後お見知りおきを」

 

「……先輩、この癖の強そうな方は?」

 

「ん?今自己紹介してた通りだけど?……それより明星さん、ハッカーの前に〝スーパー〟が抜けてますし美少女の前にも〝超絶〟が抜けてますよ」

 

「あらあら、相変わらず人を煽てるのがお上手ですね?ですがそんなに褒めても私からは何も出てきませんよ?……ところで何か困り事等はありますか?アトラ・ハシースの時の様に力を貸してあげなくもありませんよ?そうですね、とりあえず軽くゲヘナの全不良生徒達の個人情報と行動記録でも抜き取って……」

 

「やべえ煽てすぎた」

 

 

ノリが良い相手には此方もノリを良く、それが円満なコミュニケーションの秘訣

 

ただし、癖強人が多いキヴォトスでこれをやると本気で調子に乗り始める人もいるので皆も注意しようね!

 

 

「ちょっとヒマリ、他校との争いの火種をさらっと増やそうとしないでよ」

 

「人聞きが悪いですねチーちゃん、私はただ可愛い後輩の為に力添えをしようとしただけですよ?」

 

「それが問題なのよ……」

 

「あの……」

 

「ああ、ごめんごめん。まだ自己紹介してなかったね。私は各務チヒロ「私の事は気軽にチーちゃんって呼んでくださいね☆」……ヒマリ、勝手に台詞を付け足さないで」

 

 

危うくゲヘナのセキュリティをガバガバにされそうだった寸前のところを各務さんが止めてくれた、サンキューチッヒフォーエバーチッヒ

 

 

「なになに?もしかして実験の子到着したのー?……って酒泉じゃん!久しぶりー!」

 

「お、小塗さんじゃん。相変わらずスプラってるか?」

 

此方の会話が気になったのか、少し離れた場所からペイントガールが近寄ってきた

 

それと同時に工場の奥で何かの作業をしていた他のヴェリタスのメンバーも此方に視線を向け……かと思いきや音瀬さんだけ目が合った途端に視線を僅かにずらされてしまった

 

……俺、なんか音瀬さんに苦手意識持たれてるっぽいんだよな

 

嫌われるような事をした覚えとかは無いんだけどなぁ……心当たりがあるとすればシャーレで盗聴機を発見した際に罰としてそれに向かって音割れレッドウィンター校歌を流したり、あとは宇沢さんに電話越しから大声量で挨拶してもらったぐらいか

 

あ、そういや盗聴機を処分する前にこっそり持ち帰って電車の吊革が軋む音を聞かせた事もあったっけな……原因めちゃくちゃあったわ

 

でもこれに関しちゃ盗聴する側が悪いよね、あの頃はシャーレで先生と重要な会話してた時もあったし

 

 

「美咲、この人達の事も紹介しておくな。この人は小塗マキさん、グラフィティとビナーの事ならこの人に任せておけ」

 

「ビナー?なんですかそれ」

 

「ゴリラに虐められてる可哀想な生物の事さ。そしてあそこで妖怪MAXを妖怪MAXと混ぜてそれを妖怪MAXで割ろうとしているのが小鈎ハレさんだ」

 

「やはりカフェイン……カフェインは全てを解決する……!」

 

「……なんかキマッてません?」

 

「俺だって糖分キメてる時はあんな感じのこと考えてるしまあ……そして最後にヘッドホンで何か聞いてる人、数日前シャーレに仕掛けた盗聴機をこっそり俺に持ち帰られてる事に気付かず先生の声を聞こうとしてるあの人が音瀬コタマさんだ」

 

 

〝ゲーヘナ!ゲヘナゲーヘナキュウジン!ゲーヘナ!ゲヘナコウシュウニュウー!〟

 

 

「おかしい……延々とゲヘナ自治区のバイト広告が流れてきます……!」

 

「今盗聴って言いました?」

 

「気にするな、俺は気にしない」

 

 

以上!イカれたメンバー紹介終わり!何人かキヴォトスでも犯罪な行為に走ってる人達が居るけど細かい事は気にするな!

 

大抵の犯罪行為を咎めようとすれば〝お前それキヴォトスでも同じこと言えんの?〟って返答が来る、それだけこの学園都市は無秩序なのだ

 

頑張れヴァルキューレ……って言おうとしたけどちょっと前まで上層部がゴリゴリに癒着してたわ、頑張ってくれ大人の警官さん達

 

「さーて、先生はどこに……あ、白石さん」

 

「やあ酒泉、待っていたよ」

 

とりあえず今回の実験の責任者役を買ってくれた先生に真っ先に挨拶しようと工場内に入ると、それより先に白石さんの姿を発見した

 

それと同時に白石さんの後ろから猫塚さんと豊見さんも寄ってきたが……なんか面積広くね?主に髪の毛の

 

 

「……なんかイメチェンしました?皆さんとても素敵な髪型ですね」

 

「だろう?」

 

「〝爆発事故抑制装置〟が無かったらもっと酷い怪我を負ってた……」

 

「説明しましょう!爆発事故抑制装置とは爆発が起きた際にその衝撃を咄嗟に抑える装置の事です!その代わり周囲の人間を必ずアフロ頭に整えるシステムが作動する、というデメリットが存在しますが……」

 

「普通に抑えるだけじゃ駄目だったんですか……?」

 

「安心してくれ、その為に事前に登録しておいた元の髪の毛に整え直すこの櫛……〝髪の毛整エール〟がある」

 

「最初からアフロ頭にされるシステムを搭載しなければいいだけなのでは……?」

 

「君のような勘の良い後輩は好きだよ」

 

 

アフロ頭を櫛で梳きながら笑うエンジニア部の三人、おそらくあの頭はミレニアムに来た時に起きた爆発事故の影響だろう

 

この人達の発明品は相変わらず温度差が激しいな、スーパーノヴァみたいな真っ当な……真っ当な?発明品もあれば謎機能が搭載されてるヘンテコな発明品もある

 

今回はそのパターンじゃなければいいが……

 

「リオ様、機材は既に運び終えてます」

 

「トキ……ありがとう、助かったわ。実験まで少しだけ時間も残ってるしそれまでは休んでいてちょうだい」

 

「いえ、その必要はありません。この程度の肉体労働で息を切らすほど柔い身体はしていませんので」

 

「なあ飛鳥馬さん、今なんで俺を見ながら喋った?場合によっちゃメイドを冥土に送ってやってもいいんだぞ?」

 

「今のはメイドと冥土を掛け合わせたギャグですね、ただでさえ今夜は冷え込んでいるのに余計な事をしないでください」

 

「人のギャグを説明するな駄メイド、それと俺だってそこまで柔い肉体してないからな?キヴォトス人程はなくても準キヴォトス人程度には結構強いからな?」

 

「弾が身体を貫通する時点でまだまだです」

 

「当たらなければ無傷……イコール俺超頑丈、理解できりゅ?」

 

「なるほど、つまりテクニックタイプの脳筋ですね……森の賢者という訳ですか」

 

 

登場するや否や早速人を舐めたような態度で接してくる飛鳥馬さん、天童さんに続いてこの人まで俺の事をモモイさんと同レベルに扱ってる様な気がする

 

それと何度でも言うが俺はゴリラじゃない、前世基準だと軍人相手でも腕相撲で勝てるレベルではゴリラだと思うが少なくともキヴォトス基準では絶対にゴリラではない

 

真のゴリラというのは────うん、この話はやめよう

 

 

「皆さん、外は肌寒かったでしょう。工場内にはストーブも用意していますので早く入りましょう」

 

「ついでにコードレスの電気ケトルも持ってきてるのでいつでも暖かいココアを飲めますよ」

 

「おお……気が利くな飛鳥馬さん」

 

「褒めてくれても構いませんよ?というよりも迅速に褒めてください」

 

「さっきの煽りと相殺してチャラな」

 

「ココアは酒泉の分だけ必要ありませんね」

 

「やっぱり飛鳥馬さんがナンバー1!!!」

 

 

 

 

 

 

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────────

 

 

──────

 

 

 

 

 

 

 

「この機械を腕に、それでこっちは────」

 

「サイズは───」

 

「これは実験が始まってから────」

 

 

 

 

 

 

「おおう……なんかよくわかんない機械がいっぱいある……」

 

「これ全部実験に使うんだって、凄いよね」

 

「あ、先生」

 

 

エンジニア部の説明を受けながらアーマーの様な物を装着している美咲を遠くから眺めていると先生が背後から話しかけてきた

 

つい数分前に見つけて挨拶しようとしたのだが、その時は誰かと通話中だったので軽く会釈だけして立ち去った

 

 

「さっきは挨拶できなくてごめんね?ちょっと込み入った話をしててさ……」

 

「いえ、むしろお忙しい中実験に協力してくれてありがとうございます」

 

「美咲の方はどうかな?」

 

「今準備中です、あのアーマーを装着したら実験を開始するらしいですけど……アレなんです?」

 

「衝撃を感知すると瞬時に特殊な緩和材が膨らむアーマーだってさ、他にも空間異変探知機能とか装着者の身体の状態を記録する機能とかもあるらしいよ」

 

 

空間異変はやっぱり転移に必要なデータを揃える為だろうか、安全面にも気を配ってくれているし心配は無さそうだ

 

後はあっさりと元の世界への帰還方法が見つかるのを祈るだけ……と言ってもそれが一番難しそうなんだけどな

 

……まあ、仮に見つかったとしても美咲が素直に帰ってくれるか分からないけど。喧嘩別れで終わりたくないし力ずくで帰すなんて真似はしたくないけど……最悪の場合はそれも視野に入れておかないとな

 

 

「それでなんだけどさ……教えてくれる気になった?」

 

「ん?何がっすか?」

 

「あの子との隠し事」

 

「……できればもう少し待っていただけると」

 

「そっか……まあ、実験の責任者としては細かい事情も聞いておきたかったけどどうしても話したくない内容なら無理に言わなくていいからね」

 

 

そういや先生は俺と美咲の間に何かあるって薄々察してるんだった……どうしてその察しの良さをこんな野郎なんかより他の生徒に向けてあげられないのか、だからいつまで経ってもクソボケ扱いされるんですよ先生

 

……けどまあ、無理に言わなくていいって本人が言ってくれてるのはありがたいな。転生者云々はともかくブルアカってゲームの存在自体は絶対に隠し通さないといけないし、ここは先生の言葉に甘えて墓場まで秘密を持っていくとしよう

 

 

「おーいみんなー!準備終わったよー!」

 

 

そんなこんなで軽い雑談をしていると小塗さんが現場の全員に聞こえるように大声を発した

 

美咲の方を見てみれば全身が真っ黒いアーマーに覆われており、ごつごつとしたその姿は戒野さん似の体格の美咲には不似合いだった……分厚さ的には某ライダーのカチドキアームズくらいか?

 

 

「重そうだな、それ」

 

「でもこの見た目にしてはかなり軽いですよ、多少なら動きまわっても問題無さそうです」

 

「余計な機能はとことん省いて軽量化させた上に筋力補助機能も付けたからね、本当はもっとロマン溢れる機能とかも付け足したかったが……装着者の負担を考えない訳にもいかないからね」

 

「ロマン溢れる機能……例えば?」

 

「スーツケース型からアーマー型に変形する機能とかね!」

 

「天才じゃったか……!」

 

 

どこぞのアイアンなヒーローを想起させるアイデアを出され、思わず少年心が刺激されてしまった

 

代わりに美咲から残念な生き物を見るような目を向けられてしまったが……男の子なら誰しも憧れる事なので許してほしい、憧れは止められないからね

 

 

「えっと……そろそろいいかしら?実験の説明をしたいのだけど……」

 

「はい、お願いします」

 

「まず、美咲さんを送り帰す為には美咲さんがこの世界に転移してきた際に発生した現象を解き明かす必要があるのだけど……残念な事にそれらは一切不明だったわ」

 

「アトラ・ハシースの襲来を踏まえてまた似たような事象が起きてもすぐ対処出来るようにと特異現象捜査部の方でもエネルギー感知装置の機能を向上させていましたが……美咲さんが出現したであろう時刻には何も反応がありませんでした」

 

「つまり私達はアトラ・ハシースもウトナピシュティムも無しで、何の手掛かりも無いまま別の次元に接続する方法を考えないといけないって事よ」

 

「……できるんすか?」

 

「分からないわ、もし私達だけじゃどうにもならない様ならアリスやケイの力も借りる必要が出てくるだろうけど……一先ずはこのメンバーだけで挑戦してみましょう、あの子達に負担を強いらずに済むのならそれが一番よ」

 

「リオ……変わりましたね」

 

「……人間は変化を求める生き物よ」

 

 

おやおやぁ?とからかうような笑みを浮かべる明星さんから視線を逸らす調月さん、やはり何だかんだ仲が良いように見えるのは気のせいではないだろう

 

やっぱりヒマリオじゃないか!(大歓喜)ここに各務さんを一つまみ……w

 

「ふ……ふふ……腐☆腐」

 

「あの……酒泉?どうして笑っているのかしら……」

 

「気にしないでください、先輩の事ですしどうせ下らない妄想でもしているのでしょう」

 

「……短い間に随分彼の事を理解したのね」

 

「……まあ」

 

 

おっと失礼、つい気持ち悪い笑みが溢れてしまった

 

俺は別に百合厨というわけではないが、そもそもの話美少女同士の絡みを嫌う男の方が少ないので多少の気ぶりは許してほしい

 

 

「さて、先ずは次元転移を実現させる為に……あの日と同じ状況を再現しましょう」

 

「あの日?」

 

「酒泉が突然私のシッテムの箱をぶん取って自分から命を危険に晒したあの日の事だね」

 

「先輩……そんな事してたんですか……」

 

 

なんですか先生その寒気がするような笑みは、細かい事を気にする男はモテな……めっちゃモテてたわこの人

 

〝あれは良い経験になりました〟って冗談の一つでも言おうとしたけどそれをやると実験終了後にドキッ☆二人だけのお説教タイム♡が発生しそうなのでやめておいた

 

あと美咲からもとんでもなく冷めた瞳をぶつけられそうなので……ていうか現在進行形でぶつけられてるので

 

 

「んで?状況の再現ってのはどうやって?」

 

「露骨に話を逸らしましたね」

 

「逸らしてませんー!こっちが本題ですぅー!」

 

「そうね、あの日の酒泉の行動には私も未だに言いたい事があるけど今は実験の話に戻りましょう。まず、貴方は砂狼シロコが……失礼、テラー化している方の砂狼シロコが姿を現した時の事を覚えているかしら」

 

「勿論覚えてますよ。なんか黒くてぐるっとした空間から出てきたんですよね、今丁度美咲の後ろにある黒いポータルみたいな────は?」

 

「それよ。先ずはあれと同じ現象を此方でも起こせないか、手元にあるあらゆる演算装置を利用して実験して────え?」

 

 

一瞬、自分の言葉に疑問を感じて途中で言葉を止めてしまう

 

調月さんも……いや、その場に居た全員も違和感に気づいたのか視線を美咲の真後ろに集中させる

 

 

「……チーちゃん、私はまだ演算装置を起動するように命じていませんよ?」

 

「……私達だって起動した覚えはないよ」

 

「……リオ、貴女はまた一人で勝手に行動して……」

 

「……私は一歩も動いていないわ」

 

「白石さん、もしかして調月さんより先に次元転移機能を完成させていたり?皆を驚かせる為にあのアーマーに組み込んでいたとか……」

 

「私達にそのレベルの技術があれば良かったんだけどね……」

 

「つまりアレは────っ、酒泉!」

 

「わかってます────美咲っ!」

 

「は、はい?なんですか────きゃあっ!?」

 

 

あの謎の空間が実験による産物とは一切関係無い、それが判明した瞬間に先生が合図を出し、俺も咄嗟に美咲に駆け寄る

 

勢いよく体当たりを仕掛けて強引に押し倒し、少しでもあの謎の空間から距離を取らせる……なるほど、確かに意外と軽いなこのアーマー

 

 

「トキ!アビ・エシュフを!」

 

「もう起動しています、指示があればいつでも」

 

「酒泉はその空間を見たまま少しずつ下がって!エイミはヒマリを、ウタハは美咲を回収して────っ、来る!?」

 

 

ヒリついた空気の中、全員が銃を構えていると黒いポータルの中に何かが浮かび上がる

 

それは二つの目が付いており、口があり、鼻があり、耳があり───つまり、人間

 

その〝人間〟の後ろには扉が見え、他にもタンスやクローゼット等が設置されていた

 

 

(……普通の部屋?このポータルの奥に誰か住んでるのか?……にしても何か懐かしいような────)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『え?なにこれ?奥に誰かい────……え?』

 

 

 

「……は?」

 

「……真、咲?」

 

 

 

 




公式から供給された正実モブちゃん可愛すぎてつらい
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