〝アリウス〟潰すゾ!!!   作:あば茶

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何もしてないのに執着された普通の人

 

 

 

 

敵の襲撃を受けてからどれくらいの時間が経ったんだろう

 

両手両足を拘束され、目隠しもされてるこの状態じゃ周囲の状況を確認できない

 

唯一感じられた私を運んでいるであろう乗り物の揺れは感じなくなり、途端に不安と恐怖が少しずつ湧いてきた

 

乗り物が動かなくなったって事は目的の場所に着いたのかな、これから何をされちゃうんだろう

 

 

(……嫌だ)

 

 

普段の強気な態度はどこへやら、いざこういう状況になると気を取り繕う事すら出来なくなっていた

こんな情けない姿を対策委員会の皆には晒さずに済んだのが唯一の救い……の筈だった、でもそれは〝いつもの私〟の考え方

 

 

(助けて)

 

 

ただただ誰かに一緒に居てほしかった、こんな情けない姿を見られてでも、不安を紛らわす為に

 

今にも心が押し潰されそうなこの状況に耐える為に……分かってる、周りには誰も居ないって

 

ここが何処なのかは知らないけど少なくともこの場に敵は存在しても味方は誰一人居ないだろうってことは頭の中で理解していた

 

 

『…………ホシノ、先輩』

 

 

だから、今から絞り出す声に応えてくれる人は存在しないだろうって事も理解している

 

先輩達も、アヤネちゃんも……最近キヴォトスにやって来た怪しい大人も、誰もここには居ない

 

 

『ノノミ先輩、シロコ先輩』

 

 

名前を呼んでも、ここに来る訳でもないのに

 

 

『アヤネちゃん……せん、せい』

 

 

それでも溢さずにいられなかった私は、この暗闇の中でぽつりと弱音を吐き出した

 

 

『だれか、たすけて』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『悪いな、今呼んだ奴誰も居ねーから売れ残りの折川君で我慢してくれやお姫様』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今日も弁当じゃないんだ」

 

────弁当持ってくると誰かさんに箸ぶん取られてそのまま口におかず突っ込まれるからな

 

「な、なによ……私が無理矢理やってるみたいな言い方じゃない」

 

────そうだと言ってるんだが?

 

 

コンビニで買ってきたサンドイッチを食べていると背後から黒猫がひょっこりと顔を覗かせてきた

 

残念ながら今手持ちには猫じゃらしもちゃお○ゅーるも無いので適当にやり過ごす事はできなそうだ……効果あるのか知らんけど

 

 

「……ねえ、最近お昼にコンビニのおにぎりとかサンドイッチばっか食べてるのってやっぱり片手でも食べやすいから?」

 

────別に何だっていいだろ

 

「……次からはわざわざコンビニで買ってこなくてもいいわよ、私が作ってくるから」

 

────黒見さんにコンビニ飯と同等のクオリティが出せるか分からないので却下

 

「は、はあ!?それぐらい私にだって出来るわよ!舐めないでよね!」

 

 

別に舐めてるつもりなどない、ただコンビニの飯は基本的に高水準の味を保っているというだけの話だ

 

俺はなぁ、パリパリの海苔に包まれた昆布のおにぎりとかハムとマヨネーズだけで構成された単純すぎるサンドイッチとかが好きなんだよ!

 

 

「いいわ!そこまで言うなら明日とびっきり美味しいおにぎり握ってきてあげるから!覚悟しなさいよ!」

 

────何をだよ……

 

 

ただおにぎりを食べるだけなのに何を覚悟すればいいのやら、毒でも盛られるのか?

 

いや、そもそも食わんけど。なんか作ってこられても口に入れる気は一切無いけど……という訳でここはハッキリと拒絶させてもらおう

 

対策委員会崩壊の切っ掛けさえ潰せば後は原作通りハッピーエンドルートに進んでくれるだろう、つまり俺が関わる必要はもう無い……はず

 

 

────つーかさ、前にも言ったけどあんま関わらないでくれるか?俺、騒がしい奴嫌いなんだよな

 

「……嫌いな奴を助ける為に右腕を失ったの?」

 

────……一般市民がヤンキーに絡まれてたら流石に声掛けくらいはするだろ?それと同じだよ

 

「……普通の人は命の危機に自分から首を突っ込んだりしないわよ」

 

────…………うるせぇ!とにかくお前の為じゃないったらお前の為じゃないやい!!!

 

「なにツンデレみたいなこと言ってるのよ……」

 

 

そこらの詐欺師に騙されやすそうなキャラしてる癖に生意気にも俺に詰め寄ろうとしてきたので強引に話を切り上げる、あとツンデレに関しては黒見さんだけには言われたくない

 

……ていうかこの人、なんか原作と違ってキャラに違和感あんだけど。〝べっ別にアンタの事が心配で様子を見に来てる訳じゃないんだから!〟みたいなツンデレ発言でも言うもんかと思ってたのに何故か妙に大人しい気がする

 

……まあ、この人が何を考えていようが俺には関係無いけどさ

 

 

「……ねえ、アンタなんでそんなに人と関わるのを避けてるわけ?」

 

────前にも言ったろ、静かな方が好きなんだよ

 

「……あっそ、じゃあ私一言も喋らないから。これなら一緒に居てもいいでしょ?」

 

────……人が近くに居ると落ち着かない体質なんだ

 

「だったら私なんて見捨てればよかったじゃない。そうすればアビドスももっと静かになっただろうし、それに……その右腕だって失くならなかったのに」

 

────…………静かすぎるのも苦手なんだよ

 

「その言い訳は無理がありすぎるでしょ……素直に〝お前を助ける為〟って言いなさいよ」

 

────……それだけは絶対に無い

 

 

俺が黒見さんを助けたのはアビドスの不幸の連鎖を食い止める為、不幸を食い止めるのは砂狼さんを絶望させない為、砂狼さんを絶望させないのは世界が色彩に飲まれるのを防ぐ為

 

分かるか?俺が守りたいのは黒見セリカ個人なんかじゃなくて世界そのものや自分の命、それと前世で親しかった人達の命だけだ

 

だから俺は俺の損得快不快でしか動いてないしそこに赤の他人への思い遣りなんて一切存在しない、前世と同じ末路を辿らない為に行動してるだけだ

 

まあ、だから……なんだ……

 

 

────この怪我だって勝手に首突っ込んだ俺の自業自得みたいなもんだ、だからもし罪悪感だけで話しかけてきてんならそんなもん忘れて今すぐ帰れ

 

 

せっかく最悪のルートを避けられたんだからこれからは原作通り幸せになっていきゃいいんだ

 

今度は拐われなかったんだから安心して対策委員会の皆や先生と一緒に水着着て災厄の狐とドンパチしたり可愛い巫女服着てバイトに勤しんだりアニメみたいに楽しくショッピングでもしてりゃいいんだ

 

こっちはこっちで勝手に幸せになるからそっちはそっちで幸せになっとけ、折川酒泉なんて重荷を背負おうとするな、原作キャラは原作通り原作キャラと仲良しこよしやってりゃいいんだよ

 

 

────うざったいんだよ、俺は別に不幸とも思っちゃいないのに勝手に同情されんの

 

「なっ……別に同情のつもりじゃ……!」

 

────それ以外に何があんだよ、今まで一切関わってこなかった相手に必要以上に構うようになる理由なんてよ

 

 

生きているだけで幸せ、死ななきゃ安い、俺はそれらの言葉の真意を二度も思い知らされている……一度目の死と二度目の死、それぞれのタイミングで

 

どれだけ貧しかろうと、どれだけ苦しかろうと、居場所が無かろうと身体が弱かろうと友が居なかろうと右腕が無かろうと

 

生きていれば幸せになれる可能性がある、でも死んだらそれすら失ってしまう、だから右腕程度の犠牲で生き延びる事ができた今の状況は間違いなく幸せだと言えるだろう

 

だと言うのに他の連中は全員が罪悪感の籠められた瞳で見つめてくる、それだけが鬱陶しくてただただ気に入らない

 

 

「……分かったわ、そこまで言うならもう来ないわよ」

 

 

そんな俺の気持ちが伝わったのか、黒見さんはすっと立ち上がりそのまま足早に去っていった

 

足音が大きい……怒らせたか?まあ、だとしても元より友達でも何でも無いんだし別に気にする必要もないか

 

これで余計な事を考える必要も無くなった、原作に関しても彼女に……先生にでも任せておけばいい、ルートが変わったこの世界なら今度こそ大丈夫な筈だから

 

さて、やっと落ち着いて飯を……

 

 

 

────……ちょっと静かすぎるな

 

 

 

この教室、こんな寂しかったか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「では本日も借金返済の対策会議を始めます!」

 

「じゃあ終わったら起こしてね~」

 

「勝手に寝ないでくださいよ!?」

 

「そうよ!ていうかここに来る前に既にお昼寝してたじゃない!?」

 

 

────おい

 

 

「ん、借金を返済する為には一度に莫大な金額を得る必要がある……やっぱり銀行強盗しかない」

 

「そうでしょうか?一度に大金を得られなくとも継続的にそこそこの金額を稼ぐ事ができればいずれ返済できると思いますが……やはりアイドルデビューしかありません☆」

 

「強盗もアイドルもどちらもやりません!もう少し現実的な案を……!」

 

 

────おい

 

 

「それじゃあどっちの案も採用してアイドル姿で強盗しちゃう?これならお金も鴨……げふんげふん、ファンもどっちもゲットできちゃうよ?」

 

「何でも合わせれば良いってもんじゃないでしょ!?そんなことしてもただの犯罪者から頭のおかしい犯罪者に格上げされるだけよ!」

 

 

────おいって!!!

 

 

「きゃっ……もう!急に耳元で叫ばないでよ!」

 

「なになに?もしかして酒泉君からも案があるの?」

 

 

対策委員会の五人が一向に人の声に耳を傾けようとはしなかったので黒見さんの耳元でおもいっきり叫ぶ

 

すると眠気眼の小鳥遊さんが寝言を起きたまま吐いてきた

 

 

────そうじゃないです!なんで……なんで俺の教室で対策会議してやがるんです!?

 

 

昼食後、お手洗いから戻っていつも通り自分の教室で勉強でも始めようとしていたところ、突如対策委員会の人達が俺の教室に入って急に会議を始めたので思わず突っ込んでしまう

 

しかし対策委員会の人達は全員が首を傾げてキョトンとしている……何だよその俺がおかしいみたいな反応は、今すぐやめろ

 

 

「ここ、別に酒泉君の部屋じゃないよ?」

 

「正しくは〝アビドス生徒会が管理する教室〟ですね」

 

「ん、だからここは酒泉の縄張りじゃない」

 

「つまり……私達でもご自由に出入りできるって事ですね!」

 

────……黒見さぁん?一体何を吹き込みやがったぁ?

 

「別に何も吹き込んでないわよ、ただ偶然今日の会議場所がこの教室になったってだけ」

 

 

白々しく答える黒見さんに怒りを込めた視線をぶつけるが、当人は何の悪びれもなくあっけらかんに答える

 

確かに正確に言えばここは俺の教室ではない、だからと言って対策委員会が好き勝手に使っていいという訳でもないだろう

 

 

────この中で一番長くこの教室を使ってきたのは俺だ!そんな俺の許可なく好き勝手するんじゃない!

 

「そんな事言ったらこの校舎を一番長く使ってるのはホシノ先輩だけど?」

 

────……多数決だ!多数決で決めよう!

 

「勝てると思ってる?」

 

 

いつの時代も少数派は簡単に切り捨てられる、人類は皆弱者の筈なのにこの扱いは不公平だ

 

もういい、非常に不服だがここは俺がこの教室を出るとしよう……こんな部屋に居られるか!俺は帰るぞ!────開かない!?

 

何度も何度も扉をガタガタと揺らしてみるが扉が開く気配が一切しない、内側から鍵が掛けられている訳でもないとなると……

 

 

────外側か!?

 

「んー?なんのことかなー?」

 

 

何をしたと対策委員会の方を振り向いてみれば小鳥遊さんがニヤニヤと含みを込めた笑みを浮かべていた、さては外に何か仕掛けたな!?

 

こんなの監禁と同じだろ!?もういい!こうなったらこの扉を破壊して無理矢理……!

 

 

「あ、ちなみにその扉壊したらアヤネちゃんがこわ~い顔で修理代請求するからねー」

 

「そんな顔をするつもりはありませんが、出来れば壊さないでいただけると……」

 

 

あははと苦笑いを浮かべる奥空さん、然り気無く修理代云々に触れなかった事を俺は気づいているぞ……!

 

銀行強盗に続いてこんな事まで思い付くとは、アンタらこの学校よりゲヘナの方が向いてるんじゃないか?いっそ転校してみたらどうだ?

 

 

「大変です!この教室の扉が〝偶然〟壊れてしまいました!」

 

「これは個人的な勘だけど会議が終わるまで直らないような気がする」

 

────まるで自動的に直るみたいな言い方しますねぇ……

 

「……」

 

 

わざとらしく演技をする十六夜さんの横で砂狼さんの発言を指摘すると、砂狼さんは正解は沈黙とばかりに無言で視線を逸らしてきた

 

どいつもこいつも手段が強引すぎる、まとも枠かと思っていた奥空さんですらこの様だ

 

 

────……おい黒見さん、もう俺の所には来ないんじゃなかったか?どうなってんだこれは

 

「仕方ないでしょ?急に会議の場所がここになっちゃったんだから……少なくとも罪悪感が理由でここに来たわけじゃないんだから怒らないでよね」

 

────……白々しい真似を!

 

「まあまあ、そう怒らずに……そうだ!これを機に一緒にお喋りでもしませんか?」

 

「お、それいいね~」

 

なーにが〝これを機に〟だ、自分からその機会を作っておきながら吐くような台詞じゃないだろ

 

やっぱこの人達の考え方は理解できない、俺達は本当の本当に赤の他人だった筈なのにどうしてここまで距離を縮めようとしてくるのか

 

「……多分、もう皆アンタの事を放っておくつもりはないと思うわよ。本当のアンタの姿を知っちゃったんだから」

 

────本当の俺?……他人がどうなろうと知ったこっちゃない冷徹な俺の姿をか?

 

「他人を右腕を失ってでも助けようとしちゃう優しすぎるアンタの姿をよ」

 

────……なんか勘違いしてるけどな、お前を助けたのだって俺なりにメリットになり得る理由があるから「普通の人は理由があろうと自分の右腕を捨てないわよ」……人の言葉を遮るなよ

 

「無関心を装っておきながらそんな弱々しい身体で助けにきちゃったり、冷たい態度を取ろうとしても〝怪我の事は気にするな〟って私への気遣いを隠し切れてなかったり……それで〝自分は優しくない〟なんて無理があるわよ」

 

 

あり得ない、それこそ絶対にあり得ない

 

だって本当に優しい人間なら世界の危機を知っておきながら何もしないなんて無いだろうし、誰かが死ぬ可能性が存在する事を知っていたらその人を助けていただろうし

 

エデン条約だってパヴァーヌだって個人じゃ何もできなくてもシャーレに情報を流すくらいの事はできていたかもしれないし、アビドスだって一人くらいは助けられたかもしれないし

 

今、目の前で笑ってるこの人達も、俺が行動していれば前世でも笑えていたかもしれない────?

 

 

────……は?

 

 

なんだ、これ、苦しいぞ

 

俺は何を考えた?もしかして後悔してるのか?他人なんてどうでもいいはずなのに……いや、これも強がってるだけなのか?黒見さんに罪悪感だけで関わろうとしてくるなって言っておきながら、俺自身が罪悪感だけで動いていたのか?

 

今までの行動も全部?いや違う、あり得ない、訳分からん、頭が痛い、すっごい心苦しい

 

 

「……きゅ、急に黙り込んじゃってどうしちゃったのよ。もしかして……ほ、本当に嫌だった……?」

 

────ち、がう……けど……

 

「そ、そう?じゃあどこか苦しいとか?」

 

────それも、ちがう

 

「本当?何か助けて欲しい事があったら素直に言ってね……今度は私が助けるから」

 

 

〝私が右腕になるから〟と小声で呟きながら右肩にそっと手を置き、身体を寄せてくる黒見さん

 

軽くなった俺の右半身には俺と黒見さんの接触を阻止する物は存在せず、俺の右半身を埋めるかのようにダイレクトに互いの身体がくっつく

 

……お人好しだ、どいつもこいつもお人好しすぎる。俺は大丈夫だって言ってんのに勝手に心配してきて、嫌だって言っても無理矢理距離を縮めてきて

 

ほんのちょっと助けただけで簡単に信用するなんて馬鹿だ、馬鹿しかいない、馬鹿ばっかりだ

 

 

「それじゃあどこに行く?」

 

「……そういえば最近柴関ラーメンが激辛スープラーメンを開発したらしい、大将も味の感想を求めてるとか」

 

「決定ですね!そこで酒泉君の歓迎会を開きましょう☆」

 

「セリカちゃん怒らないかな……」

 

 

まともらしい会話なんて最近やっとしたばっかの俺を、もう受け入れてもてなそうとするなんて……ん?

 

 

────ちょっとタンマ、なんでどっか出掛ける事になってんです?それとなんで俺もそれについていく事になってんです?

 

「え?せっかくお喋りするならどこか出掛けたくない?そのついでに腹ごしらえって事でさ……ね?」

 

────そもそもお喋りするとも言ってないんですけど

 

「じゃあ早速柴関行こっか……セリカちゃんおんぶー」

 

「駄目、ホシノ先輩……セリカは酒泉を支えるので忙しいから」

 

「そうですよ!あんなに好き好きオーラ出しながらくっついてるのに邪魔しちゃ駄目です!」

 

「セリカちゃんがあんな素直になるなんて……」

 

「は、はあ!?別にくっついてなんかないんだけど!?」

 

────いや、そもそも俺は行かな……ちょっと?聞いてます?おーい!?

 

「んー?否定するのは〝くっついてる〟のところだけでいいのかなー?」

 

「好きなのは否定しないんですね☆」

 

「ん……寝取られた……」

 

「うへー寝てからいいなよー」

 

────おーい、女!聞こえているのかー?地球の女ー?ちょっとー?

 

こっちが黒見さんと話している内にいつの間にか会話の流れがおかしい事に、どうやら俺を連れてどこかに出掛ける事になったらしい

 

俺が〝行きませんよ〟〝行かんからな〟〝絶対に行かんぞ!〟と怒濤の攻めを仕掛けても全員聞こえていないかのように本日の予定を組み立てている

 

 

「酒泉君は何が食べたいですか?……あっ、そもそも柴関ラーメンに行った事はありますか?」

 

「私のオススメは王道を往く〝柴関ラーメン〟……だけど今日は激辛ラーメンに全員で挑戦するべき」

 

────いや、だから行かないって……

 

「うへぇ……おじさんのお腹壊れちゃうよぉ……」

 

「ちょっと辛いだけなら平気ですけど……」

 

「一般客向けに作ったらしいから辛すぎるって事はないと思うけど……」

 

────おい、人の話を……

「まあ、こんな所でうだうだしてても仕方ないしとりあえず教室出る?ノノミちゃんおねがーい」

 

「はーい☆……よいしょ!」

 

「流石ノノミ、ドアごと外せばアヤネに怒られる心配はない」

 

「も、元に戻してくださいね……?」

 

────だーかーらー!俺の話を……

 

「それじゃ酒泉君、早速行こっかー……あ、そういえば聞いてなかったけど辛いの平気?」

 

「大丈夫でしょ、この前辛子明太子のおにぎり食べてたし」

 

「おー流石セリカちゃん……最近追っかけ回してただけあるねー」

 

「ちょっ……人聞きの悪いこと言わないでよ!?偶々!偶々見ちゃっただけだから!」

 

────っ、この……!

 

 

元々人の話を聞こうとしてなかったが今はもっと人の話を聞こうとしない、そんな彼女達の横暴っぷりに怒りが沸き立ち、押さえ込んでいた感情がついに爆発してしまった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────そもそも!!!俺は辛いのより甘い方が好きだ!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「「「…………」」」」」

 

────…………あっ

 

 

 

しまった、その言葉が浮かび上がった瞬間には時既にだった

 

ぽかんとしていた対策委員会は少しずつ口を緩ませ、最後には全員が笑顔で俺を取り囲んできた

 

 

「そうなんですね!酒泉君は甘い物が大好きなんですね!」

 

「結構可愛いところあるねー」

 

「酒泉君の事、もっと沢山教えてください☆」

 

────ちょっ……やめ……寄るな!後ろから抱きしめ……デカイ!?背中にデカイなんかが当たってる!?

 

「な、なにしてるのよ先輩!?ほら、アンタもニマニマしてないでさっさと離れなさいよ!」

 

────してねえ!?ていうか離してもらえねえ!

 

「ん……後輩に続いて同期まで寝取られた……」

 

「だから寝てからいいなよって」

 

────だーもう!全員騒ぐな!頼むから離れ……おい待て!?引っ張るな!俺をどこに連れていくつもりだ!?HA☆NA☆SE!AIBOOOOO!!!AIBOOOOO!!!

 

 

思えば俺の運命はこのモンスターハウスに閉じ込められた時点で決まっていたのかもしれない

 

ああ、こんな事になるなら右腕を失わなくて済むくらいまで鍛えておけばよかった……もし四回目の人生があるのなら今度こそ最強つよつよ酒泉君に成り上がってやる、この身体にそんなポテンシャルがあるのかは知らんけど

 

 

「離すわけないでしょ、これからはずっと私達が守ってあげるんだから……酒泉」

 

 

……四回目、無さそうだなぁ

 

 

 




ストックはここまでです、続きは未定です

あ、そういえばこのルートハルカによる柴関爆破イベントや風紀委員会の戦闘に巻き込まれるイベントまだこなしてないんですよね

運が悪ければ怪我でも負うかもしれませんね……誰がとは言いませんが
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