「よお馬鹿、見舞いに来てやったぞ」
────怪我人に向かって馬鹿とはなんだ馬鹿とは
「当たり前だろ、大怪我したんだからお前は馬鹿だ、馬鹿」
────んな理不尽な……俺だって好きで怪我したわけじゃ……
「馬鹿だ、大馬鹿、大馬鹿酒泉、ばか、おおばかわしゅせん、ばかしゅせん」
────……お前
「ばか、ばーか、ばかばか、ばかかわ、くそばか…………ばか」
────……だな、ダチを泣かすなんて馬鹿だよな、俺
「あやまるなばか、おまえわるくないだろ、ばか」
──────────
○月×日 天気・よかった
今日はベッドから動けない酒泉に向かって罵りまくるという特大の嫌がらせを食らわせてやった、ざまあみろ
私を心配させるからこんなめにあう、これがいやならもうにどとけがするな
ばかめ、ばーか、ばかばかばかばかばかばかばかばかばかばか
ページぬれた、さいあく
──────────
「……暇だ」
「そりゃアンタがよくつるんでる酒泉がいないからねー」
「あ、でもこの前〝次遊べるの当分先になりそうだねー〟ってモモトークで送ったら〝もうすぐ退院イヤッフゥゥゥゥゥゥゥゥ!!!〟って本人から返ってきたよー」
「……アンタいつの間に遊ぶ約束してたの?」
「本当にね……そういうところちゃっかりしてるんだから」
「別に私が何時何処で誰と遊ぼうが関係なくなーい?」
「……」
「……」
「……」
「暇だぞ酒泉……早く帰ってこい……そして構え……」
「アンタは平常運転ね……」
──────────
○月×日 天気・つまらん
つまんね
──────────
「うぁ゛ぁぁぁぁぁぁぁー……」
「すっかりグロッキー状態ね……」
「暇……もうマジむり……マリカしよ……」
「割と余裕あるわね……」
「いや、よく見なさい。スタートダッシュ余裕で失敗してるわ」
「あ、ほんとだ」
「うー……」
「うわ、逆走してる……」
「めっちゃアイテムボックスだけ取ってる……」
「荒らしプレイヤーみたいな遊び方してる……」
──────────
○月×日 天気・つまんね
つまんねー!!!つまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんね!!!あーつまんね!!!
あああああああああああああああああああああ!!!つまらん!!!
──────────
「……」チラッチラッ
「……どうしたの?そんな何度も教室の扉の方を気にして」サッサッ
「別に?なんもないけど?」
「当ててあげよっか?やっと退院した酒泉に真っ先に〝おはよう〟って言おうとしてるんでしょ、それか〝おかえり〟かな?」サッサッ
「はあ?何それ?変な妄想押し付けないでくれる?……そういうアンタはなんで手鏡なんか使ってるの?」
「身嗜みに気を遣ってるだけだけど?」サッサッ
「アイツに久しぶりに見せるから?」
「……」サッサッ……ピタッ
「ちょっとー二人ともやめなよー空気悪くなるでしょー」
「そういうアンタは真っ先にアイツの席占領してんじゃないわよ」
「どうせ席に座り込んでダル絡みするつもりでしょ」
「いやー別にそんなつもりじゃ────」
────よーっす、おはようございやーす
(((────きた!!!)))
「おはよ────」
「待っていたぞおおおおお!!!酒泉んんんんんんん!!!」
────お前は後!!!
「何故だ!!?」
────あ、悪い……ついノリで
「駄目だ、許さん、許してほしければ構え」
ワイワイキャイキャイイチャイチャ
「……まあ、アイツ来るまでずっとグロッキーだったし」
「今回ぐらいは……ねえ?」
「譲ってあげよっか」
──────────
○月×日 天気・たのしい!!!!!
酒泉が帰ってきた、めっちゃ楽しかった
マリカでピンポイントで狙い続けたり昼食後の腹いっぱいの時に手作りクッキー押し付けたり大量に嫌がらせを仕掛けてやった
久しぶりに色んなことができて満足した
──────────
────あ゛ー……
「どうした酒泉、今日も部活動はないのか」
────……いや、活動自体はあるんだけど……その……俺の行動が色々制限されててさ
「あんな大怪我したんだから当然だろ」
────まあ、そりゃそうだけどさ……にしても退屈っつーか窮屈っつーか……
「そんなに退屈なのか?……なら仕方ない、私がお前にとっておきのマジックを披露してやる」
────え?お前そんなことできんの?
「パンデモマジックショー、いえーい……ちゃらりららり~ちゃらりららり~ら~」
────おお、よくマジックショーとかで流れてる曲……
「酒泉、パッと見で私の胸のサイズはどう見える?」
────ん?聞き間違いかな?
「パッと見で私の胸のサイズはどう見える?」
────聞き間違いであってほしかった
「いいから答えろ」
────……わかんね
「嘘吐くな、お前眼いいだろ」
────うるせえ、知るか
「じゃあ触っていいから当ててみろ」
────それやったらセクハラになるだろうが!?つーかだから答えなかったんだよ馬鹿!
「ちっ……もういい、進めるぞ。恐らくお前の眼には私の胸はAカップかBカップ程度にしか見えてないはずだ」
───……ノーコメントで
「ぷちぷちっと」
────おい待て、なんで万魔殿の制服を脱ぐ?なんでネクタイを外す?なんでワイシャツを胸元から順番に外す?
「なんとぉ?一見AかBにしか見えないこの胸もぉ?サラシを外すだけで一気にEまで────」
────はいストップ、ちょっと落ち着こうな(つーかサラシだったんだ……)
「なんでだ、このマジックを披露しながら〝エアバッグー!〟って言うと知り合いはみんな爆笑するか嫉妬するのに」
────いや止めるに決まってんだろ!?何男の前で平然と脱ごうとしてんだよ!?
「別に脱ごうとした訳じゃないだろ……じゃあ続けるぞ」
────やめろおおおおおおおおおおおっ!!!
「…………」ピタッ
────いや本当にやめるんかい!!!
「よく分からんけど急にお前には見られたくなくなってきた、だからお触りも無しだ」
────今更かよ……てか異性相手なんだからそれが普通だろ……
「ていうかここ暑くないか?顔がめっちゃ暑いからめっちゃ暑いんだけど」
────頭万丈みたいなこと言ってる……そんな暑いか?俺は普通に感じるけど
「……」
────つーかお前さっさと胸元締めろ、こんなところ誰かに見られたら誤解されるぞ
「……酒泉」
────なんだよ
「お前、さっきのツッコミ的にちょっと期待してたろ」
────……は、はあ!?全然そんなことないんだが!?
「……それはそれでムカつくな、そんなことあれよ」
────どう答えろと!?
──────────
○月×日 天気・モヤモヤするから曇り
今日は私の定番マジックを酒泉に披露してやろうとしたら急にやる気がなくなった
なんか、他の連中の前では全然構わないけどアイツにだけは簡単に見せたくなかった
でもそれはそれとして興味無さそうにされたのはムカつく、どうしてかは知らんけど
あとなんかめっちゃ暑い、日記書いてるだけで顔暑くなってきた、発熱したかもと思ったけど体温は平熱だった
────────
────……
「どうした酒泉、私の嫌がらせが効きすぎて落ち込んだのか?」アセアセ
────……違う
「じゃあなんだ、他に嫌なことでもあったか」
────空崎さんが……
「空崎ヒナが?」
────俺に戦うなって……何もするなって……
「……」
────あんな怪我をした後だから仕方ないのは分かるけどさ……でも俺、これじゃ足手まといみたいでなんかさ……
「……」
────……頼りにされてねーのかな
「……酒泉は、強い」
────?
「めっちゃ強いし、めっちゃ頼れる」
────……
「あと、凄い頑張ってるし、あとあと……めっちゃ頑張ってる」
────それどっちも同じじゃね?……でもま、ありがとな
「そうだ感謝しろ、そして褒めろ崇めろ構え」
────はいはい
「ふふん」
──────────
○月×日 天気・めっちゃ構ってもらえた
今日は酒泉が落ち込んでた、風紀委員長が原因らしい
酒泉を悲しませる空崎ヒナなんて大嫌いだ、ばーかばーか
なので校庭で見掛けた際に小声で〝やーいひんにゅー〟って言ってやった、聞こえてないはずなのに殺気を感じた、アイツやば
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────よっすー、はよざーっす
「……また怪我してる」
────あー……これは……
「いい、何も言うな。私だって万魔殿だ、事情は知っている」
────まあ、そうだよな……
「死にかけたって聞いたぞ」
────……死んでないしセーフってことで
「余裕でアウトだ馬鹿川馬鹿泉」
────久しぶりに聞いたなそれ……
「ばーか、ばか、くそばか、ド級の馬鹿のド馬鹿、おおばか」
────……すまん
「許さん、許してほしければ今日一日中は構え」
────……おう
「……ばか」
──────────
○月×日 天気・ばか
あの馬鹿がまた怪我した、なんかアリウス自治区で暴れたらしい
それで死にかけたとか、またアリウスが原因で怪我してる
アイツらは嫌いだ、前も酒泉に酷いことしたし一回潰してやろうか
アリウスに日和ってる奴いる?いねえよなぁ!?
アリウス潰すゾ!!!……って思ったけど既にトリニティに保護されてるらしい、ざんねん
──────────
「……」
────なあ、背中に体重乗せんでくれんか?ノート録れないんだけど
「図書室で勉強にかまけて私を無視するお前が悪い」
────今回は嫌がらせとかじゃないんだな……
「……あ、間違えた。これも嫌がらせだ」
────おせーよホセ
「……ちげーし、お前の勉強を邪魔する為の嫌がらせだし」
────はいはい、そうですね
「……私より勉強の方が大事なのか」
────そういう訳じゃねーよ……ほら、最近事件続きで授業受けれてなかったろ?だからその分自習で頑張ってんだよ
「……終わったら構えよ」
────分かったよ……これ終わったらゲーセンかどっか行こうな
「ロボストリームバーサスやりたい」
────おう、いいぞ
「地雷プレイするから介護しろよ」
────お前終わってんな
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○月×日 天気・しあわせ
今日は久しぶりに酒泉といっぱい遊べた
最近構ってもらえなかった分いっぱい構ってもらえたしいっぱい楽しかった
あとゲーセンのユーフォーキャッチャーでお菓子いっぱい取ってもらった、おいしい
やっぱコイツと一緒だと楽しい、コイツも楽しんでると嬉しい
──────────
「さて、今日も議長に嫌がらせ結果の報告を……ん?」
『───のれ!──川──泉め!この───しを脅───』
『仕方な───ウス───の繋が───』
「なんだ?会議中か?しゃーない、聞き耳立てて適当にタイミング見計らうか」
──────────
月 日 天気
最悪だ、なんで私は今までずっとあんな屑に従ってたんだ、そしてそんな屑の命令を嬉々としてこなそうとしてた私も屑だ
本当に気持ち悪い、どうしてあんな平気な顔でいられるんだ、最低すぎる
みんな何も思わないのか、何も責めないのか、なんでみんな普通に従ってるんだ、だれもこの件を知らないのか、でもイロハ先輩は知ってるはずなのに
酒泉が死にかけたのに誰も気にしない、議長は普通に悪巧みしたりイブキと遊んでたりしてる、おかしい、それにずっと疑問を抱かなかった私もおかしい
気持ち悪い、アイツらさいていすぎる、それに従ってた私も最低すぎる
きもちわるい、きもちわるい、ゲロはきそう、ゲロはいた、きもちわるい
ごめん、しゅせん
──────────
「…………」グリグリ
────どうした?会うや否や急に俺の背中に顔を押し付けて……
「…………」グリグリ
────おーい、これも嫌がらせかー?
「……嫌がらせは、もうしない」
────え?しないの?俺お前の嫌がらせ結構好きだったんだけど
「……しないったらしない」
────つーか万魔殿への報告とかどうすんだよ、仕事サボってるってバレたら色々文句言われんだろ……アイツ面倒だし
「……辞める」
────……え?
「万魔殿は……辞める」
────これまた急だな……なんかあったか?
「…………」
────……まあ、言いたくないなら無理には……
「…………ぅ」
────……?
「うぅぅ……う゛ぅうう……」
────お、おい?どうした?人の背中で呻き声上げて……
「ぅ゛うぅうう……うう゛ぅ゛う゛ぅぅ゛う!」
────お前……泣いてんのか?
「う゛う゛ぅ゛ぅぅう゛!!うう゛ぅっ゛ふ……ぅ゛う゛ぅぅう゛ぅう゛!!!」
────な、なんだなんだ!?よく分からんけど落ち着け!な!?いっぱい構ってやるから!!なんでも言うこと聞いてやるから!!
「ぅ゛ううう゛っ゛うう゛ぅ゛ぅう゛う!!!」
──────────
月 日 天気
つかれた、でもすっきりした
たぶんにっきはもうかかない
あしたパンデモいってくる
パンデモブちゃんメモ
・総合的な戦闘力はモブらしく平均かそれよりちょっと上程度、しかし瞬間的なパンチ力だけに限定すればミカよりやばかったり
でも戦闘慣れしてないし身体の耐久は一般キヴォトス人なので囲まれて撃たれたら普通に負ける
・総合的な戦闘力はモブらしく平均かそれよりちょっと上程度、しかし直線での瞬間的な移動速度だけに限定すればヒナよりやばかったり
でもその後は普通にバテるし長続きしないので追い付かれたらやっぱり負ける