「………」
……何見てんだよ
「……ハッ!?す、すみません!酒泉さんの食べてる方も美味しそうで……つい……」
……チョコミントアイスだぞ?好き嫌い別れると思うけど………食ってみるか?
「い、良いんですか?」
別に構わないけど……
「で、では……あーん」
あ、俺が食べさせるのね……はい、あーん
「こ……これは……!この甘いのにスッキリとする感覚……凄いです!」
お気に召されたようで何よりです……って、頬っぺたにチョコついてんぞ
「あっ……その、お願いしても良いですか?」
仕方無いな……ほら、じっとしてろ
「むぐっ……えへへ、ありがとうございます……」
……敬語使ってない俺が言うのもなんだけど、本当に先輩なんだよな?
「ひ、酷いです……」
冗談だって……悪かったよ……
「うぅ……」
機嫌直せって……
「な、なら……頭を撫でてください」
………
「………駄目、ですよね」
……はいよ
「あっ……えへへ」
「ちょっと待って、距離感おかしくない?」
あ、戒野さん、こんにちは
──────────
────────
──────
私の目の前で身体をくっ付けながらアイスを食べている二人に問い質す
「何でそんな羨ま……じゃなくてっ、距離感近いの?」
「そう……でしょうか?」
俺は気にしてませんけど……
「そ、それはそれで悲しいといいますか……」
「……ていうか、どうして二人でアイス食べてるの」
偶然任務帰りの槌永さんを見つけたら、何かアイス屋の前でトリニティ生の注目を集めながらうろちょろしてたんで……
「私なんかが買っても良いのかと思いまして………そしたら酒泉さんが買ってくれたんです」
そう言ってヒヨリはにへらと笑いながら体を酒泉に預け………は?
何で平然とそんな事ができるの?酒泉も何で平然と受け入れてるの?
……流石に近すぎないか?
「そ、そうですよね……私なんかと───」
……いや、やっぱ気にすんな
「あ……ありがとうございます!」
……いや、酒泉も少し思うところはあるのだろう
ただ断れないだけだ、それなら……
「ほら、さっさと帰るよ……監視の人達に何か言われる前に」
「えっ!?時間はまだありますよ!?」
「ヒヨリの事だし、どうせ時間を忘れて遅れるに決まってるでしょ」
「そんなぁ!?ま、待ってください!もう少しだけ……!」
酒泉の腕に掴まるヒヨリを無理矢理剥がそうとする……が、逆にセミの様に酒泉にしがみついてしまう
酒泉も文句の一つくらいハッキリと言ってほしい……と思ってチラッと視線を向けると、こちらの気持ちなど露知らず携帯をいじっていた
もしかして……日頃からこんな事してるの?
一言文句を言おうと思って口を開こうとした瞬間、ヒヨリが衝撃の言葉を口にする
「サ……サオリ姉さんや姫ちゃんだって同じことしてたのにっ!」
「は?」
一瞬で頭が冷えてくる
あの二人が?何で?どうして?何のために?何故?何故?何故?何故?何故?
「……酒泉、どういうこと?」
えっと……それは誤解といいますか……その……
「いいから説明して」
ちょっと前に任務帰りの錠前さんと出会いまして……公園のベンチで二人で話してる途中、俺の肩に頭を乗っけてきたんですよ
「……それで?」
何事かと思って隣を見たら錠前さんが寝てたんですよ、だから多分仕事疲れじゃないかな……と
「……アツコは?」
その、単純にからかってきただけじゃないかなーって……
「具体的には何されたの?」
こう……頭を抱き寄せられて膝枕されたり、何故か手を握られたり……
「………」
とりあえず頬をつねったあと、ヒヨリを引き剥がした
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「あっ……お久しぶりですねぇ、酒泉さん……」
──────────
「え?これ貰っても良いんですか?えへへ……ありがとうございます……」
──────────
「あの……今日もお呼びしてしまってすみません……」
──────────
「あ、あの!今日呼んだ理由なんですけど……その、これを渡したくて………日頃のお礼といいますか……え?一緒に食べよう?……………えへへ」
──────────
「申し訳ありません、今日も来ていただいて………その、これからもお呼びしてもよろしいでしょうか?」
「……!あ、ありがとうございます!こんな苦しい世界でもこんなに幸せな気持ちになれるんですねぇ……」
──────────
「……ねえ」
ん?
「どうしたんですか?ミサキちゃん」
「今日も偶然視界に入ってきたからつい声をかけちゃったけど………」
けど?
「何か……」
「前よりも距離感おかしくない?」
そう言って酒泉の膝の上に座るヒヨリに視線を向ける
するとキョトンとした様な表情で返事をする
「そう……ですかね?」
「明らかにおかしいって、普通はそんなにくっつかない」
「で、でも……私と酒泉さんはいつもこんな感じですし……」
「は?いつも?」
彼女は今、何と言った
いつも?この距離感で?
「酒泉、一応聞いておくけど……まさかリーダーと姫にも同じことやってる訳じゃないよね?」
いや、槌永さんにしかやってませんよ……てか槌永さんにしか頼まれてないし
「つまり私達だけの……えへへ……」
見るからに幸せそうなオーラを出すヒヨリ、その後ろで椅子代わりにされている男はその事に気づいていない
……なんか嫌だな
「……えい」
うおっ!?
「きゃっ……ミ、ミサキちゃん!?」
ずっと笑顔のままだったヒヨリを退かして代わりに膝の上に座る
「……あんまり座り心地良くないね」
あの……だったら降りてくれません?
「……やだ」
ええ……
別にずっと座っていたいとか、他の人に譲りたくないとか、そんな理由ではない
……断じてない
「……とにかく、こうして簡単に椅子扱いされたくなかったら、これからは────」
「……う、」
……槌永さん?
「……酒泉、今話してるのは私────」
「うわあああああああん!うわあああああああああん!」
!?
「!?」
突然ヒヨリが大声で泣き出した
「うわああああん!酒泉さんが取られちゃいましたあああ!」
ちょっ……槌永さん!?
「ううぅぅう……!ううううう……!」
す、すまん戒野さん!
「きゃっ……」
私を無理矢理立たせて咄嗟にヒヨリに駆け寄る酒泉
「ひっぐ……ぐす……」
ほ、ほら!俺はここにいるから!なっ!?
「ううぅ……」
…………へえ?
「ふーん、そうなんだ……私の事は放置してヒヨリを優先するんだ」
い、戒野さん?
「自分の道具の状態すら分からないんだ」
いや、その……
「うぅ……えぐっ……酒泉さん、どこにも行かないですよね……?」
あ、当たり前だろ?だからほら、泣き止んで……
「………私のことはどうでもいいんだ」
そ、そういう訳では……
「ずっと一緒に居てくれますよね……?酒泉さん……」
えっと……えーっと……
「酒泉はずっと私の所有者でしょ?」
うごごごご……どうすれば……ん?あそこに隠れているのは監視係さん達?
そ、そうだ!あの人達に助けてもらえば……!
「今日も異常ありませんね!先輩!」
「ああ!アリウススクワッドもいつも通りだ!」
「じゃあ帰りましょっか!」
「報告書は私が提出しておこう!」