〝アリウス〟潰すゾ!!!   作:あば茶

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(レース)クイーン&ナギちゃうちゃう

コスト2/自然/トリニティ・コマンド/パワー12000

相手がクソボケを出す時、代わりに〝絶対ぶち犯しゾーン〟に送る(この移動は妨げられない)

このクリーチャーは酒泉以外に攻撃できない、相手の酒泉はこのクリーチャー以外に攻撃できない


ク イ ー ン 藤 ナ ギ サ

 

 

 

 

 

 

 

 

自分を押し倒して顔を真っ赤に染める少女、何故か恥ずかしそうにするゴリラと狐、部屋に充満するめっちゃいいにおい

 

酒泉はこの状況を〝あれ?これチア藤さんの時にもなかった?〟と冷静に思い出しながら、それとは別に暴走しそうな本能を必死に押さえつけていた

 

 

〝どうしてこうなった〟

 

 

キヴォトスに来てから何度も頭に浮かべてきた言葉だが、いつもならそれは厄介事や騒動に巻き込まれた時に思う言葉だった

 

しかし、今回に限ってはそのどちらのパターンにも当てはまらない、何故ならそれは酒泉にとって……というより思春期男子生徒にとっては誰でも嬉しくなる様な困惑だったのだから

 

 

「あ……あの……わ、私……そんな、そういうつもりでは……!」

 

 

それでも、我等がクソボケこと折川酒泉なら敢えて言ってくれるだろう

 

 

「……どうしてこうなった」

 

 

 

 

 

──────────

 

 

 

────────

 

 

 

──────

 

 

 

 

ゲヘナカップ、それはスピードの中で進化したレース

 

そこに命を賭ける伝説のヘイローを持つ者達を、人々は〝生徒〟と呼んだ(※呼びます)

 

……という事で各校から腕利きのレーサーが集まり、大規模なレースが開かれる事となった訳だが

 

特にレースに参加する予定の無い折川酒泉も多少は少年心を刺激されたのか、全身の血をスタートユアエンジンさせてまだかまだかとそわそわさせていた

 

そして具体的な開催日時や会場が決まってから数日後、折川酒泉は突然モモトークで聖園ミカに〝三人で待ってるからトリニティ用の控室まで来い〟と呼び出された

 

理由は〝ゲヘナに対する宣戦布告をするから〟と、誰がそんな下らねえ事に付き合うかとも思ったが、これを無視すれば次会った時いつぞやみたいに頭部が消し飛ぶ威力のデコピンを放たれるかもしれないと恐れて渋々向かう事に

 

 

「……で、ここがその控室と」

 

 

手土産を片手に扉の前に立つ酒泉、扉の横辺りに立て掛けられている看板には〝トリニティ用控室〟と書かれていた

 

因みに手土産というのは勿論ナギサ用に作ってきた手作りロールケーキである、ナギサと話す度に余計な茶々を入れてくる野生動物二名の分などでは断じてない

 

断じてない、が……酒泉が作ったロールケーキは大きさ的に三人分はあるので、一人で食べ切れないと判断したナギサが二人に分けるかどうか考えるのは自由である

 

「さて……ノックしてもしもお~~~し」

 

 

コンッコンッと軽く扉を叩く酒泉、それから十秒、二十秒と待っても反応が返ってこなかったので今度は少し強めに扉を叩く

 

十秒、二十秒、三十秒、反応無し。今度は更に扉を叩き、若干叫び気味に声を掛ける

 

 

「オラオラオラオラオラオラァ!!!(激弱連続ノック)おいゴリラァ!人様呼び出しておいて無視してんじゃねえぞ!聞いてんのかトロルコング!」

 

 

ノックこそ加減したが、声量はそこそこ大きくしてミカを罵る酒泉……が、やはり出てくる気配が無い

 

おかしい、いつものミカであればこんな侮辱をしようものなら扉をぶち破ってミカープラチナが現れ、そのままミカーフィンガーを目にお見舞いしてこようとする筈だ

 

更にゴリラ扱いされたミカを指差して大爆笑するセクシー(笑)フォックスの笑い声だって聞こえてくる筈だ、なのにそのどちらも聞こえてこないとは

 

 

(中に誰もいないか、それとも俺の声に気付けないくらいバタバタしてるのか)

 

 

そのどちらかと考えながら扉に耳を当てる酒泉、意識を集中させて漸く微かに声が聞こえてきた事から部屋の防音性能の高さが窺える

 

「ゃ……くだっ……ぃ……!」

 

「───っ!?」

 

 

───が、そんな感心は一瞬にして吹き飛んだ

 

扉の奥から聞こえてきたのは、桐藤ナギサだと思わしき少女の悲鳴

 

このたった一枚の壁の向こうで何が起きているのか、襲撃者の正体は何者なのか……そんな事はどうでもよかった

 

嘗てトリニティ内部の裏切り者に命を狙われながらも、それでも大切な者や学園を守ろうと懸命に戦った彼女が再び危機に晒されている

 

そんな事はあってはならない、漸く依存から脱却し、親友達と再び笑い合える様になった彼女がまた己の世界を閉ざしてしまう理不尽に押し潰されてしまうなど

 

 

「───桐藤さんっ!!」

 

 

銃を片手に、ノックすらせず部屋に侵入する酒泉

 

扉の向こうで大勢が銃口をこちらに突きつけていても、ロアやら雷帝の遺産やらが暴走していても、酒泉にはその全てを撃退してナギサを救い出す自信と覚悟があった

 

例え何が起ころうとも、どんな光景が広がっていようと、衣類を剥がれた桐藤ナギサが涙目でミカとセイアに抗っていようと───

 

 

「…………ん?」

 

 

衣類を剥がれた、桐藤ナギサ

 

数秒固まってから目の前の状況を整理し始める酒泉の眼

 

 

「ほらナギちゃん!早くお着替えしないと酒泉君来ちゃうよ!抵抗しないの!一度は覚悟決めたでしょ!?やっぱ無しは無しだよ!」

 

 

まず、右の少女───聖園ミカ

 

彼女はその圧倒的なフィジカルでナギサを捕まえ、まるで効率の良すぎる追い剥ぎの様に脱がせてはポイ捨て脱がせてはポイ捨てを繰り返している

 

「アズサが彼にレースクイーンの格好を見せたと聞いて危機を感じたのだろう?ならば自分の感情に従いたまえよ」

 

 

次に左の少女───百合園セイア

 

彼女はナギサの肌が露にされる度にテキパキと手際よく新たな衣類を身に纏わせていた

 

 

「や、やっぱり無理です!あんな露出の多すぎる服を着て彼の前に立つなんて!お、お願いします!服を返してください!」

 

 

そして最後に真ん中の少女───桐藤ナギサ

 

彼女は涙目でジタバタと抵抗してセイアの手から逃れようとしながら、自身の手をミカに放り投げられた衣類の方へと伸ばしていた

 

「ええい!いい加減にしろ!ここで彼と思う存分イチャついてもらわないとどうせ後で私達が君のメンタルケアに巻き込まれるんだからな!」

 

「酒泉君が新しい女の子とお友達になる度に不安になっちゃうくらいなら今のうちにシュセニウム吸収しといてよ!どうせまた暫く会わないうちに新しいお友達増えてるんだからさぁ!」

 

「ち、違っ……わ、私は不安になっている訳ではなくっ!そ、その……ゲヘナの中枢を担う組織の重要人物がハニートラップを受けていないかが心配で……」

 

「うるさい!!!脱げ!!!」

 

「トリニティがゲヘナの心配したって仕方ないでしょ!!」

 

「きゃあああっ!?ま、待ってください!普通のお洋服で!それならせめて普通のお洋服で会わせてください!お願いします!」

 

「じゃあ何でレースクイーンの衣装なんてポチってたの!?」

 

「受け取り現場を私達に見られてしまったのが運の尽きだったな!さあ脱げ!今すぐ脱げ!」

 

 

これこそ扉のノック音や酒泉の声に気付けなかった理由、三人は着替える着替えない問題でわちゃわちゃしていた事もあり、部屋の外には全く意識を剥けていなかった

 

扉の前で唖然と佇む酒泉、力の抜けた手から銃が滑り落ちると、床にガチャンと音を鳴らした

 

 

「あ、あれはヒフミさん達を……トリニティを応援する為に購入した物……で…………え?」

 

「漸く大人しくなったか……さあ、彼が来る前に着替えを───うん?」

 

「あれ?二人とも固まってどうし───は?」

 

 

物音に気付いたナギサが扉の方に視線を向けて固まり、それを〝抵抗を諦めた〟と勘違いしたセイアが扉の方を確認して固まり、固まった二人を見てから扉を見たミカがやはり固まり

 

そして折川酒泉ですら身体を固まらせてしまったこの状況で、真っ先に声を溢したのはナギサからだった

 

 

「ぁ……ゃ……」

 

 

それもその筈、今のナギサは〝気になるあの子〟に自身の裸体を見られてしまっている状態。その上、これまでの会話も聞いていたのだとしたら〝自分が彼の事を大好きで大好きで堪らなく思っている〟という情報まで親友達に暴露されているという事にもなるのだから

 

尚酒泉はナギサの裸体が目に飛び込んできた瞬間に固まってしまったのでその辺の下りは一切聞いてないし、なんならナギサがほんのちょっぴり面倒な想いを抱えている事にも気付いていない模様

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いやああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!?!?!!?」

 

 

 

 

 

 

まあ、どちらにせよナギサにとっては物理的に裸を見られるか精神的に(という名の本心)を見られるかの違いでしかないのだが

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

「さ、最悪です……もうお嫁に行けません……!」

 

 

真っ赤に染め上げられた顔を両手で覆い隠しながらしくしくと泣くナギサ、そんな彼女にミカとセイアが近寄ると、二人は擦れに擦れまくったフォローを始めた

 

 

「だ、大丈夫だナギサ!君の美貌なら嫁ぐ先なんて一瞬で見つかる筈だ!」

 

「う、うん!それに案外近くに居るかもよ!?ナギちゃんのこと誰よりも大切に思ってくれてる男の子とか!ねっ!酒泉君!」

 

「え?……お、おう!任せてください!桐藤さんにお似合いの男探せばいいんでしょう!?んなの俺の眼に掛かりゃ一瞬で見つかりますよ!」

 

「ぺっ!!!」

 

「節穴が!!!」

 

「なんでそんな事言うの……?」

 

 

酒泉、泣いた───!!

 

彼的には最高最善のフォローをしたつもりだったのだが、ナギサの本命を知っている二人からすれば酒泉の発言は新聞紙で作った服にガソリンをぶっかけてそのまま火の海を走り渡ろうとする様なものだった

 

「ちょっと!ナギちゃんの裸見といてそれは流石に無責任すぎない!?」

 

「〝抱いてやろうか〟の一言ぐらい言えないのかクソガキ!!」

 

「ゲヘナの下っ端がトリニティのトップにそんな事言ってみろ!即切腹させられるわボケェ!」

 

「お腹が大きくなったナギちゃんと一緒に新聞の一面に〝トリニティとゲヘナの架け橋誕生〟って載せる気概くらい見せたらどうなの!?」

 

「明日の朝刊で眼にモザイクかけられて連行されてる写真載せられるのがオチだろうよ!」

 

 

ここに来た目的も呼んだ目的も忘れてギャーギャーと喧嘩する三人、ナギサが聞けば顔を真っ赤にしながら怒り狂う会話ばかりしているが、そのナギサ本人は未だに顔を赤く染めながら頭から煙を出していた

 

 

「うぅ……酒泉さんにお見苦しいところをお見せしてしまいました……」

 

「み、見苦しくなんかないよ!ナギちゃんの体綺麗だもん!ねっ!酒泉君!」

 

「そ、そっすよ!汚れ一つ無い真っ白で綺麗な体でした!」

 

「やっぱり裸見たんだ!!!」

 

「仕方ねえだろぉ!?眼が良すぎるんだよぉ!」

 

 

一応酒泉も酒泉なりに眼を瞑ったりと可能な限りの努力はしたのだが、しかし悲しいかな(或いは嬉しいか)

 

衝撃的な光景を眼にして固まっていた時間がそれなりにあった為に、彼の脳裏には未だに〝服がはだけた状態で赤面して涙ぐむナギサ〟という童貞のクソボケにはちょっと、いや大分、いやかなり刺激の強い光景が焼き付いていた

 

 

「やっぱりナギちゃんの裸見たんだ!ナギちゃんのナギ茶んを注ぐ口までその良すぎる視力でハッキリと眼に焼き付けたんだ!最低!」

 

「最低なのはお前だよバカタレ!!」

 

「ナギサのB地区まで見ておきながら知らないフリをしようとしていたのかい!?人様の自治区を勝手にまじまじと見ておいて!」

 

「B地区は見てません~!ギリギリA地区で踏み留まりましたぁ~!」

 

「ころして……ころしてください……」

 

 

酒泉は自身のムッツリ説を否定しようと必死に叫ぶが、抗えば抗う程ナギサに流れ弾が飛んでしまう事に今更ながら気付いた

 

部屋の隅っこで〝あうあう〟言いながら魂が抜けてきたナギサを救うべく、酒泉は咄嗟に話題を本来の目的へ逸らした

 

 

「そ、それで結局何したいんだよアンタらは!ゲヘナへの宣戦布告聞かせんのが今日の目的だろ!?」

 

「え?違うよ?ナギちゃんのレースクイーン衣装見せる為だけど」

 

「ミカさん!?」

 

「……あっ!?じゃ、じゃなくて!そう!それ!今度のレースは負けないんだからね!トリニティの圧勝で終わらせちゃうんだから!」

 

「何をしてるんだ君は……」

 

 

うっかり本音を溢してしまうミカに〝どんだけナギちゃん自慢したいんだ〟と呆れながら、レースクイーンという言葉に反応して改めて今のナギサの格好を見る酒泉

 

赤色のスカートはかなり短く整えられており、少し強めの風が吹くだけでその下の布まで一瞬で晒されてしまうのではないかと心配になってしまう

 

上に関してはスポブラなのか短すぎるトップスなのか区別がつかない黒い布を胸の周りに巻いているだけで、臍や鎖骨どころか胸の谷間すら隠さずに堂々と晒されている

 

そして彼女の後ろで煌めく長髪は後ろで纏められており、酒泉がプライベートビーチで見た時以来のポニーテールが完成していた

 

「ぁ……そ、その……どう、でしょうか……?」

 

 

酒泉からの視線に気付いたナギサは先程までの恥ずかしさを引きずったまま、しかしそれでも気になる人からの感想は聞きたいと健気な思いで訊ねる

 

酒泉の喉から発せられた〝ごくり〟という生唾を飲む音を聞けばかなりの好印象である事は疑いの余地も無い……のだが……

 

しかし、酒泉にとってその姿はあまりにも好印象すぎた。自分という異性の前に何の惜し気もなく晒し出された生肌はあまりにも魅力的で、布面積があまりにも狭すぎるその衣装はまるで自身を誘惑する為に着ているのかと錯覚してしまう程に小悪魔チックだった

 

 

「も、もしかして……似合ってません、でしたか……?」

 

「っ……ぇ……あ、えっと……」

 

 

目の前の絶世の美少女を相手に〝似合ってます〟だけで終わらせていいのかと悩む酒泉、そんな単純な褒め言葉すら失礼に感じてしまうほど今の酒泉はナギサの虜になっていた

 

基本的に折川酒泉という男は、相手が自分に気のある人物だろうと据え膳している人物だろうとその人を邪な眼で見てしまった時点で〝失礼〟だと考えてしまうような性格だった

 

そんな酒泉が自らの欲望に負けて自分の意思で〝邪な視線〟をナギサに向け続けてしまっている、早く眼を閉じねば逸らさねばと思っていてもその意識は彼女の肌に向けられている

 

これは桐藤ナギサの魅力が彼の〝理性〟や〝鈍感〟という壁をぶち破った証なのかもしれない

 

 

「っ……ご、ごめんなさい……」

 

「……え?」

 

 

答えを待ち続けたナギサに告げられたのは、酒泉が辛うじて絞り出した謝罪の声

 

褒められる要素が見つからなかったのか、或いは見るに堪えなかったのか、どちらにせよ愛しい彼に引かれたかと思ったナギサは一瞬顔を青ざめさせる

 

「その……ほ、褒めたいけど……どう褒めればいいのか……わ、

分からなくて……」

 

「……わから、ない?」

 

「あ、あまりにも魅力的すぎてただ〝可愛い〟とか〝似合ってる〟とか言うだけじゃ失礼な気がして……そ、それに俺……今……桐藤さんのこと邪な眼で見ちまってて、そのせいで上手く答えられなくて……!」

 

「わ、私を……!?」

 

「そ、そんな最低なことして最低なこと考えておきながら今更紳士ぶって褒めるのもなんかなって……い、いや!そもそも桐藤さんのレベルに合う褒め言葉も見つからねえんだけど……!」

 

「そ、そんな……それって……!」

 

 

顔を真っ赤にしながら必死に言葉を紡ぐ酒泉、ナギサも同じくらい顔を赤くして今伝えられた言葉を整理する

 

可愛すぎて褒め方が見つからない、普通の褒め言葉では失礼に値する、そんな殺し文句を頭の中で何度も咀嚼するナギサ───しかし、彼女が最もフラついたのが〝邪な眼で見てしまった〟という謝罪だった

 

それは、かなり噛み砕いて大雑把に翻訳した上で簡潔に語るなら要するに〝貴女の事をエロい眼で見てしまいました〟という懺悔、変に生真面目な少年が黙ってしまった理由を誤解されない為に、ナギサを傷付けない為に馬鹿正直に打ち明けた勇気の告白だった

 

 

(───可愛い人)

 

 

今にも爆発してしまいそうなくらい怯え震える酒泉、彼が自分を見て何を思ってくれたのか、恥ずかしがりながらもそれを必死に言語化しようとするその姿を見てナギサの中に沸き上がったのはどうしようもないくらいの愛おしさだった

 

抱き締めたい、包み込みたい、自分の中に入れたい、彼の中に入りたい、もっと見たい、もっと見られたい、噛み付きたい、噛み付かれたい、食べたい、食べられたい

 

 

「……え?ちょっ!?」

 

「…………」

 

 

そんな感情の重力に負けたかの様にナギサの身体が前方に傾くと、酒泉はナギサだけは絶対に怪我させない様に抱きしめながら押し倒される

 

ナギサもまた〝酒泉が絶対に守ってくれる〟と初めから分かっているかの様に自身の守りを放棄して酒泉の後頭部を自らの両手で守った

 

「わっ!?な、ナギちゃん大丈夫!?……ついでに酒泉君も」

 

「いや、大丈夫というより……今のは自分で押し倒していた様に見えたが……」

 

 

ついでとはなんだ、そうツッコむ余裕など今の酒泉には無かった

 

どこか惚けているような、それでいて蕩けているような顔をするナギサに一瞬胸を高鳴らせ、それでも〝ただ性欲に夢中になりすぎて目の前の女性の安否確認を怠った屑男〟に成り下がらないように大丈夫ですかと声を掛けようとした

 

 

「大丈───

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───ちゅっ───

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………へ?」

 

 

喋ろうとした矢先に唇に当たる柔らかい感触、それは間違いなくナギサからのキスだった

 

とはいえ二人は別に初めてキスしたわけではなく、キヴォトス仮面である事がバレた酒泉が半ば強制的にナギサにトリニティに連れ去られた際にも一度キスをしていた

 

しかし、それはあくまでナギサの中に酒泉への依存心や周囲への疑心があった時の話だ。 今のナギサは違う、今の口付けは〝理性が本能に打ち砕かれ、自分の意思では本能を制御できなくなってしまった末のキス〟……つまりは

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

本物の〝桐藤ナギサ〟による口付けだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ふぇ?」

 

 

突如、蕩けていた眼が元に戻ったナギサ

 

彼女の口から何とも間抜けな声が溢れると同時にミカとセイアは口を抑えながら、それでいて目の前の光景に憧れているかの様に眼を輝かせながら呟いた

 

 

「わ、わーお……ナギちゃん、なんていうか大胆だね……」

 

「そ、その……急かしたのは私達だが……そこまで艶かしい空気は醸し出さなくてもいいんじゃないか……?」

 

 

先程まで散々騒いでいた二人が顔を赤らめながらもじもじと塩らしくしているその光景に、ナギサは今一度自身の行動を振り返ってみることにした

 

まず、目の前の想い人を押し倒し、そのままキスをして───そのたった二つの行程は、彼女を正気に戻すのに十分すぎた

 

 

「ぁ……」

 

 

足先からじわじわと登ってくる熱、それが頭のてっぺんまで登った頃に漸くナギサは理解した

 

私は今、ずっと想いを告げられなかったこの方に告白をすっ飛ばしてキスをしたのだと

 

 

「……」

 

同時に酒泉も漸く理解した、自分の身体に密着しているこの柔らかい二つの固まりは桐藤さんの物だと

 

そしてさっき自分の唇に密着したのは桐藤さんの唇だと

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いやあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ!!?」

 

下川酒泉(Start!!!Your!!!Engine!!!)

 

折川酒泉(逝ッテイーヨ!!!!!)

 

 

そして冒頭に戻る

 




本編のストック溜まるまで一切投稿しないつもりだったのに我慢できませんでした

ところでレースクイーン衣装のヒフミとアズサかわいすぎません?という事で誰かオリ主の「そういや彼女できたわ」から始まるヒフミの失恋小説書いてくださいお願いします
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