次々と襲いくるアリウスとユスティナ、その中心にミサキがスティンガーミサイルを放つ
そのままミサイルの雨が降り注ぎ、敵の部隊を纏めて吹き飛ばす事が出来たが……
「……っ、またユスティナか」
失った戦力を補充するように敵が到着する
「………そもそもどうしてユスティナの使用権が向こうにあるの?エデン条約の乗っ取りは失敗したはずでしょ?」
「………もしかしたら一度でも起動させれば、後は複製出来るのかもしれないな」
「…………だとしたら、あの女は私達の事を最初から使い捨てるつもりだったって事?」
「………ああ」
元よりろくでもない女だってのは分かってたでしょ………っ!
こうして手を焼いている間にもタイムリミットが迫り、酒泉達の体力も削れていく
「………私が先頭を走る、二人ともついてきてくれ!」
「リーダー、それは無理しすぎ────」
「────このまま行動に出なければ少しずつ追い詰められていくだけだ、私が壁になりながら進むから二人は撃ち漏らした敵を頼む!」
ちょ………錠前さん!?
「………っ、仕方ないか……」
そう言うとサオリは二人の返事を聞くよりも先に走り出す、少し遅れて後から二人もサオリを追いかける
「く………っ!」
先頭を走るサオリは当然敵に狙い撃たれる。サオリもアサルトライフルで反撃するものの、前方を走りながらの狙撃では全ての敵を撃ち抜けない
サオリの射線から外れている敵達がそのまま銃口をサオリに向ける
─────バスッ!!
「っ!?」
「ぐぅっ………!」
「錠前サオリの後ろの奴らだ!」
しかしサオリが仕留め損ねた敵を酒泉とミサキが狙い撃つ。また、サオリも二人に攻撃が行かないよう敢えて敵に狙われやすい様に突っ切る
………っ!錠前さん!このままじゃ秤さんの所に辿り着く前にアンタが────
ドゴォンッッッ!!
─────酒泉がサオリを静止させようと声を掛けた瞬間、横の建物の壁が突然酒泉目掛けて吹き飛んでくる
………っぶねぇ!?
「いきなり何………っ!?」
咄嗟に後ろに跳び、瓦礫を回避する酒泉。何が起きたのか確認しようと穴の空いた壁の方に眼を向けると────
「まったくもう………さっきから私だけ仲間外れなんてひどくな~い?」
酒泉達が現状で一番会いたくなかった襲撃者の姿が立っていた
「聖園ミカ………!?」
「何故あの女がここに………がっ!?」
アリウス側にとってもイレギュラーな事態に思わず動きを止めてしまう敵達。サオリはその隙を逃さずアリウス生の背後に接近し、銃弾を叩き込む
「我々の邪魔をするな!聖園ミカ!」
一部のアリウス生がターゲットを変更し、ミカに襲いかかる
ミカは大きめの瓦礫をアリウス生に投げつける、しかしその動作を視認していたアリウス生は横に転がり回避した
そのまま反撃に出る為に態勢を立て直し、顔を上げた瞬間………
「あはっ☆」
アリウス生の目の前にミカの顔が現れた
「っ!?この………っ!」
アリウス生はいつの間にか接近していたミカに驚くものの、咄嗟にアサルトライフルの銃口をミカに向けようとし────
「えい!」
ミシィッ!
────そのまま銃口部分を握られ、へし曲げられた
「は………?」
あまりにも異様な光景にアリウス生は再度固まり………
「邪魔だからどいてね?」
ミカのサブマシンガンに意識を刈り取られた
「ふぅ~………やっと静かになったね?」
〝邪魔者〟を片したミカは、今度は〝敵〟を倒そうと辺りを見渡す
アリウスもユスティナも全員意識を失っており、残るのは………
「これでもう邪魔者はいないよ、サオリ?」
サオリ達だけだ
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「あっはは!逃げてるだけじゃ私には勝てないよ~!」
聖園さんがサブマシンガンを放ちながら突撃してくる。その攻撃を散開し、各々回避するが………
「まずは………」
聖園さんが俺の方に視線を向ける
「さっきの仕返しからしちゃおっかな?」
そして此方に向かって走りだす
「………っ止まれ!」
「させない………!」
錠前さんと戒野さんが聖園さんの背後に向けて発砲し、動きを止めようとする
俺自身もアサルトライフルを放ち、迎撃しようとする
「この程度じゃ止まらないよっ!」
しかしお構い無しに突っ込んでくる
そのまま近接戦に持ち込まれ、蹴りを放たれる。
………っ!行儀の悪いお嬢様だなぁ!?
「行儀も口も悪いゲヘナに言われたくないかなぁ!」
壁をぶち抜いてくる女に言われたくねえよっ!
相手の蹴りを避けた瞬間、サブマシンガンの銃口を俺の顔に向けてくる
だが引き金を引かれる前に此方も蹴りで応戦し、相手の銃口を外す…………しかしそれすらも予想していたのか、聖園さんが足を踏み込み、左の拳を此方に突き出してくる
まずいな………っ!
攻撃を避けれる態勢ではなかった為、両腕を交差させて相手の攻撃を防ごうとし─────
─────ギシッと嫌な感覚がした瞬間、咄嗟に相手の腕を受け流した
そのまま後ろを取り、背中を蹴りつけて距離を取る
錠前さんと戒野さんも後ろから銃による追撃を行う
………っ!マジかよ………両腕で防ごうとしたのに両腕とも嫌な感覚が走ったぞ………!
「大丈夫か、酒泉!」
………へし折られる前に何とか流しました
「………人間じゃない」
「ひどいなぁ………そんなに怯えなくてもいいじゃん」
おどけた様に頬を膨らませながら腕をフラフラと揺らす聖園さん
しかし突然スッと止まり、此方にギリギリ聞こえる声量で呟く
「………でもまあ、人間じゃないっていうのはあながち間違いじゃないかな」
…………聖園さん、俺は全てが終わったらアリウススクワッドに罪を償ってもらうつもりだ
「だから見逃してくれって?」
………ああ
「あはっ!駄目駄目!そう簡単に見逃すはずないじゃん☆だって………」
貴女達だけ居場所が残されてるなんて許せないじゃん
そう言うと聖園さんが顔を伏せながら話し出す
「私……私には、もう帰る場所が無いの……トリニティにも……どこにも……」
「私はトリニティの裏切り者で、みんなの敵で……何度もセイアちゃんを傷つけてしまった〝魔女〟だから……」
「学園から追い出されたら、ナギちゃんにも、大切な人達にも……二度と会えなくなる……生徒じゃなくなったら、私みたいな問題児、先生だってもう会ってくれないよ……」
「私に、これ以上幸せな未来なんか訪れないってことも、よく分かってる……」
聖園さんの瞳から涙が零れる
「わ、私は……悪党だから……人殺しだから……」
「だから……私に残っているのはこんなものしか、ないの……なのに、貴女達は……どうして?」
聖園さんが顔を上げて叫喚してくる
「私は大切な物を全部失ったのに────全部、奪われたのに!」
「貴女達は……どうして?」
「貴女達が何の代償も支払わないで、何も奪われないでいるなんてそんなの………」
…………………本当に何も残ってないのか?
「…………」
アンタだって先生に会っただろ、あんな優しい人が生徒を見捨てると本気で思ってんのか?
「それは……」
百合園さんや桐藤さんが簡単にアンタを見捨てるほど薄情な人間だと思ってんのか?
「………っ!私達の関係なんて何も知らないくせに─────」
知ってるさ
「………は?」
俺と聖園さんが話したのは今日が初めてだし、百合園さんとは少し話した程度だ
………なんなら桐藤さんとは話した事すらないさ
それでも、あの二人がアンタの事を大切に思ってるってのは分かる………具体的な理由は言えないけどな
「………適当な事言わないでよ………それに、仮に貴方の言ってた事が本当だったとしても………」
「魔女である私に会う資格なんて────」
─────そんな事はない
「……………」
あんたは自分の事を魔女だと思っているかもしれない、それに他の生徒達だってそう思っているかもしれない
「……………」
でもそれは間違いだ
「………え?」
聖園さん、アンタは魔女なんかじゃない!
「酒泉君…………」
アンタは………アンタは──────
──────ゴリラだ!!!