〝アリウス〟潰すゾ!!!   作:あば茶

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○ックス小隊に影響されて友達と蟹鍋食ってきました、美味しかったです、〆の雑炊も最高でした


酒泉「モ、モモチューブ……」

 

 

 

その男は困惑していた

 

彼の名は折川酒泉、普段はゲヘナ学園の生徒として学業に励み、放課後は風紀委員として戦地を駆け回っている

 

そんな彼はゲヘナ学園の名を広める為の広報活動の一環として〝モモチューブ〟という動画サイトに〝とある風紀委員の活動日報〟というチャンネル名でショート動画を投稿していた

 

これが意外にも反響が多く、激務とされる風紀委員の活動内容や時折常人離れした動きを見せる酒泉の訓練風景

 

その容姿性格喋り方からは想像もつかないほど家庭的な一面を見せてくる料理動画や、からかえば何かしらの反応を見せてくれるリアクション芸等

 

無駄に多才な彼はその器用さを(無自覚に)存分に発揮し、結果風紀委員のモモチューブチャンネルは続々と登録者を増やし、今では89000人程の登録者数を誇っている

 

しかしそれに慢心する事なく彼はモモチューブのコメント欄も定期的にチェックし、参考になりそうなコメント等には律儀に礼を言いながらコメ返ししている

 

 

『こんだけゲーム上手いなら一度普通の尺の動画で見てみたい』

 

 

そんな日々を送る中、とあるショート動画に一つのコメントがつく

 

それは風紀委員の仲間達と有名な格闘ゲームをプレイしている動画についたコメント、それを見た酒泉は〝需要があるならやってみようかな〟と考えた

 

が、ただ自分がゲームをプレイするだけの動画だと〝ゲヘナの為の広報活動とは言えないのでは?〟という結論に至った彼は、まず風紀委員会用ではなく自分の個人チャンネル〝酒泉の居酒屋〟を立ち上げ、そこに試験的に動画を投稿する事にした

 

元より風紀委員会の方のチャンネルで彼の存在を認知していた者達は大多数が当然の様に彼のチャンネルも登録し、個人チャンネル〝酒泉の居酒屋〟は登録者数約82000人という補助輪付きでスタートした

 

ゲームプレイスキルがカンストしている彼は主に対戦系のゲームで活躍して一躍有名となり、その手の界隈のゲーマー達に支持される様になっていったり

 

ゲーム以外の動画でも忙しい主婦の為に簡単に作れる美味しい料理を紹介したり、そこらの飲食店顔負けの手の込んだ料理を作ったり

 

とにかく考えるより行動しろと言わんばかりに色々と手をつけてきた結果、彼のチャンネルは登録者数が10万人を越えた

 

ここまで来れたのは常日頃から応援してくれた視聴者達のお陰だと、そう感謝した彼は何か恩返しできないかと10万人突破記念の企画をしようと考えた

 

……が、事件はそんな時に起きた

 

 

「う……嘘だろ……?」

 

 

なんと、10万人を越えた半月後には既に登録者数が15万7000人になっていたのである

 

これでは10万人突破企画が決まる前にに20万人になってしまうかもしれない、そんな嬉しい事件が発生してしまった

 

しかし嬉しくても困惑するものは困惑する、一体何故たった半月でこれだけ伸びたのだろうか

 

これには二つの理由が関係していた、まず一つ目はある日に行った生配信にて────

 

 

『んでさぁ、その時うちの議長がまた無茶振りしてきたからバックドロップで頭地面に埋めたらそこから温泉が吹き出してさぁ……あ、狙われてる狙われてる』←悪い意味で有名なチーターにFPSで狙われ、仲間二人をダウンさせられた酒泉

 

『シールド回復シールド回復……んでそしたらどこから嗅ぎ付けたのか温泉開発部が急にやってきてさ、それを追い払おうとしたら温泉で卵を暖めようとした美食研究会まで来てさ』←雑談しながらチートエイムとやりあって普通に勝利する酒泉

 

『あ、これ詰めれるな、ウルトウルト……おわっ、別パ来た……そんで結局今みたいにちょうど二つのチームを相手する事になってさぁ、マジで大変だったよ』←チーター討伐後、回復も出来ぬまま別のチームに狙われ3対1を余儀なくされる酒泉

 

『あ、チャンピオン……野良の人あざしたー』←普通に全員ぶっ倒して優勝した酒泉

 

 

────という風に自覚無しに度々超人的なプレイを見せつけ、それが様々なところで切り抜かれ無断で転載された事で有名になったのが一つ目の理由

 

そして動画で投稿した料理のレシピを有名な料理系モモチューバーが取り上げ、そこから有名になったのが二つ目の理由

 

しかも彼の幸運はそれだけに留まらない

 

 

「……収益化、通っちまった」

 

 

いつの事だったか、モモチューブ運営から届いた〝条件を満たしたので収益化の申請ができます!〟といった旨のメッセージ

 

特に期待もせず何となくしてみただけの申請が通り、これから先酒泉の懐にお小遣いが入り続けるのが確定された

 

そして部屋の角には銀色に輝く盾、モモチューブの登録者数が10万人を越えた者に送られる盾がつい最近風紀委員会に届いたのだが、なんと彼の個人チャンネルにまで届いてしまった

 

 

「違うんよ……別に本業にするつもりはなかったんよ……」

 

 

万魔殿の議長に命じられた〝広報活動〟としては大成功も大成功なのだが、彼個人としてはゲーム実況も料理動画も半分趣味混じりでやっていたのもあって喜びより困惑の方が勝っていた

 

無論嬉しい誤算ではある、あるのだが下手に有名になってしまってはこれまで以上に言動や行動に気を遣わなければならなくなってしまうかもしれない

 

 

 

 

 

──────────

 

 

 

 

────────

 

 

 

 

──────

 

 

 

 

 

「という訳でやっぱ個人チャンネルに動画投稿するのやめて風紀委員会のチャンネル一本に絞ろうと思ってんだけど……どう?俺の仕事ってあくまで風紀委員な訳だし、これ以上登録者数増えるとこっちが本業みたいになっちゃいそうだしさ」

 

 

《は?》

 

《は?》

 

《ふざけんなクソボケ》

 

《は?》

《シバくぞ》

 

《クソボケ潰すゾ!》

 

《なんだぁ?テメェ…》

 

 

「めっちゃキレるやん……別にチャンネル削除するって訳じゃないんだからそこまで怒んなくても……」

 

 

《アルコール依存症にした責任取ってよね///(30代おっさん)》

 

《逃げるな卑怯者ぉ!》

 

《退屈だよ、折川酒泉……》

 

《つってもそれはクソボケが決めることだし俺達にうだうだ言う資格はねえんじゃねーかな、という訳で無理せず毎秒投稿しろ》

 

 

「矛盾やめてね?」

 

 

《つーかまだ10万人突破企画なんもしてないじゃん、それなのに辞めるのはあり得なくね?》

 

《なんなら風紀委員会の方の5万人突破と10万人突破企画もやってないしな》

 

《祝った後に辞めるのもおかしいしな》

 

 

「……それもそうだな、辞めるかどうか決めるのは生活に悪い影響が出始めてからでもいいか」

 

 

《そうだよ(便乗)》

 

《そうだよ(便乗)》

 

《何もかもそうだよ(全便乗)》

 

《ストーカーには気をつけろよクソボケ》

 

《ストーカー以外にも背中を狙われる可能性はあるけどなクソボケ》

 

《そんで結局10万人記念は何すんの?》

 

 

「風紀委員会の方は5万人突破兼10万人突破記念でバーベキュー動画でも撮ろうかと思ってんだよな、丁度視聴者の方から送られてきて高そうなお肉とかもあるし」

 

 

《おお、無難だけどええやん》

 

《そんな……クソボケが丸一日お邪魔しに来る券の話は……!?》

 

《クリスマスと誕生日が近いからって一緒くたに祝われた記憶を思い出しました、訴訟します》

 

《ちょっと待ってちょうだい!ただバーベキューをするだけの飯テロ動画より〝酒泉がお邪魔しに来る券〟の方が絶対に需要が大きいわ!》

 

《自分からファンとの交流を避けるなんて動画投稿失格だよね☆》

 

《ん、本人がしたくないって言ってるんだからそこは諦めるべき。酒泉はいつも通り自宅に居ればいい》

 

 

「いや、別に交流したくないとかじゃないけど明らかに需要無さそうだしさ。こういうのは動画越しに見るのは好きでも、実際に投稿者本人に会うのはちょっと……っていう人だって居るだろうし」

 

 

《私だって酒泉にお邪魔されて一日中おうちデートしたかった!!!》

 

《希望を奪われ、全てが虚しく感じてきた……どうか考え直してくれ、よろしく頼む》

 

《そもそもそういう人は券の応募とかしないから問題無いのでは?》

 

 

「いや、そういう人達を放置して自分達だけ盛り上がるってのもなぁ……やっぱ全員が楽しめる様な企画にしたいからさ」

 

 

《飯テロのどこに楽しめる要素があるというのか》

 

「ええ?でも人が美味そうに飯食ってるとこみるとこっちも幸せにならない?」

 

 

《ちょっと分からんでもない》

 

《なるほど、つまりわた美食研究会は酒泉さんの幸せに貢献してると……そういう事ですね?》

 

《笑顔で飯食うデブすこ》

 

《理解できる》

 

《そんな……クソボケを抱き枕にして寝るっていう私の夢がただの飯テロに変わるなんて……悪夢だ……》

 

《いいじゃん、悪夢を楽しめよ》

 

《お前ははよ消えろ》

 

《消えた定期》

 

《復活した定期》

 

《また消えた定期》

 

 

「と言われてももう決まった事だしなぁ……」

 

 

《それこそ視聴者にアンケ取ってみればよかったのでは?》

 

《失望しました、酒泉の居酒屋のチャンネル解除してもう一度登録し直します》

 

《折川酒泉の妻です、この度は彼の不手際で皆様に不快な思いをさせてしまい大変申し訳ありませんでした》

 

《どの妻だよ》

 

《候補が多すぎる定期》

 

《いけーっ、淫売の妻!!》

 

《その言い方だとクソボケが淫売という事になるんですがそれは》

 

《他の女に散々色目使ってきたんだから淫売みたいなものでしょ……この、悪魔が》

 

《うおっ♡湿度たっけ♡》

 

《チャンネル登録すればクソボケの妻になれますか?》

 

《はい!なれますよ(ニコニコ)》

 

 

「あーそっか、そういやアンケ機能とかあったっけ……それ活用すりゃよかったな、すまんすまん」

 

 

《ぐう無能》

 

《チャンネル機能を使いこなせ、鬼龍のように》

 

《もう風紀委員会チャンネルの方の企画は決まっちゃったししょうがないとして〝酒泉の居酒屋〟の方はどうするの?》

 

 

「あー、実はそっちの方も決まってて……そうだな、企業さんからも公表していいって言われてるし……ここで一つ皆様に発表がございます」

 

 

《ん?なんだ?》

 

《発表って……まさかご結婚!?》

 

《消せ消せ消せ消せ消せ消せ消せ消せ消せ消せ消せ消せ消せ》

 

《企業って……あっ(察し)》

 

《まさか案件!?》

 

 

「えー、なんとですね、この度私……〝ゲヘナ弁当サービス〟様とコラボさせていただく事になりました!」

 

 

《ま?》

 

《普通に凄くて草》

 

《やりますねぇ!》

 

《ゲヘ弁って確か宅配弁当の?》

 

《コラボって何すんの?クソボケが弁当に詰められて届けられるの?》

 

《え!?今日はクソボケを食べてもいいのか!?》

 

《ああ!おかわり(意味深)もあるぞ!》

 

 

「そうそう、宅配弁当のゲヘナ弁当サービス様ね。なんか企業の方が俺の料理動画見てくれたみたいでさ、向こうから〝コラボしませんか〟ってお誘い頂いてね」

 

「そんでコラボ内容っていうのが俺がコラボ当日に作った弁当をそのまま当日販売するって内容でさ、メニューとかももう決まってるんだよね」

 

「バランスよく栄養を考えた弁当とかお肉大量の弁当とか色々あって全部で五種類あるんだけど、その辺りはゲヘ弁さんのホームページで各自チェックしてくれ」

 

「ただまあ、やっぱ全部俺の手作りって事で作れる数には限界があってさ、各種20個ずつの計100個しか作れないからそこら辺は早い者勝ちって事で頼む」

 

「あ、因みに弁当はゲヘナ弁当サービス様の本社にある設備で俺が直接作るし保管もそこで行うから衛生面は安心してくれ……あとついでに言うと当日の販売場所も本社様の門前だから、再来週土曜日の14時から17時までの限定販売な」

 

 

《企業側が需要を理解しすぎている》

 

《焼き鳥弁当は?焼き鳥弁当はないの?》

 

《トリニティ生ワイ、無事死亡》

 

《レッドウィンター生ワイ、ゲヘ弁に抗議する事を決意する》

 

《ゲヘナ生ワイ、歓喜》

 

《他校の生徒の事考えてなさすぎでしょ、上の人も言ってるけどトリニティ生はどうやって買いに行けばいいの?》

 

《別に無理して買いに行かなきゃいいじゃん、トリニティはトリニティらしくそこら辺の雑草お湯で煮出して飲んでろよ(笑)》

 

《はー、これだからコーヒーとかいう泥水しか飲んでなさそうなゲヘナ生は……》

 

《トリカスぷんぷんで昆布茶生えますわ》

 

《4ね4ね4ね4ね4ね》

 

《なんか始まってて草》

 

《やだ怖い……》

 

 

「おいそこのゲヘナ生らしき奴、変に挑発すんなー?その人の言ってる事は事実なんだからよー」

 

「んで、まあ、そのコメントに対する返事というか、俺個人の見解なんだけど……多分、当日はそんな人来ないと思うんだよ。企業様の方は〝百個でも足りなくなると思う〟って言ってるけど、俺としてはそこまでいかないかなーって」

 

「だから他校の生徒さんでも当日は午後に来てもちゃんと買える……と、思う。仮に今回買えなくてもまたその次の週とかも次の次とかもコラボ予定あるから、あんま焦んなくても大丈夫だと思うぞ」

 

 

《マジで本人より企業の方が需要把握してるじゃん》

 

《クソボケもここまで有名になるとは……》

 

《まさかオリジナル弁当を作る程になるとはね……》

 

《そのうちオリジナルカップヌードルとか作りそう》

 

《商品名は味噌味の〝味噌川酒泉〟と塩味の〝塩川酒泉〟で決まりだな》

 

《ワクワクする麦茶とか作りそう》

 

《そんなんもう名前〝おり茶〟で確定やん》

 

《なあオトン、麦茶にワクワクって必要なんかな》

 

《ウム…そもそも飲み物で気分を高めたいなら酒を飲むんだなァ》

 

《消される!消される!》

 

《ブレンド茶を御作りになられるのであれば是非ティーパーティーにお声がけください、恐らく力になれると思いますよ》

 

 

「いやー今んとこその予定はないっすかねー、もしかしたら企業様にお声がけ頂くのも今回が最初で最後かもしれませんし……そんじゃ、宣伝も終えた事だしこれで配信は……」

 

「あ、そうだ、後一つ決めてないのあんだった……実は俺のチャンネルも動画が始まる時の挨拶とかあった方が良いのかなーって思ってさ、そんで皆の意見が欲しくて」

 

「今のとこ候補は俺の同居人が提案してくれた〝こんにち酒泉~〟ってやつだけなんだけどさ、他に案がある人とこ居たりしない?」

 

 

《そういえばそれらしい挨拶無いな……》

 

《俺に酔いしれなぁ!どうも、クソボケです》

 

《乾杯!どうも、クソボケです》

 

《はいどーもー!バーチャルモモチューバーの酒呑どうこちゃんでーす!》

 

 

「全部却下で、それとバ美肉する予定はありません」

 

 

《贅沢な奴め……》

 

《このまま挨拶無しでも良い気がする》

 

《うっふ~ん♡セクシー酒泉よ~ん♡今日はゲーム実況をしていくわ~ん♡》

 

《それだ》

 

《それだ》

 

《決まったな》

 

《それだ》

 

 

「やめてよね」

 

 

 

 

──────────

 

 

 

────────

 

 

 

──────

 

 

「はい、はい……はい、当日の流れはそんな感じで……いえいえ!気にしないでください!やっぱコラボとなるとインパクトが大事ですもんね、百個くらい任せてくださいよ!」

 

「はい……はい、じゃあ朝の6時からスタートで、……大丈夫っす、ゲヘナ学園の食堂回した経験ありますし、休憩時間含めても余裕で百個間に合いますよ、複数調理も慣れてますし」

 

「じゃあそういう事で……はい、当日はよろしくお願いしまーす……ふぅ」

 

配信を終え、企業の案件担当の者と連絡をし、その後呑気に夕飯のメニューを考え始めた折川酒泉

 

彼はまだ知らない……コラボ当日、本社前で百人を越える生徒が集まる事を、しかもゲヘナ外からも大量に集まってくる事を、なんなら生徒だけじゃなく先生も有給を使ってやってくる事を

 

そして100人目以降の列に並んでいる生徒達が暴動を起こし、選ばれし100人もそれに対抗し……結果、本社前が大量のAMASで埋め尽くされそれを潰さんと隕石が落下しそれを紫の光線が撃ち抜きエトセトラエトセトラ……とにかく地獄の様な光景に変わる事を

 

 

「あ、これっくらいの♪ファイナル弁当箱に♪サバイブサバイブちょっと詰ーめて♪」

 

 

このクソボケは、まだ何も知らない

 





次回!アリ潰!


ヒナ「私は酒泉の弁当を吸収して……頂に立つ」

サオリ「邪魔な生徒は潰す……!」

ミカ「貴女を壊す……!」

リオ「私は……彼の理解者ナンバー1よ」

先生「プラちゃん使っちゃうー?じゃあ私はアロちゃんで行こっかなー」

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