確か織姫と彦星ってこんな話だった気がします
昔々、あるところにとても熱心な働き者の織川という少年がいました
彼は村の風紀を守る為に毎日暴徒達と戦い、その上村民からのお願いも聞くという素晴らしい好青年でした
他の同年代の子と比べて全く遊ぶ時間がなく、更には恋人までいない彼を不憫に思った神様は誰か良い相手はいないかと彼の恋人探しを始めました
その途中、神様は一人の少女に目を付けました
彼女の名前はヒナ星、織川と同じように風紀を守る為に暴徒達と戦い、困っている人がいたら手を差し伸べるという素晴らしい人格の持ち主でした
〝この二人ならお似合いだろう〟……そう思った神様はこの二人を引き合わせる事にしました
元より境遇が似ていた二人は会ったその時から惹かれ合い始め!回数を重ねる事に互いの思いは大きくなっていきました
「はい、織川……あーん」
「あーん……うん!やっぱりヒナ星の作る卵焼きは絶品だな!一体どんな調味料を入れてるんだ?」
「そ、それは……織川への愛情……な、なんて……」
「ヒナ星……」
「織川……」
ちゅっちゅちゅっちゅ、きゃっきゃきゃっきゃ、そんな日々を繰り返し、やがて二人の関係性は結婚するまでに至りました
神様もこの結果には満足し、互いに最大最愛の理解者を得た二人はいつまでもいつまでも末永く暮らしましたとさ
……しかし、そんな二人に事件が起きてしまいます
「委員ちょ……ヒナ星様、大変です!突如鬼共が温泉地帯から現れて我々の金銀財宝を全て鬼怒ヶ島に持っていってしまいました!どうかこのきび団子でお供を作り、鬼共を退治しに行ってくださいませんか!」
「織川……ねえ、もっとくっついてもいい?」
「……いいですよ、ヒナ星さん」
「ありがとう……えへへぇ……」
「大変だヒナ星様!隣のカチカチ山にマコ……狸が出てきて畑のおばちゃんに怪我させちゃった!今すぐボコ……退治しにいかないと!」
「ぎゅー……んふふ……良い匂いだね、酒泉」
「あ、あの……俺、酒泉じゃなくて織川……」
「ずっと抱き締めたくなっちゃうくらいポカポカしてるし……えへ、えへへへへ」
「ヒナ星様!急に超能力に目覚めた生徒達が人類を選別しようと暴れ出しました!今すぐ変身して戦ってください!」
「しゅせん……ちゅー……」
「ちょっ……ヒ、ヒナ星さん!それ以上は不味いですって!?ヒナ星さん!ヒナほっ……空崎さん!?」
「しゅきぃ……らいしゅきぃ……」
なんと、二人はイチャラブする事を優先するあまり全く働こうとしない怠け者になってしまったのです
人類史の9割を担う〝労働〟という活動を放棄した二人にぶちギレた神様は、なんと二人の間にゲヘナ川を流して二人の関係を引き裂いてしまいました
「汝らには今後一切の接触を禁止する……だが、これからはちゃんと己の役割に徹するというのなら年に一度だけ会う事を許可しよう」
それを聞いた織川とヒナ星は自分達の行いを悔い改め、これからはまた世の為人の為に生きていく事を神様に誓「だが断るわ」
「……は?」
「この空崎ヒナが最も好きな事の一つは私から酒泉を奪えると思い込んでいる有象無象のヒロイン達に〝NO〟と断ってやる事よ」
「いや待てっ、汝はちゃんと台本を読「私と酒泉の絆は!!誰にも引き裂けないっ!!」おい誰かコイツ止めろ」
しかしヒナ星は神様の言葉に屈しませんでした、何故なら彼女は納得できなかったからです
どうして好きな人と好きな時にイチャついてはいけないのか、ただちょっと毎晩自分の家に彼ピを連れ込んで抱き枕にしながらちゅっちゅして仕事をサボっているというだけなのに
自分達の愛を守るべく、勇敢な少女は神様に吠えました!
「酒泉!最後の仕上げよ!」
「え?い、いや……」
「二人のこの手が……」
「───っ!?こ、この流れは……」
「「真っ赤に燃える!!!」」
「幸せ掴めと!!!」
「轟き叫ぶ!!!」
「「ばぁくねつ!!!ゲヘナ・フィンガアアアアア!!!」」
「石っ!!」
「破ぁ!!」
「「イィィィチャラブ!!!オリヒナけえええええええん!!!」」
「ふざけるな!!神である私ですら台本を守っているというのにぐああああああああっ!?」
「じゃんねえええええええええええ!!!」
「ばにたああああああああああああす!!!」
「ちょっと待ってちょうだあああああああああああああああああ!!!」
「し、しまった……ついノリノリでやっちまった……!?」
「ふふっ……相思相愛だね、酒泉♡」
二人の愛の一撃は神を、暴徒を、ついでに嫉妬で襲ってきた負けヒロイン達をまとめて粉砕し、見事勝利を納めました
こうして恋路を邪魔してくる奴等がいなくなったヒナ星は、毎晩節度を持たず加減をせず織川から〝愛〟を搾り取り続けましたとさ
~おしまい~
「空崎ヒナアアアアア!!よくもあんなクソ脚本を学園祭で公開してくれたなあああああああ!?」
「いいでしょ別に、風紀委員会に脚本の仕事を押し付けてきたのはそっちなんだから……それにほら、マコトだって登場させてあげたし」
「あんな物を作り上げると分かっていれば最初から頼んでなどいないわぁ!!!お陰で連日他校からクレームが鳴り止まんぞ!?どうしてくれるんだ!!」
「そうね……確かに私と酒泉の力なら喋る間もなく敵を殲滅できただろうし、一瞬でも登場させる必要は無かったかも」
「これ流石に予算減らしてもいいよな?今回ばかりは私悪くないよな?」
「アリウス、巡航ミサイル、イブキ」
「ぐぎぎぎぎぎぎぎぃ……!!!」
10秒で分かる織姫と彦星
織姫・彦星「ふふふっ……セ○クス!」
神様「やめないか!!」パァン!(二人の間に川を敷く音)