「酒泉ちゅき♡しゅきしゅき♡」
「はいはーい俺も好きですよー」
俺の腹周りに抱きついてるこの人は羽沼マコト……そう、あの空崎さん嫌いの羽沼マコトだ
風紀委員会に対して嫌がらせを繰り返しているこの女が風紀委員の俺に抱きついてる
え?理由?すっげえ単純だけど?
『キキキッ……折川酒泉!今日こそ貴様を籠絡させてもらうぞ!……サツキィ!』
『任せて!ふっふっふ……折川酒泉……貴方はマコトちゃんのことが好きにな~る~……とても好きにな~る~……』
『どうだ!これぞ催眠術の力だぁ!』
『はぁ……あの、羽沼さんは退避しなくていいんですか?』
『なに?何故私が逃げる必要が────あ♡』
『えぇ……(困惑)』
な?本当にすげえ単純だろ?こいつ自分が催眠術に掛かりやがったよ
でも仕方ない、だってこいつ馬鹿だから、ゲヘナバカマコトだから
ちなみに京極さんは多分逃げた、俺に面倒事を押し付けたのだろう
「しゅせんー♡ちゅー♡」
「やだ」
「あっ……全く相変わらず素っ気ないな……まあ、そこも好きだが♡」
「キッショ死ね(ありがとうございます)」
背筋が凍り付く、めっちゃゾワゾワする
なんだこの生き物、愛情全開の言動と顔の美しさが相まってもなお不気味すぎる
一体前世でどんなに罪を犯したらこんな罰を与えられるのだろうか
「酒泉、今日は何の日か知ってるか?」
「さあ……何の日ですか?」
「私が決めたから、マコトと酒泉のイチャラブ記念日だ♡♡♡」
「ははは、面白い冗談を言うなー羽沼さんはー。その冗談みたいに小さな脳ミソにピッタリな発言ですね」
「キキキッ……酒泉に褒められてしまった……♡」
無敵かコイツ……爆破されてもギャグ補正でアフロになる程度で済むし実際に無敵疑惑あるな
しかし今の羽沼さんには生半可な言葉は届かないのか、此方の態度などお構い無しにベタベタと纏わりついてくる
「あの……もう帰っていいっすか……?」
「駄目だ!お前はもっと私とイチャイチャするんだー!」
「すんません、でも万魔殿に押し付けられた仕事が残ってるんでそっち進めないといけないんすよ」
「なにィ!?誰だ!一体万魔殿の誰が酒泉に迷惑をかけるような真似を……!」
「テメーだよカス(気にしないでください、大した嫌がらせじゃないんで)」
恋というのは人をここまで変えてしまうのか……まあ、これただの催眠術だけど
なんでコイツこんな催眠耐性低いんだよ、藍染様ですらビックリするだろこれ
「むぅ……酒泉は私より仕事を優先するのか?私は仕事より酒泉を優先しているというのに……」
「そのせいでこっちが尻拭いする羽目になってんだろうが仕事しろやぶっ殺すぞ(そこまで俺を大切に思ってくれてるなんて嬉しいなぁ)」
「あ、さてはあれか?照れ隠しか!?」
「死ね」
「つまり相思相愛という事か……♡」
「死ね」
「まったく……酒泉、お前も可愛いところがあるな……♡」
「死ね」
「ちゅー♡」
「死ね」
駄目だもう限界だ、そろそろ耳が腐り落ちそうだ
こんな目に遇わされるくらいなら最初から呼び出しなんて無視しときゃ良かった、でもそれはそれでまた風紀委員会にごちゃごちゃ言ってきそうで面倒だった
ああ、さっさとこの馬鹿……ゲフンゲフン、羽沼さんを突き放して帰りたい
しかし無駄に強い力で抱き締められてるせいで簡単に離れられない
「羽沼さん、離れてくれません?」
「断る!私は酒泉と離れると死んじゃう病にかかってるからな♡」
「尚更離れたくなってきました」
「やはり素直じゃないな……ツンデレだな酒泉は♡」
「反吐が出る反吐が出る反吐が出る反吐が出る反吐が出る反吐が出る反吐が出る反吐が出る反吐が出る反吐が出る反吐が出る」
胸をツーっとなぞられる
ヤバい、本気で吐き気がしてきた
一刻も早く離れないと身が持たない……それに執務室を出てからそれなりに時間が経ってるし空崎さんを待たせてしまっている
万が一こんな場面を空崎さんに見られた日には────
「マコト?さっき酒泉を呼び出してたけどまだ話終わらな────」
「あっ」
「────大体分かったわ、マコトを破壊する」
この後デストロイヤーでぶっ飛ばされた衝撃で元に戻った