「……君には沢山謝らないといけない事があるよね」
ふらりと身体を揺らし、そのまま倒れ伏す酒泉
ホシノはそんな彼を悲しそうに見つめながら呟く……目の前の相手に意識が残っているのかも分からないのに
「そっちのシロコちゃんを悲しませたこと、こんな事件に巻き込んじゃったこと、そして………私を止めに来てくれた君をこんなにボロボロにしちゃったこと」
視線は酒泉の方に向け続けながらも武器のリロードや弾薬の確認を怠らず、ホシノはそのまま自身の目的地に向かおうと歩き出す
……背後で倒れている少年に罪悪感を覚えながらも
「ここから先はアビドス……ううん、もうアビドスも関係ないね。私個人の問題だから……もう、誰も追ってこないでね」
この場にはホシノと気絶している酒泉以外誰もいない、だとすればそれは誰かに聞かせる為ではなくただ願望を吐き出しただけか
「………」
「……ごめんね、酒泉」
最後にもう一度だけ謝罪を、しかし酒泉が返事をすることはない
……酒泉は時間稼ぎに失敗した、それを知ったとしても誰も彼を責めたりはしないだろう
何故ならそれほど〝本気の小鳥遊ホシノ〟の実力は強大だったからだ
対策委員会を、カイザーを、スオウを、今度は先生の指揮を含めた全力の対策委員会を、その全てを本気を出さずに単独でねじ伏せるだけの実力が彼女にはあった
そして、そんな彼女達の相手をしているせいでタイムリミットが迫ってきたホシノは────目の前の少年だけは本気で潰すと決めた
ホシノは酒泉が相手でも実力的に手を抜く余裕はあった、しかし〝時間的余裕〟は無かった
それが一番激しい戦いを強いられる事になった少年の不幸だろう
「……大丈夫、放置しても死ぬような傷じゃないから」
自分自身に言い聞かせるように呟くホシノ
後ろから仲間の声が聞こえなくなった事に寂しさを感じながらもその足を進める
(───何を今更寂しがってんだろうねぇ……自分で振り払ったくせに)
仲間達の声も、足音も、何も聞こえない所まで走ってきたのは自分自身じゃないか
今更後悔したところで……ほら、もうなんにも聞こえて────
(……聞こえる)
仲間の声ではない、けど確かに何かが聞こえてくる
呼吸音が、銃を拾う音が、脚で砂を踏む音が
「……はぁ、これ以上他校の生徒を苛めたくないんだけどなー」
そう言いながら振り替えると、後ろにはゆったりした動きで身体を起こす酒泉の姿があった
もう一度傷付けなければならない事に心を痛めながらもホシノは再びショットガンを酒泉に向ける
「……悪いけど、こっちもあまり時間は掛けられないんだよね。だからこれ以上は上手く手加減できるか───」
〝分からないよ?〟
そう警告しようとしたホシノ、それは〝これ以上立ち上がるなら殺す気でいくぞ〟という一種の死刑宣告でもあった
しかしその言葉を最後まで続けることはなかった、何故なら────ホシノが瞬きした瞬間に酒泉の顔が目前まで迫っていたからだ
「───っ」
だが、ホシノもその程度で慌てたりはしない。咄嗟に右手に持つショットガンの引き金を引こうと指に力を込める
その瞬間、酒泉は敢えて一歩前へ踏み出してから屈んでホシノの懐に潜り込む。ショットガンを持つ腕の内側に入れば撃たれないと考えたのか、しかしホシノはその考えを見透していたかのように手首のスナップだけで銃口を変える────が、その銃口の先に酒泉の姿はなかった
気づけば酒泉はいつの間にか後ろに下がっており、先程とは逆にホシノの懐から抜け出していた
屈んでいる酒泉を狙って放った右側からの弾丸はホシノの左脇腹に直撃する……だが、この程度では大してダメージにならない
そもそも今のホシノの装備はショットガンとシールドだけではない、たかがショットガンの攻撃を一度去なした程度で臨戦状態の彼女の猛攻は止まらない───はずだった
相手から距離を取ってくれるのならば好都合、そう言わんばかりに先程の自傷ダメージなど全く感じていない左手でハンドガンを取る────が、指先がハンドガンのトリガー部に一瞬触れたと同時に後ろに弾かれる
「……っ?」
恐らくは目の前の少年のスナイパーライフルによる一撃だろう……しかしそれがいつ撃たれたのかは不明だった
そもそもスナイパーライフルなんていつ背中のホルダーから抜き出したのか、接近した時にはまだ少年の手にスナイパーライフルは握られていなかった
だとすると先程距離を取る為に下がった時────
(……待って、それだと私の攻撃を完璧に読んだ上で次の私の行動に被せるように反撃の銃弾を放ったってことに……しかも、私の指が置かれる位置と私の指がハンドガンに触れるタイミングまで完璧に────)
これまで一度も体験した事のない精密射撃に驚愕したのか、酒泉はその一瞬の硬直を見逃さずスナイパーライフルを構えながら再び接近する
ホシノは自身の額目掛けて放たれた弾丸を視認すると、ほんの少し後ろに下がってから顔を僅かに揺らすだけで回避する、次に視界に入ったのは酒泉の蹴りが自身の右脚に向けて放たれている光景だった
(……それは判断ミスだよ)
しかしホシノはその蹴りを避けようとしない
……理由は至ってシンプル、ホシノの様な強靭な肉体を持つ者がヘイローも持たない人間の蹴りでダメージを受けるか?答えは否
事実、折川酒泉の肉体スペックで蹴りを直撃させたとしてもホシノの身体はダメージを受けないどころかバランスすら崩さない
「───は?」
その事実が、あっさりと崩れ去る
酒泉の蹴りを脚に食らった瞬間、ホシノの身体が崩れ落ちる
「なん……で……っ」
それでも流石と言うべきか、疑問を感じながらも咄嗟に片膝をついて身体を支えたのはホシノが戦場慣れしている故か
しかしその体勢で踏み留まったせいか、ホシノが酒泉に跪いているかの様な姿のまま動きが止まる
「……さっきまでのは本気じゃなかったのかな?」
ホシノはそう語りかけながらも自身のバランスを崩された理由を探る……が、その理由に気づくことはないだろう
酒泉がやったことは至って単純───ホシノの右脚から力が抜けたタイミング且つ酒泉が一番蹴りやすいタイミングでホシノの右脚を蹴っただけだ
ホシノがスナイパーライフルの弾を避ける為にほんの少し身体を下げたあのタイミング……〝後ろに下がる〟という行動を終えた右脚は1秒にも満たない間だけ僅かに気が緩んでいた、そして酒泉の眼はそれを見逃さない
(……彼の一番の武器はあの〝眼〟……って事はここまでの行動は全部眼を使って予測している可能性が────)
ホシノは酒泉の眼を観察しようとゆっくりと顔を上げる────その瞬間、心臓にナイフを突き立てられたかの様な感覚に襲われる
ジッとホシノを見つめているだけのその眼は、まるでホシノの未来も過去も現在も全てを見透かしているかの様な瞳をしていた
……今、ホシノがその身を持って体験している感覚は他にも1人だけ味わった事があった
それは空が赤く染まったあの日────アトラ・ハシース内での出来事
もう1人の砂狼シロコが戦った時と全く同じ眼、それを知らないホシノは冷や汗を流しながら問う
「……一体どこまで見えてんのさ」
「全部」
覚醒────再び
みんな最新ストーリー読んだ!?読んだ!?ヒナちゃもホルスおじもめっちゃかっこよかったよね!?!!??特にヒナちゃの顔が美人でかわいすぎてぎゃあああああすきいいいいいい!!!
ヒナちゃヒナちゃヒナちゃああああ!!!ジャスティスを便利屋のオフィスで核爆発させる!!!!!!!!!