日が完全に沈みきり、辺り一帯が暗くなる
ただでさえ人が通る事が少ない裏道、カタコンベに続く道となると尚更人が少ない────はずだった
しかし暗闇に呑み込まれる風景とは裏腹に、まるで「そんな事は関係無い」とでも言う様に辺り一帯に騒音が鳴り響く
その理由は当然─────
ダダダダダンッ!!
「くっ………!想定より敵が多すぎる、ルートを変えるぞ!」
なぁんでこんなに敵がいるんすかねぇ!!!
─────アリウスとの戦闘
敵の数はサオリと酒泉の想定を明らかに越えていた、その理由はやはり、
………まさか、ベアトリーチェに最初から警戒されていた?
「………マダムは最初から私が裏切る事を想定していたのかもしれない」
多分そうでしょうね………
カタコンベに繋がるルートを全て塞ぐかの様に展開されていたアリウス生達、想定していた数倍は上回っている敵を相手にステルスで行動しようとすれば確実に間に合わない
ならば残された方法は一つ、正面突破のみ。しかしこちら側の戦力は現在二人、さらに〝秤アツコの救出〟というタイムリミットがあるためあまり時間を掛ける事も出来ない
「見つけたぞ!!裏切り者を始末しろ!」
「折川酒泉の方は生きてさえいればどれだけ傷付けても良いとマダムからお許しを頂いている!」
「増援が到着したぞ!作戦通りに展開しろ!」
く…………っそ!!何でこういう所ばかり原作通りにいかねえんだよ!?
「原作!?なんの話だ!?」
気にしないでくださいっ!それより今はこの状況をどうにかしないと…………っ!?
あまりの量の敵に文句を垂れながら戦闘していると、酒泉の眼が遠方のアリウス生がロケットランチャーを担いでいるのを視認した
っ!!錠前さん!ロケラン来るぞ!八時の方向!
「あんな物まで………っ!」
サオリと酒泉は撃たれる直前に横に飛び退き回避するが、着弾と同時に爆発の余波で吹き飛ばされる
そのまま倒れた二人に敵のアリウス生が容赦なく銃口を向ける
「っ!この程度っ………!」
…………っナメんなぁ!!
が、酒泉は仰向けの状態から転がって相手の攻撃を避けながら態勢を立て直し反撃を行い、サオリも態勢を立て直したと同時に相手の攻撃の痛みを無理やり耐えながら接近し、そのまま零距離射撃を行った
目の前の敵を倒したのを確認したと同時に、酒泉は服の内側からスナイパーを取り出し、先ほどロケットランチャーを放ってきた敵の方に狙いを定める
敵が引き金を引こうとしたのを確認した瞬間、酒泉は敵の手元を狙い撃ち、ロケットランチャーを無理やり落とした
────狙い撃つぜぇ!!なんてな!!
「………戦闘中のテンションが何か可笑しくないか?」
こちとら銃弾一発で死ぬ生身の人間なんで、テンション上げて戦わないとやってらんないんっすよ!!
………っ!?錠前さん、また集まって来ますよ!
「くっ………!いい加減しつこい………!」
戦闘の音に導かれた敵兵達が次々と集まってくる。数に限りはあるものの、全てを相手にしていたらキリがない
「サポートしてくれ!」
勝手に決めんな!!
サオリは集まって来た敵を倒そうと集団に向かって真っ直ぐ突っ走る、敵は当然迎撃しようと銃を構えるが………
バチッ!!
手に鋭い痛みが走ると同時に、サオリを狙っていた敵が全員銃を一瞬手放した
サオリに銃口を向けていた敵〝だけ〟を視認し、全て撃ち抜いた酒泉はそのまま後ろから援護射撃を行う
そしてサオリがその隙を見逃す筈もなく、さっきとは逆にまだサオリに銃口を向けきっていない敵〝だけ〟をサオリはアサルトライフルで撃ち抜いた
至近距離からの銃撃に大半の敵が意識を失う、先程銃を手放した者達も再び銃を拾い上げようとするが………
────見逃すかよぉ!!
「がッ!?」
「いつの……間に……っ!」
サオリの後に続いていた酒泉が背を向けている敵に銃口を突きつけそのまま発砲し、気絶させる
「…………やはりお前の〝眼〟は凄まじいな」
煽てても焼肉食べ放題しか奢りませんよ
「………大分リターンが大きくないか?」
奢るな───!
「言い出したのはお前からだぞ!?」
ふざけてる場合じゃないっすよ!
「私が悪いのか………?」
喋っている間にも敵はまた集まってくる、状況を打破しようと脚を進めようとするが、
…………っ!錠前さん!右前方から狙撃が来ます!
「………っ!とうとう狙撃兵まで到着したか……!」
二人は相手の位置を確認するために一旦物陰に隠れようとした瞬間────
パアンッ!
強烈な音と共に敵の狙撃兵が一人倒れた
…………何だ!?
「………今の狙撃は恐らく───」
──────ヒヨリだ
その言葉と同時に再び強烈な音が響き渡る、意識外からの攻撃に敵の狙撃兵は一人、また一人と倒れていく
音が鳴りやむ頃には既に敵は全員倒れていた
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「うぅぅぅ………とうとうマダムに逆らってしまいました………終わりです………」
錠前さんと二人で援護射撃が飛んできた方へ行くと、そこには一人の少女が泣いていた
「うわぁぁん!!!もうおしまいです!私はこのまま捕まって酷いことされるんですぅぅぅぅ!」
「………泣いてる暇があったら早く移動するぞ、敵がまた来る前にな」
「はい…………え?サオリ姉さん!?いつの間に!?」
「………ヒヨリが泣いてる間に近づいただけだ」
「そ、そうでしたか………えへへ、また私油断しちゃったんですね……………ところで、その………」
槌永さんが気まずそうにこちらに視線を向ける
「……………酒泉は私達の協力者だ」
「あ、そうなんですね………………えええええええええええ!?」
うるさっ
「き、協力者ですか!?あの時私達が殺しかけてしまったのに!?わ、私達に仕返ししに来たんじゃ………」
…………別にアンタらの為じゃないからな
「わ、私知ってます………!昔拾った雑誌に書いてあったんですけど確かこういうのってツンデレ────」
あ゛?
「ひいいいいいい!?怒らせてしまいましたぁ!?」
「………頼むから余計な事を言わないでくれ、ヒヨリ」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
…………で、戒野さんの場所は分かってるんですか?
「………ああ、ミサキの行きそうな場所ならだいたい想像がつく」
「ミサキちゃんと合流したらそのままカタコンベに向かい、私達の内二人が入り口で増援の人達を待機するんですよね……?」
ああ、案内役がいないと困る
「………その、増援の人達っていうのは………」
……………とりあえず殺される覚悟はしておけ
「い、いったい誰が来るんですか!?」
半分冗談だ
「半分!?」
うそうそ、三割冗談だ
「減っちゃいました!?」
安心しろ、墓なら立ててやる、ガ◯ガリ君のハズレ棒でいいか?
「うわぁぁん!!私のお墓にはハズレ棒程度の価値しかないんですぅぅぅ!せめてパ◯ムの棒にしてくださいいいいいい!!!」
パ◯ムならいいのか………
なんて事を話してると突然錠前さんが走り出す、錠前さんが向かう先を見るとそこには────
「ミサキッ!!!」
─────橋の柵に手を掛け、乗り上げようとする戒野さんの姿があった
咄嗟にスナイパーライフルを取り出し、ノータイムで手元を狙撃する。痛みで手を離した戒野さんはそのまま後ろに倒れた
「………ッ!ミサキッ!こんな時にまで………!」
「………こんな時、だからだよ」
…………………はぁ
出会って三秒で即身投げとかシャレになってねーよ………