『あの……』
『ん?なに?』
『なんで撮ってるんですか?』
『モモチューブショートだけど?』
『いや、それは分かってるんすけど……なんで俺が飯食ってるとこ撮ってるんすか?』
『まあまあ、気にせず続けて?』
『はぁ……んむ』
『……』
『……』モグモグ
『見てください、クソデカハンバーグをおもいっきり頬張ってます、あざといですね』
『……』モグモグ
『見てください、別の容器には苺と練乳が入っています、甘いもの好きアピールですあざといですね』
『……あちっ』ズズッ
『見てください、スープが熱くてふーふーしてます、あざといですね』
『ちょっとカメラ止めろ』
──────────
《この後(撮影者が)亡くなったんだよね……》
《モノを食べる時は静かでなきゃいけないからね、しょうがないね》
《自炊なんてしなくても食堂に来れば幾らでも作ってあげるのに……》
《相変わらず弁当美味そうだなこいつ》
《次からは酒泉さんも連れ去ってみましょうか……》
《実力的に無理でしょ!余計な怒り買わないでよ!》
──────────
『……ん……ぐぅ』
『見てください、珍しく酒泉が居眠りしています』
『流石酒泉!議長がグラウンドで何か演説しているにも関わらずお構い無し!』
『そこに痺れる憧れるゥ!』
『むにゃ……いちごみるくは……』
『おや、夢の中でも糖分を摂取しているみたいだね』
『ばななあじ……』
『バナナ味?いちごミルクなのに?』
『ん?ばなな……あじ……バナァジイイイイイイイイイ!!!』
『うわぁ!?急に起きたぁ!?』
『ええい!さっきから喧しいぞ貴様らぁ!』
『喋るなあああああああああああ!!!』
『今回に関してはどう考えても私に非は無いよなぁ!?』
『日頃から悪いことしてるって自覚はあるんですね……』
──────────
《ちょっと待ってちょうだい!涎を垂らしながらスヤスヤしてるシーンをアップにしなさい!》
《最近また万魔殿からのちょっかいが鬱陶しくなってきたって自宅でぼやいてたし、多分そのストレスで居眠りしたんだと思う》
《なんだ、やっぱ悪いの万魔殿じゃん》
《……待って?なんで自宅での様子知ってんの?》
《この子もしかして前のショートでクソボケの家に居た子?》
《ん、太ってる方の私》
《弱い方が何か言ってる(笑)》
──────────
『もう回ってるか?』
『回ってるよー……にしても珍しいね、酒泉が自分からカメラ回せなんて言うなんて』
『いやー実はどうしても皆に見せたいものがあってな……』
『お?どうやら相当良いもん手に入れたみたいだねー?』
『ふふん……じゃーん!これなーんだ!』
『……何これ?カヌレ?』
『その通り!トリニティにあるあの超人気有名店のスイーツ、キャラメルカヌレでーす!ここ1ヶ月の間店主さんが旅行に行ってて買えなかったんだけど……ついに今日!ラス1で買えちゃいましたー!』
『お、おお……良かったね……?』
『どうだ?羨ましいか?羨ましいだろ!』
『あーはいはい羨ましい羨ましい』
『めっちゃテンション上がってるじゃん』
『実はこいつだけ糖分を変な薬と同じ成分に変える機構とか備わってない?』
──────────
《おのれゲヘナ……またしても最後の一つを……!ダイエットのご褒美にと楽しみにしていたのに……!》
《私の友達なんて怒りのあまり伝説の不良の血が目覚めそうになってたよ、危うくトリニティが魔獣に滅ぼされるところだった……》
《これ美味しかったですね!!!酒泉さん!!!》
《え?誰か一緒にいったの?》
《文面からしてうるさそう》
──────────
『……』
『はい!突然ですが現在酒泉宅にて緊急で動画回してます!』
『……っ』
『見てください!あの格ゲーの画面の対戦相手の名前!なんと〝UZQueen〟と表示されているではありませんか!』
『ゆずくいーん?誰?』
『知らないの!?ゲーム界隈では知らぬ者など存在しないあの伝説のゲーマーUZQueenを!?』
『だって私ゲーマーじゃないし』
『そんな……ってああ!?ここで酒泉が攻勢に出たぁ!?』
『っ……し!捕らえた!』
『折川がぁ!?捕まえてぇ!?折川がぁ!?画面端ぃ!バースト読んでぇ!まだ入っ……抜けたぁ!?』
『んな馬鹿な!?このフレームで抜けるのは絶対に不可能じゃ……まさか、俺の知らないどころかまだ誰も発見した事のない〝隙〟が存在したのか!?不味いっ!!』
『今度は折川がぁ!?捕まってぇ!?画面端ぃ!?バースト読まれてぇ!?まだ入っ……こっちも抜けたァ!?』
『ならそのムーブ、こっちも真似させてもらうぜぇ!』
『おおっ!?一目見ただけで真似してみせたぁ!?こ、これはまだ分からなく……』
〝LOSE〟
『え!?負け!?なんで!?どっちも体力はまだあるのに!?』
『……時間切れだ』
『……え?』
『俺の方がギリギリで体力が少なかったんだ、それでタイムアップまで持ち込まれて負けたんだ』
『で、でも相手と全く同じやり方で攻撃を防いだのに酒泉だけ負けるなんて……』
『いや、俺の方は相手と違って数フレーム遅れてから回避に成功さしたんだ。その分向こうより多くダメージを食らっちまった……』
『そ、そんな……』
『くっ……やはり手強いな、あの人は』
『……あの人?』
──────────
《なんか凄い光景を見てしまった気がする》
《これでプロじゃないってマジ?》
《そもそもUZQueenと1勝2敗(内一つはタイムアウト)の戦いを繰り広げられる時点でおかしいんだよなぁ……》
《対ありでした》
《流石は酒泉、ゲーセン荒らしの名は伊達じゃない》
《ゲーセン荒らし?格ゲーで色んな奴をボコってるとか?》
《いや?UFOキャッチャーで中の景品取りまくって空にしちゃうからゲーセン荒らしって店側に呼ばれてるらしいぞ?》
《格ゲー関係ねーじゃねえか》
《ちなみに景品のぬいぐるみを誰かにプレゼントしてるところも目撃されてるんだって》
《酒泉は凄いぞ、スカルマン取りのプロだ》
《次はアリスと一緒にゲーム実況です!》
《王女!実名は不味いですよ!》
──────────
『はい、今日は風紀委員の訓練の様子を皆さんにお届けして……ぬおおっ!?』
『おい酒泉、動画なんて撮ってないで構え』
『ええい!背中に乗っかるんじゃない!撮影出来ないだろうが!』
『知るか、構え、遊べ、私を優先しろ』
『こ、この……こっちは一応仕事でモモチューブショートを撮ってるっていうのに……!』
『こっちだって私のFを押し付けてやってるんだ、ありがたく思え』
『誰が押し付けろって頼んだよぉ!?……ったく、また今度時間空いたら誘うからその時まで我慢しろっての……』
『……やだ』
『やだってお前……』
『だってお前、最近動画ばっかじゃん』
『いや、だって……あのタヌキに押し付けられたし……』
『……やだ』
『いや、だから────』
『やだやだやだやだやだやだやだやだ!!!』
『!?』
『遊べ遊べ遊べ遊べ遊べ!!!構え構え構え構え構え構えぇ!!!』
『や……やめろぉ!?背中でどったんばったんするんじゃない!?お前が落下する度に変な感触が…………デッッッk……じゃなくて!!!どけぇ!!!』
『いーやーだー!構え!お前が私を構うまで一生お前の背中に住み続けるからな!』
『チープ・トリックかオメェはよぉ!?』
『一生私を構え!一生私を優先しろ!一生私と一緒に居ろぉ!おら!こんな撮影さっさと終わらせろぉ!』
『ちょっ……やめっ……待て!そっちは中止ボタンじゃないからな!?ダイレクト投稿用のやつだから─────』
──────────
《俺自身が式場になる事だ……》
《結局Fって何のこと?》
《それはね、私のような持たざる者には関係の無い言葉だよ》
《誰か神父呼んでこい》
《連れてきたよ!麻婆豆腐食ってる途中だったけど!》
《返してこい》
《連れてきたよ!時加速させてくるけど!》
《それも返してこい》
《こんなん寝取りじゃんね》
《(ヘイローが割れる音)》
《ヒロイン?奴さん死んだよ、クソボケが殺した》
《こんな風になぁ!》
《ぐえー!》
《ミハ兄ー!》
《私だってFになりたかった!!!!!》