─某コミックのマーケット会場─
ヒナ「……」
アコ「……あの、委員長?この本は一体……?」
〝後輩風紀委員君に貞操帯を付けて情けなく腰ヘコおねだりさせる本〟
〝α崎さんとΩ川君〟
〝家に帰ると必ず後輩男子がエプロン姿で出迎えてくれます〟
ヒナ「何って……私が描いた新刊だけど?」
アコ「なるほど、三冊も新刊を出すなんて随分気合いが───じゃなくて!どうしてヒナ委員長がこんな所にいらっしゃるのですか!?」
ヒナ「その日は休暇を取るって皆に伝えていた筈だけど?」
アコ「そ、そういう意味ではなくてですね……!」
ヒナ「それよりもアコ、買うつもりがないなら少し横にずれてくれない?後ろで待ってる人達に迷惑だから」
アコ「…………全部一冊ずつください」
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アコ「まさかヒナ委員長が同人誌を描くなんて……」
アコ「…………しかもめっちゃ上手いですね」ペラペラ
アコ「一月程前から眠たそうにしている日が続いているとは思ってましたが……まさかこの日の準備を?」
アコ「ヒナ委員長の姿を発見した時は〝私がヒナ委員長を見間違う筈がない〟という気持ちと〝こんな所にヒナ委員長が居る筈がない〟という気持ちに挟まれて軽く脳が爆発しそうになってしまいましたが……」
アコ「……いや、よく見たらヒナ委員長だけではありませんね」
モモイ「〝ほろよいピーチサワー〟でたよー!売り切れる前に買った方がいいよー!」
ミドリ「ダンボール八箱分も残ってるのにそんなすぐ売り切れる訳ないよお姉ちゃん……有名サークルってわけでもないのに」
アリス「アリスが描いた〝機械少女は初恋の夢を見るか?〟もよろしくお願いします!」
ケイ「……一応、王女とは別のキャラの視点から描かれた〝ただの鍵は初恋の扉を開くか〟もよろしくお願いします」
ユズ「こ、こっちもアリスちゃんのお話と同じ世界線のお話になってます……!」
ヒフミ「〝へいぼんちゃんとクソボケくん〟一冊ですね!ありがとうございます!」
ハナコ「〝おいしい花酒の漬け方〟もいかがでしょうか♡」
アズサ「〝くそぼけばにたーたむ〟も……あれ?コハルは?」
ハナコ「コハルちゃんなら恐らく他のサークルを回ってる最中かと────」
スタッフA「はーい車椅子通してくださーい!」
スタッフB「急病人通りまーす!道開けてくださーい!」
コハル「なによあれ……エッチすぎるわよ……しけいよ……」鼻血ダラダラ
ヒフミ・アズサ・ハナコ「…………」
アヤメ「新刊出ましたー、旧刊の〝友達なんかじゃ終われないっ!〟もよろしくお願いしまーす」
ナグサ「ア、アヤメ……その表紙の男の子、誰……?」
アヤメ「……」
ナグサ「アヤメの知り合い……なの?でも、私今まで一度も会ったことが……」
アヤメ「……あんたには関係ないでしょ」
ナグサ「コヒュッ」
ノゾミ「パヒャヒャ!〝恋の特急・人生の墓場行き~幼妻二人と超連結~〟一冊ねー!」
ヒカリ「お客さんおめがたか~い」
アオバ「あ、あの……こちらの〝愛しの彼に二日酔い〟もいかがですか……?」
イチカ「あー……申し訳ないっす、新刊の〝男女の友情は成立するっす!〟はもう売り切れちゃったんすよねぇ……」
ハスミ「新刊の〝羽川ハスミはぜっっっっっっったいにゲヘナなんかに恋はしない!〟も残り僅かです」
イチカ「いやー初参加にしては結構上手くいったすねー……これならもっと刷ってもよかったっすね」
ハスミ「次からはもう少し多めに見積もっておきましょう」
イチカ「そっすね……じゃあ、私は────」
正実モブ「な、並んでください!新刊の〝貴方がそばにいる日常〟まだまだありますから順番に並んでくださーい!」
正実モブ「さ、最後尾はそっちじゃないです!外まで続いてるのであちらに並んでください!」
正実モブ「待機中の皆様は他の歩行者の方に迷惑を掛けないように通路を空けてくださーい!」
正実モブ「今スタッフさんがカタログと本のサンプルを配ってますので何を買うのか今のうちに決めておいてください!スムーズにやり取りする為にご協力お願いします!」
正実モブ「あうぅ……人数が……人数が多すぎます……!」
イチカ「……後輩の手伝いでもしてくるっす」
リオ「〝鈍感男子の合理的な堕とし方〟と旧刊一冊ね……はい、どうぞ」
トキ「〝発情した兎の真似なら得意です〟一冊ですね、どうぞ」
リオ「……ねえ、トキ」
トキ「なんでしょうか」
リオ「貴方が描いた本の主人公の男の子の顔、見覚えがあるのだけれど」
トキ「気のせいです」
リオ「主人公が他校の生徒って設定は?」
トキ「偶々です」
リオ「……主人公が風紀委員って設定は?」
トキ「偶々です」
リオ「……」
トキ「……偶々です」
アイン「〝おにいさまといっしょ!〟……い、いかがでしょうか!?」
ソフ「内容は私達が〝お兄様〟とひたすら日常を送るだけのほのぼの系だよ」
オウル「まったく、二人ともあんな人間に夢中になって……はっ!?アイン!ソフ!まさか私まで本の中であのクソボケとイチャイチャさせてる訳じゃありませんよねぇ!?」
ソフ「ああうん、そう言うと思ってオウルと酒泉の絡みは全部カットしておいたよ」
オウル「…………そ、そうですか」
マルクト「…………」ペラ
オウル「……お姉様?その本は?」
マルクト「……〝お姉様にお兄様が出来た日〟」
アコ「……冷静に辺りを見渡してみると、何人か知った顔が見えますね」
アコ「あのクソボケ、私達が知らないうちにまーた交友関係を広げて……また〝調査〟を行う必要がありますね」
アコ「まあ、私は別に彼が誰と遊んでいようが興味ありませんが?ただヒナ委員長の為に調べるだけですし?」
アコ「そうです、これは彼を想っている風紀委員全員の為です、決して私個人の感情では────ん?」
酒泉「すみません、新刊一冊と……このミカハナ本一冊ください」
酒泉「……よっしゃ!今年こそ買えた~!これ去年買い逃しちゃったんだよなー」
酒泉「さて、次はイオチナ本とアコハス本とホシヒナ本と……おっと!あんな所にカズレイ本発見伝」
酒泉「買いたい物が多すぎるな……これだったら誰か手伝いを連れてくれば────ん?」
アコ「……」
酒泉「……」
アコ「……」
酒泉「……違うんすよ」
アコ「まだ何も言ってませんが?」
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アコ「物の見事に女の子同士でイチャついてる本ばかりですね」
酒泉「だ、だって……美少女同士の絡みは目の保養になるから……」
アコ「……それはつまり、この本に描かれている女の子は全員美少女だと?」
酒泉「はい、そう思ってますよ」
アコ「……へ、へぇ?貴方にしては珍しく節穴じゃないですね」
酒泉「俺の眼が節穴だった事なんて一度も無いですよ、眼鏡掛けてた時以外はずっと良い方なんすから……つーか天雨さんこそなんでこんな所に居るんすか?」
アコ「そんなのアコヒナ本を買うために決まってるじゃないですか」
酒泉「……で?何冊買えました?」
アコ「……そもそも売ってませんでした、代わりにアコカヨとかアコサツとかありましたけど」
酒泉「へー、良かったじゃないすか」
アコ「どこがですか!?どちらも風紀委員会の敵対組織ですよ!?」
酒泉「万魔殿は敵対組織じゃな……いや、実質敵みたいなもんすね」
アコ「カヨコさんだって同じですよ!原作で過去にどんな絡みがあったのかも明かされてないのにカップリングされるなんて!」
酒泉「原作て」
アコ「酒泉!貴方も貴方ですよ!こうして貴方のカプ本が売られる度にこの小説のヒロインが増えていくんですからね!?」
酒泉「ヒロインて」
アコ「これ以上無駄な世界線を増やさないでください!」
酒泉「これ以上メタな発言しないでくれません?」
アコ「貴方が女性関係のトラブルを起こす度に私達は頭を抱えているんですからね!?全く、これだからクソボケは……」
酒泉「は、はは……すいませんね……(男女比的に女性関係のトラブルが多めになるのは仕方ないだろ……)」
アコ「大体ですねぇ!貴方は見境無く女性を漁りすぎなんですよ!ゲヘナの生徒だろうと他校の生徒だろうと先生だろうとちょっと困ってたらすぐ手を貸してしまうなんて、その結果発生する学園間の政治的な影響も考えず馬鹿で阿呆でクソボケで優しくてちょっぴりカッコいい貴方は私達の気も知らずのほほんとしたボケ顔で平然と他校を歩いて────あっ」
酒泉「あーあ、人を指差すから持ってた紙袋落としちゃって……ん?袋の中に何か────」
〝ツンデレデレデレデレ行政官が後輩風紀委員君とすきすき♡純愛ックスする本〟
アコ「……」
酒泉「……」
アコ「……違うんです」
酒泉「まだ何も言ってませんが?」
今年の夏コミは欲しかったヒナ本とミサキ本全部買えて満足でした