「酒泉は委員長達ばかり贔屓するなー!」
「「「「「「「「「「そうだそうだー!」」」」」」」」」」
「私達も構えー!」
「「「「「「「「「「そうだそうだー!」」」」」」」」」」
「そ、そうだそうだー……」
不良生徒共をぶっ飛ばして帰ってきたら廊下の真ん中で仲間達が旗を掲げながら俺に訴えかけてきた
あの旗に書かれている〝打倒クソボケ!〟のクソボケ部分は俺の事ではないと思いたい……つーか最後の気弱な子は絶対先輩達に巻き込まれただけでしょ、何してんすか
「えーっと……それで?皆さんはどういう集まりなんです?」
「せーの……私達は!クソボケに蔑ろにされてる芸人です!」
「芸人じゃねえだろ」
どこの番組出演者だアンタらは
しかし……蔑ろにしてるとは?俺は別にそんな事をした覚えはないが……仕事帰りに飯を食う事があれば皆でゲーセンに寄る事だってあったし
うん、仲は結構良い感じだと思う
「……で?どこが贔屓してるって?」
「どう見ても贔屓してるだろ!委員長を膝に乗せたり行政官にコイントスで負けて首輪をつけられたりイオリちゃんと子育てしたりチナツちゃんと温泉入ったって噂が流れたり!」
「私達にも噂と同じことをしろー!」
「正気か?」
待って、そもそもなんで俺が天雨さんに賭けコイントスで負けた事がバレてんの?もしかしてあの人調子に乗って言い触らした?そんなことしたらアンタの変態趣味まで……まあ、横乳晒してる時点で今更か
あ、それと火宮さんの件に関してはノーコメントで…………何もありませんでしたが?
「ほら!そうやって私達の時だけすぐ躊躇う!どうせ私達の事なんて興味ないんだ!」
「そもそも私達の区別ついてるんだろうな!?」
「全員同じ立ち絵だからって適当に接してるんでしょ!」
「メタいメタいメタい!それ以上は喋るな!」
「だったら私達の名前を全部当ててみてよ!」
「モブだからって舐めるなー!」
「ぐっ……さっきから言わせておけば……!」
俺が仲間の姿すら見分けられない薄情者だと!?いいだろう!その挑戦受けて立つ!
ずっと同じ釜の飯……ばっか食ってた訳じゃないけど!それでもアトラ・ハシースで飛び立つ前日に同じ火を囲んだ仲間達を俺が間違えるわけないだろ!
「まず先頭の貴女は昨日一緒に飯を食った三年の花見先輩!その隣に立ってるのがお気にのぬいと一緒に写真を撮るのが趣味の荒川先輩!」
「正解!」
「昨日も撮ってきたよー」
「更にその隣に立っているのが口の悪さとは裏腹に可愛い物大好きな三年の血殺裂先輩!」
「やめろぉ!?可愛いとか言うなぁ!?」
「最近体重が増えてきた事を悩んでいた二年の鷺沼先輩!入学時は居なかったけど途中から風紀委員会に入った一年の滝代!」
「こ、こいつ……人が気にしてる事を……!」
「あ、どうもー、特に特徴もない滝代ですー」
「銀鏡さんに憧れて風紀委員会に入った一年の要山!俺が唐揚げを食おうとすると必ず勝手にレモンとマヨネーズをかけてくる二年の杉森先輩!」
「イオリ先輩いいよね……」
「宴会の時は覚悟しておけよ?全員の唐揚げに勝手にトッピングしてやるからな」
「実は元スケバンだったけど空崎さんにボコられて改心した一年の鐘崎!貧乳キャラに胸を盛る輩が許せない三年の黒金先輩!」
「昔の話はしないでよ!?黒歴史なんだから!」
「胸を盛るペコを許すな」
「そしてさっきからずっと後ろに隠れてる気弱なアンタは訓練終わりの時に皆より先に片付けを始めてたり然り気無く必要な道具を必要な人の近くに置いてくれたり他の生徒が怪我をしていたらさらっと上の人に報告してくれている心優しい一年の笹木さん!」
「ふえ!?わ、私はそんな大した人じゃ……」
「うるせえ!アンタみたいな影で支えてくれる人がいるから俺達は前線で戦えてるんだよ!分かったら大人しく自分の頑張りを認めてもっと胸を張りやがれ!いつもありがとな!」
「怒りながら褒めてる……」
「あ、ありがとうございます…………うぇへへ」
一気に喋ったせいで息苦しくなってきた……だが、これで俺が風紀委員全員をそれぞれちゃんと認識できていると理解してくれただろう
そもそも何ヵ月もずっと一緒に過ごしてきた仲間を俺が見間違うはずがない、たとえ俺の〝眼〟がなかったとしても声や癖で見分けられる自信がある
「……だが!それはそれとして私達にもっと優しくするべきだ!」
「そうだそうだー!」
「まだその話してんのかよ!?」
「当たり前だ!見分けがつくかどうかと先輩達だけ贔屓してるかの話は別だからな!」
「委員長ばかり支えるなー!」
「アコ行政官とケンカップルみたいな雰囲気出すなー!」
「チナツちゃんと混浴したって噂の真偽を話せー!」
「イオリちゃんとばかりイチャイチャするなー!」
「べ、別にそんなつもりは────」
「「「「「そうだそうだー!」」」」」
「だあーもう!分かった分かった!分かりましたよ!じゃあもう具体的にどうしてほしいのか言ってくださいよ!言われた通りにしてあげますから!」
「それくらい自分で考えろクソボケー!」
「「「「「そうだそうだー!」」」」」
「わ、私は時々お話してくれたらそれだけで嬉しいかなってーって……」
最後の笹木さん以外全員が無茶苦茶な事を要求してくる
いよいよそれに我慢できなくなってきた俺は両手を上げ、そして────
「上等じゃあああああああああ!!!」
「「「「「「「「「「わあああああああああ!!!」」」」」」」」」」
一番近くの生徒を片っ端から自分の方へと引き寄せる
そのまま頭に手を置いて!!!全力で動かす!!!
「よお~しよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよし!!!」
「髪の毛が乱れるー!?」
「あばばばばばばば…………」
「ぎゃー!絆されるー!」
「もう絆されてるー!」
「えへ、えへへへへ………」
わーわーきゃーきゃーと騒ぎながら各々が暴れまわるがそれでも俺は逃がそうとはしない
これはお前達が始めた物語だろ、だから責任はしっかり取ってもらおうか
全員を平等にめちゃくちゃ撫で回す、先輩も、同級生も、空崎さんも、全員を平等に────
「……ん?空崎さん?」
最後に撫でた頭にどこか見覚えがあった
ゆっくりと視線を下ろしてその少女の正体を確認してみる
「……」
「……何してんすか」
するとどうでしょう、目の前には何故か一般風紀委員の格好で撫でられ待ちしている空崎さんが立っているではありませんか
他の風紀委員達もざわざわと驚いているところを見るに、誰も気づかぬ内にいつの間にか参加していたのだろう
「あ、あの……」
「……どうしたの?続けてもいいのよ?」
「え?で、でも……」
「……」
「……」
「……」
この後(無言の圧力に屈して)めちゃくちゃ撫でた、あといつの間にか銀鏡さんと火宮さんと天雨さんまで並んでいた