絶対に許さんぞ陸八魔アル
ミカの拳が酒泉に襲いかかる
〝眼〟を生かし、敵の筋肉の動き、そして構えから攻撃位置を予測した酒泉はその拳を回避した
攻撃を外したミカは隙を晒すが、酒泉は反撃せずに距離を取る
「あれ?今度は突っ込んでこないんだ?」
………どうせ隙を突いてもまたダメージ無視してぶん殴ってくんだろ
「ふーん、さっきよりは冷静なんだね。ゲヘナにも学習する知能があったんだ☆」
はぁ?頭にロールケーキキメてそうな奴に言われたくねえよ
「…………」
………………
「───潰れちゃえ☆」
───ぶっ潰す!
互いに前方に銃弾を放ちながら敵に向かって突き進む
ミカは腕でガードを、酒泉は超硬質ナイフを取り出し当たりそうな位置だけを防ぐ
「酒泉、一人で突っ込むな!」
「さっきリーダーも似たような行動してたけど………っね!」
サオリがサポートの為に酒泉の後から続き、ミサキも少し離れた所から援護射撃を行う
格闘戦中の酒泉に近付いたサオリは、そのままミカにアサルトライフルを向けて加勢する
サオリが引き金を引く瞬間、ミカは身を翻しながら蹴りを放つ事によって、サオリの攻撃を避けつつ酒泉を攻撃した
………ぐっ!
酒泉は左腕で防御するものの、そのまま勢いよく蹴り飛ばされる
「ふふ、かる~い!」
酒泉を蹴り飛ばしたミカはそのままサオリの腕を掴み自分の方へと引き寄せ、引っ張った勢いに乗せてサオリの腹に膝を入れる
「かはっ………」
サオリの腹部に痛みが走る、しかしサオリはその痛みを押し殺し、ミカの膝をそのまま自身の身体で押さえつける
「────ミサキッ!」
「分かってるっ!」
サオリがミサキの名を叫ぶと同時に、ミサキがスティンガーミサイルを放つ
ミサイルが放たれたのを確認するとサオリはミカから身体を離し、距離を取ろうとする
それを逃すまいとミカがサブマシンガンをサオリに向けるが………
────さっきはよくもやってくれたなオラァ!!
先程蹴り飛ばした酒泉が起き上がり、ミカの背中にアサルトライフルを撃ち当てる
「……っ!」
有効打にはならないものの、背中を走る衝撃に気を取られ、サオリを逃してしまう
そして─────ミサキの放ったミサイルがミカに着弾した
「…………直撃はした」
爆煙が広がる方を注視する三人、煙が晴れていきそこから─────
─────ミカが飛び出してくる
「………!?」
ミカはサブマシンガンをしまいながらミサキに接近すると、そのままミサキを殴り飛ばす
迎撃しようと銃を構えようとしたサオリと酒泉の顔を掴み、頭から地面に叩きつける
「ぐぁっ………!」
……っ………!
「三人掛りなのにこの程度なの?つまらないなぁ………」
手に力を込め、二人の頭を地面に押し付けるミカ
そんなミカの頭に銃弾が一発命中する
「………そんな豆鉄砲じゃ私は倒せないよ」
銃弾が飛んできた方を見るとミサキがハンドガンを構えていた。余裕綽々とミサキに言い放つが、ミサキに気を取られ酒泉とサオリから意識が逸れた瞬間
「………っこの距離なら!」
………っいい加減放せやぁ!!
頭を押さえつけられながらもミカの腹部に銃を押し付ける二人、そのまま零距離で二人の銃撃が襲う
「いっ…………っ!」
はぁ……はぁ……流石にあの距離のダブルファイアは効いたみたいだな………
「………だが、ダメージを受けたのは此方も同じだ」
「むしろアレでようやくまともに痛がるって………」
「はぁ………無駄な抵抗しないで大人しくやられて………っよ!」
態勢を立て直したミカが再び三人に襲いかかる。ミカはサブマシンガンを取り出し、サオリとミサキの足元に銃弾を放つが、二人は左右に別れて回避する
しかしミカは二人に追撃する事はなく、酒泉の方へと向かう
酒泉はミカのサブマシンガンを建物の柱の裏に隠れ防ぎ──────
──────柱が崩れると同時にミカの拳が突き出てきた
…………っはぁ!?
目の前の出来事に思わず驚愕の声が出るものの、その拳が顔に当たる前に何とかギリギリで回避する
かろうじて顔に掠る程度で済み、酒泉は安堵しながら自身の頬に手を当て───
…………マジかよ
────掠った部分から血が出ていた
「ふふ……そんなか弱い身体でよく勝てると思ったね?」
………ヘイロー持ちですら、そんなパンチ中々出せねえよ
「酒泉!横に避けろ!」
サオリの言葉が届くと同時に横に移動する酒泉、サオリはアサルトライフルをミカに向けて放つ
それを向かってくる弾ごとサオリの身体を殴り付ける
「ごほっ………!」
強烈な衝撃と痛みでサオリが血を吐きながら殴り飛ばされる
ミサキは背後からミカの首に向けてハンドガンの銃口を向けるが、ミカは後ろに回し蹴りを放つ
「く………っ!」
ヘイロー持ちのミサキは酒泉ほど肉体は弱くないが、それでもかなりのダメージがミサキを襲う
そのままミサキの方へ追撃を行おうとしたが────
シッッッ!
─────酒泉がミカに足払いを掛ける
「っ!」
片足を上げていたミカは地から離れ、後ろに倒れる
酒泉は足払いの態勢からそのまま相手の腕を自身の両太腿で拘束────腕挫十字固を極める
通常ならばヘイロー持ちの生徒ですら抜け出すのに苦労する、が…………
「邪魔くさい……………っなあ!!」
ドゴッ!!!
がっ………ぁ…………っ!
ミカは片腕だけで自身の態勢を起こし、拘束されている腕を力ずくで持ち上げ、酒泉を壁に叩きつけた
そのまま酒泉が壁から崩れ落ち、地面に前のめりに倒れる。起きて反撃しようとするが苦痛で上手く呼吸が出来ず、すぐに立ち上がる事が出来ない
ミカはそんな酒泉に容赦なく追撃を行う
「そー…………れっ!」
…………っぐ!
勢いよく酒泉を踏みつけようとするが、咄嗟に身体を転がして避ける
ミカが踏みつけた場所にはヒビが入っている
「こっちだ!ミカ!」
ミカの意識を逸らす為にあえて声を出しながらサオリが接近する
息を整えた酒泉も同時に走り出す
サオリはミカの右腕を、酒泉はミカの左腕を撃ちながら近づいていく。ミカの両腕を攻撃した二人は次はミカの頭を狙い撃とうとするが……
「両腕にダメージを与えれば止まると思ったのかな?」
「なっ………!?」
…………痛覚イカれてんだろ
サブマシンガンを地面に落とし、左右から近付いてくる二つの銃口を〝両腕〟で掴み、そのまま手で蓋をして防ぐ
ミカは銃口を掴む手を離すと、唖然としているサオリを蹴り飛ばす
衝撃に耐えきれなかったサオリは自身の愛銃を手放してしまう
酒泉は銃を引っ込ませ、何とか銃をへし折られるのを阻止したが、後ろに下がる酒泉とは逆にミカは一歩踏み込み酒泉の腹を殴り飛ばす
かはっ………
「…………まーた当たる直前に下がった」
カタコンベの戦いの時と同じように拳が当たる直前で僅かに身体を後ろに下げ、勢いを軽減する
しかし───
いっ…………!?
────その行動を予測していたミカは酒泉の回避先にサブマシンガンを放った
銃弾は酒泉の右手に命中し、血を流させる
…………脳筋のくせに頭使ってんじゃねーよ
「ゲヘナの貴方が頭を使わなすぎるだけじゃない?」
強気にミカを煽るが、戦況は酒泉達の方が明らかに不利
それでも逆転の可能性を拾う為に必死に頭を働かせる
………戒野さん、手榴弾何個ある?
「………残り二個」
俺も…………全部借りていいか?
「いいけど………何をするつもり?」
勝負に出る───!
ミサキから手榴弾を受け取った酒泉はそう叫ぶと、ミカにナイフを投げつける
「おっと………女の子の顔に刃物を投げつけないでよ!」
軽く首を動かし、ナイフを避けるミカ。しかし次の瞬間………
オラァ!これでも食らえやあぁぁぁ!
「………っ!これは………!」
ミカの左右にそれぞれ少し遅れて一個ずつ手榴弾が投げ込まれた
少しでも被害を抑えようと、ミカは出来る限り後ろに退く
しかし完全に避け切ることが出来ず、手榴弾はミカを巻き込んで爆発した
(不意を突かずに真正面から手榴弾を使ったのは失敗だったね)
咄嗟に対応したのが功を奏したのか、ミカは自身で思っていた以上にダメージを軽減していた
爆煙の中、このまま次の手を考えようとした時、上から瓦礫が落ちてくる
(………っ!もしかしてまたカタコンベの時みたいに生き埋めにする気?でも………)
カタコンベ内で戦った時と同じ状況に、ミカは酒泉の狙いに気付く
「同じ手は効かないよ!!」
今度こそ敵の作戦を叩き潰し、決着を付けようと爆煙の中を突っ切り─────
──────抜けきった瞬間、二つの銃口がミカの腹に突きつけられる
「っ!?」
………さっきと同じだな?
酒泉が不敵に笑う
それは先程と同じ、顔を掴まれた時、零距離でサオリと一緒にミカの腹部にアサルトライフルを叩きつけた時と同じ状況だった
少し違うとすれば────サオリのアサルトライフルを酒泉が持っている事ぐらいだ
酒泉は二つの銃の引き金に指を掛け………
この痛みならアンタも簡単には耐えられないって分かってんだよぉ!
ズダダダダダダダダダダンッ!!!
ミカの腹部を容赦なく滅多打ちにした
二つのアサルトライフルの全弾を食らったミカは静かに立ち尽くす
装填されている全ての弾を撃ち尽くした酒泉はミカの様子を確認しようと顔を上げ────
─────カタコンベの時と同じように殴られる
あの時と同じように酒泉の頭に衝撃が走り、脳が揺さぶられ、身体が吹き飛ぶ
事はなくミカの左腕にしがみつく
「っ!?」
酒泉に続くようにミサキはミカの右腕にしがみつく
「このっ………離れてっ………!」
二人を引き剥がそうと暴れるミカ
酒泉を地面に叩き付け、ミサキを壁に蹴り飛ばす
しかしミサキは蹴り飛ばされると同時にミカのサブマシンガンを掴み、一緒に投げ飛ばした
ミカはサブマシンガンを拾おうと身体の痛みに耐えながら進もうとした瞬間─────
「オオオオオオオオオオッ!!!」
────サオリがボロボロの身体で向かってくる
「っ!!!!」
ミカも己の身体に鞭打ちながら拳を振りかざす
そして二人の拳は──────
「ミカアアアアアアアア!!!」
「サオリイイイイイイイ!!!」
──────お互いの顔に同時に当たった