男先生→某絵師さんのよく形や性別が変わるゲマトリア先生
女先生→某絵師さんのよく生徒に襲われるよわよわな先生
……って感じで思い浮かびます
でも最後にはアロナの似顔絵に脳内が侵食されてしまいます、たすけ────────
if世界~女先生ルート~その1
「せーんーせーいー!?また無駄遣いしたでしょう!?」
「ユ、ユウカ……それは必要経費であってね……?」
「ただのロボットに七万円も掛けるなんて、どう考えても必要経費じゃないでしょう!」
「そんな事ないよ!それは限定販売のプレミアム品であって、私の仕事の効率をアップさせるのに必要なアイテムで────」
「言い訳無用です!だいたい、月初めからいきなりこんな大金使って後々困ることになるのは先生なんですからね!?」
自らの生徒に説教される女性が一人
薄暗い青の髪色、緑の瞳、ショート……より少しだけ長い髪の毛
身体的には女子高生の平均とほぼ同じだが、多くの生徒を導き、多くの困難を乗り越えてきた彼女は間違いなく〝先生〟に相応しい大人だった
「で、でも……ほら……私のお金だしさ……?」
「その結果、無理な節約生活をすることになって道端で倒れたのはどこの誰ですか!?」
「私です……」
……そんな大人にも欠点はある、自分の趣味の事になると急に思考が子供みたいになるのだ
身体の健康状態など何一つ考えずに己の欲望を優先する先生、そんな彼女にユウカが苦言を申す
「……先々月、体調不良で倒れた先生を運んだのは?」
「……酒泉です」
「シャーレでひたすら生の食パンを食べる先生を不憫に思って給料日までお弁当を作ってくれたのは?」
「………酒泉です」
「食費を返そうとして〝あれはいつも生徒の為に頑張ってる先生へのお礼ですよ〟って断られてその上〝気持ちは分かりますよ、あのロボットカッコいいですもんね〟ってフォローしてくれたのは?」
「…………………酒泉です」
「大人のプライドとかないんですか?」
「生きててすいませんでした」
ユウカのドン引きするような目すら気にせず全力で頭を下げる先生
内心かなりの申し訳なさを感じているのか、あの時からあまりに無茶な節約はしないように心掛けている
「で、でも今回は大丈夫!これ以上の出費は無い予定だから!」
「先々月も同じようなこと言って結局無駄遣いしましたよね?」
「あ、あれは何の告知も無しにいきなりプレミアム商法を始めた財団Bの仕業で……!でも今回は本当に大丈夫だから────」
先生が必死に言い訳を考える中、突然先生の個人用のスマホが震える
どうやら自身が登録している〝とあるサイト〟から通知が届いたようで、その通知をタップして画面を開くと………
『明日の午前10時から限定版変身セットの予約受付開始!今回のラインナップはこれだ!』
『マスクヒーローティクーン・ブジンサーベル』
『マスクヒーローティンダロスバルキャン』
『マスクヒーローアークサソリ』
『各・税込7720円』
「………先生?」
「……ごめんユウカ、ちょっとパスタともやし買い占めてくるね」
「また酒泉君のお世話になりたいんですか?」
「う゛っ」
痛いところを突かれて謎の声が漏れ出るが、それでも上目遣いで必死に頼み込む
「お願い……ここは見逃して……?」
「駄目です」
「今度は酒泉にバレないようにするから!」
「酒泉君の〝眼〟を誤魔化せるとでも?ただでさえシャーレ補佐の彼とは一緒に行動する機会が多いのに……」
「だ、だよね………」
先生が思い浮かべるのは共に様々な事件を解決してきた一人の少年
神秘を持たぬ脆い身でありながら銃を持って前線で戦うシャーレ補佐の少年────折川酒泉
彼は先生がキヴォトスにやって来る前から既に仕事をスムーズにこなす為の準備をしていた
各学園の抱えている問題を纏めた資料を用意し、更にはキヴォトスで注意するべき〝一部の悪徳企業〟についても調べあげていた
……ただでさえ普段からお世話になりっぱなしなのに、これ以上迷惑を掛ける訳にはいかない
そう考えた先生は肩を落として画面越しに見える宝物を諦めた
「………その、先生さえよろしければ……わ、私がお弁当を作ってきてもいいですけど!?」
「いや、これ以上生徒に迷惑は掛けられないからね………気持ちだけ受け取っておくよ」
「…………そうですか、酒泉君のお弁当は食べて私のお弁当は食べてくれないんですね?」
「えっ?いや、そういうつもりで言った訳じゃ────」
「……まあ、先生は酒泉君と仲良しですもんね?私が入り込む余地なんてないほどに……」
「ユウカ、もしかして……怒ってる?」
「はい?何で私が怒らないといけないんですか?これっぽっちも気にしてませんけど?」
どこからどう見ても怒っているユウカを苦笑しながら見つめる先生
〝お弁当の味見でもしてほしかったのかな〟なんて鈍感系主人公みたいなことを思いながら、どう機嫌を直させようかと考えていると、開きっぱなしだったスマホの画面にモモトークのメッセージが届く
「ん?なんだろう……また財団Bからの脅迫メッセージかな?」
「脅されているのは先生の財布だけでしょう……」
軽い冗談を言いながらモモトークを開き、送り主とのトークルームに移動する
送り主はヴァルキューレの一生徒、フブキやキリノと違って最近出会ったばかりの人物
内容は救援要請、どうやら連行中の不良グループが他自治区に逃げ込んだらしく、他自治区にヴァルキューレの部隊を配備する手続きと戦闘時の指揮をお願いしたいのだとか
後者に関しては他自治区へ被害が出る前にスムーズに敵の身柄を確保する為、卓越した指揮能力を先生の力を借りようと考えたのだろう
生徒の願いを叶えるのは教師として当然、そう思いながらモモトークに了解の返事をしようとして────
「─────っ」
────身体の震えと同時に、一瞬手が止まった
だが、ユウカに気づかれるよりも早く調子を取り戻したことで、その事について疑問に思われることはなかった
「……ごめんユウカ、ちょっと急用が出来ちゃった」
「……救援要請ですか?」
「うん、他自治区同士の問題だし結構時間が掛かりそうで………ちょっと行ってくるね」
「分かりました………そういえば酒泉君に連絡は?もしよろしければ私から伝えましょうか?」
「っ……いや、移動中に自分で連絡するよ。だからユウカは気にしないで」
そう言うと忙々しく現場に向かう準備をする先生
シッテムの箱を持ち、鞄の中に必要な書類を全て詰め込んで部屋を出ようとし─────その前に後ろを振り向いた
「ユウカ」
「はい?」
「っ……その……さっきも言ったけど、酒泉には私から伝えるから………何もしなくていいからね?」
──────────
────────
──────
「うっ……ぷ………おぇ……」
シャーレの女子トイレの個室から嗚咽音が聞こえる
声の主は先程までユウカと平然と会話していたはずの先生
「……ぅ……ぁ……」
(………偶然酒泉がシャーレに居なくて良かった)
調印式の際、完全に破損した防御装置の修理を依頼する為にミレニアムに向かった酒泉
もし今の状態の自分を彼の〝眼〟で見られたら一瞬で体調不良である事がバレていただろう
「………うっ……く………はぁ」
…………いつからだろう、戦場に向かう前に吐き気を感じるようになったのは
いつからだろう、助けを求められる度に一瞬身体が震えるようになったのは
いつからだろう─────
「今度こそ………誰も怪我させないようにしないと………」
──────戦うのがこんなに恐ろしく感じるようになったのは
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アリウスによる調印式襲撃を知っていた折川酒泉は自らが囮になることで先生とヒナを逃がした
アリウススクワッドと交戦して身体に深い傷を負うものの、途中で先生とヒナが駆けつけて何とか命を奪われる前にアリウススクワッドを撤退させることが────できなかった
ここから酒泉にとって想定外な出来事が起きた
先生のサポートを受けている上に万全な状態のヒナやツルギの猛攻は異常なスピードでアリウス側の戦力を削っていった
………そう、逆に早すぎるほどに
先生の指揮力とヒナやツルギの戦闘能力を早々に驚異だと感じた〝未だ姿を現さないアリウスの支配者〟は、自軍の戦力がこれ以上削られる前に〝切り札〟を切ることにした
そして顕現してしまった─────ヒエロニムスが
周囲にはいくらでも復活できる状態のユスティナの亡霊達、アリウスの支配者が求めているロイヤルブラッドの少女も既に避難済み、ヒエロニムスは当然味方の被害など気にすることなく広範囲への攻撃を連続で行った
大人のカードやシッテムの箱の力をフルで攻撃に回せば先生だけでもヒエロニムスを撃退できただろう
……だが、先生の周りには風紀委員会や正義実現委員会の生徒達が居た
ヒナやツルギを筆頭とした実力者の生徒だけじゃない、平均的な戦闘能力しか持たないような者達が大勢その場に立っていた
─────故に、先生は大人のカードやシッテムの箱の力を生徒達を護るために使った
自身の防御は最低限、そんな状態で誰も死なせない為に周囲に気を配りながら指揮を取った
そして………悲劇が起きた
常に気を張り詰め、己の手札と脳をフル活用し続けてきた先生
何とか全員無事なままヒエロニムスを撃退した瞬間、先生の身体が限界を迎えてそのままフッと力が抜ける
………ずっとその瞬間を狙っていたのだろう、大きな銃声と共に周囲の生徒達の間を抜けて一発の凶弾が飛び込んでくる
反射的に顔を銃声の方に向けると、そこには黒いマスクをつけた一人の少女が銃口を向けていた
襲撃者を視認した時には既に遅く、その弾丸は先生の身体を貫く─────ことはなかった
いつまでも経っても襲ってこない痛み、そしていつの間にか地面に倒れている自分
少し顔を上げると、そこには─────
──────巡航ミサイルのダメージやアリウスとの戦闘で出来たであろう痛々しい火傷痕、そんな身体の腹部から血を流したまま佇む酒泉の姿があった
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「情けないよね………生徒を護るなんて言っておきながら、逆にその生徒に護られるなんて」
何も見えない暗闇の中、私と同じ顔をした人間が耳元で囁いてくる
「貴女がもっとしっかりしていれば酒泉にあんな怪我を負わせずに済んだのにね?」
辺りの光景が急に切り替わる、目の前にはリハビリしている酒泉が映る
病室に戻ると服を脱いで着替えようとし─────未だに身体に残っている火傷痕と銃創が見える
「あれ、治らないんだって………可哀想だよね?友達と海やプールに出掛けた時とか誰かと〝そういう関係〟になった時、あの傷痕を見られちゃうんだよ?」
自分自身の言葉が自分自身の心を貫く
「全部貴女のせいだよ」
やめて
「貴女が〝先生だから生徒を護らないと〟なんていう下らない使命感に駆られて無茶をするから」
おねがい
「貴女が最後の最後で気を抜いたから」
いわないで
「………そもそも貴女がキヴォトスに来なければ、アリウスに狙われることもそれを庇って酒泉が怪我をすることもなかったのにね?」
やめて
「全部全部………貴女のせいだよ?」
………やめ、て
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どうも、折川酒泉です
ミレニアムから帰ってきたら先生が眠っていました、見た感じ随分とお疲れのようです
「私は……先生だから……戦わないと……」
……いやお疲れどころじゃないな、なんか魘されてるわ
夢の中でまで変な義務感に駆られてんのかこの人は………いくら教師とはいえ、生徒の事ばかりを考えすぎるってのも良くないな
背負いすぎると押し潰される………ブルアカユーザーの皆なら知ってるよね!この世界、一人で背負おうとする人多すぎない?
特に先生なんて一人で背負おうとする人の荷物をかき集めてそこから更に全部背負おうとするんだもん、そりゃ身体も精神も保たなくなるわな
「……ごめん……酒泉……」
え?夢の中に俺登場してんの?何されたの?
どうしよう………最近は多忙だったしこのまま休ませてあげたいけど、流石に残った仕事を放置する訳にはいかないよな
………まあ、俺がやってもいい仕事は全部俺がやって、残りは明日先生に渡せばいっか
「……違う……そんなつもりじゃ……」
ん?身体が震えてんな……寒いのか?暖房をちょっとかけて、仮眠室から毛布を………ないな
持ち帰って洗濯でもしたのかな?しゃーない………俺の野郎臭い上着で我慢してくださいねー
「……ぁ……あったかい……」
おやすみなさい………さーて、仕事しますかー
まずは……ん?〝ゲーム開発部の予算を増やすように早瀬さんを説得してほしい〟だって?
………よし、これは後日説教しに行くとして────