〝アリウス〟潰すゾ!!!   作:あば茶

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時系列は適当です

生放送、セイアちゃんかクリスマスアリウスが来ると期待していました………でもヴェリタスも可愛いのでオッケーです


酒泉「24日の夜の予定?埋まってますけど?」ヒナ・ミカ・リオ「えっ」

 

 

 

 

────ヒナside────

 

 

 

 

 

 

 

執務室に沈黙が走る

 

空気がヒリつき、ヒナの視線が折川酒泉へと集中する

 

ヒナはペンを落とし、背中の羽がピンッ!と伸び、身体が硬直する

 

 

 

────せっかく誘ってくれたのにすいません……

 

「………」

 

────でも、次の25日の風紀委員会のクリパには参加できるんで、その辺は大丈夫です!

 

「………」

 

────と言っても、それも風紀委員会の仕事がなければ………つまり問題児達が暴れなければの話ですけどね

 

「………」

 

────まあ、流石にクリスマスは他の組織も大人しく……いや、普通に暴れる可能性あるな……

 

「………」

 

────……あの、空崎さん?さっきから黙り込んじゃってますけど……どうしたんですか?

 

 

 

ヒナは羽を震わせながら恐る恐る尋ねる

 

 

 

「しゅ、酒泉……24日に予定があるって本当なの?」

 

────はい、そうですけど……

 

 

 

 

ヒナの反応にキョトンとする酒泉

 

そんな彼を見てヒナは最悪の可能性を想起する

 

 

 

「ね、ねえ酒泉……その予定ってもしかして……他の女の子と過ごしたり……?」

 

────まあ、大体そんな感じっすね

 

「そんな………まさか、その女の子って調月リオ?それとも聖園ミカ……とか?」

 

────どっちでもないですね

 

「それじゃあ他に誰と………まさか、私の知らない人……?そんな、だって酒泉はそんな相手がいるなんて私に一回も話してくれたことなかったのに……」

 

 

一人絶望し、近くで何かを話している酒泉の言葉すら聞こえなくなるヒナ

 

彼女のマイナス方面に向かった思考はそのまま留まることを知らずに奈落へと落ちていく

 

 

 

「もしかして……もっと前からその子とそんな関係に?とっくに手遅れだったの……?風紀委員会に入る前から?それとも入学前から?そんな……私のメンタルがもっと早く強くなっていたら……私がもっと早く勇気を出していたらこんな事には……でも、まさかこんないきなりだなんて……私を支えてくれるって言うから信じてたのに────」

 

────あの、空崎さん?聞いてますー?相手は空崎さんも知ってる人ですよー?

 

「────私だって〝六時間〟を………え?」

 

 

 

耳元に近づき、至近距離でヒナに話しかける酒泉

 

ようやく酒泉の声が聞こえたヒナはその言葉に疑問を持つ

 

 

 

「今、私の知ってる人って……」

 

────はい………まあ、正確には空崎さんも知ってる人〝達〟ですけど

 

「……知ってる人〝達〟?」

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

────ミカside────

 

 

 

 

「……えっ?」

 

 

模擬戦によってペイントまみれになった顔を洗っていると、ミカの手がピタリと止まる

 

その日ミカが酒泉と出会ったのは完全に偶然だった

 

いつも通り口喧嘩に発展して、いつも通り煽り合って、いつも通り罰ゲーム付きで模擬戦の流れになった二人

 

その試合は今回もミカの勝利で終わり、いつも通り罰ゲームを考えていたミカ

 

 

『ふふーん♪また私の勝ちだね☆今回の罰ゲームはどんなのにしよっかな~?』

 

『くそっ……煮るなり焼くなり好きにしろよ……!』

 

『そうだなぁ……そ、そそそそれじゃあ……12月の24日に夜まで私のお買い物の荷物持ちでもしてもらおっかな?お買い物が済んだら日付が変わるまで暇潰しの相手でもしてもらって………あっ!でもねでもね、もし酒泉君が嫌なら荷物持ちじゃなくて……その……ふ、普通に二人でお出かけとかでも許してあげなくも────』

 

『あっ、24日の夜は他の人との予定があるんで無理です』

 

 

 

このクソボケの発言から最初のシーンへ繋がった、繋がってしまった

 

 

 

「……あ、あはは……酒泉君ってば嘘を吐くのが下手なんだね?」

 

────嘘だぁ?

 

「だ、だって………酒泉君がクリスマスイブに誰かとの予定なんて作れるはずがないじゃんね?」

 

────よしもう一度フィールドに立て今度こそぶっ飛ばしてやるよ

 

 

 

青筋を立てながらキレる酒泉

 

しかしミカはそんな酒泉に煽り返すことすらせず、ただ声を震わせるのみ

 

 

 

「て、撤回するなら今の内だよ?」

 

────本当のことだって……何を撤回すればいいんだよ……

 

「私が煽りすぎたから酒泉君も強がって後に退けなくなっちゃっただけだもんね?ごめんごめん!私も謝るからさ?だから……ね?冗談だよね?」

 

────だから冗談じゃないですって………

 

「そ、そんな……」

 

 

信じられないものを見るような目で見つめてくるミカ

 

そんな彼女に対して酒泉は手に付着したペイントを洗い流しながらさりげなく呟く

 

 

 

────まあ、予定といってもすぐに終わりますけどね

 

「……え?すぐに?デートとかしないの?」

 

────デートぉ?そんなのする時間ありませんよ

 

「………えっ?」

 

 

 

おかしい、イブの夜に他の女の子と会うなら、少なくとも〝そういう関係〟ではあるはず

 

ミカはそう思いながら考え込む

 

 

(……そういえば、酒泉君は〝他の人と予定がある〟って言っただけで、〝他の女の子と予定がある〟とまでは言ってなかったよね)

 

 

一筋の希望を頼りに問いかけるミカ

 

 

「ねえ、酒泉君が会おうとしてる人って………女の子?」

 

────ええ、そうですけど?

 

「あっ、そこは正解なんだ………」

 

 

 

ガックリと項垂れるミカは気分を落としながらもその相手が〝ただのお友達〟であることに賭けて質問を続ける

 

 

「その女の子ってさ………どんな人?」

 

────どんな人って……聖園さんでも知ってる人ですよ

 

「私でも?」

 

 

 

 

 

 

────まあ、具体的には人〝達〟ですけどね

 

「………〝達〟?」

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

────リオside────

 

 

 

「……そう、既に先約が居たのね」

 

────すいません、ちょっと他の人と予定が……

 

 

 

 

動揺を悟られないように、リオは平静を気取って言葉を続ける

 

 

「………ちなみにだけど、その相手と貴方は一体どういう関係なの?」

 

────んー……まあ、一言では言い表せられないっていうか……色んな意味でめちゃくちゃ深い関係ではありますね

 

「……深い……関係……」

 

 

自分で呟いた言葉が自分の胸に突き刺さる

 

リオは心が抉られるような感覚に陥りながらもまだまだ問い続ける

 

 

「………貴方は……その人のことをどう思っているの?」

 

────どう……とは?

 

「そのままの意味よ、好きだとか嫌いだとか………そんなシンプルな答えでも構わないわ」

 

────……そう、ですね……好きですよ、〝今は〟大好きです

 

「……そう」

 

 

 

〝今は〟

 

自分の知らぬ間にそれ程までに関係を進めていたのか

 

そんな後悔が心を支配し、暫く黙り込むリオ

 

何かリオの様子に違和感を感じたのか、酒泉も心配そうに無言で見つめる

 

何分何秒か経った頃、リオは顔を上げて酒泉の目を真っ直ぐ見つめる

 

 

 

「……酒泉、私は貴方に大切な存在ができたことを心の底から祝福するわ」

 

「本当は私がその席に座りたかったのだけれど………先約が居たのなら仕方ないわね」

 

「私よりその娘の方が先に貴方と結ばれた………それだけの話だもの」

 

「おめでとう、酒泉………勝手ながら我が事のように喜ばせてもらうわ」

 

「だって、私は……私、は……あ、貴方、の……理解者、だか……ら……」

 

────つ、調月さん!?どうしたんですか!?

 

「……あ、あら……ごめんなさい、私、どうして泣いているのかしら……」

 

 

 

語り続けている内にポロポロと少しずつ涙を溢すリオ

 

そんな彼女を見てぎょっとした酒泉は、リオの背中を擦りながらハンカチを手渡す

 

 

「ふふっ……気軽に女性の身体に触れては駄目よ?こういうのは貴方の恋人にしてあげないと……」

 

 

リオらしくもない泣き笑いに困惑し、突然の〝恋人〟発言に更に困惑が強くなる酒泉

 

焦り倒しながら必死に言葉を紡ぐ

 

 

 

────こ、恋人ぉ!?な、なんのことですか!?俺に恋人なんていませんよ!?

 

「……えっ?だって……この後は恋人と過ごすって……」

 

────俺は〝他の人と予定がある〟って言っただけですよ!?

 

「……………」

 

 

 

リオはポカンとしながら先程のやり取りを思い出す

 

 

『すいません、ちょっと他の人と予定が……』

 

 

 

 

「…………」

 

────…………

 

「………こほん、勿論気づいていたわ」

 

────それは無理がありますって

 

「………………気づいていたわ」

 

 

 

無理矢理にでも誤魔化そうとするリオをジト目で見つめる酒泉

 

リオは話を逸らすように酒泉に話しかける

 

 

 

「……それで?相手が恋人じゃないのだとしたら、貴方は24日は誰と過ごすの?」

 

────俺が過ごす人達ですか?

 

「ええ、そうよ。貴方が過ごす人達…………人〝達〟?」

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

────夜9時────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………ねえサッちゃん、あの白い袋を背負ってる人って………」

 

「ああ、赤い服に白い顎髭をつけているが……」

 

「間違いなく酒泉さん……ですよね……」

 

「何してんのアイツ………」

 

 

メリークリスマース!

 

 

 

「なんか叫んでるね……」

 

「私達の監視施設の付近で不審者を見かけたかと思えば……何をしているんだ……」

 

 

 

メリークリスマース!

 

 

「こ、声が大きくなってませんか……?」

 

「うるさっ……」

 

 

 

メリークリスマース!!!

 

 

 

「夜中に叫ばないでくれ」

 

あ、すいません

 

「……それで、酒泉は一体何をしにきたんだ?」

 

酒泉じゃないです

 

「………え?」

 

今の私は………サンタクロースだあああああああ!ヴェハハハハハハ!

 

「……ど、どうしたんだ酒泉?疲れているのか?」

 

酒泉じゃない!サンタクロースだ!

 

「……きょ、今日の酒泉さん、テンションがおかしいです……」

 

だから酒泉じゃないって………まあいいや、とりあえずプレゼント配るぞー

 

「……プレゼント?」

 

「サンタクロース………噂で聞いたことがあるな、一夜にして全ての家に不法侵入する恐ろしい技術を持った極悪人だとか………止めてくれ、酒泉!お前にそんな立場は似合わない!」

 

サンタに対する認識酷すぎませんか?………もう、これあげるからその認識正してくださいよ?

 

「これは……ジェルネイル?それに香水も……いや、他にもコスメ系の物が色々入っている……?」

 

そして戒野さんには……これ!

 

「……は?大きいクマのぬいぐるみ?何これ?」

 

あー……嫌でした?結構質の良いの選んできたんだけど……

 

「別に嫌とは言ってないじゃん……」

 

そっか、それなら良かったです

 

「…………………ありがと」

 

そして次は……秤さんにはこれ!

 

「花の種がいっぱい……他にも新しいプランターに肥料も……?」

 

最後に槌永さんには………はい!自宅で簡単!炙り焼き器!+海鮮セット!

 

「う、うわああああ!?これを私に!?い、良いんですかぁ!?なんだか私だけ〝食べ物でも渡しておけば喜ぶだろ〟みたいな感じで選ばれたようなラインナップですけど………でも、ありがとうございます!」

 

……ソ、ソンナコトナイヨー

 

「うわああああん!やっぱりそうだったんですねぇ!?」

 

「ヒヨリ………与えられる立場でありながら文句を言うな、失礼だぞ」

 

「うっ……ご、ごめんなさい……」

 

「全く………いや、それよりも酒泉、私は────」

いやーここまで揃えるの大変だったなー

 

こんなに頑張ったのに受け取るのを拒否られると落ち込んで立ち直れなくなっちゃうなー

 

「……お前はどうしてそう、私の言おうとしていることを封じてくるんだ」

 

先読みは俺の得意技なんでね

 

「そういう問題ではないだろう………でも、そうだな。せっかく用意してくれた物を直前で拒否するのも忍びないからな、ここは素直に受け取っておくとしよう」

 

ええ、そうしてください

 

「ああ、ありがとう……………なあ、酒泉」

 

はい?

 

「その、今貰ったプレゼントを使って身を整えたら…………まず最初にお前に見せに────」

 

「見てください!カキにホタテ貝、サザエも入ってますよ!」

 

「……ヒヨリ、もう夜なんだから静かにしろ」

 

「……卑しいよ、サオリ姉さん」

 

「ミ、ミサキ?どうしてそんなに不機嫌なんだ?」

「そうやって無自覚に誘惑しようとしてるのが〝卑しい〟って言ってるの、普段はそういう事に興味無さそうな顔をしてるくせに────」

 

「お、落ち着け……私はただ酒泉からの意見が聞きたくて────」

 

「か、帰ったら早速ご飯の準備を────」

 

 

 

 

 

 

 

「ふふっ……皆喜んでるね」

 

そう、かな……?

 

「それにしても………途中から〝酒泉〟であることを否定してなかったね」

 

………秤さん、俺はサンタだ

 

「じゃあそういう事にしておくね………プレゼントありがとう、サンタさん」

 

ああ、それじゃ────

 

「それで?〝酒泉〟は何もくれないの?」

 

────え?

 

「〝サンタクロース〟からプレゼントは貰ったけど、酒泉は何も用意してないんだ?」

 

いや、それは……ちょっと卑怯なんじゃ……

 

「じゃあ、酒泉が持ってるものから勝手にプレゼント決めちゃうね?」

 

は、秤さん?なんか笑顔が怖いっていうか………

 

「この日、この時間に会いに来たってことは……そういう事だよね?もう言い訳できないよ?」

 

待って、なんか顔が近────力強っ!?腕引っ張らないで!?

 

「クリスマス、一緒に楽しもっか?」

 

何を貰われるの!?俺の何をプレゼントにさせられるの!?

 

助けて!アリスクの監視係さん達─────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……先輩、良いんですか?」

 

「今までアリウス自治区の過酷な環境で過ごしてきた彼女達にとっては初めての〝まともなクリスマス〟だろう………私からのプレゼントだ」

 

「目を瞑ることがプレゼントってのもなんか変ですけどね………でも、カッコいいですよ先輩」

 

「ふっ………さて、万が一バレた時の為に反省文でも書いておくか。今日はお前にも付き合ってもらうぞ?」

 

「え?嫌ですけど?」

 

「なんだァ?てめェ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この後めちゃくちゃ(健全に)楽しんだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

すっかり深夜近くになってしまった……終電に間に合ってよかった……

 

明日も休みだし別に遅れてもよかったんだけどさ……クリパも午後からだし────ん?

 

 

「──して─の?───よ」

 

「貴女こそ───時間に──して」

 

「───遅く──彼──迷惑──」

 

 

トボトボと歩きながら自宅に向かっていると、誰かと誰かが言い争っている声が聞こえてきた

 

自宅に近づけば近づく程、その声は大きくなっていく

 

なんだ、酔っぱらい同士の喧嘩か?クリパで飲み過ぎたか?

 

こんな聖夜に物騒だなぁ……なんて思いながら自宅のほぼ手前まで辿り着く────

 

 

 

「こんな時間に他校の生徒………それも大きな事件を起こした危険人物二人に酒泉を会わせる訳にはいかないわ、大人しく帰って」

 

「あはは!風紀委員長さんってば随分と過保護なんだね?酒泉君からも鬱陶しく思われてるんじゃないかな?」

 

「貴女達みたいにすぐに喧嘩腰になるような生徒に会わせる方が危険よ、彼の身柄は私が保護するわ」

 

 

 

────酔っぱらいだと思ってた人達は全員知り合いでした

 

……え?なんでこんな時間に?あと数十分も経てば日付が変わるんだけど?

 

 

 

「……あ、酒泉」

 

「やっほー☆遊びにきてあげたよー☆」

 

「……結構時間が掛かったのね、プレゼント配り」

 

────あの、一体どうして……

 

「……その、どうしても酒泉と一緒に過ごしたくて────」

 

「どうせ用事が済んだら一人寂しくクリスマスを過ごすことになるであろう可哀想な酒泉君の為にこうして直接遊びにきてあげたんだよー?もっと感謝してよねー!」

 

「────ねえ、邪魔しないでくれる?人間同士の会話に野生動物が割り込まないで」

 

「あれれー?どこから声が聞こえてきてるのか分からないなー?………あっ!こんな所に居たんだ!?ごめ~ん!ちっちゃすぎて気づかなかった☆」

 

「大体、貴女はどうしてこんな所に居るの?貴女の寮は門限が決まっているはずでしょう?トリニティの動物園の飼育係はまともに仕事もできないの?」

 

「うーん……ナギちゃんのお陰かな?持つべきものは友だよね☆それよりも貴女こそどうしてこんな所に居るの?まさか風紀を維持する為の組織の長ともあろうお方が、個人的な理由で爛れた時間を送ろうとしている訳じゃないよね?」

 

 

バチバチと火花を散らす空崎さんと聖園さん

 

俺の家の前で銃を構えるの普通に怖いから止めてほしい

 

 

「貴方の気も知らないですぐにでも暴れだしそうね………あの二人は放っておいて早く家の中に避難しましょう」

 

────いや、調月さんも調月さんでどうしてこんな所に居るんですか………外は寒かったでしょう?

 

「ええ、寒かったわ。だから早めに家の中に入れてもらえると嬉しいのだけど………」

 

────……まあいっか、事情は中でゆっくり聞かせてもらいますからね?

 

 

 

玄関の扉の鍵を開け、未だに睨み合っている空崎さんと聖園さんにも声を掛ける

 

 

 

────二人もとりあえず中に入りましょう!外でずっと立ちっぱなしで寒かったでしょう!?

 

「……先に行ってて、私はこの女と決着をつけてから行くから」

 

「……酒泉君、ココアでも用意しててくれる?私の分だけでいいからさ」

 

────あーもう!早く来ないと二人にだけケーキ分けてあげませんよ!?

 

「………ケーキ?」

 

────今年は色んな事件があったでしょう?だからお世話になった人達全員に感謝を込めて初めてのケーキ作りに挑戦してみたんですよ

 

────空崎さんは勿論、聖園さんにはバシリカで命を救ってもらいましたし、調月さんにも天童さんの実験で世話になりましたし………アリウスにも後日届ける予定です

 

「………」

 

 

 

先程まで睨み合っていた二人の視線はいつの間に此方へ向いており、無言で俯いたかと思えばそのまま俺の腕を掴んで引っ張ってきた

 

その背後から調月さんが俺の背中に両手を当てて押してくる

 

 

 

 

「……酒泉、ありがとう」

 

「私、食べるならロールケーキ以外がいいなぁ………そっちはナギちゃんの分で十分かな☆」

 

「それなら私はコーヒーでも入れようかしら……酒泉、台所を借りてもいい?」

 

────そうですね……お願いしてもいいですか?調月さん

 

「ええ、任せてちょうだい………貴方を支えるのは〝理解者〟である私の役目だから」

 

「………貴女はソファで大人しく待ってて、準備なら私と酒泉の二人だけでやるから」

 

「………酒泉君、やっぱり私も手伝ってあげよっか?今回だけだよ?特別だよ?こんなチャンス、滅多にないよ?」

 

────なんか嫌な予感してきたんでやっぱり全部一人でやります

 

「ケーキは私が切り分けるね」

 

「なら私は当初の予定通りコーヒーを入れるわ」

 

「じゃあ私は切り分けられたケーキを酒泉君の口の中に詰め込んで遊ぼっかなー?」

 

「……貴女はお皿でも用意してて」

 

「……抜け駆けできるとは思わないことね」

 

「………別に?必死に飲み込もうとしてる酒泉君を見て嘲笑おうとしてただけだけど?」

 

 

 

 

 

 

 

────みなさーん?家に入らないんですかー?

 

「「「…………」」」

 

────あれ?なんでまた睨み合って………めっちゃ寒ぅ!?なんか更に冷え込んでません!?

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