ヘイロー持ち同士の戦闘が一瞬で終わる事はあまりない、理由は単純にヘイロー持ちは頑強な身体を持つからだ
もし一瞬で戦闘が終わる事があるとしたらそれは不意打ちか圧倒的な質量による攻撃、もしくは〝ヘイローを破壊すること〟に特化した兵器の使用によるものだ
そしてアリウススクワッドは〝ヘイローを破壊する爆弾〟を所持している、これさえあれば目の前の圧倒的な実力者─────空崎ヒナ相手にだって有利に戦える
─────はずだった
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「っリーダー!また突っ込んでくるよ!」
「分かっている!ヒヨリ!眉間を狙え!」
「わ、わかりました!」
アリウススクワッドは一人一人がそこらの不良やブラックマーケット通いの生徒よりも強い、その中でもリーダーである錠前サオリの実力はかなり上位の物だ
さらに四人揃った時のチームワークはそこらの軍隊ですら軽く凌駕する、実際にゲヘナの中でも上位の実力者である折川酒泉すらこの四人に制圧されている
並大抵の者では………いや、実力者であろうと四人揃った彼女達の前ではそう長くは持たない
今戦っている〝例外〟を除けば────
「っ!?よ、避けられました!」
「ミサキ!」
「もう撃ってる!」
「………!」
ヒナがヒヨリの狙撃を回避したのを確認したと同時にミサキが既に構えていたスティンガーミサイルを放つ、そのままヒナ目掛けてミサイルが降り注ぎ爆煙が広がる
「………直撃」
ミサキは確かな手応えを感じるが………
「……………」
爆煙の中から翼で身を覆い、ほぼ無傷で出てくるヒナの姿が見えた
「………っ!姫!」
サオリの指示と同時にアツコはドローンを飛ばし、煙幕を周囲に撒く
そのままヒナに見えない位置から左右に展開し、銃を構えるサオリとヒヨリ
煙幕が晴れるよりも先に中心の人間、ヒナに向けて一斉射撃を行う
リロードの隙に再びミサキのスティンガーを放つ徹底した攻勢、全員が射撃を終えてから十数秒後、そこには
「……………」
ただ無言で何事も無かったかのように佇む圧倒的強者の姿が
「全く効いてません………」
「どうするの、リーダー」
「…………」
「…………〝爆弾〟を使うぞ」
「つ、ついにやるんですね………!?」
このまま時間を掛けていられない、明確な殺意を持ってこの状況を打破することを決意する
「………もう終わり?」
その瞬間、先程まで一切口を開かなかったヒナが一言発すると同時にサオリに向かって急接近してくる
「っ!?」
「次はこちらの番」
迎撃しようと発砲してくる四人の攻撃を全て無視して一気に近づき、そして
「フッッ!」
「ぐっ!?」
サオリの鳩尾を殴りつけた
そのまま右方にいるアツコにデストロイヤーの銃口を向けるが、そうはさせまいとすぐに態勢を立て直したサオリがヒナに目掛けて発砲するが、ヒナはまるで痛みを感じていないかのように構わずアツコに攻撃する
「………っ!」
デストロイヤーの攻撃が全て直撃してしまったアツコはマスクの下で顔を苦痛で歪めるが、すぐにヒナに向けて反撃を行う
それと同時に距離を取っていたヒヨリがヒナの銃を握る手を狙撃するが、まるで効いていない
ヒヨリとアツコの攻撃によりヒナの意識が二人に向く、が
「リーダー、離れて」
その瞬間サオリがヒナから離れると同時にミサキが三度スティンガーミサイルを放つ、ヒナもミサイルを回避するために後方へ飛び退く
ミサイルが着弾したと同時に爆煙が広がり前方のサオリの姿が見えなくなる、ヒナは煙の中を突っ切ろうと脚に力を入れるが────
「………っ!」
煙の中から襲いかかる前方の銃弾を咄嗟に避ける、前方に移動したヒヨリの狙撃であることを考えるとおそらくはサオリも移動している可能性が高い、そう考え相手の位置を探ろうと冷静に眼を凝らすが………
「………姫!」
「………!」
爆煙の中を突っ切ってきたミサキとアツコが襲いかかる、アツコからの銃撃を回避しそのままミサキとの近接戦に入るが、ヒナの圧倒的な戦闘センスの前にミサキは数秒の格闘の末、隙を突かれ強く蹴り飛ばされた
そのまま引こうとしたアツコに接近し、デストロイヤーを撃ちだしアツコも吹き飛ばす
そして銃撃を終えた瞬間────
先程まで姿を隠していたサオリが、爆弾のような物を手に無言で飛び出してくる
背後にいたアツコへの銃撃を終えたタイミング、リロード中の愛銃、つまりヒナは無防備だった
サオリの持つ爆弾が〝普通の爆弾〟ならヒナはそれなりのダメージを受けるだけだっただろう
しかし実際にサオリが持っているのは〝ヘイローを破壊する爆弾〟いくらヒナであろうと直撃すれば間違いなく死に至る凶器だ
目の前の背を向けている無防備なヒナに向けて爆弾を投擲するサオリ、完全に後ろを向いているヒナに避ける術など無く、その爆弾が光りだし──────
─────まるで最初からそこに攻撃が来るのを分かっていたかのように背の羽で弾き返された
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「ぐっ……ぅ……!」
サオリは困惑していた、自分がダメージを受けた事、爆弾を跳ね返された事、そしてなにより────
「何故私は……この程度のダメージで済んでいる……?」
ヘイローを破壊する爆弾、その直撃をそのまま受けたはず
それなのに何故、そう思考し先程の状況を思い返すと、直撃する瞬間に自分の視界に突然人影が現れたような気がした
一瞬だけ視界に入ってきたオレンジに近い色をしたリボン
「アツコ!!!」
「姫ちゃん!!!」
頭の中に思い浮かぶのは自分達が姫とよび、共に時間を過ごしてきた大切な家族のような存在
ミサキとヒヨリの視線が向いている方にゆっくりと視線を向けるサオリ
頼む
間違いであってくれ
そう願い、視線を向けた先には
─────マスクが破損し、血塗れで横たわる秤アツコの姿が
「貴女達が最初から何かを狙っていたのは気づいていたわ」
「ぁ……あぁ………」
「まさかあんな物を持っているとは思わなかったけど」
「そんな………アツコ………」
「あれが直撃していたら私でも死んでいたかもね」
「……………空崎………ヒナ………」
「だけど残念だったわね」
「私が酒泉を痛め付けた奴らを始末するのに油断するはずがないじゃない」
「空崎ヒナァ!!!」