最近苦い話ばかりだったので砂糖ぶちこみます
「ほ、本当だからね!?」
そう言って顔を赤くしながら必死に否定してくるモモイさん
今日の放課後、突然電話で呼び出されてゲーセンで待ち合わせすることになったが……
………あれ?他の人は?皆で待ってるって言ってましたけど……
「えっ!?えっと……み、皆急に予定が出来ちゃってさ!」
全員同時に?
「そ、そうそう!珍しいこともあるもんだねー!?」
今日のモモイさんやけにテンション高いな……
とりあえず代わりに誰か呼びます?
「駄目っ!!!」
うおっ、びっくりした……
「あっ、ごめん……ほら、今から人を呼んでも遊ぶ時間が勿体ないでしょ?だからさぁ……ね?」
まあ、確かに……?
「ジ、ジャアサッソクナカニハイロッカナー?」
めっちゃ片言やん……
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「うわあああん!煽り通信入れられたー!」
そりゃ、あんな地雷ムーブすれば……ねえ?
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「このアームおかしいって!?絶対弱く設定してるよ!」
もうやめましょうよ!百円がも゛ったいな゛い!!!
──────────
「あっ……バチ折れた……」
珍しくノルマクリア成功するかと思ったのに……
──────────
「うぅ……私の百円が溶けてゆく……」
……今日のモモイさん、なんか調子悪いですね
「えっ?き、気のせいじゃないかな?」
口笛を吹いて誤魔化そうとするが、明らかに様子がおかしい
……てか、口笛吹けてないし
「只今より大会参加の受付を開始しまーす!」
下手くそな口笛を聞きながら次は何をしようかと考えていると、ゲーセンの騒音に負けないくらい大きな声で喋る店員さんが視界に映った
………大会?
よく見るとさっきモモイさんが煽り通信を送られた対人ゲー………〝ロボストリームVS〟のポスターに〝大会〟の二文字が入っていた
「おっ!やっときたね!」
モモイさんはこれ知ってたんですか?
「うん!なんとね、この大会には優勝賞品があるんだよ!」
へぇ……何が貰えるんです?
「それはずばり………大会限定プラモデル!」
おお……豪華だな……!
「酒泉ってこのゲーム好きでしょ?だから、その……前に庇ってくれた時のお礼をしようと思って……」
若干恥ずかしそうに呟くモモイさん、恐らく天童さんが暴走した時の話をしているのだろう
別に気にしなくてもよかったのだが……
「だから待っててね!酒泉!サクッと優勝してきて酒泉にプレゼントしてあげるから!」
……ここは素直に甘えさせてもらおう
「すみません、今回の大会は二人チーム限定なんですよ……」
「え?」
………二人で出ましょうか
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対人ゲーには四種類のランクがある……と、俺は個人的にそう思っている
その1、〝強キャラ〟
初心者から上級者まで大体の人が使うであろうキャラ、良くも悪くも環境で見かける頻度の高いであろうキャラだ
その2、〝中堅キャラ〟
強すぎず弱すぎず、〝原作でこのキャラが好きだから〟って理由で使う人が多い印象だ
その3、〝壊れ〟
壊れ、ぶっ壊れ、汚物、クソ調整、一色環境と〝強キャラ〟とは一線を画すゲームの破壊者
その4、〝産廃〟
雑魚、ゴミ、おもちゃ、うんち、力無き者と言われ放題の〝中堅キャラ〟と(色んな意味で)一線を画す(味方にとっての)ゲームの破壊者
それぞれに特徴があり、よく使われるキャラがいれば全く触れられもしないキャラだって当然存在する
しかし、それは使い手によって変わってくる
強キャラを使いこなせないのに弱キャラで勝ち抜く者がいれば、唯でさえ壊れなのに更にそのキャラを極める者もいる
まあ、要するにだ──────
「────ということで、優勝は〝サイバーピンク〟チームです!」
俺の〝眼〟にかかればキャラパワー差なんて関係ないんだよねええええ!
「す……凄いよ酒泉!私達、本当に優勝しちゃったよ!」
ナイスサポートでしたよ!モモイさん!
「酒泉こそ、よく持ちこたえたね!」
互いにハイタッチして喜んでいると、周囲の人達の視線を集めてしまい少々気恥ずかしくなる
「……と、とりあえず貰うもの貰って出よっか?」
……そうですね
プラモを抱えながらスキップで進むモモイさん
途中で立ち止まり、くるりとこちらを向くと「はい!」と元気よくプラモを手渡してきた
「いやぁ……ごめんね?結局酒泉の力をかりちゃってさ……」
いえ、滅茶苦茶嬉しいですよ
そもそも大会の存在自体知りませんでしたし……全部モモイさんのおかげです
「そう……かな?えへへ……」
頬をかきながら照れているモモイさん、しかしニヤケが抑えられていない
………このまま俺だけ貰いっぱなしなのもなんだかな………あっ、良いこと思い付いた
────モモイさん
「ん?なに?」
また時間空いてる日あります?
「明日の放課後も空いてるけど……それがどうかしたの?」
これ、良かったら────
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「~~~♪」
お姉ちゃんが鼻唄を歌いながらコントローラーを動かしており、画面には〝WIN!〟の文字が映っている
今日は調子が良いらしく、これで六連勝目だ
「また負けた……お姉ちゃん、やけに強くない?」
「ミドリがここまで負け越すなんて……珍しいね?」
「あ!アリス分かりました!きっとコッソリ修行してたんですよね!?」
「んー?」
お姉ちゃんは私達の方を向いてニヤニヤ笑うと───
「………えへへ、内緒!」
───突然ニヘラ笑いに変わった
「……そう言われると逆に知りたくなるんだけど」
「絶対に教えないもんねー!」
膝の上に置いてあるロボットの頭を撫でながらそう宣言する………ん?ロボット?
「お姉ちゃん、それなに?」
「見た感じ、プラモデルっぽいけど………」
「アリス、これ見たことあります!〝ロボストリームVS〟の優勝賞品です!」
「え?お姉ちゃん優勝したの!?」
「そ、そうだったんだ………沢山練習したんだね」
「……でも、誰と組んだの?あのゲームって2ON2だよね?」
「それも内緒!」
むぅ……益々気になってきた
「……そもそも、お姉ちゃんはそのプラモデルどこで組んだの?自宅でも部室でも見たことないんだけど……ていうか、お姉ちゃんってプラモデル組めたんだ」
「これ、塗装とかもしてあるけど……」
「私じゃないよ!」
「……え?」
「私達で組んだんだよ!」