突如現れた怪物、ヒエロニムスの出現により混乱した戦場
しかし先生の指揮と各々のトップの指示により統制と冷静さを取り戻した生徒達は各自ヒエロニムスとユスティナ、そして残ったアリウス生との戦闘に入る
先生も生徒達をサポートしようと各戦場の状況を確認しようとしたが────
突如、シャーレの業務用の携帯が鳴り響く
戦闘に関する情報なら通信機越しにアコ達が連絡をくれるため、今は関係ない事だろうと携帯を切ろうとするが………
その携帯には未だに眠っているであろうはずの折川酒泉の名前が映し出されていた
「………っ!?」
名前を確認すると同時にすぐに携帯を開く先生
「酒泉!?目を覚まし『先生!!!今すぐエデン条約を成立させてください!!!』…………っ!?」
ずっと意識を失い危篤状態だった教え子からの連絡につい声を大きくしてしまうが、それ以上の声量の酒泉の声に携帯から一瞬耳を離してしまう
「エデン条約を………?なぜ今そんな事を………」
『えっと………何て言えばいいのか………その………ユスティナを止めるためなんですけど………』
「………酒泉?」
『確か………エデン条約を大人なりに曲解して………無理矢理楽園の名を冠する約束を………再現したんだっけ………』
「…………」
『でも……その理屈は確か………先生自身があえて曲解しないといけなくて………』
「…………」
『だ………だから………その………と、とにかくすぐに必要な事何です………!』
「…………」
『大した説明も納得できる理由もなくいきなり突拍子もない事を言っているのは自覚しています………でも、それでも………その………』
「酒泉」
『お願いします………!今だけでもいいのでどうか俺の「信じるよ」…………え?』
「さっきからずっと苦しそうな声を押さえながら通話してるでしょ、そうしてでも伝えたい事なんだよね?」
『!!』
「それに何より………」
────生徒を信じるのは先生として当然のことだからね
『先生………』
「酒泉は命を掛けてまで私を………皆のことを護ってくれた、そんな酒泉の事を信じなくてどうする?」
『…………』
「だから今度は私が酒泉を助ける番だよ」
『先生………!ありが「でもそれはそれとして無茶しすぎだよ?後で二人でお話しようね?」ヒエッ…………』
「さて………」
酒泉との通話を切り、未だに暴れまわるヒエロニムスに視線を向ける
まるで魔法とも言えるような力を振り撒く怪物に、流石のツルギも苦戦しているようだ
………なぜ酒泉がユスティナの止め方を知っていたのかは分からない
それにアリウスの侵攻を知ってて私やヒナの代わりに囮になったのなら、その情報を何処から手に入れたのかも分からない
ただ言えることは一つ
「私は生徒の為に動くだけだよ」
────ここに宣言する
私達が、
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圧倒的な力の差でねじ伏せられるアリウススクワッド
もはや彼女達に出来るのはただ抵抗することだけ
「………!!………!」
「駄目、姫………ぐっ!無理に……動か………ないで」
「うう……皆ボロボロに……痛いです……苦しいです……」
「ぐ……止め……ろ……そいつらに………近づ…く……ガハァッ!?」
貴方たちは何を言ってるの?酒泉をあんなにボロボロにしたくせに
「ガッ……!ぐっ!………」
何でそんなことを言えるの?
「ガハッ……ゲホっ!ゲホっ!」
「………お願……い、もう…止めて…」
「アツ……コッ!喋ったら……あの女が……ぐっ!」
「ミサキちゃん、駄目です!これ以上動いたら身体が……!」
何で被害者面してるの?
「お願いします……もう止めてくださ
うるさい
「うぐぅ!?……ゲホ」
「ヒヨ……リ……」
うるさい
「皆私を助けるために……やっただけなの……お願いだから……ガッ……!?」
「姫………ッ!」
うるさい
「……させ……ない……どうせ……肉体がいらないなら………せめて……」
……………
「みん……なの……ために………い゛ッ!?」
「ミサキッ!!!」
うるさい
「あ゛っ……がっあ………ぐる……し……」
うるさい
「止め…ろ……頼む……止めて……くれ……私ならいくらでも………痛めつけていい……っ!」
………………
「だから……頼むから……私の家族を奪わな
黙れ
「ぎっっっ!?……あ゛、ああああああっ!!」
「サッちゃん………っ!」
酒泉が助けてって言ったら貴方たちは助けてくれたの?
待っててね酒泉、次に起きた時には全部終わってるからね
「が………あっ…………」
仰向けで倒れるサオリの腹部にデストロイヤーを押し付け、全ての弾を掃射するヒナ
撃ち尽くしてはリロードを、また撃ち尽くしてはリロードを
「ぐぁっっっ!!」
リロードの時間すら惜しく感じたヒナは直接サオリの腹部を踏みつける
何度も何度も、何度も何度も何度も何度も何度も
「やめ………て……ください!」
サオリを助けようとスナイパーを持ちヒナに突撃するヒヨリ、ヒナはスナイパーの銃弾を当然のように腕で防ぎ、そのまま弾を装填しながら自棄になり突っ込んでくるヒヨリの襟の部分を掴み地面に叩きつける
「うぐっ!」
ヒヨリの愛銃、アイデンティティを奪い取り、背中に突き付けそのまま発砲する
普段自分では感じることのない自分の愛銃による攻撃、ヒヨリはその痛みで苦痛の声を上げる
「うぅ………っ!」
「ヒヨリっ!」
今度は先程まで苦しみに悶えていたミサキが無理矢理立ち上がり、懐から銃を取り出し発砲する
スティンガーミサイルですら討ち取れなかったヒナを当然倒せるはずもなく、余裕綽々とミサキの方を見る
しかしミサキの目的は元よりこちらに意識を向けさせる事
ミサキにとって己の肉体とはただ自身を苦しめるだけの魂を閉じ込める牢獄、この世界で生きていたところでただ苦しいだけだ
────それなら、死ぬのは自分だけでいい
どこまで時間を稼げるか分からない、もしかしたら時間を稼ぐことすら出来ないまま皆殺されるかもしれない
それでも………
せめて最期くらいは皆の役に────
その願いは呆気なく踏みにじられた
「っ!?いつの間に………!?」
ミサキは確かにヒナを視認していた、しかしそれでも反応が遅れるほどの速度でヒナは急接近していた
咄嗟に銃を撃つが羽で前方を覆うことで防がれ、そのまま銃を蹴りあげられる
それでも抵抗しようと格闘戦に持ち込もうとするが、ヒナのその小さな身体に似つかわしくない圧倒的な力の前に成す術もなく一瞬で背後を取られる
膝裏を蹴られ態勢を崩したミサキは、そのまま背中を蹴られうつ伏せに倒れた
すぐに起きようとするが、ただでさえボロボロの身体に鞭を打っていたミサキは立ち上がることが出来なかった
「………まずは一人目」
ヒナはミサキの背中に銃口を合わせ、そのまま撃ち抜こうとする────
「まっ……て……」
「っ!?だめ……姫……!」
が、後ろから声が聞こえ、ヒナは振り返る
「まだ立てたんだ」
「…………………」
痛みに身体を震わせながら少しずつヒナに近づくアツコ、ある程度距離が狭まったところで立ち止まる
「………私が罰を受けるから………皆を助けて」
「何を……言ってるんだ………アツコ!」
「だめ……です………姫ちゃん……」
「姫………逃げて………!」
アツコの提案に当然のように反応するスクワッドメンバー、しかしアツコは構わず会話を続ける
「本来私は、私達の支配者の〝ある儀式〟に使われる生け贄のような存在だった」
「…………」
「でも今回のエデン条約襲撃が成功すれば私の事は助けると言ってた、皆は私の為に………ううん、私のせいでこんな事になったの」
「…………」
「それ以上喋っては駄目だ!アツコッ!」
「だから………お願い」
「…………そう、貴女達にもそんな事情があったのね」
ヒナは銃口をミサキから外し
「貴女達も可哀想ね、もし出会っていたのがその〝支配者〟ではなく先生の様な〝大人〟だったらこんな事にはならなかったかもしれないのに」
そしてそのまま銃口を
「でもその事と貴女達が酒泉を殺そうとした事は何も関係ない」
アツコに向けた
「ッ!逃げろ!アツコ!!」
動くことが出来ずただ叫ぶ事しか出来ないサオリ、ミサキとヒヨリも最早立ち上がる力も残ってなかった
「貴女達にどんな事情があろうと私には関係ない、私はただ酒泉を傷付けた奴らを全員消すだけ」
「…………っ!」
そう言うとヒナはそのままアツコに向けて引き金を引き──────
──────しゃオラァ!!!
─────アツコに銃弾が直撃する前に突如現れた何者かがアツコを蹴り飛ばした
「……………え?」
「何で………あいつが………姫を?」
「あの人、死んでなかったんですか………?」
アツコを蹴り飛ばした者の声、サオリには聞き覚えがあった
「何故お前が………」
サオリからすればその者にとってはアリウススクワッドを助ける理由などないはずなのに何故
「折川酒泉………」
酒泉だ、酒泉が立っている
まるで死んでいるかの様にずっと目を覚まさなかった酒泉が私の前にいる
「酒泉………!目を覚ましたの!?………よかった」
でも………
「どうして邪魔をするの……?」
何でそいつを庇うの………?
─────空崎さん、貴女を人殺しにするわけにはいかない
実は最初は短編でやるつもりだったのでどう最初のシーンに繋げるか悩んでました
あとついでに水着アズサ天井しましたくそが