全員の時が止まる、俺達だけではなく敵のアリウス生やその指揮下のユスティナ達まで突如現れた女の方に目が行く
「アリウスの生徒の姿が見えたから後を追ってきたらまさか貴女達がいたなんてね~」
まあ、元々標的は貴女達だったから別に構わないんだけどね!っと目の前の女は笑顔で語りかけてくる
………どこか歪に見える笑顔で
「………ところで、どうしてゲヘナの人がアリウススクワッドと一緒に行動してるのかな?」
そう言いながら此方に視線を向けてくる
……………それはこっちのセリフだ、何でアンタがこんな所にいるんだよ─────聖園ミカ
原作知識により理由は知っているが、念のため聞いておく
「うーん…………仕返し?」
…………マイルドに言ったつもりだろうが、要するに復讐だろ
「まあ、そうとも言うかな?」
まるで知人と立ち話をするかの様にあっけらかんと言い放つ
…………こうして実際に対面してみると本当に〝壊れてる〟って感じがするな
「………ところで、先生はここには居ないのかな?」
………ああ、先生は来てねえよ
「おっかしいなぁ……セイアちゃんの予知夢によると先生が危険な目に遭うらしいんだけど………」
アンタの危惧していた事態にはなっていない、だから帰ってくれ
「ひっどいなぁ~!女の子相手にそんな態度を取ってるとモテないよ☆」
………アンタ相手ならこの態度でいいだろ、別に
俺はアンタの王子様じゃないしアンタだって俺のお姫様じゃないんだ、ならこれで十分だ
「………なにそれ?変なの」
そんなに優しくされたいならお姫様扱いしてくれる人でも待ってるんだな!
「ふーん、やっぱりゲヘナらしく野蛮な言葉遣いだね………まあいっか、どうせゲヘナも嫌いだし!」
銃を構え、此方に歩み寄ってくる聖園さん
このまま戦闘に入るかと思われたが………
「待て、聖園ミカ。なぜお前がここにいる!」
敵のアリウス生の一人が聖園さんに問いかける
「………なに?今は貴女達に構ってる暇は無いんだけど」
「…………お前の狙いはアリウススクワッドらしいな、なら我々と手を組め。此方の狙いは折川酒泉の確保だ、それ以外はどうなってもいい」
「へぇー………悪い話じゃないね」
ならば、と聖園さんにアリウス生が手を出しながら近付いていく
そのまま手を取るかと思われたが──────
「でもごめんね、貴女達は必要ないかな」
タタタタンッ!
その言葉を言い放つと同時に、サブマシンガンをアリウス生に対して放つ
「うっ……!」
「どういうつもりだ、聖園ミカっ!!」
突然の攻撃に驚愕するアリウス生達、アリウススクワッドを潰すだけなら自分達と敵対する理由は無いはず
その考えを一蹴するかの様に容赦なく攻撃を加えてくる
「アリウススクワッドは私のターゲット、それを横取りするなんて酷いと思わない?」
まるで玩具を渡したくない子供の様な考えを、平然と言いのける
「血迷ったか………!聖園ミカ………!」
「ここにいる奴ら全員私一人で倒しちゃえば何も問題ないよね?」
「我らに協力しないなら生かす必要はない!撃て!」
アリウス生達が聖園さんに銃撃を送るが、倒れ伏しているアリウス生を持ち上げ、盾にしながら敵に突っ込む
そのまま盾代わりの生徒を前方の敵に投げ飛ばし、その横にいたアリウス生の腕を無理やり引っ張った
「ヒッ!?」
「あはは☆そんな怯えなくてもいいのにな~」
そのままサブマシンガンを相手の顔に近づけ、引き金を引く
あまりにも痛烈な痛みに、アリウス生は一瞬で意識を失う
…………今がチャンスだ、行くぞ!
突然始まった戦闘に思わず足を止めてしまったが、すぐに皆に声をかける
「………よく分からないけどあの女が引き付けてくれるなら好都合」
「は、早く行きましょう!このまま残ってると私達までミカさんにやられちゃいますぅ!」
カタコンベの方角へ走り出すが、一人だけ足を止めている者がいた
「っリーダー、早く!」
「ど、どうして立ち止まっているんですか!?」
錠前さんは動かずに、戦闘中の聖園ミカをジッと見つめる
……………錠前さん、後悔したり罪悪感を感じたりしたところで意味無いですよ
罪は償う事は出来ても消す事は出来ませんから
「………ああ、分かっている」
そう言うと、錠前さんが俺達の方を向き、走り出す
「逃がすか!」
「我々は裏切り者を追う!」
「聖園ミカを止めろ!」
背後の声を無視して走り続ける、おそらくアリウス側は聖園さんと戦闘しているチームと俺達を追いかけるチームで別れたのだろう
正直、かなり助かる
「あのまま共倒れしてくれればいいんだけど………」
………いや、十中八九追い付いて来ますよ、聖園さんは
「………少しでもアリウス自治区に近付くぞ」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
風紀委員の車が止まっている、本来なら酒泉を助けに全速力で走らせたいんだけど………
「キキキッ!後ろの奴らも連れて大人しく学園に戻ってもらうぞ!空崎ヒナァ!」
私達は今、面倒なのに絡まれていた
………はぁ
「悪いけど貴女達に構ってる暇はないの。そこを退いて、マコト」
「拒否するっ!アリウス自治区に向かって何をするつもりか知らんが通すわけにはいかんなぁ!」
こんな時にまで………
「…………貴女達の頭でしょ、早く回収して、イロハ」
「いやぁ………無理ですよ、あの人イブキの言う事以外聞かないですもん」
「………じゃあそのイブキは?」
「もう夜なので戦車の中で寝ています、起こさないであげて下さいね」
「……………」
『ヒナ委員長、もういっその事全員ぶっ飛ばすのは?』
「アコ行政官、青筋が立ちまくってますよ………」
「発想が脳筋すぎるよアコちゃん………」
通信機越しにアコが提案してくる…………正直私もそうしたい
こうしている間にも酒泉は戦ってるっていうのに………
「ねえ、どうして邪魔するの?」
「キキキッ!そんなの決まっているだろう!お前達がアリウスと結託して何かを企むかもしれないからだ!」
「そんな事するわけ無いでしょ、それとも……………」
私達がアリウスを助けたら何か困るの?
「っな!?」
私の言葉を聞いた途端、マコトが目に見えて動揺しだす
「まさか具体的な証拠を握られるから私達を行かせたくないとか…………」
「そそそそそそそんな訳なななな無いだろうっ!?」
…………分かりやすい
「……………ねえ」
「ななな何だ!?」
「私は酒泉を助けたいの、もうこれ以上誰にも彼を傷つけさせはしないって誓ったから」
ゆっくりとマコトに歩み寄る
「もし貴女達が邪魔したせいで彼の元に辿り着くのが遅れたら………」
マコトが後ろに下がっていく
「もしそのせいで彼に何かあったら───────」
貴女達を絶対に許さないから
「………………………」
「だから、退いて」
マコトが横に移動する、どうやら分かってくれたみたいだ
「い、委員長…………ヒッ!?」
イオリが何故か怯えた様な表情を浮かべる
…………?どうしたんだろう
『その………ヒナ委員長………』
「どうしたの、アコ」
『…………風紀委員全員が怯えているので………もう少し落ち着いてもらえると…………』
「………私?」
『いえ、その………はい』
…………そんなに怖かったのだろうか
「………ねえ、イオリ、チナツ、私、そんなに怒ってた?」
「え!?いや、その………うん」
「無表情でしたけどそのせいで余計に………」
…………酒泉にそんな顔を見せるわけにはいかない
彼と再開した時、安心できる様な表情で居なくては
「…………それじゃ、行くよ」
再び車に乗り込み、発進させる
「…………………」
「………相当怒らせましたね」
「…………………」
「うぅん………今の何………?」
「あ……イブキ、起きてしまいましたか」
「うん………何だか凄く怖くて………」
「気にしないで下さい、先輩がやらかしただけですから」
「…………………」
「………あの、先輩?聞いてますか?」
「…………………」
「……………おーい」
「…………………」
「し…………死んでる…………」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
全力でカタコンベ内を駆け抜ける、後ろから追ってくるアリウス生達にも時折対応しながら
「………っ!ユスティナが追い付いてきた」
…………錠前さん、ヘイローを破壊する爆弾貸してくれませんか?
「………しかし───」
───大丈夫ですよ、アンタ等が裏切る事は無いってもう分かったんで
「………!………ありがとう」
ユスティナ相手なら容赦なく使えますし、纏めて吹き飛ばせます
「ああ………頼んだ」
そう言いながら爆弾を俺に渡してくる
そのまま背後に投擲し、ユスティナ達が近づいた所で
─────いいや!限界だ押すね!今だッ!
爆弾のスイッチを押した
そのままユスティナ達を巻き込み爆発し、更にその余波で周囲の壁や天井が崩れ落ちる
「…………あれって下手したら私達も瓦礫の巻き添えになってましたよね?」
生きてりゃいいんだよ
「ノープランすぎませんか!?」
うるせぇ!!!お前の雑誌のハガキ部分だけ切り取るぞ!!!
「そんなっ!?」
「………喋ってる余裕があるならもっと速く走って」
「だがもう少しで出口だ!」
錠前さんの言葉に警戒心が高まる、俺達にとってはむしろカタコンベを抜けてからが本番だ
走りながら覚悟を決めようとした時────
「ッ!皆伏せて!」
戒野さんの言葉に咄嗟に伏せる、すると頭上を何かが通りすぎ─────
ドガアッ!!!
─────爆発音と共に曲がり門で爆発した
「っな!?」
突然の攻撃に後ろを振り向くと………
「あちゃー、惜しかったなぁ……」
ロケットランチャーを片手に近付いてくる聖園さんの姿があった
…………アリウスのを奪ったのか
「やっと追い付いたよ、皆急ぎすぎだよー!」
友人に文句を言うかの様に話しかけてくる
「………聖園ミカ」
「なぁに?サオリ」
「お前の恨みは分かっている、この戦いが終わった後ならいくらでも────」
─────無駄ですよ、理性で行動してる様に見えますか?
「あはっ☆分かってるじゃん!」
突然聖園さんがロケットランチャーを捨てて突撃してくる、全員銃で迎撃しようとするものの、そんなのはお構い無しに突っ込んでくる
「ヒイイイィ!まったく効いてません!?」
「………っ、お嬢様らしくない戦い方……!」
接近して来る聖園さん、そして彼女が拳を振る
その拳は俺に当たる──────
───────事なく受け流す
そのまま懐に潜り込んだ俺は、聖園さんの腹部にアサルトライフルを押し付け…………
ダダダダンッ!!!
引き金を引いた
完全に無防備になった聖園さんに対して零距離射撃を行う
弾を撃ち尽くした後もそのままアサルトライフルを落とし、懐からスナイパーライフルを取り出す
更に零距離射撃を加え、そのまま鳩尾に拳を打ち付ける
…………入ったっ!
相手の攻撃を受け流し、無防備になった所で全ての攻撃を零距離で当てた
そのダメージはかなりの物だろう
そして聖園さんはそのまま─────────
───────全ての痛みとダメージを無視して俺を殴り飛ばした