〝アリウス〟潰すゾ!!!   作:あば茶

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普通の人間は何もしない

 

 

 

 

俺じゃない、俺のせいじゃない

 

俺は原作に一切絡んでいない、俺に責任はない

 

シャーレがなんとかする筈だった、先生と仲の良い生徒が世界を救ってくれる筈だった、俺が出張る必要だって一切無かった筈なんだ

 

だから俺は普通に生きた、ゲヘナともトリニティともミレニアムとも……どのネームド校とも違う地味な高校で、そこらのコンビニで、原作キャラと話す事もなく普通に生きてきた

 

普通の生活は楽しかった、前世で途絶えた青春をやり直してる様な感じがして

 

友達が出来た、バイト代で欲しいもんを買えた、ご近所さんのバーベキューに誘われた、とにかく平穏な日常をひたすら送り続けてきた

 

その裏で〝主人公〟がキヴォトスの為に命を懸けているって事は知ってるけど、それだって俺には関係の無い話だ

 

だから────

 

 

 

 

 

 

 

ティーパーティーのヘイローが破壊されたってニュースが流れたのも、調印式でテロリストが一人死んだってニュースが流れたのも、その続報でテログループの幹部の死体が数名分発見されたってニュースが流れたのも

 

ミレニアムで謎の事故が起きたというニュースが流れたのも、大勢の怪我人や死傷者が出たってニュースが流れたのも

 

シャーレが突然爆破されて先生が意識不明の重体に陥ったのも、アビドス砂漠で生徒が行方不明になったのも、小鳥遊ホシノと空崎ヒナが死んでたのも

 

全部、全部全部全部俺には関係ない

 

……俺は、俺は原作知識を持っていただけだ、俺が殺した訳じゃない

 

だから、だから、だから

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────この空が赤いのも、俺のせいじゃない

 

 

 

 

 

 

 

 

……おれ、は……わるく、ない

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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世界が終わるとしたら最後に何がしたい?そんな質問に俺は〝とびっきり美味いスイーツが食べたいです〟と答えた記憶がある……前世でだけど

 

しかし残念ながらそんな時間は残されていないらしく、真っ赤に染まっていた空も今ではすっかり黒に塗り潰されている

 

このまま行けばこの世界は間違いなく〝黒〟に飲み込まれるのだろう

 

 

────……介入、すりゃよかったのかなぁ

 

 

いや、恐らく結果は変わらなかっただろう

 

人よりちょっと眼が良い程度の男が一人原作に介入したところで何が変わったというのか、シャーレ全体の戦闘力が10000から10001になる程度の変化しか訪れないだろう

 

 

────……今世こそ幸せになりたかったんだけどな

 

 

結局前世に続いてまたもや望まぬ形で命を失う事になるとは、もしかして俺って16歳になると死ぬ呪いでも掛けられているのでは?

 

……アビドスの狼より俺の方がよっぽど死の神かもしれんな

 

 

────……原作で出てきたネームド高校は何してんだろうなー

 

 

まあ、どの勢力も大した事はできないだろう

 

アリウスもトリニティもゲヘナもミレニアムも……全部挙げてたらキリがねーな、とにかくどの学園も滅茶苦茶になっちまったんだから

 

いや、アリウスに関しちゃ滅茶苦茶とか以前に既に滅んでたな、ははは

 

 

────……馬鹿な、これが私の最後と言うか

 

 

少しずつ〝黒〟が広がる空を見上げながら呟く、どこぞの水没王子の台詞が出てくる辺り意外と心に余裕がありそうだな俺

 

それか二度目の死だからって達観してるのか、もしくは単純に強がっているだけなのか

 

 

────色彩さーん、どうしてそんなに大きくなっちゃったんですかー?

 

 

返事はない、ただの色彩の様だ……あーあ、二回目の人生もこれで終わりかー

 

三回目とかあったりしないかな、今度は平和な世界に転生したいな……ていうか普通に前世と全く同じ世界に転生させてください神様

 

あいや、神様と言ってもこの世界の神様には何の用も無いんで……なんか厄ネタくせーし

 

 

────全く、毎度毎度ろくな死に方せんな

 

 

前世は好きだった後輩に告白する事すらできず理不尽な事故で死んだし、今世はなんかもう世界ごと死ぬ事になるし

 

……んで、この後色彩を呼び寄せる元凶になった奴だけは別の次元に行ってそこで幸せになるんだろ?羨ましい限りだぜ、ほんと

 

 

────……結局、また一人で死ぬのか

 

 

友達は先に全員死んだ、ご近所さんも同じく、俺だけ運良く生き残った

 

かと言って遠くまで逃げる気力も湧かなかった、だって世界ごと終わるんならどこに逃げても無駄だろうし

 

 

────……これは罰なのか?

 

 

原作に関わろうとしなかった事への、先の出来事を知っておきながら自分さえ幸せならと誰も救おうとしなかった事への

 

じゃあせめて俺だけを罰してくれ、世界を巻き込む必要なんてなかったろ

 

 

────……どうする?いっそ自分の頭を今すぐぶち抜くか?

 

 

今すぐ壊れそうなのにいつまで経っても崩壊しない世界、真綿で首を絞められている様な感覚にうんざりして自分のハンドガンを自分の頭に突き付ける

 

戦闘する気なんて無いからと適当に見繕った安物の一丁、練習以外では一発も撃つ機会のなかったコイツを使う羽目になるとは

 

……いや、やっぱやめておこう。どんな状況でも自殺はあんま良い事じゃないよな、うん

 

 

────このまま世界の終わりを受け入れるか……

 

 

良き終末なんて存在しなかった、あったのは絶望的な終わり方だけだった

 

しかしまあ、何も落ち込む事はない。だって人生は一回とは限らないのだから

 

俺自身が来世の存在を証明している以上、このまま死んではいおしまいって可能性だけじゃなく、また転生して三回目の人生を送れる可能性だってある

 

 

────だから……また会おう、皆

 

 

家族、後輩、先輩、友達、ご近所さん、好きな人

 

前世に残してきてしまった人達や今世で一足早く旅立ってしまった人達へメッセージを送り、俺は黒く染まる空を静かに受け入れた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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本当にあった三回目

 

恐らく色彩由来であろう〝黒〟に飲まれた筈の俺が目を覚ますと、孤児院の人間に拾われる前……つまり赤ちゃんに戻ってました

 

あ、ちなみに今は高校生です。色彩襲来に備えて身体を鍛えておかないといけないのでめっちゃ頑張ってトレーニングしてます

 

え?〝お前色彩と戦うつもりなのか〟だって?自分から挑むわけないじゃん、あくまで自衛用だ自衛用……それと色彩を呼び寄せる要因を潰す為

 

つまり今回の場合は最初に黒見セリカの誘拐事件を阻止する事で少しでも砂狼シロコが絶望する可能性を抑える……その為にもヘルメット団程度は撃退できる力を付けておかなければならない

 

 

「あ……おはようございます、酒泉君!」

 

────……はよざーす

 

「あの、今日はとっても良いお天気で────」

 

────すんません、急いでるんで

 

「あっ……すみません……」

 

 

挨拶してきた奥空さんに素っ気なく返事をしてそのまま立ち去る

 

そういえばまだ言ってなかったな……実は俺、今回はアビドスに通ってます

 

アビドスに通わないと黒見さんが拉致られるタイミングが探れないからね、仕方ないね……でも原作には関わりたくないので対策委員会には入ってません、つまり俺だけ他の五人とは違う教室で一人しこしことBDでお勉強してます

 

……はい!今〝しこしこ〟でエロいこと考えた奴!お前らの負けえええええええ!!!

 

 

────先生がキヴォトスに来たっぽいし……そろそろ始まるか

 

 

なんかよー分からんけどアビドスの不幸は黒見さんが拉致られて時から始まったっぽいしそれ阻止したら後は放置で十分だろ(もっと遡るとユメ先輩が死んだ時からだろうけど)

 

アビドスの生徒だからって対策委員会に入らないといけないなんて校則も存在しないしな、少なくともエデン条約時点ではまだ先生も生きてるっぽいし他校の問題には必要以上に関与する事もない

 

勝った!最終編(始まる前から)完!俺は原作に関わらず下山するぜ!

 

とりま色彩関連だけ解決されるのを見届けたら後はだらだらと学園生活を送って卒業したら外の世界で幸せになる!これが俺の逃走ルートよぉ!

 

 

────だから頑張ってくれよ、ネームドのみんな!

 

 

酒泉君が無事に過ごせるかどうかはお前らに賭かってるんだからな!俺は何もしないけど!ちょっと原作ストーリーや原作キャラに関わった後は一切働かないけど!

 

 

 

 

 

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──────

 

 

 

 

 

「アンタまた一人でお昼食べてるの?寂しい奴ねー」

 

────……うっせ、ほっとけ

 

 

 

そのつもりだったのに原作キャラの方から絡んでくんじゃねええええええええええ!!!

ふざけんな!なんで俺の教室(ではないけど独占状態なので実質俺の教室)に来やがる!

 

どうなってる!?ただ眠ってる黒見さんを庇いながら拉致を阻止しただけなのになんで接点が出来る!?理解できぬ理解できぬ理解できぬ!!!

 

 

「……対策委員会に入れば寂しい思いもしないで済むのに」

 

────なんで自分の青春を借金返済に充てなきゃいけねえんだ、俺は普通の学園生活を送りたいの

 

「普通の学園生活を求めてるならアビドスなんて選ばなきゃいいのに」

 

────……静かな学校が好きなの!!!

 

「はいはい」

 

────適当に流すんじゃ……おい待て、何を勝手に俺の隣に座って弁当を開けてやがる

 

「いただきまーす」

 

────聞けや

 

 

此方の言葉をガン無視して弁当を貪る獣、恐らくこの化猫は人語を理解できないのだろう

 

だって今日に限らず何度も何度も俺の隣に座ってくるし……大人しく対策委員会の人達と仲良しこよししててくれませんかねぇ

 

 

────……黒見さんがここに居ると他の人まで黒見さんを呼びに来る可能性があんだけど?

 

「別にいいでしょ」

 

────よくねぇ、全然よくねぇ

 

 

砂狼さんも十六夜さんも奥空さんも以前より積極的に話しかけてくるようになったし小鳥遊さんは〝君のお陰で今度は失わなかった〟とか言ってめっちゃ感謝とか謝罪とかしてくるし、先生も会う度に心配そうな視線ぶつけてくるし

 

言っておくがなぁ!俺が黒見さんを助けたのは自分が死にたくないからだからな!?色彩を呼ばれたくないからだからなぁ!?

 

 

────いいか?俺はなぁ、教室の隅っこでラノベを読んだり昼休みの時に寝たフリをするのが好きなタイプの人間なの!弁当だって一人で食べたいの!

 

「……一人じゃスムーズに食べられないでしょ。ほら、箸寄越しなさい、食べさせてあげるから」

 

────はぁ!?俺がまともに箸も握れない野郎だとでも思ってんのか!?

 

「まともには握れないでしょ、だって」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……アンタの右腕、私のせいで失くなっちゃったじゃない」

 

────はあ?なんでヘルメット団にやられた怪我が黒見さんのせいになんだよ

 

 

 

ヘルメット団の投げたグレネードの爆発で利き腕が吹き飛んだだけなのに何で黒見さんが責任感じてんだ?意味分からん

 

 




実は例のウイルスを患った時にめちゃくちゃ咳しまくった後遺症で喉が死んでました、咳もずっと続いてました、最近やっと収まってきたんで執筆に取り掛かれそうです

小説のストックが尽きる前に治ってよかったです、ちなみにこの話もストックでした
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