〝アリウス〟潰すゾ!!!   作:あば茶

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if世界~アビドスルート~その3

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………あ」

 

あ、おはようございます、小鳥遊さん

 

「……おはよう」

 

学校の正面玄関で出会ったホシノに挨拶する酒泉

 

そっぽを向きながら素っ気なく対応するホシノ、しかしそんな彼女の対応を気にせず校内に入っていく酒泉

 

ホシノはそんな酒泉の顔を何とはなしにチラッと見てみると、かなり濃い目のクマができていた

 

 

「………!その顔、どうしたの」

 

え?顔?

 

「……まさか気付いてないの?」

 

 

 

自分の顔の状態を把握していない酒泉を引っ張ると、ホシノはそのまま壁に取り付けられている鏡の近くに立たせた

 

 

「ほら、これ」

 

うおっ……これは酷い……

 

 

 

鏡を確認した酒泉は、引いたような表情で少し後退る

 

 

 

「………寝不足なの?」

 

いや、ちょっと色々ありまして……

 

「色々?」

 

えーっと……徹夜でゲームばっかやってたんで、それのせいかと……

 

「ゲーム、ねぇ……」

 

はははっ……

 

「本当の事は教えてくれないんだ」

 

いや、別に嘘じゃ───

 

「これでもそこそこの付き合いだし酒泉が嘘を吐いている時の癖は何となく分かってる」

 

……小鳥遊さん、俺の事見ててくれたのか……

 

「勘違いしないで、嫌でも目に入ってくるだけだから」

 

うっ……さーせん……

 

「……それで、結局どうしてそんな事になってるの」

 

それは…………

 

「………まあ、理由なんて別にどうでもいいけど、この校舎内で倒れるのはやめてよ。迷惑を掛けるぐらいなら今すぐ帰って」

 

大丈夫です、ここで倒れる前に全力で遠ざかりますから

 

「っ!私が言いたいのはそういう事じゃなくて────!」

 

……?

 

「────っ、なんでもない!」

 

 

 

そう叫ぶとホシノは酒泉を置いて走り去っていった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

授業が終わり、学校中にチャイムが鳴り響く

 

……授業と言ってもBDによる自主学習な上、ほぼ廃校寸前なアビドスではそれすらも受ける生徒が少ないが

 

 

「あれは……」

 

 

教室から出て廃校対策委員会へ向かおうとしたホシノだが、道中さりげなく窓を覗いていると、足場が砂だらけのグラウンドの休憩スペースで横になっている酒泉を見つけた

 

よく目を凝らしてみると、どこか苦しそうな顔で寝込んでいる

 

 

 

 

『………まあ、理由なんて別にどうでもいいけど、この校舎内で倒れるのはやめてよ。迷惑を掛けるぐらいなら今すぐ帰って』

 

『大丈夫です、ここで倒れる前に全力で遠ざかりますから』

 

 

 

 

「っ、まさか……」

 

正面玄関での会話を思い出したホシノは、顔をしかめる

 

「……私には関係ない」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ……結局来てしまった……」

 

流石に放っておくのもどうかと思ったホシノは、酒泉の元へとやって来た

 

そのまま休憩スペースで寝ている酒泉の顔を覗くと、どこか苦しそうに魘されている

 

 

 

「……本当に苦しそう、一体何を隠して────」

 

 

……れ……まも……と……

 

「……何て言ってるの?」

 

 

何かを呟く酒泉に耳を澄ませるホシノ

 

 

俺が……アビドスを……護らないと……

 

「……!」

 

先生………後は………

 

「……先生?」

 

 

謎の人物を呼ぶ酒泉の言葉に少し困惑する、しかし酒泉はすぐにまた魘される

 

 

「………アビドスを護る、か」

 

 

ホシノはそっと酒泉の額に手を当てる、何故そんな事をしたのかホシノ自身でも分からないが、〝こうしたい〟という気持ちが湧き出たから己の感情に従った

 

 

「……少しは信じても良いのかな」

 

 

ボソッと呟きつつ、酒泉の額から少しだけ手を上に移動させて頭を撫でると、苦しそうな顔が少しだけ和らいだ気がした

 

その日ホシノは結局ユメに見つかるまで頭を撫で続けた

 

 

 

 

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「ふんふふーん♪」

 

「歌ってないで仕事してください、先輩」

 

「だって今週は皆でお出かけするのよ?とっても楽しみじゃない!」

 

「はぁ……」

 

「溜め息を吐くと幸せが逃げちゃうわよ?ホシノちゃん♪」

 

「誰のせいだと思ってるんですか」

 

 

アビドス高校の一室、廃校対策委員会の部室でユメが楽しそうに鼻歌を歌いながら仕事をしている

 

それをジト目で咎めながらホシノは金銭関係の書類を片付ける

 

 

「水族館♪水族館♪」

 

「何で私よりも先輩の方が楽しみにしてるんですか………」

 

「……あら?という事は……やっぱりホシノちゃんも楽しみにしてたんだー!」

 

「………悪いですか」

 

「……………」

 

「先輩?」

 

 

 

「ホシノちゃん可愛いー!」

 

「んな……っ!いきなり抱きつかないでください!」

 

 

仕事中に突然抱きつかれたホシノはユメを振り払おうと暴れるが、中々離れない

 

一度キツく叱ろうと後ろを振り向いた瞬間、部室のドアが開かれる

 

 

「あ!酒泉君おはよう!」

 

「……っ!酒泉、先輩を剥がすの手伝って!」

 

 

酒泉が来たのにも関わらず、未だに纏わりつくユメを剥がそうとホシノは酒泉に助けを求める

 

しかし────

 

 

 

「……酒泉?」

 

「………あら?」

 

…………あ、おはようございます

 

 

 

どこか噛み合わない酒泉の様子に二人は疑問を感じる

 

 

 

「お、おはよう酒泉君」

 

「………」

 

えっと……今日の予定って何でしたっけ?

 

「今日の予定は電車で隣の区に行って校内見学会のチラシを配ることだけど……」

 

「……大丈夫?」

 

何がです?

 

「酒泉君、この前からちょっと変よ?」

 

………気のせいですよ、さ!仕事仕事!

 

 

 

手を叩き強引に流れを変えて仕事に取り組む酒泉、その後は普段通りに振る舞っていたものの、どこか違和感を感じるホシノとユメだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「んん~~~!終わったぁ!」

 

「お疲れ様です」

 

 

仕事を終えたユメが背伸びをして立ち上がる

 

 

「それにしても最近は仕事がスムーズに終わるわね……」

 

「まあ、それは……どっかの誰かさんがまだアビドスに入学してすらいないのに、勝手に手伝ってくれるからだと思います」

 

「あら?ホシノちゃんも素直になってきたわねー!」

 

「前言撤回します」

 

「そんな恥ずかしがらないでよー。ねえ、酒泉君」

 

……………

 

「もしもーし?」

 

………うぇ?

 

「……やっぱり無理してる?」

 

いや、そんな事ないです!ちょっと考え事を……

 

「むー………えい!」

 

むぐっ!!?

 

「隠し事をする悪い子はこうだー!」

 

 

突然酒泉を抱きしめるユメ、顔が胸に埋まるせいで上手く息ができずもがき苦しむ

 

抜け出そうと必死に足掻くが、ヘイロー持ちの相手とは力の差があるせいで脱出できない

 

 

「ちゃんとお話してくれるまで離さないわよー?」

 

んんー!んむむ、ん!

 

「観念しなさーい!」

 

んぐぐぐぐ………

 

「………ユメ先輩、胸で押し潰してます」

 

「へ………?」

 

 

ホシノに言われてようやく自分のやっている事の危うさに気づいたユメは、顔を赤く染め咄嗟に酒泉を離す

 

 

「ご、ごご、ごめんなさい!その、わざとじゃないのよ!?本当よ!?」

 

…………

 

「しゅ、酒泉君……?もしかして、怒ってる?」

 

…………ここが楽園か、俺は今、楽園の存在証明をクリアしたぞ

 

「へ?」

 

 

 

 

────そして酒泉は倒れた

 

「しゅ………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「酒泉くぅぅぅぅん!!!」

 

「………あんな脂肪の塊、戦闘中邪魔になるだけじゃん」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いよいよやってきました!この日が!」

 

いえーい!

 

「魚が見たいかー!」

 

おおー!

 

「ペンギンと触れ合いたいかー!」

 

おおー!

 

「周囲からの視線が恥ずかしいので止めてください」

 

「そんな事言わずにホシノちゃんも~」

 

「……先に行きますよ」

 

「あ!待ってよー!」

 

ちょ、二人とも置いてかないで……

 

 

 

 

 

約束をした週の土曜日、私達は水族館に来ていた

 

私は別にどうでもよかったけど先輩達に誘われて無理矢理連れてこられた…………本当に無理矢理だ、決して楽しみになんかしてない

 

「ねえねえ、まずは何処から行く?二時間後にペンギンの触れ合いコーナーがあるから最初は近くの子達から見に行く?」

 

先輩先輩!俺サメ見に行きたいっす!

 

「よーし!出発進行ー!」

 

うおー!

 

「子供みたいにはしゃいで……」

 

 

親子同伴で遊びに来ている客達よりもはしゃいでる二人を後から追いつつ、周囲を見渡す

 

人工的に作られたとは思えない程、綺麗な水槽環境

 

まるで踊っているかの様に生き生きと泳ぐ海の生き物達

 

そんな光景を見ていると思わず心が少しだけ弾んでしまう

 

 

 

「ホシノちゃん!こっちこっちー!」

 

やべえ!クラゲ先輩マジやべえ!

 

 

 

………今日ぐらいは素直に楽しんでも良いのかもしれない

 

 

 

 

 

 

 

 

「見て見て!マンボウよ!」

 

「マンボウの飼育は難しいからって飼っていない水族館もそこそこあるらしいですよ」

 

「……さてはホシノちゃん、事前に調べて来たわね?」

 

「……は?そんな事ありませんけど!?」

 

「楽しみにしてたもんね~♪」

 

「し・て・ま・せ・ん!」

 

マンボウ……軟弱な生き物よ……俺に勝てると思うなよ?

 

「マンボウ相手にマウント取ってる時点で人間として最低ランクでしょ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

サメやべえ!マジでサメやべえ!キリキリバイ!キリキリバイ!

 

「おお……!酒泉君のテンションがいつも以上に高く……!」

 

「何でそんなに興奮してるの……」

 

二人とも知らないんですか?サメって巨大になったり竜巻起こしたり何でも出来るんですよ?

 

「それって本当にサメなの?」

 

「……別の何かと勘違いしてるんじゃ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「キャー!フグよフグ!かわいいー!」

 

「さっきから〝可愛い〟しか言ってないじゃないですか……」

 

「だってどの子も皆可愛いんだもん!」

 

…………

 

「……酒泉?」

 

………世界で初めてフグを食べられるように調理しようとした人って何考えてたんでしょうね

 

「へ?」

 

だって明らかに危険なのに「そこまでして食べたいか?」って思いません?

 

「……まあ、確かに」

 

「好奇心じゃないかしら?」

 

………美食研究会みたいなもんか

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「見てホシノちゃん!私ペンギンとハイタッチしちゃった!」

 

「………」

 

「ホシノちゃん?」

 

「………」

 

「……ほほう、そんなに目を輝かせて黙り込むなんて、ホシノちゃんもペンギンの虜になってしまったみたいね」

 

「……っ!?別になってませんけど?」

 

「ふふっ!今更取り繕っても遅いわよ?」

 

「ぐっ………」

 

「………あれ?ところで酒泉君は」

 

「あそこでペンギンにリンチされてます」

 

やめ……ちょっ……痛!地味に痛い!待っ……やめろよお!何で俺だけ……!

 

「いいなぁ、酒泉君……ペンギンに囲まれてて」

 

「そうでしょうか……」

 

いた、痛い!なんもしてないのに!ちょ……やめ、やめろぉ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここのパフェ美味しかった~♪」

 

食事しながら水槽見れるなんて……中々気の利く水族館ですねぇ……

 

「……なんか服ボロボロになってない?」

 

 

 

一通り遊び終えた私達は水族館を出て、歩きながら雑談をしていた

 

 

 

「酒泉君ペンギン達に大人気だったわねー」

 

いやぁ……アレはナメられてただけかと……

 

「でもここに来て良かった!ホシノちゃんも途中からテンション上がってたし!」

 

「はぁ!?上がってませんけど!?」

 

いや、途中からめっちゃ目を輝かせてましたよ

 

「そんな事───」

 

───あ、そうだ!二人に渡したい物があるんですよ!

 

 

 

酒泉の言葉を否定しようと口を開くが、それを遮る様に突然話を中断し、リュックの中を漁りだす

 

 

 

「ちょっと、話を聞いて───」

 

はいこれ!クジラシール!

 

「……シール?」

 

「わぁー……可愛い!」

 

三人で来た思い出に何か買っときたいなって思って……

 

……あとシールとは別にこれも、ユメ先輩には……はい!

 

「わっ!フグのぬいぐるみだ!いいの!?」

 

ユメ先輩には色々とお世話になってますから

 

「……ありがとう、酒泉君」

 

 

 

ぬいぐるみを抱きしめながら頬を染めてお礼を言うユメ先輩、酒泉は「どういたしまして」と返事をしながらまだリュックを漁っている

 

……正直、少しだけ羨ましかった

 

 

それと小鳥遊さんにはこれ!

 

「……え?」

 

 

そんな事を考えていると、酒泉がクジラのぬいぐるみを取り出し、私に押し付けてくる

 

 

 

「私にも……?」

 

いやあ、なんかクジラのぬいぐるみを熱心に見ていたんで……

 

俺達の前だから素直に買いに行くのが恥ずかしかったのかなって

 

「………」

 

「ふふっ、良かったわね、ホシノちゃん!」

 

「………はい」

 

「……!!?しゅ、酒泉君!今、ホシノちゃんが素直に返事を!!」

 

ええ……これは緊急事態ですね……!

 

「二人とも私の事を何だと思ってるんですか」

 

「冗談よ冗談♪……でも私達も酒泉君に何かお礼しないとね?」

 

俺が勝手にやった事なんで別に気にしないでいいですよ?

 

「駄ー目!可愛い未来の後輩からのプレゼントなんだから何かお返ししないと!」

 

「……酒泉が断っても私達が勝手に渡すだけだから」

 

……じゃあ、甘えちゃいましょうかね?

 

「よーし!このままアビドスに戻るわよ!」

 

うおっ!?

 

「……邪魔です先輩」

 

 

 

ユメ先輩が私と酒泉を勢いよく抱き寄せる、そのまま三人で(無理矢理)くっつきながら歩く

 

……借金に追われているとは思えない程に充実した一日だった

 

ここ最近は何故かヘルメット団の襲撃が少なくなっているし、カイザーローンの借金の利子も何故かほんの少しだけ少なくなっている

 

このまま行けばもしかしたらアビドス復興も夢じゃないかもしれない

 

………そしたら私達三人も普通の学生らしく遊べるかもしれない

 

 

なんて事を想像している自分に驚いたが、それ以上に悪くないなと感じている自分にもっと驚く

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だからこそ見たくなかった

 

 

「では本日も向かうとしようか」

 

アンタ等との………黒服との約束は最後までしっかりと守ってもらうぞ

 

「安心しろ、我々もあの男を敵に回したくはない。なに、心配する事はない────」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「────アビドスの事は我々に任せろ」

 

 

 

 

酒泉がカイザーの人間と繋がっているところなんて

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

……………

 

「おーい、酒泉ー」

 

………zzzzz

 

「使わなくなった体育倉庫のマットで寝てるなんて……おじさんの癖が移っちゃったかな?」

 

……zzz

 

「ありゃりゃ……普段と立場が逆だねぇ……」

 

んー………

 

「………よーし」

 

 

 

 

 

 

「フゥー………」

 

ふおおっ!!?

 

 

「あ、起きた」

 

み、耳が……突然耳に空気が……!

 

……あれ?小鳥遊さん?

 

「おはよう、よく眠れた?」

 

もしかして……小鳥遊さんのイタズラ?

 

「いやあ、中々起きないからつい、ね?」

 

勘弁してください……変な声出しちゃったじゃないですか

 

「おじさん好みの可愛い声だったよー?」

 

その言い方止めてくださいよおっさん

 

「おっさんじゃなくておじさんって呼んでほしいなー」

 

……ところで、何で起こしたんです?

 

「それは……その……」

 

……ああ、今日は〝調子の良い日〟なんで大丈夫ですよ

 

「……本当に?」

 

勿の論ですよ

 

……でも、まだ少し眠いですね

 

「それなら……とりゃっ!

 

いきなり!?

 

 

 

「ほれほれー、おじさん掛け布団だぞー」

 

ちょ……これはヤバイって……!

 

「んー?何がヤバイのかなー?」

 

こんな所誰かに見られたら色々と誤解されますよ!?

 

「いいからいいから、ギューっと」

 

あ、あばばばばばば……

 

「いやあ、酒泉は本当に面白い反応をしてくれるねー?」

 

反応を見る為だけにからかわないでくださいよ……

 

「………鈍感」

 

はい?

 

「何でもないよーだ………ねえ、酒泉」

 

何ですか、後ついでに離して頂けると……

 

「このまま二人で寝ちゃおっか?」

 

 

 

アウトオオオオオ!!!

 

「うわっ、びっくりしたぁ………何が?」

 

いやいやいや!明らかにアウトでしょ!そういう関係でもないのにそんな事するなんて………

 

「うへー……堅苦しいねえ」

 

俺がおかしいのか……!?

 

「それよりも酒泉が突然立ち上がったせいで少し離れちゃったからさぁ……もう少し寄って来て?」

 

………何をするつもりですか

 

「もう一回抱きしめるだけだよ?」

 

それがおかしいんだって!

 

「……だって、そうしておかないと───」

 

 

 

 

 

「───また勝手に居なくなっちゃうじゃん」

 

………

 

「だから……ね?」

 

……分かりました、でも今日だけですよ

 

「それはどうかなー?」

 

………駄目なものは駄目です!

 

「うへー……そこまで拒否しなくても……おじさん悲しいなー」

 

嘘泣きしても無駄ですよ

 

「……ねえ、酒泉」

 

何ですか?そろそろ───

 

「今日は本当に〝調子の良い日〟なんだよね?」

 

まあ、はい

 

「………早く治るといいね」

 

仕方ないですよ、自分で選んだ結果ですし……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

少しずつ薬の影響は抜けてきてますから、そのうち治りますよ

 

「………うん」

 

 

 

 

 

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