〝アリウス〟潰すゾ!!!   作:あば茶

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〝#@/a:〟話すゾ!!!

 

 

 

────うおおおおおっ!肉肉肉野菜肉野菜肉肉ぅ!

 

好きなもんを好きなだけ焼けぇ!

 

「テンション高いね、酒泉……」

 

────そりゃあそうでしょうよ!ここまで身体を酷使してきたご褒美ですよ!?楽しまなきゃ損でしょ!

 

ほら!トウモロコシ焼けましたよ銀鏡さん!

 

「あ、ああ……ありがとう……」

 

 

 

酒泉の勢いに押されてそのまま紙皿を受け取るイオリ

 

礼を言った頃には既に目の前から消えており、またすぐ別の食べ物を焼き始めた

 

 

 

「なんていうか……まったく疲れてる気配がないね」

 

「いえ………疲れは残ってると思いますよ?ただ、風紀委員の士気を下げない為にそれを隠して振る舞っているだけで────」

 

 

 

「王様ゲームやる人ー!」

 

「「「「「はーい!!!」」」」」

 

────俺もやるー!……これ食ってからな!

 

 

 

「……アコちゃん、アレ本当に疲れてるの?」

 

「………ただの馬鹿だという可能性もありましたね」

 

 

 

次の日の戦いなど知ったことかと言わんばかりに騒ぎまくる酒泉

 

そんな彼に釣られてか、他の風紀委員達もこの時だけは立場を忘れてはしゃいでいる

 

 

 

「……委員長、その……止めなくてもよろしいのですか?」

 

「……?ただのゲームでしょ?」

 

 

 

何かを恐れるようにおずおずとチナツが尋ねるが、ヒナは〝何がおかしいのか〟とキョトンとする

 

その様子にチナツは一つの可能性を思い浮かべる

 

 

 

「委員長、もしかして………王様ゲームをご存知でない?」

 

「うん………もしかして止めた方がいいゲームなの?」

 

「い、いえ……そういう訳では……なくもないというか……」

 

「……どんなルールなの?」

 

「それは────」

 

 

 

 

「「「「「王様だーれだ!?」」」」」

 

 

 

ルールを聞こうと耳を傾けるヒナだったが、突如風紀委員達の大声が響き渡って視線をそちらに向ける

 

その中で酒泉が一本の棒を持って勢いよく立ち上がった

 

 

 

 

────俺が王様じゃあああい!

 

「変態!」

 

「風紀乱し!」

 

「ロリコン!」

 

────まだ何も命令してねーよ!?俺ってどういう目で見られてんの!?

 

くそっ!もう容赦しねーからな!?二番が六番と………………ハ、ハグを……

 

「うわっ、ショボい……」

 

「過激なこと言おうとしたけど恥ずかしくなったパターンだね……」

 

 

 

 

 

 

「……えっと、あんな感じで〝王様〟と書かれている棒を引き当てたら他者に命令できるというゲームです」

 

「まあ、確かに変な命令は止めないといけないけど、それ以外なら別に私は怒ったりは────」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おっ!?次は私が王様だ!じゃあ……三番と五番がポッキーゲーム!」

 

─────さ、三番だ………待ってください!正気ですか!?男の俺だって参加してるんですよ!?

 

「おっ?王様に逆らうつもりかー?」

 

─────ぐっ……ご、五番の人!誰が五番かは知りませんけど、貴女だって俺とは嫌ですよね!?

 

「よ、よろひくおねはいします!」

 

─────準備早っ!?

 

「ほら!一気!一気!」

 

「いいなぁ……」

 

「漢見せろー!」

 

「正実に負けるなー!」

 

────やべえよやべえよ……テンションに任せて参加しなけりゃ良かった……

 

で、でも……

 

「わ、わらひとは……いやでふか?」

 

────うおおおおおおっ!折川酒泉!未来を切り開く!

 

「いけー!」

 

「そこだ!そこで一気に────ん?あっ……やっば……」

 

「ひえっ……」

 

───酒泉!いきまー「酒泉」……す?

 

……空崎さん?

 

「向こうの水道で水を汲んできてくれる?」

 

 

 

 

酒泉が振り向くと、背後では笑顔で酒泉の頭の上に手を置くヒナの姿

 

全風紀委員がその小さな身体の後ろから溢れ出すドス黒いオーラを感じて怯える

 

ただ、酒泉にとっては救いの手を差し伸べてくれた女神に見えた

 

 

 

─────い、委員長命令ならしょうがないなー!

 

本当はもうちょっと遊びたかったんだけどなー!残念だなー!

 

「あっ!?逃げた!?」

 

 

 

ヒナの横を通りすぎる際に小声で〝ありがとうございます〟と呟き、空になった水タンクを二個持って一気に走り出す

 

まるで一目散に逃げ出すその姿はまるで脱兎の様

 

後には冷や汗を流しながら目を逸らす風紀委員達と彼女等を咎めるような目で見つめるヒナが残った

 

 

 

「………別に王様ゲーム自体は禁止にするつもりはない?」

 

「……え?」

 

「でも、キスとかそういうのは……その……命令とかじゃなくて、自分の意思で………あう……」

 

「……委員長」

 

「……な、なに?」

 

「委員長も参加します?」

 

「………………………………やる」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これは……ヒナ委員長と合法的にチョメチョメするチャンス!?」

 

「だから見向きもされないんだよアコちゃん」

 

「……わ、私も参加してきましょうかね」

 

「……チナツ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

満タンになった水タンクを両手で持ちながらゆっくり歩く酒泉

 

決戦前日にも関わらず、その表情はとても穏やかだった

 

護るべきものはこの目で見た、この手で触れた、この口で話した

 

〝絶対に勝つ〟という覚悟を固めるには十分だった

 

 

 

 

 

 

 

─────明日だ……明日で全てが終わる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「その〝終わり〟が必ずしも自身の望む形になるとは限らないぞ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

先程まで何も気配を感じていなかった、それなのに………〝嫌な感覚〟が突如として俺の背後に出現した

 

この〝嫌な感覚〟に俺は覚えがあった、それはアリウス自治区でベアトリーチェを倒した後………ゴルコンダとデカルコマニーに出会った時と似たような感覚だった

 

だが、今回はそれ以上だった

 

後ろを振り向くことすら躊躇うほどの恐怖、背筋が凍てつくような寒気、身体全体を覆う不気味な〝ナニカ〟

 

これを味わうと〝ああ、どれほど強くなっても俺はまだ子供なんだな〟と嫌でも実感させられる

 

………けど、このままビビりっぱなしってのもなんかムカつくな?

 

だから……今度はちゃんと互いに向き合ってお喋りしようぜ?なあ──────フランシスさん?

 

 

「……ほう?私のことも知っていたのか?」

 

 

俺の目線の先に存在するのは不気味な顔の写真をデカルコマニーに掲げさせている謎の人物

 

ゴルコンダと同じく肉体が存在しない、明らかな怪異的存在

 

……原作ではゴルコンダが消滅すると同時に入れ代わるように姿を現した俺の知識外の存在

 

「未来の記憶で私を知ったか?だとすればゲマトリア崩壊も完全に君の記憶通りか?」

 

………だとしたらなんです?逆恨みでもするつもりですか?別に俺が壊した訳じゃないでしょ?

 

「そんな下らない事をするつもりはない、私はお前の話を聞く為だけにこの場に現れた」

 

 

……話?こんな子供になんの用────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お前は〝ストーリー〟を完全に崩壊させた」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────っ………は?

 

 

「〝主人公〟ですらない存在が好き勝手立ち回った結果、この世界の運命は完全に狂ってしまった」

 

「ゲヘナの幼き少女はお前の仇を取る為に己の手を汚しかけ、本来〝主人公〟に倒されるはずだったベアトリーチェは自身の身を捧げて聖女を強化した」

 

「名もなき神々の王女の一件ではお前が天童アリスの心に深く入り込んでしまったが故に、暴走した際の危険性をより深く怯えるようになってしまった」

 

「今回も同じだ、お前という〝イレギュラー〟を始末する為に別世界の砂狼シロコは強引な手段に出た。先生が即座に大人のカードを使う判断をしなければ、あの場に居た者達は全員何かしらの重傷を負っていたかもしれない」

 

 

 

責め立てられる訳でもなく、ただひたすら冷徹に、冷静に、淡々と事実を述べられる

 

俺もそれに対して何も言い返さず、相手の言葉を聞き続ける

 

 

 

「勿論、お前の行動のお陰で救われた者達だって存在するだろう………だが、それは常に綱渡りのような状態だったという事実には気づいているのか?」

 

「自らの手を汚した少女がそのまま復讐鬼と化す可能性、強化された聖女の手であの場の全員が惨殺されていた可能性、名もなき神々の王女が二度と立ち直れなくなる可能性………それらを全て考慮した上でここまで進んできたのか?」

 

「お前は〝正史以上のハッピーエンド〟の可能性をこの世界に与えると同時に〝正史以下のバッドエンド〟の可能性も同時に与えてしまっている」

 

「分かるか?一観客に過ぎないお前が自分の都合で脚本を破り捨て、登場人物の心情を勝手に変え、この世界を不安定な状態にしてしまった」

 

「その上で聞かせてもらおう、もはやどんな〝ジャンル〟なのかも誰が〝主人公〟なのかも分からないこの世界で………誰かが不幸になるかもしれない可能性を背負いながら〝それでも〟と進み続ける覚悟は────」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

─────ある訳ねえだろ

 

 

「……何?」

 

………空崎さんも先生も皆俺のことを信じてくれた、こんな一生徒の言葉だけで自分も戦う覚悟を決めてくれたんだ

 

それなのに〝未来を変えたら誰かが不幸になるかもしれないけどそれでも協力してねー〟なんてふざけた覚悟をする訳ねーだろ

 

俺は未来を変えることが最善だと思っている、それで多くの人が救われると思っている………だからここまで突っ走ってきた

 

正史?そんなの知るかよ………この世界を俺にとって都合の良い〝ハッピーエンド〟に変える、その意思を曲げるつもりはない

 

「……その結果、再び多くの人間を巻き込んだとしても?」

 

そうだ、それで誰かに恨まれようともな

 

………これはとあるヒーロー好きの男が唱えた説だが、幸せの総量ってのは最初から決まってるんだとよ

 

残念ながら俺は幸せの総量を増やす手段も全ての人間を平等に幸せにする手段も持ち合わせていない

 

ならせめて─────俺の周りの人達、俺の大切な人達の幸せだけはなんとしても護りたい

 

「………それがお前の戦う理由か」

 

デカルコマニーがフランシスの写真を持って背を向けると、用は済んだとでも言うように引き返し始めた

 

 

「ゴルコンダがお前に興味を持ったのはお前に〝未来の知識〟があったからだ、その時点ではお前は観察対象の一人に過ぎなかった」

 

「だが……こうして直接話を聞いて私は別のことに興味を持った、それはお前の〝存在〟だ」

 

「主人公と脇役、どちらにもなれる………〝誰かを不幸にする敵〟にも〝誰かを幸せにする味方〟にも〝聖人〟にも〝悪魔〟にもなり得るその特異性………これから君がどの様な道を辿るのか興味が湧いてきた」

 

「これからも見守らせてもらうぞ………この世界が続けばの話だがな」

 

「そういうこったぁ!!!」

 

 

デカルコマニーの背中が遠ざかるに連れ、フランシスの声も共に遠くなっていく

 

しっかりと最後まで見届けていたのにも関わらず、二人の姿はいつの間にか消えていた

 

……まあ、そんな事はどうでもいい

 

今はとりあえず───────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──────めちゃくちゃ怖かったああああああああああ!!!

 

 

 

「酒泉、帰ってくるのが遅っ……どうしたの?」

 

あ、すいません空崎さん、ちょっと幽霊と会話してました

 

「……やっぱり今日はもう休む?」

 

 

 

 


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