〝アリウス〟潰すゾ!!!   作:あば茶

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久しぶりの本編です


〝ケイちゃん〟話すゾ!!!

 

 

 

 

 

微かな光を感じとり、ゆっくりと目を開ける

 

周囲を見渡すとボロボロの壁に穴の空いた地面や天井

 

そして中央には椅子が設置されており、その上でアリスが眠っていた

 

 

「……ここがアリスの精神世界」

 

 

リオはそのまま周囲を見渡しながら中央の椅子へと近づく

 

……前に地面で眠っている酒泉を軽く揺さぶって起こそうとする

 

 

「……酒泉、起きなさい、実験は始まってるわよ」

 

んんー……お母さん……zzz

 

「私は貴方の母親ではないわ」

 

ん……………あ、着きました?

 

「………早く立ち上がりなさい」

 

 

まるで電車で眠っていたかの様な反応をする酒泉を軽く流して先に歩き出す

 

「……あそこで眠っているのがアリスね」

 

おーい、天童さん、朝だぞー

 

「んんぅ……アリスは……伝説の剣を……えへへ」

 

「……夢の中でも勇者のつもりなのかしら」

 

「んー……あ、あれ?リオ先輩に酒泉ですか?」

 

おっす、ここが天童さんの精神世界か

 

「……あ!そうでした!アリス、もう一人のアリスとお話しに来たんでした!」

 

「……全員起きたのなら早く探しに行くわよ」

 

酒泉とアリスを置いて先に進もうとするリオ

 

 

 

 

 

 

「その必要はありません」

 

 

 

 

しかし背後から声が聞こえ、足を止める

 

後ろを振り向くと、そこにはアリスとほぼ同じ容姿をした女の子がいた

 

違いを挙げるとすれば、目の色などの細かい部分ぐらいだろう

 

 

 

「貴女は……」

 

「アリスと同じ姿です……」

 

あの人が前に話した人です

 

「そう……それじゃあ彼女が〝Key〟なのね」

 

 

〝Key〟は酒泉とリオには一切視線を向けずにアリスを見つめ続ける

 

 

「王女よ、貴女はここに留まるべきです。自らの力を自覚した今なら理解できるでしょう……自分がどれ程危険な存在なのかを」

 

「………」

 

「貴女の力は世界を滅ぼす為の力……どう足掻いたところでその事実は変えられません」

 

「……確かに、アリスの力は危険なものです」

 

「それなら────」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「でも、モモイ達はこんなアリスでも受け入れてくれました」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「───……」

 

「モモイ達はアリスのことを信じてくれました!だからアリスも皆を……ゲーム開発部を信じます!」

 

「……王女、これは貴女の為でもあるのです。もし王女が彼女達を……仲間を傷つけてしまったら貴女の心は耐えられません」

 

「お互いにぶつかり合って傷つけ合うことだってあるのが友達だと、モモイはそう教えてくれました!」

 

「まだ現実に起きていないからこそ言えることです、実際にその惨状を目にしてしまったら貴女は後悔することになります」

 

「大丈夫です!そうなる前に酒泉やリオ先輩、そしてチビネル先輩が止めてくれます!」

 

 

 

Keyの言葉を全て前向きな意見で返すアリス、Keyはそんなアリスを無表情で否定し続ける

 

しかしその行為が全て無駄だと知ると、Keyは溜め息を吐いてから酒泉を睨み付ける

「折川酒泉、貴方が王女に余計な知識を吹き込みさえしなければここまで話が拗れる事はなかったのです」

 

……はぁ

 

「『自分はまだ勇者になれる』と、『自分は皆と一緒に居てもいいんだ』と……その様な希望を与えたせいで、王女が余計に苦しむ事に────」

 

んじゃあ、そうならない様にKeyさんが支えればいいじゃん

 

「……その様な簡単な話ではありません、貴女達も見た様に王女の存在そのものが世界を滅ぼす力である以上、いずれ破滅は訪れます」

 

だったらKeyさんが抑えてくれよ

 

「私も王女も世界を滅ぼす為に作られた存在です、そんな私が協力するとでも?」

 

……でもさ、それって〝与えられた役目〟だからだろ?

 

「それが何か?」

 

……俺、Keyさんに直接聞いてみたかったことがあるんだよ

 

「私に……?」

 

ああ、天童さんは勇者になりたいって言っていた……それじゃあさ、Keyさんは何になりたいんだ?

 

「………は?」

 

 

酒泉はずっと考えていた、原作でのKeyの立場を

 

アリスはゲーム開発部や先生のお陰で〝勇者になりたい〟という目標を取り戻すことができた

 

ならこの時点でKeyにも〝何者になりたいか〟という答えを見つけさせることができれば、最終編よりも前に和解させることが可能かもしれないと

 

「……貴方の質問の意味が理解できません」

 

王女のサポートだとか世界を滅ぼすだとか、そういう与えられた役目の話がしたいんじゃない

 

……Keyさん自身はどうしたいんだ?

 

「その様なことを考える必要はありません、私は私の役目を────」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ということで、Keyさんには天童さんと一緒に生活してもらう!

 

 

 

「────は?」

 

 

突拍子も無いことを言い出す酒泉、それを聞いたKeyは唖然する

 

隣にいるリオは事前にこの事を伝えられていたが、それでも呆れた様な表情を隠せない

 

この場で楽しそうにしているのはアリスと酒泉の二人だけだ

 

 

「何を……言って……」

 

Keyさんも人間社会で生活してるうちに何か目標が出来るかもしれないだろ?

「共同生活ですね!アリス、楽しみです!」

 

まあ、一つの身体に二つ人格があるのは共同生活って言えるのか分からないけど……

 

「……本当にやるつもりなの?」

 

当然っすよ調月さん、もしかしたら犠牲を出さずに解決できるかもしれないんですよ?

 

「勝手に話を進めないでください、私はそんなこと望んで───」

 

「ケイにも色んなゲームを教えてあげます!」

 

「王女、話を………ケイ?」

 

〝Key〟から読み方を変えて〝ケイ〟ってわけ

 

「酒泉……貴方、英語の成績は大丈夫なのかしら」

 

お、俺が考えたわけじゃないですからね!?

 

「………」

 

そんな可哀想なものを見るような目で見つめないで!?

 

「……まあ、いいわ」

 

くっそ……全部才羽姉のせいだ……!

 

つーか〝アバンギャルド君〟なんて名前をつける人にそんな目で見られたくねぇ……!

 

「……私のネーミングセンスは関係ないわ」

 

「私に名前など不要です、システム名だけで───」

 

「これからよろしくお願いしますね、ケイ!」

 

「───王女よ、先程から私の言葉を遮らないでください。だいたい私は了承した覚えなど……」

 

と、いう訳でよろしくな、ケイさん

 

「まずは皆に紹介します!」

 

 

〝Key〟の……ケイの言葉を無視して話を進める酒泉達、全く悩む様子もなく今後のことを話す彼等にケイは険しい顔をして問いかける

 

 

「……だいたいどうやって私の意識を表面に出すつもりですか、私を外に出す為だけにいちいち王女を暴走させると?」

 

そこら辺もちゃんと考えているさ……ミレニアムの皆がな!

 

「………」

 

し、仕方ないだろ……その辺の問題は俺よりもミレニアムの方が圧倒的に詳しいんだから……

 

……という訳で調月さん、説明頼んだ

 

「……アリスが不可解な軍隊Divi:Sionに触れた時、彼女の人格データが停止し、新たな人格データが最初から構築された状態で出現したわ。その隙間にダイブ装置の原理を逆に利用して貴女の意識を────」

 

……???

 

「────……アリスとケイを入れ換える、これでいいかしら?」

 

なるほど!

 

「……そしてその為のシステムも既に完成しているわ、後は貴女が受け入れるだけ」

 

「……私の答えは決まっています、当然───」

 

「いっぱい冒険して一緒に強くなりましょうね、ケイ!あ、ケイのジョブも一緒に考えましょう!」

 

「………」

 

「それと今のうちに自己紹介も考えておきましょう!大丈夫です、皆とっても優しい人達ばかりなのでケイのことも受け入れてくれるはずです!」

 

「………」

 

「これからはずっと一緒ですよ、ケイ!」

 

「………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………いいでしょう、少しだけ付き合ってあげます」

 

これぞ光属性の力よ

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

意識が覚醒すると目の前が真っ暗だった……まあ、ダイブ装置を目元につけてるし当然か

 

目元の機械を取り外し、ゆっくりと起き上がる

 

周りからは何人かの声が聞こえた

 

 

「やあ、よく眠れたかい?」

 

ぐっすりでしたよ、先生

 

「安眠機能もつけておいて正解だったね」

 

白石さん……その機能がなければもっと早く完成したのでは?

 

「………」

 

………

 

「……寝起きスッキリだっただろう?」

 

 

 

誤魔化す様に視線を逸らされる………いや、確かに身体の調子めちゃくちゃ良いんだけど……

 

 

「あら……もう起きたのですね、リオ。寝てる間にどんな落書きをしてやろうかと考えていたのですが……」

 

「………止めておきなさい、貴女の格が落ちるだけよ」

 

「………どうせ貴女のことですし、悪気なしで言ってるんでしょうね」

 

 

 

 

「お、お帰り……アリスちゃん」

 

「どうだった?もう一人のアリスに会えた!?」

 

「はい!ケイと仲間になりました!」

 

「ケイ……?もう一人のアリスちゃんの名前なの?」

 

「そうです!酒泉が名付けました!」

 

「それってモモイが読み間違えた名前だよね……?」

 

「もしかして知能レベルがお姉ちゃんと同じなんじゃ……」

 

「は、はあ!?どういう意味!?」

 

 

それぞれ目を覚ました人物に近寄って会話している

 

………何か聞き捨てならないことが聞こえた気がするけど、まあいいや

 

 

「し、仕方ないじゃん!こんなの誰でも間違えるに決まって……あれ?」

 

「どうしたの?お姉ちゃん」

 

「ゲ、ゲームが反応しない……」

 

 

……あっ、そういえば〝Key〟のデータが才羽さんのゲーム機から天童さんの中に移動したんだった

 

 

「ど、どうしよう!?壊れちゃったかも!」

 

「落ち着いてよ……」

 

「えっと……何時から動かなくなったの?」

 

「うっ……実は、その……こっちの容量の大部分があの〝Key〟ってデータで埋まっちゃったから別のゲーム機で遊んでて……」

 

「……つまり何時からかは分からないと」

 

「うぅ……」

 

 

………俺しーらね!

 

 

 

 

 

──────────

 

────────

 

──────

 

 

 

 

 

「というわけで、今日からケイもゲーム開発部です!」

 

「おぉー!」

 

「また一人部員が増えたね……」

 

「だ、大丈夫かなぁ……?」

 

 

「ふふっ……何かお困りでしたらいつでも頼ってくださいね?必ず私の頭脳が必要になると思いますので……」

 

 

「一つの身体に二つの意識が……これは興味深いね」

 

「二重人格……とは少し違うかな」

 

「他にも色んな機能を試して見ませんか!?二人同時に喋れるマイクとか!」

 

「はは……変なのは付けないでね」

 

 

暫く雑談した後、天童さんが実験の結果を皆に報告する

 

軽く皆の様子を見てみると何人か困惑はしているものの、全員受け入れてはいるようだ

 

ゲーム開発部はいつも通りポジティブに、エンジニア部はこれまで見たこともない現象に心を踊らせ、先生と明星さんはどこかホッとしたようにしている

 

ちなみに俺と調月さんは最初から全部分かっていたから会話には参加せず、ちょっと離れた場所で今回の実験に使用した機材を片付けている

 

 

 

 

 

 

「……貴方は参加しなくていいの?」

 

多分嫌われてますし……それに万が一敵対した時、情が残ってるとやりづらいですしね

 

「………貴方の判断は間違っていないわ」

 

………

 

「アリスの正体はいずれ誰かが明かさなければならなかった、早い段階で警告したのは間違っていないわ」

 

……ありがとうございます

 

「……ごめんなさい」

 

……何がです?

 

「本来なら私が汚れ役を買って出るべきだったのに……」

 

別に俺が動かなくても調月さんも同じような行動してましたよ

 

結局どっちかが恨みを買うことになるなら、大した役職に就いていないから比較的簡単に学校を辞められる俺の方が都合良いでしょ

 

「………一つ、契約の内容を改めさせて」

 

……はい?

 

「もしアリスを救う方法が見つからなかったら自分一人の責任でアリスを破壊すると言っていたけど………その責任、私も背負うわ」

 

あれは俺の覚悟を示す為に────

 

「キヴォトス全土に被害が広がる可能性があるとはいえ、アリスがミレニアムの生徒である以上これは私の責任でもあるのよ」

 

────っ……

 

「他校の生徒だけに背負わせる訳にはいかないわ……いえ、そもそもこれは私一人で───」

 

調月さん一人で背負うってのも無しですよ、それじゃあ契約の意味がありませんから

 

「───………」

 

いざとなれば俺が自分で天童さんを破壊する、それを条件にこうして猶予を貰えてるんですから

 

「……なら二人で背負いましょう、自分の手だけ白いままなんて認められないわ」

 

……そう、ですね

 

「………さて、用も済んだし今日のところはこれで帰らせてもらうわ。ケイの意識を表面に出す為のプログラムをアリスにインストールするのは二日後よ」

 

了解です……お疲れ様でした

 

「ええ……ではまた」

 

 

他の人達にも軽く挨拶しながら部屋を出ていく調月さん

 

……エリドゥが乗っ取られるって話、今なら信用してもらえるか?それとももう少し信用を得てからの方が……

 

 

……さて、片付けも終わったし俺も帰るか、忘れ物は「あ、あのっ!」……ん?

 

 

突然背後から大声が聞こえたので振り向いてみると、花岡さんを先頭にゲーム開発部の四人が並んでいた……いや、ケイさんも合わせて五人か

 

 

……なんですか?

 

「そ、その……アリスちゃんのこと、ありがとう」

 

え?

 

「先生に聞いたよ、私達が怪我する前に未然に防ごうとしてくれたんだって?」

 

「貴方ってツンデレなんだね!」

 

「少し違うと思うよ、お姉ちゃん……」

 

……先生、どこまで言いました?

 

「〝先のこと〟以外だよ」

 

なら、まあ……

 

 

 

それなら問題無いと安堵していると、才羽妹さんが前に出てくる

 

 

「その……さっきはごめん、何も知らないのに一方的に非難して」

 

「私もごめん……大声で怒鳴っちゃって……」

 

いえ、あれはむしろ皆さんを怒らせて天童さんに本心を聞かせることが目的でしたし………こちらこそ煽ってしまってすいません

 

 

少し気まずくなり、全員モジモジしだす

 

しかし活発な声が空気を変える

 

 

「酒泉がイイ人だって知ってもらえて良かったです!これで仲直りできましたね!」

 

「アリスちゃん………」

 

「………よし、酒泉!ゲームは得意?」

 

え?まあ、滅茶苦茶得意ですけど……

 

「おっ!自信ありげだね~?なら私達と遊ぼうよ!」

 

……はい?

 

「こういう空気はゲームで遊んでるうちに勝手に吹き飛ぶものだから!」

「まあ、今回ばかりはお姉ちゃんの意見に賛成かな?」

 

「えっと……もし良ければ私とも対戦してほしいな……アリスちゃん、毎回『酒泉はゲームが得意なんです!』って自慢してくるから……」

 

「はい!アリスは酒泉の実力をこの目で何度も見てきました!」

 

……手加減はしませんよ?

 

「言ったなー?ボッコボコにしてあげるんだから!」

 

いや、多分才羽姉さんには負けないと思います

 

「なにー!?」

 

「……ていうか、その名前の呼び方面倒じゃない?」

 

「そうだね、私達どっちも才羽だし……名前で呼んでよ!」

 

んー、確かに……じゃあモモイさんにミドリさん……でいいですか?

 

「そうそう!堅苦しいのは無しで!」

 

「……ていうか、何でそんなに名字呼びに拘るの?」

 

いや、勝手に女性の名前を呼ぶのは何か距離感が……前世の価値観に引っ張られてるっていうか……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いきなり煽ってきたのにそれ気にする?」

 

……確かに

 

 

 

 

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