『マダムならもういないぞ………ゲマトリアに回収されたからな』
その日、私達は歪んだ教えから解放された
私達が任務で外に出ている間に突如襲撃されたバシリカに向かえば、そこに残っていたのは身体中から血を流している1人の少年の姿だけだった
その少年は私達と殆ど変わらなそうな容姿の年齢でありながら、歴戦の強者のような雰囲気を醸し出していた
『アンタらの主はここには戻ってこない、つまり奴の命令に従う必要は無くなった』
『つまり〝自由〟だ、アンタらを縛り付けていた恐怖も痛みも全て消えた』
『……ただ、いきなりそんな事を言われても困るよな。統治者が居なくなればまた内戦が起こる可能性だってあるし』
自らの怪我など気にも留めず、その少年は自身のスナイパーライフルを空に向かって発砲した
『だから、俺が代わりにアリウスを支配する。強者より更に上の強者が群れを支配する、それがこの世の理だ』
『これからは俺がこの群れの長だ、アンタらには俺が定めたルールに従ってもらう』
『内戦は俺が全部力尽くで抑える、アリウスの訓練方法や教えも全て俺が変える………それが嫌ならアリウス自治区から消えろ、追いもしないし止めもしない』
『文句があるなら掛かってこい、俺を引きずり落としてみろ、俺を暗殺してみろ、俺を追い出してみろ』
我々スクワッドの他にもバシリカに到着していた生徒はいたが、全員がその少年を呆然と見つめていた
『へぇ?マダムの敵討ちはしなくていいのか?………って、虚無がどうのこうの教えてたのはアイツ自身か、そりゃ敵討ちするほど部下に想われてる訳がないよな』
『まあ、それならそれで構わないけど………でも、いつまでもマダムの教えが残ったままなのは困る。だから……早速今から俺がアンタらに〝教える〟』
そう言うと少年は私達の前に一歩近づき、そして
『じゃあ、まずは小学校の道徳の授業から始めようか』
急に〝エーミール〟とやらの話を始めた
~アリウス(の価値観)潰すゾ!!!~
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「だから断ると言っているだろう」
「どうして!?」
ボロボロの廃墟に唯一設置されているテーブル
その上をピンクの髪の少女────聖園ミカが勢いよく叩く
錠前サオリはそれを冷めた瞳で見つめる
「ちょっとセイアちゃんを拐ってほしいって頼んでるだけじゃん!」
「馬鹿かお前は……他校の生徒がトリニティのトップを拐うだけでも大問題なのに、それをよりにもよってアリウスの生徒に依頼するだと?本気で戦争がしたいのか?」
「だ、だから……それをバレないようにさ……ほら、貴女達アリウスがトリニティに送ってくれたあの子を使って……」
「────何だと?」
サオリから強烈な殺気が放たれる
その圧はミカを一歩後退りさせるのに十分すぎるほどだった
「お前の下らない計画の為に……貴様らティーパーティーの幼稚な喧嘩の為にアズサを利用しろというのか?」
「えっ?あ、いや……利用とか、じゃなくて……」
「何か勘違いしているが、私達がお前と手を結んだのは〝アズサをアリウスとトリニティの架け橋にする〟という理想を本気で信じたからだ。もしそれを裏切り、アズサを……私の家族の手を汚させようとするのなら……今日限りで縁を切らせてもらう」
一通り喋り終えたサオリは冷静に一息吐き、その視線を再びミカに向けた
「……そもそも、どうして百合園セイアの身を狙う?彼女はお前の仲間なのだろう?」
「……それは……エデン条約締結を阻止したくて……」
「その理由は?」
「だって……相手はゲヘナで────」
「ゲヘナだからなんだ?」
「……え?」
具体的な理由を更に掘り下げようとするサオリ
だが、ミカはそれにすぐに答える事ができず、口を閉じてしまう
「お前は〝ゲヘナだから〟という理由だけで嫌うのか?憎悪には何かしらの理由が存在するはずだろう?」
「……だって……ゲヘナの人達って皆暴力的だし、訳分かんない角だって生えてるし……」
「訳の分からない羽が生えていて暴力的な手段で百合園セイアに害を加えようとしているお前がそれを言うのか?今の私にはゲヘナの生徒よりお前の方がよっぽど野蛮に見えるぞ」
「っ……私が、ゲヘナより……?」
「………もういい、聖園ミカ。お前のことはよく理解できた────つまりお前の理想は、我々アリウスに角が生えていたらそれだけで手を差し伸べるのを止めてしまう程度のものだったのか」
「ち、違う!私は……私は本気でアリウスと……!」
「アリウスに角が生えるのとゲヘナに角が生えること、そこにどう違いがある?」
何も言い返せず俯くミカ
サオリは椅子から立ち上がると、背を向けながらミカに話し掛ける
「この話はこれで終わりだ……アリウスはお前には協力しない。我々とは無関係の過去の怒りや、植え付けられた偽りの憎しみに振り回されるのはもう………沢山だ」
「そんな……」
「それともう1つだけ伝えておこう………アズサは今、学園生活を楽しんでいる。我々の手を取らずに1人でマダムの教えに抗い続けてきたアズサが……だ」
「………」
「友に囲まれ、好きな物を見つけ、今まで苦しんできた分の人生を取り戻すかのように幸福を噛み締めている。もし、それを再び汚そうというのなら………私は真っ先にお前を〝ぶん殴る〟」
「………〝殺す〟とかじゃないんだね」
「それをしてしまったら昔の私に戻ってしまうからな………次に会う時にはお前の頭が冷えていることを願っている」
用は済んだとばかりにミカを置いてさっさと立ち去っていくサオリ
ミカはそんな彼女の背を最後まで見届けることしかできなかった
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「……という訳で、断ってきた」
『そうですか……ナイスですよ、錠前さん』
「……ふっ、当然の事をしたまでだ」
電話の向こうの少年に得意気な顔で答えるサオリ
「ねえ、今サッちゃんのお尻に尻尾ついてなかった?」
「わ、私も見えたような……」
「リーダー……まるで犬みたいだね」
だが、アツコとヒヨリとミサキの3人にはその姿が犬が〝ほめてほめて!〟と言っているように見えていた
そんな3人からのジト目にも気づかず、サオリはミカと会話していた時よりも声を上擦らせて話を続ける
「と、ところでだ……次にアリウス自治区に帰ってくるのはいつになるんだ?」
『え?あー……すいません、風紀委員会の仕事が忙しすぎてちょっと分かんないっす。エデン条約締結が近づいてるからなのか、最近ゲヘナの反対派の問題児共が暴れまくってまして……』
「………私も手伝おう、その問題児共を殲滅すればいいんだろう?」
『ステイステイ、落ち着いて錠前さん』
「だが、そうすれば早く帰ってこれるだろう」
「………それはいいアイデアだね」
『戒野さんも乗らないで!?くそっ!槌永さんと秤さん!なんとか止めてくれ!』
「正体バレないようにしないとね」
「えへへ……それで酒泉さんのお役に立てるのでしたら……」
『うーん、育て方間違えたかな?』
好戦的すぎる面々にドン引きする酒泉と呼ばれた少年
普段はこれ程極端ではないのだが、今回に限って全員が乗り気なのは少年の人徳が故なのか
その事に微塵も気づく様子を見せず、少年は電話越しに注意する
『いいですか、俺達はずっと歴史の影に潜んできたアリウスですよ?突然姿を現して突然ゲヘナで暴れ出すとか普通に第一印象最悪ですからね?それに、アリウスの存在を世間に受け入れてもらう為の〝受け皿〟も準備できていない状態で正体がバレる訳には………』
「〝私達に会うのが面倒だから〟って正直に答えればいいでしょ」
『話をややこしくしないでください戒野さん』
「そ……そうなのか……?酒泉……」
『ほらぁ!!!こうなるからぁ!!!』
「……自分の道具を置いて他校に行った癖に……自業自得でしょ、ミスター無責任」
『なんかアイドル混ざってません?』
落ち込むサオリの隣でじめじめした空気を出すミサキ
酒泉はすぐに訂正しようとする
『面倒だなんて思ってませんから!むしろ俺だって早く帰りたいと思ってますよ!』
「ほ、本当か……?」
『本当本当!ガチのマジで!アリウス自治区の状況も確認したいですし!』
「……ならいいが」
『はぁ………あ、そういや話は変わりますけどアリウス生の人数って今はどんな感じですか?』
「本当に突然話が変わったな………2週間程前に3人自治区に戻ってきたところだ」
『そうですか……』
酒泉がマダムを下してアリウスを支配したあの日、多くのアリウス生が自治区を抜け出した
それも当然、突然現れた無関係の人間が組織のトップを倒して勝手にその立場に成り代わっただけ、全ての人間が素直に従うはずがない
数十人、数百人と生徒達が姿を消し、自治区の生活音は一気に聞こえなくなっていった
「現在のアリウスの生徒数は私達も含めて57人、ここに居ないアズサも含めて58人……少しずつだが着実に増えてきているな」
『んー……逃走した生徒達の隠れ家ってどんだけ把握できてます?』
「半分……より下だな」
『それじゃあ……うん、来週くらいにまたその人達に食糧支援しに行きましょっか、俺もなんとか時間作るんで』
「っ!そうか!帰ってくるのか!」
『そん時に俺の教科書のコピー持ってくるんで、また全生徒で〝授業〟でもしましょう………次は国語かなぁ?』
〝授業〟
それはマダムの行っていた痛みや恐怖による支配ではなく、普通の学生が受けるようなごく普通のもの
しかし、それは今までアリウスの生徒達が触れることのできなかった遠い存在でもあった
……例えそれが、天井の存在しないボロボロの建物の中で受ける授業だったとしても
「こ、国語ですか……私、前回のテストで赤点取っちゃったんですよねぇ……」
『勉強範囲間違えたんだっけ?学生あるあるですね』
「が、学生なんでしょうか……私達」
『───学生ですよ、誰が何て言おうと………だから授業を受ける権利だって当然ありますよ』
「………えへへ、ありがとうございます。それならお言葉に甘えて酒泉さんにもっと沢山の事を教わっちゃいましょうかねぇ……」
「……酒泉、私も前回のテストの成績があまり良くなかったから2人きりで勉強を教えてほしいな」
『あれ?でも秤さんは全教科平均点を越えてたような……』
「教えてほしいな」
『……ワカリマシタ』
アツコが発する謎の圧力に押し負けて了承する酒泉
『……あっ、そういえばまたまた話が変わりますけど……白洲さん、今度自治区に帰ってくるらしいっすよ』
「アズサが?」
『はい、久しぶりに皆に会いたくなったのだとか………〝いつになれば友達にスクワッドの皆を紹介できるのかな〟って言ってましたよ』
「ぬ、うぉ……おぉおおお……!アズサァ……!すまない……!もう少し、もう少しだけ待っていてくれ……!」
サオリは今頃トリニティで友と過ごしているはずのアズサの純粋な笑顔を思い浮かべる
頭を両手で抱え、今すぐ会いにいってあげられないことへの苦しみに必死に耐えようとする
『あー……なんとなくだけど電話の向こうで錠前さんが踞っているのが伝わってくるわ』
「正解、いつもの姉馬鹿」
「ごめんなぁ……アズサ……!最後に帰って来た時にお前が残してくれたスカルマンのぬいぐるみ、毎日綺麗にしてるぞぉ……!」
「ミサキちゃん、あれ抱きしめて寝てま────」
「ヒヨリは黙ってて」
「あっはい」
「酒泉、知ってる?ミサキって毎晩スカルマンのぬいぐるみ抱いて寝てるんだよ?」
「姫っ!?」
突然仲間から裏切られたミサキはニヤニヤと笑うアツコから視線を逸らす
そんな中、サオリが疑問を口にする
「毎晩?私はスカルマンのぬいぐるみをミサキに貸したことはないぞ?」
「え?そうなんですか?じゃあミサキちゃんのは……?」
「……ねえ、この話もう止めに────」
『あっ、じゃあ多分俺が戒野さんに渡したやつか』
「……え?」
「酒泉がミサキに?」
『ああ、ちょっとしたお土産っていうか………白洲さんとクレーンゲームで大量にぬいぐるみ取った時があって、そのお裾分け?』
「………じゃあ、ミサキちゃんは酒泉さんから貰ったぬいぐるみを毎晩抱いて────」
「ヒヨリ、ちょっと訓練に付き合って」
「え?あの、私はもう訓練は終わったばかりでして……痛い痛い痛い!引っ張らないでくださいぃ~!」
「じゃあ、私はもう行くから………それと酒泉」
『はい?』
「……包帯の下の傷、治ってきたから……だから……」
『……今度、見に行きますね』
「……待ってる」
顔を赤らめながらヒヨリの肩を掴んで訓練場まで連れていこうとするミサキ
アツコも笑いながら2人に着いていこうとする
「じゃあ、私は2人の訓練を見に行こっかな……止めないけど」
『止めてやれよ……』
「……あ、そうだ。酒泉」
『ん?』
「出来るだけ早く帰ってきてね?……あまりお姫様を待たせちゃ駄目だよ?」
『……善処します』
「………私が我慢できなくなる前に、ね?」
『……え?我慢ってなんの───ちょっと?秤さん?秤さーん?』
アツコの声が遠ざかり、何処かに行ってしまったことを察する酒泉
一度溜め息を吐いてからサオリとの会話に戻る
『……まあ、錠前さん達が楽しくやってそうで良かったです。何か困ったことがあればすぐに連絡してくださいね』
「ああ………なあ、酒泉」
『はい?なんですか?』
「少々我儘な事を言うが……もう少しだけ帰ってくる回数を増やせないか?」
『……何かありました?』
「いや、そういう訳ではないのだが……その……さ、寂しいんだ」
『え』
「いや!他の皆が寂しがっているんだ!このままでは指揮に影響で出ると思ってだな────」
『分かりました、もうちょい時間の作り方工夫してみます』
「そ、そうか……すまないな」
『いえ……じゃあ、そろそろ風紀委員の訓練が始まりそうなんで、今日はこの辺で……』
「あ、ああ………ありがとう」
通話が切れると同時に大きく息を吐き出すサオリ
まるで一仕事こなしたかの様に呼吸を整えて緩みそうな顔を締め直す
「落ち着け、まだ喜ぶな……そろそろ部下達が帰ってくる時間だ、気を引き締めなければ────」
「サオリ隊長!労働班帰投しました!」
突如、背後から大きな声が響いて後ろを振り向く
そこにはアリウスの生徒が10人ほど立っていた
「むっ……戻ってきたか、本日の業務内容は?」
「Aチームはブラックマーケットの要人警護!Bチームは飲食店の食糧倉庫内の整理です!」
「負傷者は?」
「はい!負傷者0名!異常無しです!」
「そうか……経理担当!」
「はっ!」
サオリに経理担当と呼ばれたアリウス生の1人が前に出ると、働きに出ていた全ての生徒達が経理担当の生徒に封筒を手渡す
1つ1つ中身を確認すると、それを〝食費〟と書かれた紙が張られている金庫と〝装備費〟と書かれた紙が張られている金庫に分けて厳重に保管した
「皆、ご苦労だったな。生活担当班の者達がドラム缶風呂を沸かしている、まずはお前達労働班から入るといい………全員が入り終える頃には食事の準備はできているだろう」
「了解しました!……それと隊長、これを……」
労働班のリーダーらしき人物がサオリに近づき、数人の部下達と共に謎のダンボールを複数地面に置く
その中にはごちゃごちゃと色んな物が入っていた
「……これはなんだ?」
「これは─────」
「野菜ですっ!!!」
「……なんだと?どこで手に入れた?」
「仕事先で入手しました!〝全て形が悪かったり小さすぎるから〟と上司の方が無償で譲ってくれました!」
「キャベツにキュウリ、レタス」
「じゃがいもやニンジンも入っています!」
「……お前達……」
その言葉を聞いたサオリは俯きながらワナワナと震える
そして────
「ちゃんと礼は言ったのか!酒泉との道徳の授業で習っただろう!」
「イエス!全員で頭を下げて〝ありがとうございます〟と元気よく伝えました!」
「そうか!よくやった!」
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これは数年前のお話
朝起きたら過去に戻ってました
逆行ですね本当にありが(ry
最初はめちゃくちゃ困惑した、だって……ウトナピシュティムに乗り込む前日にいきなり身体がちっちゃくなってたんだぜ?
因みに暫く泣いた、わんわん泣きまくった
だって仲良くなった人が全員居なくなったんだもん、ゲヘナもアリウスもトリニティもミレニアムも先生も全部全部
しかもまた孤児院に居たし……とりあえずまた抜け出したけど
抜け出した後の行動はどうしようかと悩んでいたが、今回は子供の内から自分をブラックマーケットに売り込む事にしてみた
幸いにも戦闘技術は前世から受け継がれてるし〝眼〟の使い方だって既に研ぎ澄まされてる
戦闘が絡む仕事でも相手が子供を舐めてるからってのもあって結構あっさり勝てたりした、そのお陰で依頼が結構入ってきてお金には困らなかった
……その代わり〝リトルアルコール〟とかいう恥ずかしすぎる異名がつけられた
話を戻そうか……金を手に入れた俺はまず────アリウス自治区に繋がるカタコンベの付近にカメラを仕掛けることにした
幸いにも前世の記憶はバッチリ残っていたし、問題なく仕掛けられた
毎日毎日数時間もその付近で待機し、アリウススクワッドが出てくるタイミングを探っていた
そして────アリウススクワッド+その他のアリウス生が出てきた時、俺は行動を開始した
前世で磨き上げた〝眼〟を使ってアリウス生達が移動した跡であろうカタコンベ内の痕跡を逆に辿り、無事にアリウス自治区まで走り抜けた
この時のベアトリーチェは俺の情報など何も持っていないし、存在すら認知していなかった
そのお陰か結構あっさりバシリカまで辿り着いた
『……来ましたね、正体不明の侵入者────』
『こんにちは死ね!!!』
『────は?』
先手必勝、奇襲成功、ロケランが顔面にぶちまけられる
ここでしくじる訳にはいかない、色彩は絶対に呼ばせない
そこからは一言も喋らず、持ってきた全装備を駆使してベアトリーチェに挑んだ
多少のダメージは無視し、とにかく変身の隙を作らず攻撃を続ける…………まあ、結局変身されたけど
だが、その頃には既にベアトリーチェもボロボロだったから割となんとかなった
その後はゲマトリアの1人がベアトリーチェを回収しにきたけど………まあ、それはどうでもよかった、どうせ追う体力も残ってなかったし
問題はその後のアリウスだ、これでエデン条約編は終わったと思いたかったけど………もしアリウス生がベアトリーチェ抜きで計画を実行しようとしたら面倒な事になる
だから───俺がアリウスを支配することにした、私が天に立つ
………支配っつっても別に圧政を敷くつもりはなかった
厳しすぎる訓練をちょい緩くしたり味気無い食糧をちゃんと味のする物に変えたりと、主にそんな感じだ
それでも大勢のアリウス生が自治区から抜け出したけどな!なんでだよそんなに虚無が好きなのかよお前ら
別に抜け出した奴等はそのまま放置でも良かったが、抜け出した原因が俺にあるって考えると流石に罪悪感も湧いてくる
………ので、食糧支援だけは(一方的に)行うことにしました
まあ、こんな俺にも普通についてきてくれたアリウス生も居ますよってことで………最初はスクワッド含めても23人しか居なかったけどな
でも焦ることはない、コズミックイラ世界じゃあるまいし、此方から歩み寄れば少しずつ状況は改善されていくはずだ
「酒泉?そろそろ訓練が始まるけど……」
────あ、空崎さん………今いきまーす
「………ねえ、酒泉って電話してる時毎回楽しそうだけど……誰と話してるの?」
────んー?……家族?俺、こう見えて58人姉弟の長男ですから。因みにまだまだ増える予定です
「……嘘でしょ、それ」
呆れる空崎さんに対して誤魔化すように笑ってみる
「……本当は……その……恋人とかと話してるんじゃ……」
────そんなのいませんよ……出来たこともないです
「……本当に?それじゃあ、この前アビドスで一緒に地面を掘ってた人は?」
────あの人はユm………ちょっと待ってなんで空崎さんがそれを?
「小鳥遊ホシノは知ってたけど、もう1人は見たことがなかった………あの〝胸が大きい〟空色の髪の人は誰なの?」
〝胸が大きい〟をやけに強調して言ってくるが、本当にそういう関係ではないので信じてほしい
ていうか、そういう関係の人を作る余裕など今の俺には無い
……2週目になっても俺のやることは前世と何も変わらない
何日何ヵ月何年懸けてでもアリウスを潰す、絶対に潰す、必ず潰す………そう────
アリウス(の憎しみの歴史を)潰すゾ!!!
本当は本編を書いていたはずなんですけど、サオリがイベントに登場したせいでいつの間にか番外編を書いていました
俺は悪くねぇ!